米軍制服組トップのデンプシー統合参謀本部議長 | 日本のお姉さん

米軍制服組トップのデンプシー統合参謀本部議長


南シナ海は“巨竜”の聖域か

2013.4.24 16:37 (1/2ページ)[中国]

北京に米軍制服組トップのデンプシー統合参謀本部議長を迎え、中国人民解放軍の房峰輝総参謀長は「中華民族の再興」のキャッチコピーを表明したのだろうか。あるいは、米国の「アジア回帰」政策に対して、「海洋の戦略抑止力を手にした」とでも通告したか。


北朝鮮の跳ね返りを押さえ込むため、当面は米中の連携や信頼醸成のタテマエしか伝えられない。

だが、互いのホンネは違う。
北の核開発どころか、海洋覇権を狙う中国は西太平洋の勢力圏拡大で、米国の利益とぶつかるからだ。
中国の対米核戦略を考えれば、焦点は南シナ海である。


中国政府が2年ぶりに発表した2012年版国防白書で、核兵器を相手より先に使用しないとする「先制不使用」が削除されたことから、新たな疑惑を生んだ。

今回の国防白書は「核兵器による攻撃を受けたときには核ミサイルを使用し、断固として反撃する」と決意を表明していた。その上で、白書から「先制使用しない」という従来の表現を削除したのはなぜか。


デンプシー議長の訪中前、カーネギー米国際平和財団のI・レーマン研究員が論文で、習近平国家主席の中国を「バスタブで暴れる竜」にたとえた。中国海軍という巨大な竜が、南シナ海というバスタブで「ここは俺さまの海だ」とあちこちで頭をぶつけているさまを描いた。

この巨竜は、「南シナ海全域の支配を望んでいるわけではなく、わずか80%の支配を求めているだけだ」(呉士存南海研究院長)と豪語して、沿岸国との衝突もいとわない。
8割といえば全域の支配と同じだから「小国をあなどる詭弁(きべん)」というしかない。


レーマン研究員は中国の元高官と議論した際に「領土問題も重要だが、われわれの主たる関心は将来の海洋抑止力の生き残りにある」と語ったという。戦略原潜の基地となる海南島を“巣穴”として、巨竜がこのバスタブを自由に泳ぎ回る聖域化戦略である。


冷戦期のソ連はオホーツク海に核ミサイル潜水艦を配備し、米海軍を近づけさせない聖域とした。
これによって、ソ連は米国と同等の核抑止力を維持することができた。しかし、中国が狙うのは、とてつもなく大きな南シナ海である。オホーツク海に比べると、世界の海上ルートの中でも格段に通航量が多い。


米中経済安全保障調査委員会の報告書によれば、中国はまもなく、海南島の“巣穴”に射程8千キロ以上の弾道ミサイル「巨浪2型」搭載の新型「晋」級原潜を配備するという。

中国海軍は南シナ海から米本土を狙えるため、「海洋戦略抑止力」を獲得したことになる。中国は米国核の脅威から免れ、周辺国に対して遠慮なく砲艦外交が展開できるようになる。


中国が南シナ海を「核心的利益」としてベトナム、フィリピンと衝突するのも、この聖域化戦略と無縁ではない。
先月も中国海軍艦船が、今度はマレーシア領海を侵犯している。


残るは中国が台湾を攻撃する際、介入する米艦隊をどう阻止するか。

中国は東シナ海の出口をふさぐ尖閣諸島(沖縄県石垣市)を確保する誘惑にかられるだろう。

この海域に米海軍を寄せ付けない作戦である。

デンプシー議長は今回、巨大な竜を鎮めることに手を焼いたに違いない。

巨竜の制御には、ますます日米同盟の結束が重要になってくる。(東京特派員)

昨日の敵は今日の友 米司令官の祝辞、日本ののしる中国とは対照的
2013.3.27 15:20 (1/3ページ)[日米関係]

卒業式を終えて沖合の練習艦に乗船するため埠頭を離れる卒業生ら (湯浅博撮影)
 その日、広島県・江田島にある旧海軍兵学校の中庭に立つ桜の古木がみごとに開花した。明治期の赤レンガ校舎は現在、海上自衛隊幹部候補生学校として使われている。

 3月20日午後、卒業式を終えた幹部候補生178人と飛行幹部候補生42人が、江田島の埠頭(ふとう)から7カ月の練習航海に旅立った。彼らは防衛大学校と一般大学を卒業したあと、海自の幹部候補として1年間の実践的な教育を受けてきた。

 埠頭で見送りする河野克俊海上幕僚長のそばに米海軍第7艦隊司令官、スコット・スウィフト中将の姿があった。
沖に停泊する練習艦や護衛艦から出港の合図がくると、2人は号令官の連絡を受けて答礼を返した。


 第7艦隊司令官が江田島の卒業式に出席したことはいまだ例がない。日本を取り巻く国際環境が厳しいからだろう。北朝鮮は核開発を進め、中国は日本の領海、領空の侵犯を繰り返す。いまほど日米同盟が試されることはない。

 スウィフト司令官は数日前に、旗艦ブルーリッジを駆って呉港に入り、対岸の江田島に駆けつけた。卒業証書の授与後に述べた祝辞は、過去に戦った日米両海軍がいまは同じ海洋国家としての強い紐帯(ちゅうたい)があることを強調した。
司令官は河野海幕長を引き合いに、「70年前に海幕長と私の父親が、敵対する海軍として対峙(たいじ)していたことが思い出される。彼らは後に、誇りと尊敬をもって互いがよく戦ったことを回顧した。戦闘を通し、互いを尊敬しあうようになったのだ」と述べた。昨日の敵は今日の友である。


 司令官の父は、他人が日本海軍の将兵を悪くいうと、ただちに彼らを称賛し、自分がいかに尊敬していたかを語っていたという。

そのうえで司令官は、「第二次大戦は国力が勝敗を分けたものの、太平洋では日米両海軍の戦力は競合していた」と日本海軍の実力を評価した。

そして、日露戦争後に東郷平八郎提督が連合艦隊解散式で行った訓示を引用する。

 「武士の一生は切れ目のない戦いであり、時代が変わってもそれが変わることはない。ことがあれば彼はその力をふるい、平和なときには戦力を蓄えることで、その職責を果たす」


 このとき、セオドア・ルーズベルト大統領は東郷の訓示に感激して麾下(きか)の将軍たちに読むよう送付した。スウィフト司令官はこの挿話を受けて、「私たち米海軍は、地域の安定、国家の平和と繁栄を維持し、皆さまとともに海原を航海できることを楽しみにしている」と激励した。

司令官の祝辞は、歴史カードで日本をののしる中国とは対照的である。

習近平国家主席は昨年9月に中央軍事委員会副主席として、訪中したパネッタ国防長官(当時)に「日本の軍国主義は中華民族に深刻な害を与えただけでなく、米国を含むアジア太平洋諸国も傷つけた」(昨年9月19日の新華網)と述べ、尖閣諸島に結びつけて日本を非難した。
中国が米中関係を深めようとする際に、日本が「戦犯国家」だったことを思い出させるいつもの手口である。


 2期目のオバマ政権が、習近平政権の誘いに乗って対話優先で近づくか否かは微妙なところだ。
とくに、北朝鮮の核開発を抑えるため、突然に米中が手を結ぶこともあり得る。だが江田島の司令官祝辞は、気まぐれな政治の世界と違い、日米両海軍には同盟の力強い絆があることを示していた。(東京特派員)

「米国には日本防衛義務がある」米軍トップ、中国側に伝達
2013.4.25 07:17 [米国]
 ロイター通信によると、中国を訪問中の米軍制服組トップのデンプシー統合参謀本部議長は24日、北京で記者団に対し、沖縄県・尖閣諸島をめぐる日中の対立に関連し、米国には日米安全保障条約上の日本防衛義務があることを中国側に伝えたと明らかにした。


 中国側との一連の会談で、尖閣諸島が日本防衛義務を定めた安保条約第5条の適用対象であるとの米国の立場を説明し、中国側の行動がエスカレートしないようけん制したとみられる。

 デンプシー氏は記者団に「米国は領有権をめぐる問題で特定の立場を取らないが、日本に対しては条約上の(防衛)義務があることを(中国側に)知らせるよう、注意を払った」と述べた。(共同)