線路に人、助けなきゃ…間に合わず女性ひかれる
線路に人、助けなきゃ…間に合わず女性ひかれる
読売新聞 10月1日(火)22時4分配信
村田さんが電車にひかれ死亡した踏切=佐藤果林撮影
1日午前11時30分頃、横浜市緑区中山町のJR横浜線鴨居―中山駅間の川和踏切で、線路上に倒れていた同区の男性(74)を助けようと踏切内に入った同区台村町、会社員村田奈津恵さん(40)が、下り普通電車にひかれ、死亡した。男性は鎖骨骨折などの重傷だが命に別条はないという。
男性が線路上に倒れていた経緯を含め、神奈川県警緑署が事故の状況を調べている。
発表によると、現場は警報機と遮断機のある幅約10・8メートルの踏切。奈津恵さんは父親の恵弘(しげひろ)さん(67)が運転する乗用車の助手席に乗り、踏切前で電車の通過を待っていたが、線路に倒れていた男性に気付いて車を降り、遮断機の下りた踏切内に入ったという。男性はレールの内側に倒れており、その上を電車が通過したとみられる。
恵弘さんによると、奈津恵さんは事故の直前、男性に気付くと「助けなきゃ」と叫び、恵弘さんが「間に合わないから駄目だ」と制止したのを振り切り、助手席から飛び出した。男性を運びだそうとしたが間に合わず、電車にひかれたという。
最終更新:10月1日(火)23時53分
74歳救助の女性死亡 「おじいさん助かったと言いたい」
産経新聞 10月2日(水)7時55分配信
女性が事故にあった状況(写真:産経新聞)
「助けなきゃ!」。JR横浜線の川和踏切で、電車にはねられて死亡した村田奈津恵さんは、一緒に車に乗っていた父親の恵弘さんにこう言って、無職男性の救助に向かったという。
恵弘さんによると、踏切の手前で停車したところ、反対側から無職男性が踏切内に入るのが見えた。その後、男性は線路内でうずくまるような格好をして、首を線路に乗せた。
その様子を見ていた奈津恵さんは、とっさに飛び出したという。恵弘さんは「だめだ!」と制止したが、奈津恵さんは遮断機をくぐり、男性に駆け寄っていった。しかし、6、7秒後に電車が来て、「娘はぼんとはねられた」。
恵弘さんは「自分が助けに行く時間は全然なかった。やさしい娘だった。娘には『お前は死んだけど、おじいさんは助かったよ』と言いたい」と言葉を詰まらせた。http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20131002-00000121-san-soci
見て見ぬふりできない優しい子…肩を落とす父
読売新聞 10月2日(水)8時55分配信
事故現場に花を手向け、手を合わせる人たち(1日夜、横浜市緑区で)
1日午前、横浜市緑区のJR横浜線の踏切で、線路上に倒れていた男性(74)を助けようと踏切内に入った会社員村田奈津恵さん(40)が、普通電車にひかれ、死亡した。
「3人姉妹の中で一番顔が私に似ていた。かわいい娘だった。おじいさんが助かったことで、自分を慰めないといけない」。奈津恵さんの父親の恵弘(しげひろ)さん(67)は1日、自宅前で言葉を詰まらせた。
奈津恵さんは、現場から約300メートル離れた自宅で両親と姉、妹の5人暮らし。3、4年前から恵弘さんが経営する不動産会社を手伝うようになり、最近、不動産関係の資格も取得した。この日も2人で物件を見に行き、会社に戻る途中だったという。
恵弘さんは「気合を入れて仕事に取り組んでくれた。資格を取った時は『なっちゃん、よくがんばったな』と伝えたばかり。これからだと思っていたのに……」と肩を落とした。
奈津恵さんは、地元の商店街で生まれ育った。酒に酔った人を見かけると、声をかけて帰り道を教えてあげたという。恵弘さんは「困った人を見ると、見て見ぬふりができない優しい子だった」と話した。
男性助け女性死亡「信念でやったこと、しょうがない」
TBS系(JNN) 10月2日(水)19時34分配信
横浜市のJR線の踏切内で男性を救助しようとして命を落とした村田奈津恵さん。2日、奈津恵さんの母親が胸中を語りました。
穏やかな表情を浮かべた晴れ着姿の女性。1日、横浜市の踏切で、男性を助けようとした最中に電車にはねられ亡くなった村田奈津恵さんの成人式の写真です。
「派手なことが嫌い。でも芯がすごく強い子で、わりと正義感のある子でした。それが今回、変な言い方だけど、こういうふうに出た。こういう形になった。それはそれであの子の信念でやったことだから、しょうがないと思います」(村田奈津恵さんの母 春子さん)
母・春子さんは、命がけの行動をとった娘にこんな言葉をかけてあげたいと話します。
「“痛かったね”ってそれだけです」(村田奈津恵さんの母 春子さん)
一夜明けた横浜市緑区の事故現場。村田さんの死を悼む人たちが相次いで訪れ、花を手向け、静かに手を合わせていました。
「すごい勇気だなと思いまして、なんとも言葉がないです」(献花に訪れた人)
「見て見ぬふりがだんだん世の中に増えちゃってて、さびしいんですけど、あの子はそういう子じゃなかった」(奈津恵さんの親戚)
「ここを通るたびに忘れないで、私も人の役に立てる人間になりたい」(献花に訪れた人)
助けられた70代の男性は鎖骨を折るなどの重傷を負い、入院中ですが、警察に対し「気づいたら救急車の中だった」と話しているそうです。男性が踏切の中で横たわっていた経緯については、まだ事情を聴くことができていません。
午後になり、事故現場には、JR東日本・横浜支社によって大きな献花台が設置されました。
絵を描くことが好きだったという村田奈津恵さん。自宅には、村田さんが5年ほど前に描いたという愛犬のイラストが飾られていました。
Q.最後に会ったのは?
「祖母が7月に亡くなって、四十九日の法要がひと月前にあって、その時に話をした。奈津恵の分までお父さんとお母さんを支えたいと思うので・・・安心してねって言いたいです」(村田奈津恵さんの姉 春恵さん)
制止を振り切り、踏切の中にいる男性を助けようとした娘の行動に、父・恵弘さんはこんな思いを口にしました。
「お父さんより先に逝ってほしくなかった。これだけです。それ以外にありません。強いて言えば、そのおじいさんは奈津恵の分まで長生きしてほしい」(父 村田恵弘さん)
(02日18:12)http://headlines.yahoo.co.jp/videonews/jnn?a=20131002-00000056-jnn-soci