歴史問題については「日本対米中韓」の構図ができつつあるのも確かです。
中国 ソ連の脅威消滅で靖国利用し日本に圧力と櫻井よしこ氏
NEWS ポストセブン 8月14日(水)7時5分配信
安倍首相の靖国神社参拝をめぐって中国、韓国からの攻勢がますます強くなっている。自国を守るために戦死した先人の霊を悼む行為は国家指導者にとって万国共通の責務であるはずだが、我が国では残念ながらそうではない。なぜ首相の靖国参拝はかくも“政治問題”となってしまったのか。ジャーナリストの櫻井よしこ氏が解説する。
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これまでの報道や安倍首相自身の発言から、安倍首相が靖国参拝の深い意味も、靖国参拝が「問題化」した経緯もよくよく理解されていることが伝わってきます。
いわゆるA級戦犯の方々は1978年秋の例大祭の直前に合祀され、1979年春に毎日新聞によってスクープされました。1979年、大平正芳首相は春の例大祭にも秋の例大祭にも参拝しましたが、その年の暮れに中国を訪問すると、大平首相は大歓迎を受けました。
その翌年、靖国参拝で知られていた中曽根康弘氏が訪中した際には、中国人民解放軍副参謀長の伍修権氏が、日本の軍事費の倍増を求めました。つまり、中国は靖国参拝をまったく気にも留めておらず、まして日本の軍国主義と結びつけて考えてはいなかったのです。それは韓国も同様です。
その後も、日本の首相は靖国神社を参拝し続けました。中国が方針を換えたのはA級戦犯の合祀が明らかになってから6年半も後、中曽根康弘首相が1985年8月に参拝した後のことです。
ソ連が弱体化し、1985年3月にゴルバチョフ大統領が誕生すると、中国はソ連の脅威を言い立てる必要がなくなり、今度は日本に圧力をかけるために靖国参拝を利用するようになりました。つまり参拝批判は「国民感情」ではなく、あくまでも政治的要因だったのです。
安倍首相は今年5月にアメリカの外交雑誌『フォーリン・アフェアーズ』のインタビューを受け、2006年の小泉首相の靖国参拝を「心の問題」として支持した、ジョージタウン大学のケビン・ドーク教授の見解を引いて、こう答えました。
「ドーク教授は、南北戦争での南軍将兵が埋葬されたアーリントン国立墓地を歴代大統領が訪れたが、南軍がその保持のために戦った奴隷制の承認を意味はしないと言明しました。靖国参拝についても同じことが言えると思います」
このように、靖国参拝がA級戦犯の方々や軍国主義を賛美するものではないと説明し続けることこそ、大切です。
※週刊ht
tp://zasshi.news.yahoo.co.jp/article?a=20130814-00000003-pseven-cnポスト2013年8月16・23日号
中韓仕掛ける歴史問題の対日闘争 米に執拗で巧妙な働きかけ
NEWS ポストセブン 8月13日(火)7時5分配信
安倍首相の靖国神社参拝をめぐって歴史問題をてこにした中国、韓国からの牽制がますます強くなっている。アメリカを巻き込んだ中韓の対日攻勢についてジャーナリストの櫻井よしこ氏が解説する。
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歴史問題の構図はこれまでは「日本対中国・韓国」でした。しかし、橋下徹氏の慰安婦発言は波紋を呼びました。無論、橋下発言だけが原因ではありませんが、現実を見ると、歴史問題については「日本対米中韓」の構図ができつつあるのも確かです。日本が世界で孤立しかねない状況が、確かにあるのです。
アメリカ国務省は在日米軍に風俗の活用を勧めた橋下氏の発言を受けて「言語道断で侮辱的」と述べ、強い拒否反応を示しました。シーファー元駐日大使も記者会見で、靖国参拝については一定の理解を示しましたが、慰安婦問題については「いかなる正当化もできない」と厳しく批判しました。
アメリカの世論が中国・韓国の側に立ち、日本を責める状況が生まれているのです。
歴史問題はいうまでもなく中韓が仕掛けている対日闘争ですが、両国は日本の同盟国であるアメリカに影響を及ぼすべく、執拗かつ巧妙に働きかけてきました。
中国は2010年7月に中国版CNNともいえる国営新華社通信運営の「CNCワールド」という国際放送を開始し、24時間、365日休むことなく中国の立場に立ったメッセージを発信し続けています。CNCはニューヨークのタイムズスクエアに大きなスタジオを構え、引き抜いてきた有能なアメリカ人キャスターに、流暢な英語で中国の視点に立った情報などを伝えさせています。
CNCでの放送に加えて中国はまた、アメリカを中心とする海外のシンクタンクや大学、研究者、シンポジウムなどに巨額の寄付をし、識者や政治家、マスコミなど、さまざまなレベルに働きかけ、日本がいかに卑劣な国であるかを伝え続けています。世界中に増え続けている中国語教育機関である孔子学院も、そうした情報戦略の一環です。中国政府が毎年費やす対外広報予算はなんと、9000億円を超えます。
こうして中国の視点に基づいた情報が、継続的かつ大量にアメリカに注入されてきた結果、中国の主張がアメリカの識者や指導層にまで浸透し、ボディブローのように効き始めているのではないでしょうか。それが「日本対米中韓」へと構図が変化した一因であることは間違いありません。
※週刊ポhttp://zasshi.news.yahoo.co.jp/article?a=20130813-00000000-pseven-soci&pos=1スト2013年8月16・23日号