保護者が突然死ぬと障害児も死ぬ恐れがあります。
自分が家で急に死んだ場合、猫たちが飢え死にするなあと、昨日、フト思ったばっかり。
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弁当を前に4歳児が餓死? 立川母子孤立死の惨状
(更新 2012/7/19 07:00)
東京都立川市のマンションでこの冬、母子家庭の親子が亡くなった。地縁や血縁が薄れるなか、各地で相次ぐ複数世帯の「孤立死」。事件の背景と、母子が発見されたときの状況をノンフィクションライターの橘由歩氏は次のように書いている。
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東京都立川市は、東京西部に広がる多摩地区の拠点都市だ。大阪から東京へ、言葉も文化も異なる場所へ引っ越しを決めた母が、立川市に住居を構えたのは、2歳の息子が持つ障害ゆえだろうか。隣の武蔵村山市には、日本一の療育機関ともいわれる東京小児療育病院があるからだ。
2010年4月、母子は立川市羽衣町にある新築マンションl階の部屋に入居した。6畳洋間の1LDKで、家賃は約10万円。前月に完成したばかりの3階建て全12室のマンションは、外壁が大理石仕様の瀟洒(しょうしゃ)なつくりで、オートロックも完備していた。
このとき、母のYさんは43歳、次男のRくんは2歳半。真新しい部屋で、YさんはRくんの将来を見据え、希望をもって生活を始めたことだろう。
しかし、2人は2度目の春を迎えることはできなかった。12年2月13日に、親子そろって死後1~2カ月の遺体で発見されたのだ。
1月分の家賃を引き落とせなかった管理会社が親族に連絡し、この親族が立川署に確認を依頼して、悲劇は世に知られることとなった。Yさんはフローリングの床に倒れ、Rくんはすぐそばのソファにうつぶせで息絶えていたという。
司法解剖の結果、Yさんの死因はくも膜下出血だった。RくんはYさんが亡くなってからも、1週間から10日は生きていたようだ。死因は特定されていないが、衰弱死(=餓死)だとみられている。胃の中は空っぽで脱水状態。体重は4歳児平均の16.4キロを大きく下回る9キロしかなかった。オムツもかなり汚れていた。
テーブルには弁当が置かれ、冷蔵庫には食べ物も飲み物もあった。だが、知的障害を伴う広汎性発達障害ゆえか、蓮くんは飲食物に手を付けず、外へ助けを求めることもなかった。
広汎性発達障害は、コミュニケーションや社会性の獲得などに遅滞がみられる発達障害の一つで、自閉症やアスペルガー障害なども含まれる。他者とうまく意思疎通を図れず、行動へのこだわりや言葉の遅れ、感覚過敏などがある。Rくんは知的障害もあり、3歳児健診では「言葉の遅れ」が指摘されていた。
事件後に、Rくんの死を「謎」だとする行政関係者もいたが、こうした事情を考えれば、Rくんが母親なしでは生きられない恐れがあることは、十分に想定された。
※週刊朝日 2012年7月27日号