韓国系米国人による従軍慰安婦像設置運動で日本の「初勝利」
韓国系米国人による従軍慰安婦像設置運動で日本の「初勝利」
NEWS ポストセブン 10月30日(水)16時5分配信
韓国系アメリカ人によって全米各地で展開されてきた慰安婦碑設置運動に日系アメリカ人が正面から反対し、カリフォルニア州のブエナパーク市議会は碑の設置を却下した。いわゆる「慰安婦問題」の根底にある一部の悪意ある反日運動と、それに影響された国際的な誤解が少しずつとけてきているのだ。この新しい動きについて、ジャーナリストの高濱賛氏がリポートする。
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今アメリカで在米韓国人による「従軍慰安婦」碑(像)設置運動が広がりを見せている。ニューヨーク州ナッソー郡、ニュージャージー州パリセイズ・パーク市(人口1万7000人)に端を発した慰安婦碑設置運動は今年に入ってカリフォルニア州に転移。7月にはロスアンゼルス近郊のグレンデール市(人口19万人)で、ソウル日本大使館前に建つ少女像のレプリカが設置された。
しかし、そこへ新たな動きが出てきた。その後ブエナパーク市(人口8万人)議会にも設置案が上程されたものの、7月には公聴会が開かれたうえで、賛成1、反対3、態度留保1で結論は持ち越された。そして8月末には態度を留保していた市議が明確に反対を表明。市長は現会期中にこの議案を取り上げないと宣言。2回目の公聴会が開かれる予定もなく、事実上の廃案となった。日本にとって「初勝利」だ。
そもそも、韓国から9600kmも離れたアメリカで米国籍や永住権を持つ韓国系アメリカ人が「従軍慰安婦」像設置運動を繰り広げている理由は「国際的にも抜群な発信力を持つアメリカで問題を起こせば、世界で日本を貶められる」(韓国系活動団体の関係者)からだ。
日本の総理大臣は「アジア女性基金」からの補償金を受け取った元慰安婦一人ひとりに謝罪の手紙を書いたが、韓国側はこの補償と謝罪を受けないよう元慰安婦たちに圧力をかけたうえで、日本は謝罪も補償もしないと声高に叫んでいる。
ただし、謝った謝っていないといった「各論」では日本側も反論出来ても、「総論」では何も知らないアメリカ一般大衆に反論するのはなかなか難しい。日本とは異なり、アメリカの地方都市の市議会議員は大体5~6人。中には元大学教授や博士号を持った識者もいるが、大抵は土建屋とか仕事斡旋業出身者で、外交問題などには疎遠な人たちだ。
さらに小差で選ばれるから選挙民、とくに組織からの陳情に弱い。韓国系組織は票とカネを使って市議会議員を取り込み、パリセイズ・パーク、グレンデールで“勝った”のだ。
●高濱賛(たかはま たとう)1941年東京生まれ。米カリフォルニア大学バークリー校卒。読売新聞社でワシントン特派員、調査研究本部主任研究員(日米関係、安全保障)などを歴任。1999年より米・パシフィック・リサーチ・インスティチュート所長。国際政治関連を中心に執筆活動を行っている。
※SAPIO2013年11月号
米国内の「慰安婦の碑」 現在4か所で今後20か所に設置計画
2013.04.03 07:00
米国内で2番目に建てられた「慰安婦の碑」
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従軍慰安婦問題は、戦後、朝日新聞が主導し、当時の政府が具体的な証拠がないまま「軍の強制連行」を認めたが、その後、多くの歴史家の調査でその事実は否定されている。性的奴隷20万人という数字もあまりに荒唐無稽だ。しかし、このような誤った歴史認識が米自治体が認定したあたかも“既定事実”として独り歩きしている。
現在、慰安婦の碑はカリフォルニア州のものを含め4か所に建てられているが、今後全米で20か所ほど設置する計画があるという。
全米各地で慰安婦碑建設が進む中、ニューヨーク州議会上院は今年1月、人道に対する罪だとして慰安婦たちの尊厳をたたえるという決議を全会一致で採択。3月21日にはニュージャージー州議会下院が日本政府に慰安婦への歴史的責任を認めるよう求める決議を全会一致で採択した。
3月20日には、ニューヨーク州の韓国人市民団体である韓米公共政策委員会(KAPAC)が、ナッソー郡所有のホロコースト記念館に「慰安婦特別展示館」を作り、今秋にも公開する予定と発表、ミシガン州デトロイトでは慰安婦を象徴する少女像の建立が進められているという。
また3月22日には韓国人歌手のキム・ジャンフンがニュージャージー州に「慰安婦館」を建てる計画をブログで発表した。ジャンフンは昨年秋、マンハッタンの繁華街タイムズスクエアに日本に慰安婦問題の謝罪を求める巨大看板を3か月にわたり設置した中心人物である。
韓国系米国人は約170万人で、米国全体でみれば0.6%に過ぎない。しかし韓国系市民団体の活動は活発化する一方だ。韓国系アメリカ人有権者協議会(KAVC)のキム・ドンソク常任理事は昨年、韓国メディアの取材に「アメリカ社会に日本の隠された実体を暴露することは、長期的には東海(日本海)と独島(竹島)問題の解決につながる。来年には慰安婦教育を全米の中・高等学校に普及させる」と述べている。
日本人の知らぬ間に、米国人が、事実認識や慰安婦問題の争点を知る由もなく、自ずと反日感情を抱くよう誘導されている現実がそこにはある。
安倍首相は戦後70年の節目となる2015年に、慰安婦問題に関する新たな談話を発表する意向だ。事実上の強制だという「河野談話」にかわり、具体的な強制はなかったとの新たな見解を示したいというが、果たして……。
撮影■太田真三 取材・文■武末幸繁
※週刊ポスト2013年4月12日号