MERSコロナウイルスは、SARSウイルスに似た新型のコロナウイルス(ベータ型)
MERSコロナウイルスは、SARS(重症急性呼吸器症候群)ウイルスに似た新型のコロナウイルス(ベータ型)
MERSコロナウイルス
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分類(ウイルス)
MERSコロナウイルス(マーズコロナウイルス、英: Middle East respiratory
syndrome coronavirus, MERS-CoV)はSARS(重症急性呼吸器症候群)ウイルスに似た新型のコロナウイルス(ベータ型)で、2012年にイギリスロンドンで確認された[1][2]。
2012年9月に初めて報告され(感染者の入院は6月13日、死亡は6月24日。サウジアラビアのジェッダ)[3][4][5][6][7][8]、2013年7月現在、中東地域で感染拡大中の新型コロナウイルスの流行である(2002-03年に流行したSARS(サーズ)コロナウイルスとは異なる種類である。SARSの死亡率は約9%前後であった)。
2013年7月19日現在、感染者数88人、死亡者数45人、死亡率約50%[9]である。感染者の多くが最近3ヶ月半(2013年4月19人、5月21人、6月22人、7月は17日までで11人、合計73人)に新たに確認されているため、心配されている。
WHOのチャン事務局長は、2013年5月下旬、年次総会の締めくくりとなるスピーチで「現在私にとって最大の懸念は新型コロナウイルスである。一つの国だけで対処できるものではなく、全世界への脅威の一つである[10][11][12]。」とした。治療方法、感染方法(つまり感染防止方法も)、宿主が全く分かっていないからである[13]。もっとも、2013年7月初旬現在、日本国内での感染可能性はほぼゼロである[14]。2013年7月17日WHO緊急委員会[15]は評価会合を開き、「感染拡大が懸念される状況ではないが、十分な警戒が必要である」との暫定的な評価をまとめた[16][17][18]。
2013年6月24日現在、感染確認地域(輸入例も含む)は、サウジアラビア(感染者62人、死者34人・・6月26日現在)、カタール(2人)、UAE(1人)、イギリス(3人)、フランス(2人)、ヨルダン(2人)、チュニジア(2人)、イタリア(3人)、UAE(1人)[19][20][21](疑い地域はパキスタンとドバイである)。
・資料によってカウントする国が異なるため、注意が必要である。・サウジの感染者38人中23人以上がAl-Ahsa地域(カタールから約50km)の感染者の関係者である。・6月3日までの集計で、欧州の11人の感染者のうち、5人が欧州域内での感染である。・イギリスの1号患者(2012年9月)はカタール人男性で、発症数日前にサウジアラビアに旅行した後発症し、カタールのドーハの病院からロンドンへ緊急輸送された(これをカタール、サウジ、イギリスのどこに入れるべきか問題である。今のところイギリスとして数える場合とサウジアラビアとして数える場合の2通りがある。)(2013年6月28日死亡)。・イギリスの2号患者(60歳男性)はサウジアラビアまたはパキスタンで感染した疑いがある。・ドイツの1号患者(45歳男性)はカタールで感染したと見られる。・フランスの1号患者は4/9~4/17の間にドバイを訪問し、帰国後4/22にMERSを発症。フランス・リールの病院で2号患者と同室。・イタリアの1号患者(45歳男性、非イタリア人、トスカナ地方、ホテル勤務、5月31日発表)は40日間ヨルダンに滞在し、帰国時には咳と疲労感があり、その後確認[22]。イタリア在住の孫(2歳女児)と同僚(43歳女性)も感染確認されている。
多くの患者で通常の肺炎が見られない[23][24][25]。また(肺に近い)下気道に感染しやすいところ(受容体)があり、症状が少ないまま突然肺炎になりやすい[26][27][28][29]。
本ウイルスは遺伝子解析からコウモリが起源とされているが[30][31]、現在の中間宿主[32]、感染方法は全く不明である。潜伏期間は2.5-14日間とされている[33][34][35][36][37](2013年6月末現在、ヒトヒト感染での空気感染例はなく、濃厚接触感染が存在するとされている。パンデミックフェーズは3相当(宣言されてはいない。WHOは誤解を生む「パンデミック・フェーズ[38]」の代わりになる警報基準を2013年6月に発表した)[39]。
2013年5月、国際ウイルス分類委員会が[40]、病原体名を「Middle East respiratory
syndrome coronavirus (MERS-CoV)」と命名[41]、WHOの決定を受けて[42]、厚生労働省はウイルスの名称をMERS(マーズ)コロナウイルスと名付け、感染症名を中東呼吸器症候群 (MERS) と決定した[43][44]。(MERSに は「脳梁膨大部に拡散低下を伴う急性脳炎・脳症」という意味もあるが、全く異なる。)
2013年7月にラマダン、2013年10月にハッジ(大規模なメッカ[45]巡礼。)があり、感染拡大が憂慮されている[46][47][48][49][50]。
流行事例
2012年中東
2012年9月、60歳のサウジアラビア男性患者が急性肺炎および腎不全により死亡した。オランダのエラスムス医学センターが遺伝子解析を行い、新型コロナウイルスと確定した[51][52]。
同年9月、サウジアラビアに滞在していた49歳のカタール人男性患者からもコロナウイルス遺伝子が検出された[53][54]。
2013年イギリス
大規模感染の恐れについて、世界保健機関も注意を呼びかけている[55]。
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外務省 海外安全ホームページ↓
情報種別:渡航情報(広域情報)
本情報は2013年07月22日現在有効です。
MERSコロナウイルスによる感染症の発生(その7)
2013年06月26日
※ 本情報は、海外に渡航・滞在される方が自分自身の判断で安全を確保するための参考情報です。本情報が発出されていないからといって、安全が保証されるというものではありません。
※ 本情報は、法令上の強制力をもって、個人の渡航や旅行会社による主催旅行を禁止したり、退避を命令するものでもありません。
※ 海外では「自分の身は自分で守る」との心構えをもって、渡航・滞在の目的に合わせた情報収集や安全対策に努めてください。
1.中東呼吸器症候群(MERS)の発生と拡大
中東呼吸器症候群(MERS:マーズ)の感染例について,サウジアラビア保健省は,17日以降25日までに,同国内において新たに13名のMERSコロナウイルス感染者を確認したこと,また,新規感染者及びこれまで確認されていた感染者のうち2名が死亡したことを公表しました。
2012年9月以降2013年6月25日現在,MERS感染例は中東及び欧州で計77例,うち死亡例は計40例が報告されています。国別の主な感染者数は次の通りです:
サウジアラビア 62名(うち34名死亡),イギリス 3名(うち2名死亡),
イタリア 3名,ヨルダン 2名(死亡),フランス 2名(うち1名死亡),
チュニジア 2名,カタール 2名,アラブ首長国連邦 1名(死亡)
※カタールの感染者2名はイギリス及びドイツに搬送され,アラブ首長国連邦の感染者1名はドイツに搬送された後,死亡しました。このため,WHO欧州では,イギリス及びドイツにおける感染例として計上されています。
(1)ヒト-ヒト感染の可能性が懸念されます。
5月12日,WHOのフクダ事務局長補によれば,MERSコロナウイルスはヒトからヒトに感染する可能性が懸念され,特に濃厚接触者の場合で,ヒトからヒトへの感染が疑われるケースがあると言及しました。
実際にフランス,イタリア,チュニジア,英国では,中東への渡航歴がなく,感染確定患者や疑い患者と濃厚接触者との間で,限定的な地域内感染が見られています。
(2)感染者の増加と拡大が懸念されます。
フランス,ドイツ,イタリア,チュニジア,英国における感染者は,中東から治療のために搬送された事例,及び中東からの旅行などの帰国後に発症しています。
2.MERSコロナウイルス感染について
(1)一般的にコロナウイルスは飛沫感染や接触感染で伝播し,風邪などの症状を引き起こします。通常その毒性はそれほど強くありませんが,ウイルスが変異した場合は強い毒性を持つ可能性もあり,注意が必要です。
現在,WHOや関係各国は,MERSコロナウイルスの感染経路や臨床経過等について,調査を進めています。
(2)コロナウイルスに対する具体的予防策は以下のとおりです。
● 休息,栄養を十分に取り,体に抵抗力をつける。
● 手指等の衛生保持に心掛ける。
● できるだけ人混みを避けるか,マスクの着用を励行する。
● 咳やくしゃみの症状がある患者とは,可能な限り濃厚接触を避ける。
● 温度の変化と乾燥しすぎに注意する。
● 高熱,咳,呼吸困難等の症状が見られた時は,早めに医師の診断を受ける。
なお,現段階では,WHOは,サウジアラビアを含め,ウイルス感染の影響が及んだ国への渡航や貿易に対する制限を課していませんが,中東及び欧州に渡航,滞在される予定の方は最新の情報に御留意ください。
○参考情報
国立感染症研究所感染症情報センター:MERS(マーズ)コロナウイルス(MERS-CoV)
http://www.nih.go.jp/niid/ja/component/content/article/2186-infectious-diseases/disease-based/ka/hcov-emc/idsc/2686-novelcorona2012.html
「MERSコロナウイルスによる感染事例に関するリスクアセスメントと対応」
http://www.nih.go.jp/niid/ja/diseases/alphabet/mers/2186-idsc/3631-mers-riskassessment.html
FORTH:新着情報 「中東呼吸器症候群(MERS)の発生状況について(更新29)」
http://www.forth.go.jp/topics/2013/06251406.html
WHO:Global Alert and Response/ Coronavirus infections
http://www.who.int/csr/don/archive/disease/coronavirus_infections/en/index.html
WHO Regional Office for EUROPE:MERS-CoV updates-European Region
http://www.euro.who.int/en/what-we-do/health-topics/communicable-diseases/influenza/middle-east-respiratory-syndrome-coronavirus-mers-cov/mers-cov-updates-european-region
http://www2.anzen.mofa.go.jp/info/pcwideareaspecificinfo.asp?infocode=2013C277