米デンバー日本総領事館を舞台にした情報漏えい事件 | 日本のお姉さん

米デンバー日本総領事館を舞台にした情報漏えい事件

デンバー総領事館機密漏洩事件 北のスパイ疑惑のMr.Xに直撃
4月25日07時00分

提供:NEWSポストセブン
3月末、産経新聞で米デンバー日本総領事館を舞台にした情報漏えい事件が報じられた。

記事によると、2010年頃、米デンバー日本総領事館の久保和朗・総領事(当時)が韓国情報当局に近い韓国人フィクサーX氏らを公邸に招いて宴席を重ねた結果、機密情報が漏洩した疑いがあるという。

日本の外務省は「深刻な情報漏洩や不正経理はなかった」として騒動の火消しに走った。

週刊ポストが、現地取材を進めると、さらに深刻な事態が判明。X氏が、すでに退職した久保前総領事だけでなく、現職の大野郁彦・総領事とも交際していたという疑惑が浮上したのだ。

週刊ポスト2013年4月26日は、X氏が12年3月、大野氏を食事に招待していたと報じた。実は、その席には米政府の超大物も招待されていた。現在、デンバー大学部長を務めるクリストファー・ヒル元国務次官補である。ヒル氏といえば2005年、北朝鮮の核問題を議題にした六か国協議でアメリカ首席代表を務め、北朝鮮寄りの対応をした人物として知られる。

共和党タカ派のパーティーにも顔を出し、北朝鮮に近いハト派のヒル氏とも関係を持つ。X氏の“幅広い”交際関係はアメリカの諜報機関が興味を持って当然ともいえる。週刊ポスト報道を受け、日本の公安関係者も情報収集に動き出した。

「もし本当にデンバー総領事と接触があるとすれば、情報管理の観点から、由々しき問題だ。X氏は朝鮮半島発祥の新興宗教団体に近い。また、日本の有名俳優とも交際があり、一緒に写っている写真もある」(公安関係者)

X氏に直接話を聞いた。

──大野総領事を2012年春に食事に招待したのは事実か。

「本当ですよ。日本料理店に招待しました。大野さんとは3~4回、食事などでお会いしています。誘われたり、誘ったりして。(前職の)久保さんには5~6回、公邸に招待されています。大野さんとはこれからも会う機会があるでしょう」

──なぜ日本の総領事に会うのか。

「デンバーには韓国人が30万人住んでいます。私はデンバーで成功した、韓国人社会のゴッド・ファーザー。久保さんや大野さんが私に会うのは、デンバーの名士の私から有益な情報を引き出そうとしてのものでしょう。友好関係です。ビジネスの話はしませんよ」

──久保前総領事の公邸で一緒にいた、韓国人エージェント2人とはどういう関係か。

「彼らはデンバーの韓国系メディアの記者や関係者。諜報員ではありません」

最後に、米国情報当局がX氏を「北朝鮮のエージェント」と見て監視活動をしていることについて問うと、一瞬の間の後、笑いながら「私はコミュニストが大嫌いです。おもしろいことをいいますね」と答えた。

朝鮮半島有事前夜ともいえる今日、安倍政権がこの問題を放置するなら危機意識が足りないという他ない。

※週刊ポスト2013年5月3・10日号




デンバー総領事館機密漏洩事件 Mr.Xに南北二重スパイ疑惑

2013.04.22 07:00


「私は代々の在デンバー日本総領事とお付き合いしています。現職の大野さんとも、3~4回、一緒に食事していますよ」

週刊ポストの直撃に、彼は流暢な日本語でこう答えた。週刊ポスト2013年4月26日号で、北朝鮮への情報提供の疑いがあると報じた韓国人Mr.X、その人である。

2010年頃、米デンバー日本総領事館の久保和朗・総領事(当時)が韓国情報当局に近い韓国人フィクサーX氏らを公邸に招いて宴席を重ねた結果、機密情報が漏洩した疑いがある──そう産経新聞で報じられたのは3月末のことだった。それに対し、日本の外務省は「深刻な情報漏洩や不正経理はなかった」として騒動の火消しに走った。

そこで週刊ポストが現地取材を進めると、韓国人フィクサーX氏の正体について深刻な疑惑が浮上した。国防総省など米政府機関のインテリジェンス(諜報)関係者によると、X氏は韓国諜報機関の協力者であると同時に、北朝鮮への情報提供者、つまり「二重スパイ」だというのだ。国防総省関係者がいう。


「Mr.Xは複数の政治家の政治資金パーティーにたびたび出席しているが、資金の出所が不明だ。
たとえば、2007年、2008年にはマイク・コフマン共和党下院議員(当時はコロラド州議会議員)のパーティーに出席。コフマン氏は党屈指のタカ派として知られ、しばしば対北朝鮮や対中国で強硬姿勢をとっている。目的はアメリカの強硬派の動向をリサーチすることだろう」

デンバーはアメリカの核戦略の重要拠点であるピーターソン空軍基地に近く、国防総省が最も神経を尖らせている都市の1つ。それだけにアメリカ側は、総領事館から機密情報が漏洩し、北朝鮮にわたったかもしれない事態を問題視して、日本の情報管理の甘さに不信感を抱いたのだ。

※週刊ポスト2013年5月3・10日号