米大統領から深刻な「宿題」を持ち帰った習主席の憂鬱(4/4)石平(せきへい)のチャイナウォッチ | 日本のお姉さん

米大統領から深刻な「宿題」を持ち帰った習主席の憂鬱(4/4)石平(せきへい)のチャイナウォッチ

~誰よりも中国を知る男が、日本人のために伝える中国人考~
石平(せきへい)のチャイナウォッチ http://www.seki-hei.com
■ 米大統領から深刻な「宿題」を持ち帰った習主席の憂鬱(4/4)
=★===================================================★=

そういう意味においても
北朝鮮は中国にとってけっこう価値のある存在だから、
中国にしては思い切った制裁措置で
北朝鮮を完全に切り捨てるようなことは当然したくはない。

しかも、北朝鮮をあまりに追い詰めて
体制の崩壊や軍事的大暴発を誘発してしまえば、
様々な面で直接な被害を受けるのも
やはり領土の接する中国自身であろう。

そして、もし北朝鮮が崩壊して
朝鮮半島は米国の同盟国である韓国によって
統一されるようなこととなれば、
それこそは中国にとっての悪夢なのである。

したがって中国は結局、
北朝鮮に致命傷を与えるような
制裁措置に踏み切ることがなかなか難しいし、
一方の北朝鮮はどんなことがあっても
核の開発を放棄せずにして最後まで踏ん張るのであろう。

そうなると、北朝鮮の核開発阻止のための
「具体的措置」を取ることをオバマ大統領に約束したはずの
習主席は今後、自らの「準同盟国」であるはずの
北朝鮮との戦いを始めなければならないが、
その戦い自体はむしろ中国の国益を損なうこともあり、
しかもそれはまったく勝算のない長丁場の戦いとなるはずだ。

言ってみれば、オバマ大統領を喜ばせて
首脳会談を成功させるためには、
習主席は実に大変な「宿題」を持ち帰ったものである。

場合によって中国はまた、
前述に分析したサイバー攻撃対応の「誤摩化し策」と同様、
北朝鮮にお灸を据える程度の「制裁措置」をとることで
米大統領との約束を果たしたこととして、
基本的に北朝鮮の体制温存の道を選ぶ可能性も大であろうが、

しかしそれでは、オバマ大統領との信頼関係作りも
「新型大国関係の構築」もまったく無理であることは明らかである。

言ってみれば、自分の力では解決できそうもない宿題を
中国に持ち帰った習近平国家主席の方は
今や深刻なジレンマに陥っているのであり、
カリフォルニア州の保養施設で大変な厚遇と歓待を楽しんできた彼は
今後、自らの抱えるジレンマの中で苦しんでいかなければならないのである。

そして一旦、習主席は持ち帰った宿題を
満足に解決できなくなってオバマ大統領を失望させて
アメリカからの信頼を失ってしまうようなこととなれば、
アメリカを相手にした中国の「大国外交」は
結局失敗に終わってしまうことは明らかである。

さて習主席は一体どうするのか、まさにこれからの見どころである。

(おわり)

( 石 平 )

=★===================================================★=

【お知らせ】

■ 石平 VS 副島隆彦
「続 日中殴り合い激論」2枚組みCD

「もはや「死に体」の中国共産党の習近平体制」と主張する石平に、
「日中軍事衝突の危機を乗り越えて「大中華圏の復興」を目指す中国」
と切り返す副島隆彦。

真っ向対立する二人がご好評に答えて一年ぶりに激しく対峙する。

果たして中国のバブルは本当にはじけたのか。
不動産は暴落しているのか。
尖閣諸島をめぐって軍事衝突はあるのか。
反日暴動を企むのは誰か。

上海、重慶、石平氏の故郷成都に現地取材した副島隆彦氏が
ありのままの中国の実態について石平氏に爆弾質問を投げかける。
冷静に受け答えする石平氏。この二人の丁々発止のやり取りを一部公開する。

中国の"とんでもなさ"を知りたいなら以下のCDが最適です。

▼石平公式サイト [ seki-hei.com ]
http://www.seki-hei.com/zoku-seki.html

◎石平(せきへい)のチャイナウォッチ
のバックナンバーはこちら

コラム:米データ収集告発者の香港逃亡、中国に「頭痛の種」
2013年 06月 11日
[香港 10日 ロイター BREAKINGVIEWS] - 元CIA職員のエドワード・スノーデン氏は 米国政府による秘密裏の情報収集をリークしたことで米国を窮地に追いやったかもしれない。その一方で、香港に逃げ込んだことで、中国をも難しい立場に立たせた。

同氏のケースは、中国政府の対香港と対米の両政策が問われることになり、どう対応するかが注目される。

スノーデン氏が、民主主義国家よりも一党独裁国家の玄関先にいる方が安全だと感じているように見えるのは皮肉だ。同氏は香港を選んだことについて、英紙ガーディアンに「言論の自由があり、政治的に異議を唱える権利もあるため」だと語っている。ただ、中国の特別行政区である香港は、米国と犯罪人引き渡し条約を結んでいる。そのため、同氏が香港にとどまりたいのであれば、政治亡命者であることを首尾よく主張する必要がある。もしくは、中国政府の介入を望まなければならなくなる。

中国がスノーデン氏に関心を寄せていることは疑う余地がない。同氏のリークには、米国のサイバーセキュリティーに関する詳しい情報が含まれており、同氏に協力している記者らは、今後新たな情報が暴露される可能性を示唆している。
今回のリークは、オバマ大統領と習近平国家主席による米中首脳会談の前日に明らかになったことで陰謀説もささやかれている。とはいえ、中国が引き渡しを拒否すれば、米国政府の反感を買うだろう。

もしそうなれば、北京の米国大使館に駆け込んだ人権活動家の陳光誠氏のケースより大きな危機を引き起こしかねない。


また、引き渡しの拒否は、すでに本土からの介入に不信感を抱いている香港の活動家を怒らせることになる。加えて、中国政府には香港が安全な避難場所だと反体制派の活動家に思わせる意図はなく、最終的にスノーデン氏は米国行きの飛行機に乗せられることになるだろう。


しかし、中国はその結末を保証することはできない。スノーデン氏は香港の裁判所で強制送還に異議を申し立てることができ、その間世論の支持を集める時間に充てることも可能だ。同氏のケースが、香港の民主化運動を結集させることになれば、米国政府よりも中国政府の方が大きな悩みの種を抱えることになる。

*筆者は「Reuters Breakingviews」のコラムニストです。本コラムは筆者の個人的見解に基づいて書かれています。

*このドキュメントにおけるニュース、取引価格、データ及びその他の情報などのコンテンツはあくまでも利用者の個人使用のみのためにロイターのコラムニストによって提供されているものであって、商用目的のために提供されているものではありません。このドキュメントの当コンテンツは、投資活動を勧誘又は誘引するものではなく、また当コンテンツを取引又は売買を行う際の意思決定の目的で使用することは適切ではありません。当コンテンツは投資助言となる投資、税金、法律等のいかなる助言も提供せず、また、特定の金融の個別銘柄、金融投資あるいは金融商品に関するいかなる勧告もしません。このドキュメントの使用は、資格のある投資専門家の投資助言に取って代わるものではありません。ロイターはコンテンツの信頼性を確保するよう合理的な努力をしていますが、コラムニストによって提供されたいかなる見解又は意見は当該コラムニスト自身の見解や分析であって、ロイターの見解、分析ではありません。