ワンマン過ぎて誰も逆らえず、
北朝鮮みたいなもんだね。
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再建半ば雪国まいたけ、創業社長辞任の波紋
東洋経済オンライン 2013/11/7 06:00 鶴見 昌憲
まいたけではシェア50%超(撮影:今井康一)
キノコ生産大手の雪国まいたけは、大平喜信社長が過去の不適切な会計処理問題の経営責任をとって辞任すると発表した。辞任の時期や後任は未定で「決まり次第、開示する」としている。
■ 2期連続赤字、無配転落で再建中
雪国まいたけ <1378> は、2012年3月期に21.7億円、2013年3月期19.5億円の2期連続の大幅な最終赤字に陥っており、無配に転落。今期の黒字転換を目指して再建途上だった。大平社長は創業者でオーナーでもある実力トップ。その突然の辞任を引き起こした不祥事が、再建の足かせとなる可能性がある。 同社では今年6月上旬に当時の取締役から監査役に対し
て、会計処理に関する疑義を指摘する告発文が送付されており、社内調査を開始、8月には証券取引等監視委員会による立ち入り調査を受けて、報告を求められていた。
公表した社内調査委員会の調査報告書によると、不適切な会計処理とされたのは、(1)滋賀県で工場・物流センター用に取得した土地関連費用の資産計上方法、(2)減損が必要な一部事業用資産の減損処理をしなかった、(3)2012年3月末までに計上すべきだった広告宣伝費を、2012年3月期から2014年3月期にわたって計上した、の3項目。これに伴い同社は、11月14日に予定している2014年3月期上期決算発表までに過年度決算の修正を行う。
■ 3期ぶりの黒字復帰の見通しだが
修正をすると、一株当たり10円(創業30周年記念配6円含む)の配当を行った2012年3月期の配当可能剰余金はゼロとなり、配当総額1億3300万円は全額違法配当の状態になっている、と報告書は指摘している。
雪国まいたけは、もともと業績悪化で財務体質が大きく毀損している。健全経営の指標の一つである純資産比率は2014年3月期第1四半期末で4.4%とされていたが、修正後は、0.9%と限りなくゼロに近づく。
今期は3期ぶりに黒字復活する見通しで、会社計画で営業利益18億円、最終利益10億円を目指している。前期、前々期とも下落が続いたマイタケ、エリンギ、ブナシメジの価格が反転しており、上期の赤字幅は当初予想よりも圧縮できる見込み。鍋物の具材としてキノコ販売の需要期となる下期(10月~2014年3月)に向けて久々に明るい兆候が見えてきたところだっただけに、まさに冷や水を浴びせる事態となった。
もっとも、このところ世間を騒がしている、ホテルやレストランの食品メニュー偽装表示とは異なり、雪国まいたけの製品そのものに瑕疵があったわけではない。例えば社会的指弾を受けて、小売り店頭の商品を回収するといった販売現場への波及は考えにくく、今期業績への影響は限定的になりそう。ただ財務体質と同じく、上場企業としてのブランド価値に傷が付き、株式市場での信用が失墜したことは間違いない。
■ 社長を恐れて物言わぬ役員
報告書は、今回の不祥事の原因として、滋賀県の土地購入については「経営者の強すぎたリーダーシップによる暗黙の重圧により、担当役員または担当者が業績に与える影響を回避したものであると推認される」、不動産の減損は「背景には経営トップによる業績維持の圧力が幹部や担当者まで及んでいたものと考える」、広告宣伝費に関しては「担当者の行動は経営トップの意向を忖度し無理にでもそれに応えようとしたものと考える」――といずれも大平社長の強くなりすぎたリーダーシップを挙げている。
大平社長は、一刻も早く後任社長を選んで身を引き、事態収拾のためのメッセージを明確に社内外に伝えることが、再建を軌道に乗せる最善の道であるはずだ。