【中国トンデモ事件簿】男児両目くり抜き事件
男児両目くり抜き事件…伯母の自殺で残る謎「誰かに連れて行かれる」
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2013/09/23 19:17更新
【中国トンデモ事件簿】
6歳の男児が何者かに両目をくり抜かれ失明-。にわかには信じがたい凄惨(せいさん)な事件が中国山西省汾西県で起きた。当初は一部メディアが「角膜密売グループの犯行か」と報道し、中国全土の注目を集めたこの事件は、その後、予期せぬ展開をみせることになる。(西見由章)
■「角膜密売」情報
北京紙・新京報や地元メディアなどによると、事件が起きたのは8月24日午後7時ごろ。6歳の男児が自宅近くで遊んでいたところ、不審な女に自宅から約1キロ離れた山間部に連れて行かれ、何らかの凶器により両目をくり抜かれた。夕飯時に子供がいないことに気付いた両親は、自宅周辺を探し回り、午後11時過ぎ、草むらの中に、顔面血まみれで震えながら倒れていたわが子を発見した。
男児はすぐに病院に運ばれ、緊急手術を受けて一命は取り留めたものの、失明は避けられない事態だった。翌25日に現場近くで男児の眼球が発見されたという。「眼球には角膜がなかった」として臓器密売グループによる犯行を示唆する報道もあったが、その後、警察はこの情報を否定した。
地元テレビ局は、病室に収容された男児がベッドの上で激痛のあまり足をばたつかせる様子を放映した。また夕刊紙・羊城晩報は親族の話として、男児が両親に対して「どうしてまだ空が明るくならないの?なんで暗いままなの?」とたずねているが、両親はまだ、両目を失ったことを伝えられないというエピソードを紹介。読者の涙を誘った。
この事件は全国的に高い関心を集め、地元警察は特別捜査本部を設置。犯人解決につながる有力情報に10万元(約160万円)の懸賞金を支払うことも決めた。
■伯母宅に多数の血痕
男児の両親は農民で、5、6年前に実家近くの農村の小学校が統廃合されたことから、鉄道駅近くにある借家の四合院に引っ越してきたという。父親は運転手の仕事を始めたが事故で負傷し、ここ1年あまり、自宅内に設置したマージャン卓の使用料で生計を立てていたとの報道もある。
しかし男児の両親は地元メディアの取材に対し、マージャン卓の利用客らとの間にトラブルはなく「だれかに恨みを買うようなことはまったく思い当たらない」と話していた。
一方、男児の自宅近くの廃品回収所に設置された防犯ビデオには、男児とみられる子供を連れた女が映っており、その女は「茶髪だった」との報道も。また男児が「女は地元の言葉ではない方言を使っていた」と証言したとか、男児は当時薬を飲まされ意識が混濁していたなどと、さまざまな情報が飛び交った。
そんな中、事態は急展開する。男児の伯母(41)が事件から6日後の30日に突然、自宅の近くの井戸に身を投げて自殺したのだ。
警察は9月3日、この伯母を容疑者と断定した。重要な証拠として挙げられたのが、伯母の自宅で見つかった、多数の血痕が付いた上着だ。この血痕と男児のDNAが一致したという。
伯母の夫によると、伯母は27日に当日のアリバイなどについて警察から事情聴取を受け、翌日未明に帰宅したころには、精神的に不安定になっていた。その後、「だれかに連れて行かれる」などと意味不明なことをつぶやくようになったという。
■最大の謎は動機
報道陣からは「なぜ男児は最初から犯人を伯母だと言わなかったのか」との質問も出た。警察によると、男児は当初、「(犯人は)伯母に似ている。たぶん伯母だと思う」と言った後、急に「でもそんなことをしたのは伯母ではない」と言い直したという。真相は不明だが、男児は思わず伯母をかばったのだろうか。
また解明されてない最大の謎が動機だ。「男児の高齢の祖父の介護をめぐって男児の一家と伯母の間に確執があった」との報道も一部あったが、男児の父親は「そうしたトラブルはなかった」と言下に否定している。
報道によると、伯母の夫も事故によるけがのため現在職がなく、伯母は養鶏場での食肉加工作業で月2000元(3万2千円)弱を稼ぎ、一家を支えていたとされる。ただ苦しい生活と今回の犯行に関連があったのかは不明だ。
また凶器についても、「男児には鋭利な刃物による傷跡があった」(病院関係者)とされるが、特定はされていない。
一方、事件発生後、男児が入院する病院には寄付や贈り物を持った市民が相次いで駆けつけ、寄付総額はすでに約100万元(1600万円)以上に達したという。
男児は今後、こうした支援により本格的な義眼の移植手術を受ける。しかし、「外の美しい光景をみることは二度とできなくなってしまった」(羊城晩報)。
http://www.iza.ne.jp/news/newsarticle/world/china/686070/