エリア51で1955年に開始されたU-2偵察機プログラムのせいです | 日本のお姉さん

エリア51で1955年に開始されたU-2偵察機プログラムのせいです

米政府が認めた“エリア51”の実際

ナショナルジオグラフィック 公式日本語サイト 8月19日(月)15時35分配信

ネバダ州東部、「エリア51」の東側を走る“エクストラテレストリアル(ET)ハイウェイ”沿いに生えたユッカの木。 (Photograph by Laura Rauch AP)

アメリカ政府は米国時間8月15日、それまで認めてこなかった「エリア51」の存在を初めて認めた。人里離れたネバダ州の砂漠に位置するその施設は、長らく陰謀論やエイリアンの目撃談、小型宇宙船のうわさと結びつけられてきた。

この日機密指定を解除されたのは、1992年作成のアメリカ中央情報局(CIA)の文書。そこに含まれていた地図は、ラスベガスから約120キロの人里離れた区画をエリア51の名で表記していた。そこはU-2偵察機など、アメリカ軍の極秘プロジェクトの試験と開発に用いられてきた場所だ。

エリア51と、政府が新たに公開した情報について詳しく知るため、調査ジャーナリストで『エリア51 世界でもっとも有名な秘密基地の真実』の著者であるアニー・ジェイコブセ
ン(Annie Jacobsen)氏に話を聞いた。

◆8月15日に公開された400ページに及ぶ膨大な文書には何が書いてあったのですか?

実際のところ、新たな情報はごくわずかです。新たな情報は報告書400ページ中1ページのみで、残りは何年も前から公表されていた内容ばかりです。その多くをエリア51に存在したさまざまな監視プログラムについて書くのに使ったので、私は既に知っていました。

◆今回新たにわかった情報というのは?

新たにわかったことは、ジョージ・ワシントン大学にあるアメリカ国家安全保障アーカイブがこの文書のあるページに対して情報公開法による請求を行い、それを受けて公開されたということです。

公開されたのは、「エリア51」という名称が記載された地図です。エリア51と呼ばれる地域が存在すること、政府がこれまで存在を認めず、固く守ってきた秘密が実在したことを意味するのですから、これは大ニュースです。

◆他の文書では、エリア51についてどのように言及しているのですか?

他の文書で言及している箇所は、すべて「エリア51」という言葉が黒く塗りつぶされていました。既に公然の秘密となっていても、政府関係者は誰もエリア51について口を開こうとしませんでした。

興味深いのは、このような途方もない監視プログラムがあの場所に存在したということです。CIAはエリア51に関する文書を1990年代から公開していますが、彼らは常にエリア51という名前を明かさないよう命令または指示されていました。

◆それはなぜだと思いますか?

いまだ謎です。個人的には、アメリカ原子力委員会がごく限られた人しか情報の取り扱いを許されないようなプログラムをあの場所で遂行していて、それらプログラムの機密レベルが非常に高かったためではないかと考えています。

◆文書の残りの部分、既に公表されていた部分はどのような内容ですか?

エリア51に存在したさまざまなプログラムについて書かれています。1950年代には、CIAが初めて開発した無人機の1つがエリア51から飛び立っています。巨大なワシのような姿をしていて、カスピ海に潜んでいたソビエト連邦の水中翼船を監視するのが目的でした。

◆エリア51にエイリアンの宇宙船があるとのうわさが立ったのはなぜでしょう?

それは主に、エリア51で1955年に開始されたU-2偵察機プログラムのせいです。U-2は、アメリカが冷戦時代に偵察目的で広く用いた航空機です。当時存在した航空機の中では群を抜いて高い、1万8000メートルの高度で飛行しました。

テスト飛行が始まるとすぐ、一般市民から地元選出議員や市長の元へ「UFOを見た」との手紙が届くようになりました。しかし、その正体はU-2偵察機だったのです。

◆なぜU-2偵察機をUFOだと思ったのでしょう?

理由は2つあります。1つは、U-2が離陸後ほぼ垂直に上昇する航空機だったこと。偶然に飛び立つ様子を見た人には、とうてい普通の航空機には見えなかったはずです。

2つ目の理由は、飛行高度が非常に高かったこと。当時、航空機がそれほど高く飛べるとは誰も思いませんでした。民間航空機の飛行高度が6000メートルの時代です。(U-2機を)見たなら、てっきりUFOだと思ったでしょう。

◆なぜエリア51にこれほど心惹かれるのでしょう?

私はあの場所を“ネバダのグラシー・ノール”と呼んでいます(注:grassy knollは“草の生えた小さな丘”の意。ケネディ大統領暗殺をめぐり、この場所から狙撃が行われたとする説があり、そこからgrassy knollという言葉が陰謀
論の比喩に用いられている)。あの場所を数多くのうわさが取り巻き、人々はそれについて読みたがります。それがエリア51を刺激的な取材対象にしているのです。

Melody Kramer for National Geographic News
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20130819-00000002-natiogeog-sctch