アフリカはまだ非科学的な迷信と恐ろしい風習が残る地域のようだ。
「白い黒人を食べると幸運になる」アルビノの人身売買が横行! 虐殺と偏見の実態とは?=アフリカ
9月01日09時00分提供:ハピズム
「アルビノ」という病気をご存知だろうか?
先日、米・ルイジアナ州の湖に、真っピンク色のハンドウイルカが現れたそうだ。神秘的で目を奪われる風貌だが、所謂アルビノだ。
■アルビノとは?
「アルビノ」とは、突然変異や遺伝的欠損で、生まれつきメラニン色素を生成する遺伝情報が欠落し、体毛、虹彩、皮膚などの色が白化してしまう先天性の病気である(また、その人を指す)。またの名を先天性白皮症ともいう。マイケル・ジャクソンが疾患した尋常性白斑と似ている点もあるが、医学的にはまったくの別物であり、発育とともに症状が進行することはない。
アルビノは、メラニン色素の欠乏から、美しいほどの白い皮膚、淡い青や褐色の目が非常に印象的な特徴である。発症率は2万人に1人といわれ、古来より“神聖な力を持った者”と畏怖されることもあった。
日本だと、第22代清寧天皇は日本書紀の記述から、アルビノであった可能性が高く、御名の「白髪皇子」の通り、生来白髪であったため、父帝の雄略天皇は霊異を感じて皇太子にしたというにしたという逸話まで残っている。ちなみに、アルビノは人間だけに見られるものではなく、シロウサギやウーパールーパーもそれである。
現在では、その独特で神秘的な容姿を生かした人が、ハリウッド映画やスーパーモデルとして活躍する例も目立ち始めている。
■いまだに残るアルビノ狩りの実態とは?
ところが、まだ土着信仰の根強いアフリカ南東部地域では、話がおだやかではない。
特に、タンザニア東部においては、国際社会からの批判が相次ぐ今でもなお、ア ルビノを狙った残虐な殺人が後をたたない。いわゆるアルビノ狩りだ。マスメディアが十分に発達していないため、報道されない事件も多いと推測されるが、明らかになっているだけで今年に入ってからすでに2件報告されている。
ある少年は、学校から4人の友人と下校中に、銃を持った3人組に襲われ、射殺された。またその数日前には4人の子どもを持つ母親が、マチェットを振り回す男に腕を切り落とされている。タンザニアでは、アルビノの身体の部位から作られた秘薬が幸運と繁栄をもたらすと古くから広く信じられており、体の部位が高値で取引されているのだ。また、2011年には11歳のアルビノの少女が、友達と川へ遊びにいく途中、アルビノハンターにつかまり、背中を撃ち抜かれた後、頭部を切断され、舌や性器をくりぬかれるという残忍な事件もおきている。タンザニア警察の推察では、四肢と性器、鼻および舌が含まれた状態で、7万5000ドル(約670万円)で取引されているそうだ。タンザニア人の平均年収が、日本円にして30万円台であることを考えると、相当な金額である。
■アルビノのルーツ、タンザニアが抱える問題点
そもそも、アルノビのルーツはタンザニアと考えられており、タンザニア人口3500万人のうちアルビノは15万人。およそ250人に1人という高確率だ。概算しても、世界水準の約100倍である。タンザニアでは、アルビノの子どもが産まれた場合、差別や虐殺を免れるため、親が故意に殺してしまうこともあるという。また、近年では隣国などからもアルビノハンター達が入ってきて、金目当ての犯行を重ねている。
タンザニアには、古くからムチャウイと呼ばれる呪術師が人々の生活に欠かせないものとして存在してきた。西洋諸国から遠く離れ、医療の発達していない時代、特別な力があると信じられてきたムチャウイは医者であり、頼るべきすべてであった。そして、ムチャウイは、アルビノを聖なる存在と考え、アルビノの体の部位から特別な妙薬を作る。その妙薬は様々な効能があるとされ、身体的な問題を治すだけでなく、鉱脈を見つけたい者は地面にその薬をまき、また漁師は大漁を祈ってカヌーに薬を塗る。アルビノから作った妙薬は何にでも効くというわけで、まさに、幸福を呼ぶ万能薬というわけだ。
また、妙薬以外にも、アルビノの髪を編みこんだネットを使うと魚がよく採れるといった言い伝えや、アルビノの脚を持って鉱山に入れば金を掘り当てられるなど、アルビノの体の部位は様々な人を幸運に導くと、宗教的に考えられている。
最近では、エイズの蔓延に対し、アルビノと性交渉することによってエイズが治ると信じられ、幼い子供を含む多くの女性がレイプされる問題が起きている。ただ、ほとんどの被害者はそのまま、泣き寝入り状態だそうだ。
このような現状から、現地では、アルビノに生まれることはそれすなわち、死を意味する。2006年から2012年6月までに、タンザニアでは100人以上のアルビノが襲われ、71人が死亡し、31名の生存が確認されているものの、どこかしらの部位を切り取られたりして、大半は障害者となった。襲撃があまりに酷いため、政府はアルビノの子どもを守るために、専門の寄宿学校を開設したが、根本的な解決には至っていない。
しかし、これらの残虐的なアルビノ狩りが無くなったとしても問題は山積している。強い日差しが降り注ぐ中、メラニン色素の薄いアルビノは、皮膚ガンを引き起こす放射線をじかに吸収することになり、炎天下での農業が一般的なエリアにおいて、非常な危険を伴う。国からの援助も行き届かず、肉体労働に頼らざるを得ない地域においては死活問題なのだ。
アルビノキラーを始末した後は、サンキラーが待ち構えいるというわけだ。
(アナザー茂)
http://news.ameba.jp/20130901-147/