ロシア政治経済ジャーナル No.959 | 日本のお姉さん

ロシア政治経済ジャーナル No.959

聖書の預言によると
ロシアとチュウゴク(ゴグとマゴグ)は
最後まで一緒に行動していますけどね。
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ロシア政治経済ジャーナル No.959
2013/8/22
★世界3大戦略家が語る、「中国包囲網」と日本の役割
全世界のRPE読者の皆さま、こんにちは!
北野です。
ここ数日間、私の脳は、喜びに満ちていました。
なぜでしょうか?
私は08年9月はじめ、「隷属国家日本の岐路」という本を
ダイヤモンド社から出しています。
副題は、「今度は中国の天領になるのか?」です。
●隷属国家日本の岐路
(詳細は → http://tinyurl.com/6zcszc )
この本は出した直後に「リーマン・ショック」が起こったことから、
「タイミングがすごい!」と話題になりました。
内容はいろいろですが、超簡潔にいえば、
1、アメリカの没落は決定的
2、中国崩壊論が流行っているが、
この国はまだ成長期前期にあり、立ち直りははやい
3、よってアメリカは沈み、中国は浮上する
4、日本は、アメリカを捨て、中国に走るだろう
5、日本と中国は、「尖閣諸島問題」から紛争に発展する
とまあ、こんな感じ。
その後の展開は、皆さんもご存知のとおりです。
日本では、鳩山さん、小沢さんが、アメリカを捨て中国に走りました。
そして、2010年の尖閣中国漁船衝突事件、
2012年の尖閣国有化で、日中関係は
「いつ戦争が起こってもおかしくない」状態に。
実際、中国人の「90%」は日本との戦争を支持するという、
異常事態になっています。
つまり、少なくとも08~13年の5年間、私の心配事は、
「どうすれば、日本は巨大化する中国に併合されず、
自立をはたすことができるのか?」だったのです。
(もちろん、今もそのことを頻繁に考えます。)
そんなとき、前号でもお話しましたが、再臨の諸葛孔明、
日本一の地政学者・奥山真司先生から、
世界3大戦略家エドワード・ルトワックさんの
●自滅する中国
(詳細は→ http://tinyurl.com/l2f87d6 )
をプレゼントしていただいたのです。(奥山先生監訳)
この本は、日本人に「大いなる希望」をもたらす本です。
そこで、前号では、この本のほんの一部(しかしそれは重要な)
をご紹介させていただきました。↓
http://archive.mag2.com/0000012950/20130820145459000.html
★なぜ日本人には、アメリカの対中国政策が理解できないのか?
今回は、さらに重要な内容に触れておきます。
現在世界で自然に形成されつつある、「中国包囲網」。
日本は、どんな役割をはたすべきなのでしょうか?
▼なぜアメリカは「中国包囲網」を主導しないのか?
「中国包囲網」ときいて、「そもそもそんなのあるの?」
と思われる人もいるでしょう。
前号でも書いたように、「アメリカ財務省」「ウォール街」は、親中である。
それも一つの理由ですが、アメリカが目立たない原因は他にもあります。
これはルトワックさんが書いているわけではありませんが、
ブッシュの失敗により、アメリカ外交は変わったのです。
ブッシュ時代の外交は、いってみれば「一極外交」「力の外交」でした。
国連安保理で、常任理事国の3国、フランス、ロシア、中国が
反対だったにもかかわらず、イラク攻撃を断行した。
「一極支配」を継続させようとするブッシュの強気外交は、
世界の国々に危機感を植えつけた。
結局、それに反発した中国、ロシア、インドなどが一体化し、
「反米多極陣営」が形成されていきます。
そして、彼らの反発と抵抗が、08年の危機につながったのです。
(詳しくは、「世界一わかりやすいアメリカ没落の真実」(無料)
をご一読ください。↓
http://mailzou.com/get.php?R=48689&M=22753 )
オバマさんは、ブッシュの失敗を見て、方針を転換しました。
外交を重んじ、「汚れ役」を「他国にやらせる」ことにしたのです。
それで成功したのが、「リビア戦争」。
このとき、戦争を主導したのは、フランスとイギリスでした。
アメリカは、「イヤイヤ参戦」という形をとった。
その結果、リビア戦争でオバマやアメリカが
非難されることはありませんでした。
何はともあれ、アメリカは現在、「汚れ役は他国にやってもらう」
という方針をとっている。
そして、ルトワックさんによると、「中国包囲網形成」
を担当しているのが「オーストラリア」なのです。
▼「中国包囲網」、勝敗のカギを握る国●●●
皆さん、ちょっと立ち止まって、●●●をうめてみてください。
答えを書いたら、先に進みましょう。
ルトワックさんはいいます。
<米国のリーダーシップによる同盟は、単に実現の可能性が
低いだけでなく、非常に望ましくないものだ。
なぜならこれによって、ロシアを中国の陣営に追いやる可能性が高いからだ。
そしてそのようなロシアの行動が、決定的な結果をもたらすことにもなりかねない。>
(自滅する中国 138p)
なんということ!
アメリカ陣営が勝つか、中国陣営が勝つかは、
「ロシアがどっちにつくか?」で決まるというのです。
ロシアが中国包囲網に参加すれば、アメリカの勝ち。
ロシアが中国と組めば、中国の勝ち?
なんで???
▼中国包囲網、成功のカギ
次にロシアが登場するのは、「日本」のところです。
ルトワックさんは、「日本はこう動くべき」という提言もしています。
<日本が引き続き独立を保っていられるかどうかは、反中同盟
全体の強さに大きく左右されることになるからだ。>
(同上187~188p)
↑これも結構衝撃ですね。
反中同盟が形成されない、あるいは脆弱な場合、「日本は独立を保てない」
つまり、「中国に実質併合される可能性もある」といっているのです。
じゃあ、どうすれば、日本は勝てるのか?
<もちろん日本自身の決意とアメリカからの支持が最も重要な要素になるのだが、
ロシアがそこに参加してくれるのかどうかという点も極めて重要であり、
むしろそれが決定的なものになる可能性がある。>
(同上188p)
日本が中国に勝てるかどうかを決める要因は、
1、日本の決意
2、アメリカの支持
3、ロシアとの関係
だそうです。
しかも、ロシアとの関係は「決定的」要因である。
なぜ?
<なぜならそれはロシア自身だけでなく、その周辺のモンゴル
やカザフスタン、ウズベキスタン、キルギスタン、タジキスタン、トルクメニスタン
のような、ロシアが引き続き影響力をもっている国々も関係してくるからだ。>
(188p同上)
つまり、ロシアが「中国包囲網」に参加すれば、
中央アジアやモンゴルなど、多くの国がついてくるというのです。
これにつづいて、ルトワックさんは、決定的な話をしています。
つまり、中国がますます凶暴化し、これを抑える必要が出てきたとき、
日本を「ABCD包囲網」で封じこめたように、
「経済封鎖」「エネルギー供給停止」によって
中国に打撃を与えることができるというのです。
しかし、この「経済封鎖」が成功するかも、「ロシア」にかかっている。
<必要となる原料がロシアやその臣下となる国々から提供されれば、
海上貿易が中断されても中国はそれほど影響を受けないはずだ。>
(同上189p)
わかりやすい例を。
たとえば、アメリカと「反中同盟国」が
中東から中国への資源の流れをカットできたとしましょう。
しかし、陸続きのロシアやカザフスタンから原油、天然ガスが
供給されれば、「壊滅的打撃」にはなりませんね。
<その反対に、ロシアとその同盟国たちが、米国や日本、
オーストラリアなどと共に貿易中止の輪に加わることになれば、
中国は対抗するのが極めて困難な反中同盟に
完全に包囲されることになる。>(同上)
アメリカと反中同盟国が、たとえば中東→中国への
資源のながれをとめることに成功した。
中国は、陸続きのロシアや中央アジアから資源を買おうとする。
しかし、ロシアも中央アジア諸国も、「資源は売りません」と拒否した。
こうなれば、第2次大戦時の日本のように、
中国は「エネルギー不足で崩壊する」というのです。
昔からの読者さんは、「どっかで聞いて話だな」と思われるでしょう。
そう、同じ話をRPEでは、大昔からしている。
たとえば「隷属国家日本の岐路」にはこうあります。
<中ロを分断する。
これは中国の脅威を減じるにあたって決定的意味を持ちます。
中国の最新兵器は全てロシアからの輸入なのです。
そして、アメリカが中東を抑えれば、中国は陸続きのロシアから
石油・ガスを買うしか道がなくなる。
中東、ロシア、中央アジアを抑えれば、
中国は戦争をする燃料がなくなるということ。>
▼日本の役割
というわけで、ルトワックさんは、
「ロシアが米中覇権争奪戦のカギを握っている」
ことを見抜いている。
「じゃあ、アメリカがロシアと和解すればいいじゃん!」
と思うのですが、「それは難しい」といいます。
<特にロシアが今と同じような全体主義体制を維持し続けるのであれば、
米国とその同盟諸国に大きな難題を残すことになるのは確実である。
これにより、あらゆる形の協力関係が非常に難しいものになる。>
(190p)
つまり、アメリカがロシアを懐柔するのは非常に困難だといっている。
実際、アメリカとロシアの関係は、プーチンの復活により、
ますます険悪になっています。
伝統的な対立、たとえば、「イラン問題」「シリア問題」「東欧MD問題」
から、最近では、「スノーデン問題」「同性愛者問題」などなど。
(「ロシア正教」「イスラム」の力が強いロシアでは、
「同性愛者」同士の結婚、養子に絶対反対の立場。
一方で、オバマさんは、「同性愛者」の熱心な保護者。
それで、オバマは、プーチンを嫌悪していると伝えられる。)
ここで日本が登場します。
ルトワックさんは、
「日本は、アメリカのかわりにロシアと仲良くし、
この国を『中国包囲網』に引きずりこんでくれよ!」と主張している。
どうやって?
<ロシアおよびモンゴルとの協力は、
日本にとってそれほど複雑なものとはならないはずだ。
なぜなら、その内容のほとんどが経済的なもので、
商業的な採算が取れる活動に限られるからであり、
両国政府には友好的な態度以外には何も必要ないからである。>
(190p)
もっと具体的な話として、ロシア極東には
人口が600万人しかいないことに触れています。
(そして、東北3省には日本の人口に匹敵する1億2000万人の中国
人がいる。)
この人口比が、ロシアの脅威になっている。
<中国人の投資家、管理者、そして技術者の代わりに、
脅威の少ない遠く離れた国々から外国人がきて、
中国のプレゼンスと拡大を弱めてくれた方がはるかにマシだということになる。>
(191p)
そして、ルトワックさんは、「日本の役割」について、こう断言します。
<日本はロシアを反中国同盟に参加させることに関しては、
他のどの国よりもはるかに多くのカードをもっている。>(191p)
▼まとめ
長くなりましたので、まとめておきましょう。
1、アメリカは表立って「中国包囲網」を形成しない。
その理由は、ロシアを中国側につかせないためである
2、米中覇権争奪戦、および日本の独立を守るカギを握るのは
ロシアである
3、中国と「反中国」の争いが起こったとき、
「反中国」は「海上貿易」をとめることができる
4、しかし、中国は陸続きのロシア、中央アジアからエネルギー
供給を受けることができ、「包囲網」は不完全である
5、逆にロシア(と中央アジア)が反中同盟に参加すれば、
中国は海と陸からエネルギー供給を受けることができなくなり、
壊滅的打撃をうける
6、ロシアの動向は決定的に重要だが、
アメリカとロシアの仲は険悪。
アメリカがロシアを「反中同盟」に誘うことは困難である
7、日本は、ロシアを「反中同盟」に引き入れるカードを
一番多くもつ国である
8、日本は、極東への投資を増やし、
ロシアの対中脅威を減ずることで、ロシアを味方につけることができる
9、日本の役割は、ロシアを「中国包囲網」にひきずりこむことである
とまあ、こんな感じです。
ルトワックさんの話、前々からRPEで書いていることと似ている
なと思われる方も多いでしょう。
しかし、「世界3大戦略家」の話は、「影響力」が全然違います。
というわけで、今回の話、日本がサバイバルするために、
どんどん拡散していただければうれしいです。
ちなみに
●自滅する中国
(詳細は→ http://tinyurl.com/l2f87d6 )
は、日本人にとって本当に「希望の書」ですので、迷わずご一読ください。
そして、政治家さんの友人、知人がいる方は、どんどんご紹介ください。
また、中国に進出している会社の社長さんにも、どんどん読んでもらったらいいですね。
(転載おわり)