赤ちゃんを産んだばかりの女性は野生化している2 | 日本のお姉さん

赤ちゃんを産んだばかりの女性は野生化している2

猫だって小さい仔猫を抱えている母猫は気が荒いですよ~。
気を付けなはれや。それが普通なのかも。
子供が産まれる前に、奥様が夫に対して
いろんな我慢しないで話し合って
夫が嫌なことをしないよう教育しておけばいいのに。
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日本人を襲う「産後クライシス」の衝撃

東洋経済オンライン 11月11日(月)8時0分配信


日本人の離婚の最大原因は「産後クライシス」かもしれない?(写真:藤田麻生/アフロ)


「出産は、家族の幸せの始まり」――。日本のメディアはこれまで、そうしたイメージをある種”無邪気に”発信してきた。
だが、NHKの朝の情報番組「あさイチ」取材班が取材した現実は、そんなに生易しいものではなかったという。
いったい、日本の「産後」に何が起きているのか? 産後の現実を、『産後クライシス』という書籍にもまとめた坪井健人ディレクター、内田明香記者が、今後、数回にわたってレポートする。

■ 豹変した妻、おびえる夫
朝食を終えたリビング。妻は寝起きのままのパジャマ姿で子どもを抱えて、疲れた目でテレビのワイドショーを見ている。

見るからに不機嫌な妻に気を遣い、テーブルの上の皿を全部、台所に持っていく。台ふきでテーブルを少しふいて、洗い物を始める。最近、皿洗いをするときは、裏側に油分が残っていないかなど、すみずみまで意識をめぐらせて、慎重に行うようになった。

さて、皿洗いはだいたいできた。後は排水溝のヌルヌルをとって終わろう。

それを見ていた妻。突然、何かのスイッチが入った。

「排水溝のヌルヌルの取り方が違う! 何度言ったらわかるの。やり直してよ! 」

「!? 」

やむなくもう一度、やり直した。しかし、その途中で妻がまた一言。

「本当に下手! やっぱり、もういい。後で私がやるから、そのままにしといて!! 」

その後のことはあまり覚えていない。ただ、すさまじく長い間、堂々巡りの口論をしたような……。

なぜ、彼女はせっせと家事をこなしている夫(私)にいらだち、排水溝の洗い方ひとつで、こんなにも不機嫌になれるのだろう。彼女は昔からこんなふうだったのか。何が彼女をこんなふうに変えてしまったんだ? いったい、何が?

■ 産後、消えていく夫への愛情

これは私が取材した、ある夫婦の朝の風景です。

夫はなぜか不機嫌な妻に、どうにか気を遣おうとしていますが、妻はそんな夫にいらだつばかり。全身全霊で、夫への不満を表現しています。

夫によると、もともと夫婦仲は非常によかったといいます。それなのに、いったい何が原因で、こんなにも殺伐とした関係になってしまったのでしょうか?
もしあなたに0歳から2歳までくらいの子どもがいる場合、その大きな理由は、産後に急速に夫婦仲が悪化する現象=「産後クライシス」なのかもしれません。

これは2012年9月に、NHK総合の朝の情報番組「あさイチ」で紹介したものです。その主な原因は、子どもを出産した妻が、産後の夫の赤ちゃんへのかかわり方や家事の分担に、強い不満を持つことから起こると考えられています。

興味深いデータがあります。ベネッセ次世代育成研究室は、288組の妊娠中のカップルを4年間にわたり追跡調査し、毎年「(配偶者を)本当に愛していると実感する」かどうかを聞いています。

子どもが生まれる前の妊娠期を見てみると、男女それぞれ75%ほど(4人に3人)が「本当に(相手を)愛していると実感」すると答えています。ところがそんな愛情が子どもが2歳になった頃には、驚くほど落ち込みます。特に妻の落ち込みは激しくその割合はわずか2年で3人に1人までに半減しています。これは夫たちにとっては、かなりきついデータです。

冒頭で紹介したケースは、妻の愛情がほとんど冷めてしまっていることに、夫が気づいていないという事態なのかもしれません。

夫は「昔は仲がよかった」なんて言っていますが、おそらく妻はその頃から「この人の家事のやり方は本当に荒くていやだなあ」くらいには思っていたのかもしれません。ただ、その時点では、ふたりに子どもがいなかったため、物理的にも精神的にも余裕があった妻が「仕方ないわねえ」と夫を許してきていただけだったのでしょう。

しかし、一度、産後クライシスが起きてしまうと、それまで抑えられてきた妻の不満が一気に夫を襲います。こうなると夫は「最愛の人」から「育児・家事の邪魔をするやっかいな同居人」くらいにまで格下げされます。下手をすると、憎しみの対象になることさえあります。セックスレスの大きな原因にもなっています。
■ 見過ごされてきた夫婦の落とし穴

この「出産後に、急激に夫婦仲が悪化する現象」。実は、家族社会学などの分野では長年の研究蓄積がある “定説”だったりします。しかし、このことは日本ではあまり語られ てきませんでした。

皆さんも何となく実感いただけると思うのですが、これまで多くのメディアは出産を「幸せの始まり」というイメージでしか語ってきませんでしたし、私たちもそれを当然であるかのように受け取ってきたように思います。

しかし、それは実態とのギャップがあると言わざるをえません。実際、出産は夫婦にとって「幸せの始まり」である一方、「夫婦関係の正念場の始まり」でもあります。しかし、この一方しか伝わってこなかったことで、これまで美しい誤解が生じてきたのです。

妊娠中の奥様をお持ちのみなさんは、出産後、自分たちは自動的に幸せになれると思い込んでいませんか? もしそうなら、あなたはこの美しい誤解によって見過ごされてきた夫 婦の深い深い落とし穴に、すでにはまっている可能性があります。

■ 離婚の最大原因は、産後クライシス?

この落とし穴のせいかもしれない“事故”の最も深刻なケースは「離婚」でしょう。


興味深いデータがあります。厚生労働省が5年に1度、全国の母子家庭を対象に行う母子世帯等調査、いわゆるシングルマザー白書のデータです。

この調査では調査対象となったおよそ1400人のシングルマザーに「末の子どもが何歳の時に離婚したか」を聞いています。選択肢は「0~2歳」期、「3~5歳」期、「6~8歳」期と3歳ごとに成人の手前まで分けて聞かれています。さて、このときシングルマザーは子どもがいくつのときに最も離婚していると思いますか?

生まれてすぐの「0~2歳」期でしょうか? 少し育児の負担が減る「3~5歳」でしょうか? それとも子どもが小学校になり働きやすくなる「6~8歳」でしょうか? (死別や未婚の母といったケースはデータから除かれています)

――正解は何と「0~2歳」期。この頃の離婚が全体の3割近くを占めます。


この時期はまさに、産後クライシスの発生期。実際、どれくらい因果関係があるかについて研究を行ったデータはありませんが、もしこの時期に夫婦の仲が悪化しやすいことが前もってわかっていれば、いくつかのカップルは離婚を避ける対策を取ることができたかもしれません。

実際、制作した番組には、離婚経験のある男性からこんなお便りも届いています。

「バツ1の夫です。1度目の離婚は、まさに産後クライシスで破局しました。当時、私は若く、サラリーマンとして自分を確立しなければならない時期で、育児は妻任せ。それにもかかわらず、妻が妻ではなく、母になってしまったなどと思っていたのです」

とりあえず、出産前に「産後クライシス」という概念を認識する。それだけでも、産後離婚のリスクを減らせるかもしれません。

■ 「産後」を夫婦と社会の問題としてとらえ直す

女性の社会進出が進む中、特に2000年以降は、女性のライフサイクルにかかわるリアルな言葉がどんどん生まれています。恋愛時の“草食系男子”とか、結婚をとりあつかった “婚活”、また妊娠を巡っては“マ
タハラ”や “卵子の老化”など。これらの言葉は、女性たちに圧倒的なリアリティを持って受け止められています。

この「産後クライシス」も、そんな言葉のひとつと言えるかもしれません。

今、この概念を紹介する意義を言えば、それは産後の育児が妻だけの問題ではないという事実を再認識できる、ということです。

産後の問題は、これまで育児ノイローゼや産後ブルー、産後うつなどが多く取り上げられ、いずれも、主に母と子の問題としてとらえられてきました。それを夫婦や社会の問題としてとらえ直す事は、きっとこれからの私たちの生き方に、大きな意味を持つのだと思います。

このコラムでは不定期で、産後クライシスという言葉が、夫婦にとって、また、特に夫たちにとって、どんな意味を持つ言葉なのかを考えていきたいと思います。

今回、東洋経済オンラインにて、番組で取材した内容をみなさんとシェアする機会をいただきました。現代の20代~30代の日常に大きく横たわるこの問題を紹介することで、みなさんが夫婦の幸せについて考えるきっかけを作ることができましたら、これ以上のことはありません。
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坪井 健人、内田 明香