年金担保融資(年担)を払えず生活保護を受けるようになった高齢者が相次いでいる | 日本のお姉さん

年金担保融資(年担)を払えず生活保護を受けるようになった高齢者が相次いでいる

<生活保護受給者>「冠婚葬祭出ず」7割…民医連調査

毎日新聞 5月9日(木)21時20分配信



生活保護受給者の大半が地域の行事や冠婚葬祭に参加していないことが、全日本民主医療機関連合会(民医連)の調査で分かった。交際費を捻出する余裕がないことや生活保護に対する後ろめたさが背景にあるとみられる。

調査は2~3月、岩手、秋田、栃木をのぞく44都道府県の医療・介護施設利用者で生活保護を受ける1482人から聞き取った。地域行事の参加状況は「全く参加しない」「あまり参加しない」の合計が82.5%。冠婚葬祭でも同様に69.5%に達した。交際費については「なし」と「月額1000円以下」の合計で50.4%だった。

回答者の7割超は60歳以上。自由記載欄では「近所の人に肩身が狭い」「金銭的なことからつき合いは全て断っている」など、孤立しがちな胸の内がつづられていた。

調査担当者は「受給者は『もらいすぎ』『不正受給ばかり』などとバッシングされるが、健康で文化的な最低限度の生活ができているとは言い難い。経済的困窮が人的交流の貧しさにつながっている」と話している。【遠藤拓】http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20130509-00000078-mai-soci



年金担保融資:「借りて、後にがくぜん」 生活保護受給、やっと生計 制度矛盾、自治体も苦悩
毎日新聞 2013年05月09日 東京朝刊

公的年金を担保とする唯一の公的融資「年金担保融資」(年担)を受け、生活が追い詰められるお年寄りが絶えない実態が浮上した。2010年4月に民主党政権が年担の廃止方針を決定した後も制度が続いている結果、生活保護を受けるようになった高齢者が相次いでいることが国や自治体への取材で判明。わずかな年金収入だけの高齢者にとって「最後の頼みの綱」であり、「禁断の実」になることもあるこの制度はどうすべきか。高齢者にとっても、自治体にとっても頭の痛い問題が続いている。【野倉恵】

年担の返済に追われた経験がある那覇市の女性(76)は今も、か細い声でかつての苦境を語る。

清掃員として働いていたが、転倒による足のけがで入院、仕事ができなくなった。70代となり、頼りは月2万6000円の年金収入だけに。生活費を得るためアルミ缶を拾っても2カ月で1000円にしかならず、光熱費も滞納。一時はスーパーや公設市場の前で寝る路上生活に陥った。

やむなく年担で35万円借りたが、月の返済額は約2万円で、年金収入は月約6000円しか残らなかった。支援者らの協力で生活保護を受けられるようになったが、「どうなることかと思った」と振り返る。

生活保護に至らなくても、年金担保融資で行き詰まった高齢者もいる。北海道・夕張炭鉱などで30年余り働き、閉山後に東海地方でタクシー運転手をしていた男性(73)。仕事で眠れず、妻子と別れた心の傷から睡眠薬依存となって、金融業者から借金を重ね、業者に年金担保で清算するよう迫られた。

返済中、足が自由に動かなくなる症状が出て、夜逃げ同然で北海道に戻った。それでも年金からの天引きは続いた。「借りてみてがくぜんとした。借りる時はまだ働ける、動けると思っていたが……」

自治体側には、違う苦悩もある。年担の返済者に生活保護費を支給するのは、「公費による借金の穴埋めになってしまうのでは」(東京都の担当者)。このため国は06年から、借り入れて生活保護に至るのを2度以上繰り返す「リピーター」は原則認めないとしたが、生活保護を認めなければ、極限まで困窮する高齢者を生み出す危険性もある。

公的年金を担保とする唯一の公的融資「年金担保融資」(年担)なんてものがあることすら知らなかったよ。