みずほ銀行 メガバンクの資格なし | 日本のお姉さん

みずほ銀行 メガバンクの資格なし

<みずほ暴力団融資>自動車ローン 販売現場「審査15分」
毎日新聞 10月24日(木)9時30分配信
みずほ銀行が暴力団員らへの融資を放置していた問題で、「入り口」となったのが、中古車販売店で申し込む自動車ローンだ。ある東京都内の店舗を訪ねると、申込書を信販会社に送れば15分程度でパスする緩い審査の実態が浮かんだ。厳格な審査は顧客を逃す可能性もあるが、甘い審査は反社会的勢力への融資の温床になりかねず、信販会社や提携する金融機関のチェック体制が改めて問われている。【山口知】
10月下旬、平日の幹線道路沿いの中古車販売店を訪れた。店内には5人ほどの客。このうち1人の男性客が、信販会社の自動車ローンを申し込んだ。この販売店では、今回問題になった、みずほフィナンシャルグループ(FG)傘下のオリエントコーポレーション(オリコ)の取り扱いが最も多い。
手続きは簡単だ。氏名、生年月日、住所、勤務先、年収、車体価格などを書き込んだ申込書を、身分証明書代わりの運転免許証のコピーとともにファクスで中古車販売店の店頭から送るだけ。15分ほどで「OK」の返答が来た。ローンの利用を最終決断すれば、改めて郵送で申込書を送れば、完了だ。
男性店長(43)によるとローンを使うのは客の1~3割。「これまで数千人の顧客と商談したが見るからに暴力団員は1桁。ローン希望者はすべて審査ではねられた」とも話した。2011年前後に各地で施行された暴力団排除条例で、中古車販売店にも「疑わしい場合は暴力団関係者でないことを確認する」努力義務が課せられている。警察当局に問い合わせできるが「心理的なハードルは高い」(店長)ため、問い合わせをしたことがないという。暴力団からの報復を恐れ、毅然(きぜん)とした態度をとれないのが実情だ。
オリコを含め、信販会社は審査の際、業界の顧客支払い実績を管理する信用情報会社「シーアイシー(CIC)」に照会する。ただ、CICには暴力団員かどうかや犯罪歴などの情報はなく、反社会的勢力排除の徹底には独自審査も不可欠だ。しかし「客を待たせて他に移られても困る」(大手信販会社)との思いから、審査に時間をかける動きはない。長くても30分程度だ。
みずほ銀行が金融庁から業務改善命令を受けたのは▽みずほ銀がオリコと提携するローンで、事前審査はオリコ任せだったこと▽事後の審査で分かった230件、2億円超の暴力団員らへの融資を放置したこと--が問題視されている。こうした事態を防ぐには入り口の審査が重要だが、販売現場からは「顧客確保優先」の甘さが今もうかがえる。みずほは年内をめどに銀行の持つ豊富なデータをオリコと共有して審査を強化し、今後も提携ローンを続けるとしているが、その実行力が問われている。
社説:みずほ銀行 メガバンクの資格なし
毎日新聞 2013年10月10日 02時33分
「日本を代表する、グローバルで開かれた総合金融グループ」。3メガバンクの一角、みずほフィナンシャルグループ(FG)のホームページにはそうある。だが、暴力団員への融資をめぐる同社の対応からは、そうした呼び名がふさわしいとは到底、言い難い。
みずほFGは金融庁がグループ傘下のみずほ銀行に業務改善命令を出し12日目になって、やっと経営トップによる記者会見を開いた。その4日前には、副社長(兼みずほ銀副頭取)が会見したが、重要な事実が数日で覆ったことには驚くばかりだ。
暴力団員への融資の情報は「担当役員で止まり経営全体への報告はなかった」というのが、みずほ側の金融庁への説明だった。副社長の会見で、当時の副頭取ら少なくとも役員4人が問題を知りながら放置していたことがわかったが、頭取らトップへの報告については否定していた。
それが佐藤康博社長(兼銀行頭取)の会見になり、実は当時のみずほ銀頭取にまで報告が上がっていたことが明らかになる。佐藤社長と前任の社長(前銀行頭取)も、問題が報告された取締役会に複数回出席していたという。
事実と異なる情報を検査当局に伝えた責任は特に重い。意図的隠蔽(いんぺい)でなかったとしても、今月5~6日に洗い出したら「見つかった」というくらいすぐにわかる事実を、何カ月も見つけようとしなかったのは怠慢で誠実さを著しく欠く。佐藤社長の経営責任が問われて当然だろう。
同社長によれば、自身が問題を認識したのは金融庁検査について社内で説明を受けた今年3月のことだ。それ以前も、暴力団への融資が報告された会議にみずほFGの社長として出席していたが、「知りうる立場ではあったものの認識するには至らなかった」のだそうだ。その通りだとしても、3月から業務改善命令が出た先月末まで、なぜ社内調査や対外説明をしてこなかったのか。
3月まで知らなかったとの説明自体にも疑問が残る。佐藤社長は、問題の融資を取り次いだ信販会社にみずほFGが支援の出資をした2010年秋、直接担当した法人向け銀行、みずほコーポレート銀行(今年7月みずほ銀と合併)で頭取だった。本当に何も知らずに出資したのか。
第三者委員会の徹底調査で、まず全容を明らかにしてほしい。そのうえで改善策の必要があるが、現経営首脳の主導で果たして変われるだろうか。経営陣の刷新は不可避だろう。
金融庁の検査にも、甘さがなかったか。これは日本の金融監督に対する国際的信頼にもつながる問題だ。追加の検査や処分など厳正な対応が求められる。