ウィグルの「東トルキスタン独立運動」は果たしてテロ集団か | 日本のお姉さん

ウィグルの「東トルキスタン独立運動」は果たしてテロ集団か

「宮崎正弘の国際ニュース・早読み」 
平成25(2013)年11月3日(日曜日)
      通巻第4053号  <前日発行>

 ウィグルの「東トルキスタン独立運動」は果たしてテロ集団か
  血の弾圧の口実に天安門自爆テロ事件を共産党は政治利用しているのでは?
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 10月28日に北京天安門で起きた自爆テロ事件は「ウィグル族の過激派」(中国公安当局)と言われ、「あれはETIM<東トルキスタン独立運動>の犯行だ」と孟建柱・政治局員が証拠を明示しないまま断定した。

当局はそうした情報を全国に流したが、世界の反応はウィグル独立団体が主張するように、「テロ偽装によるウィグル族弾圧強化の口実」という解説も同時に伝えた。華字メディアは、この自爆テロを「天安門撞車事件」とし、世界を震撼させたと分析した。
世界ウィグル会議(ラビアカディール議長)は、「謀略による情報操作ではないか」とする意見をメディアとの会見で述べた。

当局は最初の段階で情報を封鎖した(「厳密封鎖消息、嫌疑犯疑来自新彊」「或為自殺式恐怖襲撃」)。
或る中国語新聞は、この事件を「撞車自焚」と比喩した。しかし情報は封鎖され、数時間してから突如、ウィグルの過激派の関与が言われた。その間、たとえばNHK放送のニュース画面が二分間まっ黒になった。

この事件は2013年10月28日正午過ぎ、天安門の毛沢東肖像画真下に位置する金水橋の欄干に小型四輪駆動車が突っ込み、爆破炎上、クルマにのっていた三人と付近にいた二人が死亡し、通行中の38人が負傷した。日本人(上海駐在で旅行中だった)も負傷し、病院に担ぎ込まれたが命に別状はなかった。

日本のメディアも連日、この事件を報道したが、もしウィグル独立を目指す過激分子が行った政治的自爆テロ行為であるとすれば、世界の関心を、北京が弾圧するウィグルの問題に振り向けた意味で、大きな政治的効果がある。

同日夕方、捜査当局ははやくも「犯人」を特定して、準備の良いことか、身分証明書番号、名前を公表するにいたり、関連の車両番号も手配したと発表した。その直後に現場で取材した香港記者六名を拘束したため、香港メディアは厳重に抗議するという一幕もあったが、言論の自由がまったくない国家ゆえに、事件直後から報道統制、情報操作を展開するのは当然予測できる措置だろう。

真相が語られない状況の下、最初に「ウィグル族は本当に真犯人なのか」と言い出したのはフランスの左翼新聞「リベラシオン」で、「なぜウィグルと断定できるのか、チベット独立運動の過激派かも知れないし、天安門事件再評価を求める自由派活動家の抗議行動かも知れないし、あるいは法輪功の報復とも考えられないのか」と疑問を呈した。

新彊ウィグル自治区では厳重な取り締まりがつづき、「関与」を疑われたウィグルの青年ら多数が拘束された。
 この事件は長く尾を引くことになるだろう。
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法輪功を邪教ときめつけて弾圧を開始したのは江沢民政権
血の弾圧の先頭にたった李長春は江沢民お覚えめでたく政治局常務委員へ

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謝冠園監修、デービッド・マダス、トルステン・トレイ編集
 『中国の移植犯罪 国家による臓器狩り』(自由社)
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 身の毛もよだつ臓器狩りの本場は、言うまでもなく「あの国」である。
 十二名の医師らが綿密な調査をおこなった結果、あの国は臓器収奪のために無実の囚人65000名を殺害した。「そのうちの41500件の臓器提供は法輪功だった」(『テーミス』、13年11月号)。
あまつさえ臓器狩りの対象として法律輪功の学習者の120万人を拘束したと告発する、中国の深くて地獄のような暗部を剔る報告書である。
 法輪功を邪教ときめつけて弾圧を開始したのは江沢民政権。山東省で血の弾圧の先頭にたった李長春は、江沢民お覚えめでたく第十六期政治局常務委員へと出世した。ならばオレ様も、と弾圧に立ち上がったのが薄煕来で、配下の王立軍は、臓器提出手術の効率化をはかるために「注射により処刑者が死亡する前に臓器を摘出できるよう研究した。その結果、王立軍は『香華科学技術基金貢献賞』を受賞した。
 薄煕来は大連市長から遼寧省省長の間に法輪功弾圧で名を馳せた。
ひとえに江沢民路線のご機嫌とりをやらかし、その為には臓器摘出で囚人が死のうが、関わりのないことだった。実際に薄の妻は英国人を平然と毒殺したし、薄は重慶特別市に乗り込んだときは既存勢力を一斉するために無実の経済人もついでとばかり多数逮捕し、拷問し、その財産を奪った。マフィアの幹部七名を処刑した。庶民は腐敗幹部の粛正は正義の味方だと拍手を送ったが、やがて悪事、陰謀がばれて薄煕来は無期懲役をうけた経過は多くのメディアが詳報した。
 問題は、その闇に時期に薄は法輪功学習者をかたっぱしから逮捕拘束し、いきたまま臓器を取り出して患者に売っていたと本書は告発している。
 凄まじい告発本である。

 ◆書評 ◇しょひょう ▼ブックレビュー ■ BOOKREVIEW 
中国の本質的体質は「戦争立国」である
「対外戦争へと突入する『さだめ』は避けられない。国内の矛盾を処理するために
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黄文雄『真実の中国史 1949-2013』(ビジネス社)
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 中国の歴史というのは「欺瞞」と「粛正」という二つのキーワードで括(くく)ろうとすれば、それは可能である。
そして「人民共和国後期」がもう終わっていると断じる黄文雄節はますます冴え渡り、全編に響き渡り、だが、今後の中国は規模からみても世界史的な大混乱をもたらすであろうと説く歴史評論の巨編。
 それは中国の本質的体質が「戦争立国」であるが故である。
 「日本は日米戦争に負けて大日本帝国が崩壊したが、それでも日本の国体は変わらなかった。内戦も起こらなかった。日本に於ける最後の内戦は今から百余年前の明治維新後の西安戦争のみだった。だが、中国は二十世紀に入って帝国、民国、人民共和国と数度も国体と政体がかわっただけではない。毛沢東の社会主義国家と改革開放後の『権貴資本主義』国家は明らかにまったく異なる政体である」。
それゆえに黄歴史学の予測は言うのだ。
「対外戦争へと突入する『さだめ』は避けられない。国内の矛盾を処理するためには対外挑発を梃子に共通の外敵をつくりださなければならない」からで、その格好の標的が日本というわけだ。
 通常兵器で日本にかかってくるわけはない。中国はまっとうな戦争をできる能力はない。だから一番卑怯な手段を用いるだろう。
日本を殲滅せよ、とがなり立てる反日カルトがネット上にうじゃうじゃといるが、朱成虎将軍ともなると「核攻撃」をまったくためらわずに恫喝の常套句で用いる。朱発言にたぐいすることを江沢民も、胡錦涛も、集金平も公式の場で発言したことはないが、替わりに強硬発言を繰り返すのがタカ派軍人らである。
 日本にとっての脅威は核弾頭の標的が日本を向いているという現実である。
 「瀋陽軍区に配備されている、日本を向く核弾頭は最近さらに分散強化されている」と黄文雄氏がいう。
 カナダの防衛シンクタンクが発行している「『漢和防衛評論』によれば、『解放軍の核兵器配備について、全国二十九の省・区・直轄市に配備され、第二砲兵部隊は三つの巡航ミサイル旅団を擁している。江西省宜春市北部に新設された第二一九巡航導弾旅団は十六両の発射車両と四十八のCT巡航ミサイルを所有しており、日本と沖縄が戦略目標となっている』」(282p)。
 物騒なことこのうえないが、日本政府は正式に中国に核兵器廃棄を要請したことがない。
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宮崎正弘の最新刊
 『黒田官兵衞の情報学(インテリジェンス)』(晋遊舎新書、840円)
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(読者の声2)西尾幹二全集刊行記念講演会のご案内です。西尾幹二全集第8巻(第7回配本) の刊行を記念し、12月8日 開戦記念日に因み、下記の要領で講演会が開催いたしますので、是非お誘い あわせの上、ご聴講下さいますようご案内申し上げ ます。
             記
 「大東亜戦争の文明論的意義を考える- 父祖の視座から 」
戦後68年を経て、ようやく吾々は「あの大東亜戦争が何だったのか」という根本的な問題の前に立てるようになってきました。これまでの「大東亜戦争論」の殆ど全ては、戦後から戦前を論じていて、戦前から戦前を見るという視点が欠けていました。
 今回の講演では、GHQによる没収図書を探究してきた講師が、民族の使命を自覚しながら戦い抜いた父祖の視座に立って、大東亜戦争の意味を問い直すと共に、唯一の超大国となるべきアメリカが昨今権威を失い、相対化して眺められているという21世紀初頭に現われてきた変化に合わせ、新しい世界史像への予感について語り始めます。12月8日 この日にふさわしい講演会となります。

 とき     12月8日(日)14:15~17:00(途中20分 程の休憩)
 ところ    グラン ドヒル市ヶ谷 3階 「瑠璃の間」
 入場料    1,000円 (事前予約は不要です)
 懇親会    講演終了後、サイン(名刺交換)会
そのあと西尾幹二先生を囲んでの有志懇親会(どなたでもご参加いただけます。事前予約は不要)
       17:00~19:00  同3階「珊瑚の間」 会費 5,000円 
お問い合わせ  国書刊行会(営 業部)電話 03-5970-7421
‐ FAX 03-5970-7427
‐ E-mail:
sales@kokusho.co.jp
‐ 坦々塾事務局(中村) 携帯090-2568-3609
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(読者の声1)貴誌に連載中の樋泉克夫先生の火野葦平の中国旅行記が長く続いていますが、今年の夏、8月14日にNHKが終戦特番で火野葦平を取り上げたそうです。
http://www.nhk.or.jp/special/detail/2013/0814/
私はうかつにも見逃していますが、見ている友人によれば、戦時中、上官に捕虜の中国兵を銃殺することを命令され、実行した火野がそのことをずっと心の重荷にし、昭和35年、自殺したんだというような内容になっていたそうです。
あ~あまたか…という気になりました。樋泉先生はこの番組を見ておられたでしょうか。
  (HZ生)
(宮崎正弘のコメント)NHKは懲りないですね。