北朝鮮と中国は本当によく似た国だ。
チンピラ顔負け北朝鮮・中国にみる“天才的な因縁のつけかた”
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2013/05/06 19:13更新
【大阪から世界を読む】
北朝鮮と中国は本当によく似た国だ。どちらも絶えず誰かに「言葉のケンカ」を仕掛けている。しかも、自身を正当化する際にみせる、相手を一顧だにしない言い回しは同じ“匂い”がする。いや、チンピラ顔負けの因縁の付け方は一緒だ。品もない。それぞれの発言を検証してみると…。
■「威嚇」する北朝鮮
まずは、朝鮮中央通信が伝える北朝鮮の金正恩第1書記や政府当局の「主張」をみる。
「祖国の海を0・01ミリでも侵犯すれば強力な報復攻撃を浴びせよ」
金第1書記が今年3月11日、2010年に韓国哨戒艦撃沈事件を起こした黄海の前線を視察した際、指示した言葉だ。「0・01ミリ」という表現は一歩も引かない決意を示しているようにもみえるものの、いかにも子供じみている。大袈裟(げさ)な言いようをすれば、相手は「本気だろうか?」と疑うが、この人の発言からは「虚勢」しか感じない。
金第1書記は同29日午前0時半に戦略ロケット群の作戦会議を招集した際に、「米国の核による脅迫には無慈悲な核攻撃で応じる」と指示した上で、さらに米軍のB2戦略爆撃機が韓国に飛来したことについて、こう指摘している。
「朝鮮半島で何としても核戦争を起こすという最後通告で、もうこれ以上我慢できない」
さらに米国が非核化を求めたことに対する4月16日の北朝鮮外務省の報道官談話では、「対話には反対しないが、核の棍棒(こんぼう)を振り回す相手とは屈辱的な交渉の席にはつけない」。同日の朝鮮人民軍最高司令部の声明では「わが方の最高尊厳を毀損(きそん)する許し得ない蛮行がソウルの中心部で公然と繰り広げられている。今から予告なしの報復行動をする」と“宣言”した。
国際社会の制止もかまわず、核実験と弾道ミサイル実験を繰り返し、世界各国で拉致事件を引き起こしてきた国が、いったい何を我慢してきたのだろうか。棍棒を振り回してきたのも、許し得ない蛮行を繰り広げてきたのも、すべて北朝鮮のほうだ。
自身を省みることはないし、譲るのも、負けるのも嫌だから一歩も引かない。わかりやすくいえば、辺り構わず威嚇だけし、金品(食糧)を求める「チンピラ」の論理だ。
■「悪いのは相手」 挑発する中国
「他人のものを盗んで違法に所有しているという事実を変えられるだろうか」
物騒な言いようだが、これは中国外務省の華春瑩報道官(43)の発言だ。
安倍晋三首相が2月25日、ワシントンでの講演で、尖閣諸島(沖縄県石垣市)が歴史的にも法的にも日本の領土だと述べたことを、批判する発言だが、「盗む」「違法」とはいかにも挑発的に聞こえる。
華報道官は南京大学卒業後、外交官となった。1児の母親で、習近平体制になって現職に就任。美しすぎる報道官としてネット上にもたびたび登場するが、容姿はどうあれ、中身はやっぱり「中国人」だった。尖閣諸島周辺に中国が海上ブイを設置している問題が浮上したが、2月26日の会見で、こうも言い放っている。
「何ら非難されることはない。空騒ぎする必要もない。ささいなことを大袈裟に言う必要もない」
周辺国に対し挑発を続ける中国のさまには、地域大国としての大人の振るまいは微塵(みじん)も感じない。同28日の安倍首相の施政方針演説にも、華報道官はかみついた。
「日本は幻想を捨て、歴史と現実を直視すべきだ」
「幻想」「直視」とは、そっくりそのままお返ししたいフレーズだが、なぜ、ここまで相手を挑発する必要があるのか。
発言の根底にあるのは「自分たちは悪くない。悪いのは日本だ」という一方的な姿勢。貧富の格差が広がる中国にあって、対外的、とくに日本に一歩でも譲れば、それは国内の不満分子に“口実”を与えることになりかねない。尖閣諸島の領有権を強引な論理で主張するのは、国内対策のため。だから、むやみやたらと挑発だけを続ける。
■“殴る前に殴れ” 攻撃的になる理由
自民党の石破茂幹事長が「ぽんぽんとしたフレーズの中に多くの人々を共感させるものを持っている」と認めるほど、発信力がある政治家が大阪にいる。
日本維新の会の橋下徹大阪市長だ。とくに「既存の権力」に対すると、攻撃性は増す。
最近の言動などをみる。
例えば、大阪府労働委員会が不当労働行為と認定した大阪市による職員アンケート問題。橋下氏は当初こそ謝罪したが、府労委が命じた再発防止の誓約書以上の措置を求めていくなどとした組合側の記者会見に対し、キレた。
「自らの非を全部棚に上げて、正義面するのはおかしい。正すべきところは正していく」
3月25日に記者団にそう述べたが、相手が「労組」だと攻撃力はアップする。
100万人ものフォロワーがいるツィッターでの発言も影響力が大きい。既存のメディア相手に、4月1日未明の投稿ではこうほえた。
「メディアもコメンテーターも言いたいこといいやがって、毎日、頭にきた新聞を切り抜いて、ツィッター反撃クリアファイルにためているぜ」
さらに出自をめぐる記事を連載した週刊朝日とのバトルをめぐり、法的措置をとる方針を示した4月6日夜のツィターでは、相手側から市役所に面会を申し入れてきたとする一方で、敵意をむき出しにした。
「誰が会うかバカ。そんな暇人じゃない。司法の場で決着つけようぜ」
矛先は身内にも向かう。日本維新の会の国会議員団に対しこう言った。
「憲法の教科書ぐらい読んでいるのか」
「国会議員が憲法のイロハのイも知らずに憲法論議をやること自体が本来間違っている」
政府の教育再生実行会議が提言した、自治体の首長が任命する教育長に権限を集中させる教育委員会制度改革案については、こう批判している。
「問題の本質の認識が足りない。全くダメだ」
国であろうが、個人であろうが、ケンカの基本は、殴られる前に殴り、殴られる前に逃げることだ。相手の意表を突き、より過激でなければ相手にされない。必要以上に威嚇し、挑発し、攻撃的な言葉や言い回しを使うのはそのためなのだ。
なんで途中で橋下氏の悪口に変わるのかな。へんなの。