宮崎正弘の国際ニュース・早読み-混乱と混沌と混迷。中国の住宅投資規制 | 日本のお姉さん

宮崎正弘の国際ニュース・早読み-混乱と混沌と混迷。中国の住宅投資規制

中国で離婚が急増、その理由は・・・
2013.04.14 Sun posted at 16:26
(CNN) 中国全土で近ごろ、役所の婚姻課に多くのカップルが押しかけるという奇妙な現象が起きている。春の兆しが、衝動的なロマンスを呼び起こしているのだろうか。
いや違う。その反対で、カップルたちは離婚届けを出しているのだ。そして、夫婦合意の上で、口論も財産争いもなく速やかに別れている。なぜなのだろう。実は、お金や財産が離婚の原因なのだ。これらカップルのほとんどは、中国における新しい税を逃れるために離婚しているのだった。
中国政府は先ごろ、2軒目の家を売却した場合に20%のキャピタルゲイン税を課すことを決定した。そのため、2軒の家を所有している場合、離婚して元夫と元妻それぞれの名義で1軒ずつ登記をしておくと、その内の1軒を売却した場合にキャピタルゲイン税を逃れることが出来る。その後再婚して元の鞘(さや)に納まることも可能だろう。
この奇妙な現象は、個人レベルでいえば住宅の投資対象としての重要性を示している。だが、マクロレベルでは、中国新指導部が、不動産バブルとも呼ばれる現象への対応に苦慮していることを示唆しているといえそうだ。
中国の大都市では不動産価格は急騰している。上海の開発業者によれば、年間で40%の上昇だ。これは、大都市へますます多くの人が流入し、不動産の需要が供給を大幅に上回っているためだ。

一方で中小都市は、住宅などの不動産の供給が需要を上回っているという問題に直面している。多くの建物やショッピングモールがあるものの誰も住んではおらず、ゴーストタウンのような場所もある。中国の不動産市場では二極化が生じているのである。
不動産バブル問題はあっても、中国では大きな問題ではないという指摘もあるかもしれない。2007年当時のアメリカでは、多額の住宅ローンやクレジットカード債務が問題の根源だったが、今の中国では状況は違うのだろう。また確かに、中国政府は問題に適切に対処しており、消費者も問題を抱えてはいないように見える。
しかし、実際には、中国が巨大な隠れた債務問題を抱えているとの指摘もある。
米金融大手モルガン・スタンレーのルチア・シャルマ氏によると、中国の債務残高は、政府部門と民間部門の合計ではGDP(国内総生産)の200%を超える水準にまで急上昇しており、これは、開発途上国の中では最も高い水準である。
シャルマ氏は、地方政府から国有企業までの全ての準政府機関の債務も含んでいる民間部門債務を特に注視している。
J
経験上、金融危機発生のリスクの高さを的確に示すとされる民間部門債務の上昇率を見ると、中国の現状は危機的だ。
その数値は、1989年の日本、2007年のアメリカ、そして、2008年のスペインなどの多くの国が、金融危機に突入する直前に経験したピーク時の数値よりも高いのだ。
もし、本当に中国が債務危機に直面すると、全世界を景気後退に引きずり込んでしまうため、中国は急増する債務を削減しなければならない。だが債務削減も、投資の減少を通じて経済成長の鈍化をもたらすため、中国からの旺盛な需要に依存している国々にまで影響を及ぼす。
多くの問題に直面している中国新指導部だが、解決の取り組みを進めている。指導部は、様々な問題解決の実績を持ち、隣接する日本の数々の失敗や、欧州や米国の過剰債務問題についても熟知しているメンバーで構成されている。
中国指導部が、たとえ夫婦関係にストレスや緊張をもたらすとしても、今回も問題を切り抜けられることを期待しよう。
http://www.cnn.co.jp/world/35030225.htmlT
★小誌愛読者20100名!「宮崎正弘の国際ニュース・早読み」平成25年(2013)4月18日(木曜日)通巻第3927号   

 混乱と混沌と混迷。中国の住宅投資規制
  金融も引き締め、緩和、引き締め、緩和のジグザグ
******************

 「猫の目のようにかわる法律、いったいどうやって不動産投資を続けるべきか」
 「そこで離婚しちゃえば良いということが分かった。二件目の住宅規制から逃れられる」 
 と言って、じっさいに天津では3月第一週に1255組の夫婦が離婚した(この数字はその前の週の五倍。アジアタイムズ、4月18日)。

 不動産転売利益にかかる税率が20%となる(従来は1-2%だった)。その前に売却しようと激しい売り浴びせがあるかと思えば、北京と上海では「4月1日から導入された? いやされていない」などと地方によって施行日が異なり、税率もことなり、そのうえ二軒目からのマンション購入の頭金がこれまでの60%から70%に引き上げられた。

 また固定資産税の導入実験が上海と重慶で2010年から繰り返されてきたが、重慶では豪華マンションのみに適用、上海では数件の不動産保有者に適用と、これも実験の範囲がまちまち、税率も0・5%から1・2%の幅がある。

 混乱がさらに深まっているのは金融規制緩和、規制強化のジグザグである。不動産融資を厳しくした都市もあれば、緩めた都市もあり、中国の住宅ローンと不動産市場の実態は混沌としている。
◎ BOOKREVIEW ◆書評 ◇しょひょう ▼ブックレビュー ☆
 中国現地、現場にはりついて取材した成果が結晶
   習近平はおもったより手強い政治家だと警告する最新情勢分析
近藤大介『対中戦略 無益な戦争を回避するために』(講談社)
@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@

 全体として、じつに面白く、また内部情報満載で有益である。かつ情報がユニークである。新皇帝の習近平を無能とみなさず、むしろ有能で「毛沢東の復活」を模索するしたたかな権力者と捉えているポイントがまずもって独創的である。
 新皇帝の周囲を囲んだ「無能」な常務委員、とくに劉雲山、愈正声、張徳江、張高麗の四人は江沢民にごまをすってなりあがって者ばかりだが、この人事は反日暴動を演出した江沢民の陰謀であることを、時系列に経過を追うことで追求している。
反日暴動によって共青団の一斉後退は、奥の院の陰湿な権力闘争で胡錦濤が土壇場で江沢民に大敗したことを意味するという。
 そして薄煕来失脚も、共青団の大幅な後退も「習近平の漁夫の利」だったと捉え直し、つぎに習近平は江沢民、曾慶紅ら「恩人」らの排除にも取りかかったのだ、と分析する。
 兄貴分だった薄煕来が「邪魔な存在」であったことは評者も同意見で、だから薄失脚は習にとっては幸運だったと言える。
ただし習政権を誕生させた最大の功労者にして恩人の江沢民と曾慶紅を習が本気で排除するとは思えない。いや、もし習がそれをやれば、意外にも習近平は端倪すべからざる政治家の技量を発揮することになる。
 軍事委員会のなかで、ただひとり留任した呉勝利を海軍戦略の立案実践者として捉え、習近平が頼りにしていること。また福建省時代からの子分、劉賜貴を「国家海洋局長」に抜擢したことを特筆している。このふたりは軍人脈の中で、もっとも習近平に近い存在であるという。
 もうひとつ、本書がユニークなのは、今後日本が育て、かつ「親日派」として重視するべき政治家を一覧し、李源潮(国家副主席)、王洋(副首相)、劉延東(副首相)ら次期常務委員候補の列にくわえて、孫春蘭(天津書記)、胡春華(広東省書記)張春堅(新彊自治区書記)らをあげ、具体的に日本との過去のコネクション、人脈などを丁寧に解説している個所だ。
 中国のアキレス腱は環境、汚職、毒入り食品、賄賂、国有企業優先など様々だが、これらを十五のカテゴリーに分けて「中国の弱点をせめる」方法を提唱しているあたりも、本書が実にユニークなポイントだろう。
 樋泉克夫のコラム
 @@@@@@@@
【知道中国 892】           
――「かくも広い土地をよくもこう万遍なく開墾したものだ」(長谷川の上)
「哈爾賓直行」(長谷川如是閑 『世界紀行文学全集』修道社 昭和46年)
 ▽
明治・大正・昭和の三代を“筆一本”のジャーナリストとして生きた長谷川如是閑(明治8=1875年~昭和44=1969年)がハルピンを訪れたのは、昭和3(1928)年秋。
張作霖爆死から4ヶ月ほどが過ぎていた。

「哈爾賓直行」は、「WRK兄」に宛てた手紙の形式で綴られている。
「大連から汽車が北上するに従って、車室からの眼界は次第に広濶となって、ついに渺茫たる平野が展開されますが、それが悉く見事な耕地で、何処まで行っても、満州の果てまで行っても同じです」と説き起こし、「実に、漢民族なるものは、アフリカに於ける大蝗群が、その通過する所を草の色さえ止めない荒野にするのと正反対に、漢民族の通過する所は、如何なる荒野も忽ちにして田園となり都会となります。蒙古の曠野に鉄道が敷かれると、まだ開業のしていないうちから、危険を保障されない建築列車に便乗を求めて、柏餅のような布団を背負った無数の支那人が角砂糖に蟻がついたように、その列車にシガミついて、茫漠たる曠野に侵入するのは、兄も親しく目撃された通りです。全く根だけの棲家に過ぎないその曠野は、これら支那人に侵入されると、忽ちにして豊穣なる高粱畑、大豆畑と化し、それらの集散する所に忽ち繁華な都会が現れます」と、移動・移住を繰り返しながら自らの生存空間を拡大してきた漢民族の持つ生まれながらの性質に言及する。

「茫漠たる曠野に侵入」し、忽ちにして「悉く見事な耕地」に変え「繁華な都会」を出現させる過程こそ、大室幹夫が『劇場都市』(ちくま学芸文庫 1994年)で説く「シナ化sinicization」ということになろう。

大室が描き出した「歴史的な図式」に拠れば、「シナ化は黄河流域のいわゆる中原地方から南および南西、南東の方向へ向って展開され」、「シナ化とはこれら南方地域の漢-シナ人の植民地化colonizationの過程にほかならず」、「それは具体的には城壁都市の建設によって表出され」、それゆえに「シナ化とは端的に都市化urbanizationである」ということになるわけだが、長谷川が歩いた満蒙は「黄河流域のいわゆる中原地方から南および南西、南東の方向」に当らない。にもかかわらず、「シナ化sinicization」という現象は起こっていた。
怒涛のような漢族の流れは、やはり全方位だ

「最近には、満蒙一体に流れ込む――文字通り流れ込むというより外適当な表現はありません――支那人の数は一年百万にも上るそうです」と、「シナ化sinicization」の凄まじい実態を綴る。(「満蒙一体」は「満蒙一帯」では?)

ではどこまでも続く耕地を、彼らはどうやって耕すのか。
長谷川は「高粱畑を耕す農夫等は、例の蒲団と大きな煎餅のような烙餅とを携えて、あの高粱畑に、昼は耕して夜は寝てどこまでも行くのだから、あの曠野がベルリン、パリまで続いていても少しも閉口はしないわけだよ」との「支那通」の話を紹介した後で、「成程、夜になると家に帰ることにして居る日本人の量見では、満州の経営はとても覚束ないことでしょうが、漢民族はかくの如くにして、満州一帯に、中央支那の文明を拡大させて行きつつあります」と記す。

さらに「この満蒙の大地域は、人類中の蜂や蟻にも比ぶべき、恐るべき労働能力と、ユデア人にも増した恐るべき商業能力とをもった支那民族の自由自在に活躍し得る天地たらんとし」ながら、「ヨーロッパのあぶれもの」によって「アメリカがあれだけのものになったのを見ると、ヨーロッパ人に比べれば、労働そのもの、商業そのもののような支那人によって、この満蒙がどんなものになるだろうかを考えると、私は全く毛穴のうずくほど興味を感じます」と、満蒙の将来が一筋縄ではいかないことを危惧するのであった。
《QED》
   ♪
(読者の声1)『金本位制について』
わたしは世界の田舎(ベトナム)にいるので宮崎先生の「世界は金本位性に向かっている」はまだ読ませていただいていません。題名だけみて「うーーん???」となっていたのですが、本日の先生のご回答を読ませていただいて「金本位性復活シナリオ」を本気でとなえているのではないことを知り、納得しました。
これだけの世界貿易量があるなかで金本位性なんて復活するわけがないからです。日本は金備蓄などを増加すべきだというご意見と察しました。
いずれ読ませていただきます。
インドの金購入はすごいですね。おかげでインドは貿易赤字です。昨昨晩金が1333ドル程度まで急落しましたが、チャートでは1200か1000ドル位までの金安を期待しています。1000ドルまで下がったら大喜びで、バンコクまで行ってヤワラーの金行で100グラムのバーを何個か買えれば良いなと夢想しています。
ところで日本の貴金属店は昨日は金買いたいお客さんで大混雑だったようですね。金を買いまくっていたポールソンのファンドは大変でしょう。
  (R生)

(宮崎正弘のコメント)日本でも昨日は異常現象、金の売り場に長い列。三時間待ちです。銀座の田中貴金属店では。皆、金を買いに来ている。これは一種パニック買い。1974年のオイルショックのときにトイレットペーパー、石けんに長い列ができた、あのパニック買いに似てませんか?
 金はおそらくあと100ドルは下げ、1200ドル近辺まで下落を続けるでしょう。

  ♪
(読者の声2)貴誌書評で紹介された、室谷克実『悪韓論』(新潮新書)、書名が秀逸です。
昨年来の韓国は竹島問題、天皇陛下侮辱発言、慰安婦少女像問題、対馬の仏像泥棒事件とさすがに日本人の忍耐も限度でしょう。
仏の顔も三度までといいますが、韓国人にはそれがわからない。中国と手を取り、かさにかかって日本を侮辱する。そんな韓国ですが不動産不況は深刻のようで、中央日報にこんな記事があります。
「韓国、不況強打…景気低迷で空室率90%のオフィスビルも」
http://japanese.joins.com/article/555/170555.html?servcode=300&sectcode=300
「昨年8月に竣工したソウル・汝矣島(ヨイド)のある大型オフィスビルは夜になると幽霊ビルになる。55階建ての超大型先端ビルだが、竣工して半年を過ぎたいまでも90%以上が空いているためだ。近隣の不動産仲介業者関係者は、「往来する人がなく雰囲気がとても寂しい」と伝えた。
ほぼ同じ時期に建てられた近くの29階建てビルの事情も似ている。今年初めに企業2社が入居したが依然として延べ面積の80%程度は空のままだ」(以下略)。
ソウルではKorail(韓国鉄道公社)による龍山開発事業も失敗、鉄道公社が債務危機という記事もありました。
http://japanese.joins.com/article/426/169426.html?servcode=300&sectcode=300
日本は韓国が今後どうなろうと関わるべきではありませんね。
  (PB生、千葉)

(宮崎正弘のコメント)中国はいたるところ鬼城(ゴーストタウン)ですが、ソウルでもそうだとは!

  ♪
(読者の声3)貴誌通巻第3926号に掲載いただいた(読者の声2)で一つ書き漏らしたことがあることに気づきました。
貴誌通巻第3925号(読者の声1)に「R生、ベトナム」氏が書かれた内「内閣に法案提出権がないことは重大でしょうか? わたしとしては内閣のなかには国会議員が多数いるということが予定されているだけのことと解釈します」の内「内閣のなかには国会議員が多数いるということが予定されている」の部分です。
私が問題としているのは、総理大臣または国務大臣が自身が国会議員であるという個人の資格で内閣の代わりに法律案を議会に提出するという姑息な手段をとれば内閣に法案提出権がなくても政権運営ができるか否かではありません。明確に違憲であるにも関わらず政府が法律案を議会に提出するということが日本国憲法発効後も日常行われ続けていて、それを法曹界の人たちも、法学者も、マスコミも全く問題としていない無神経さ、無見識、不勉強です。
姑息か、正常かの議論はさておき、解決策があるか否かということではありません。
こういう議論のすり替えを自分自身すら気づかずにしてしまうようになってしまうほど論理的な思考力の訓練が日本の初等教育・中等教育での社会科教育で欠如しています。
数学や物理では筋道だった思考を行わないと、解決策がみつかりません。
 したがって、否応なしに筋道だった思考をせざるを得ません。ところが社会科ではインチキが通ってしまっています。
だからこそ、大学入試では数学や理科を必須とすべきと考えます。
  (當田晋也

   ♪
(読者の声4)貴誌前号にでた『日本国憲法では内閣に法案提出権がないという見解』について。
まず最初に誤解を解いておきます。私は「内閣に法案提出権は当然ある」という見解です。そもそも国務大臣の半数以上は議員の資格を有しているのでその資格で法案を提出可能ですし、専門的な行政を行い、専門技術的な情報が入りやすい内閣に法案提出権があるのは当然かと思います。
三権分立からも、立法の核心は審議・議決にあり立法権を侵害する恐れはないというのが理由です。現在の日本はこういう見解の下に運用していると理解しています。
私の質問が不明瞭であり、その点で申し訳ないと思っています。
『「主権にも色々な意味がある」のではなく、主権という明確な意味の存在する政治学用語を流用ないし誤用して他の意味に使っているケースが多々あるということです。
WIKIによると以下のごとくです。
「主権」概念の内容については、一般的には、国家の最高独立性を表す概念で、最高権、統治権、最高機関の地位のおおよそ三つの基本的意義がある。日常的な意味は「至上であること」ないし「最高であること」であるが、長い歴史を有する多義的な概念で、論者によってさまざまな意味が盛りこまれることがある。
主権概念の詳述は以下。
最高権(対外主権)「国家が外に対して独立している」ということが、「主権」の内容として語られる。国家は互いに平等であり、その上に存在する権威はないため、「最高独立性」といわれることもある。近代国家である以上、対外的に独立していなければならず、逆に、対外的に独立していない場合は、それは国家ではない(国際法上の国家の要件が欠缺している)ということになる。
統治権(対内主権)「国家が内に対して最高至上である」ということが、「主権」の内容として語られる。近代国家においては、国家は、自らの領土において、いかなる反対の意思を表示する個人・団体に対しても、最終的には、物理的実力(physische Gewalt)を用いて、自己の意思を貫徹することができる。この意味で、国家は対内的に至高の存在であり、これを「主権的」と表現するのである。この意味で用いる場合には、「主権」という語は、領土に対する統治権、即ち「領土高権」とほぼ同じ意味内容を持つ[2]。

最高機関の地位(最高決定力)ある国家のうちで、「国政の在り方を最終的に決定する最高の地位にある機関は『誰』なのか?」あるいは「実際に最終的に決定する『力』を持っているのは『誰』なのか?」という帰属主体の問題も「主権」の問題として語られる。
有名なプープル主権(souverainet!) du peuple)論とナシオン主権souverainet!)nationale)論については、プープル主権論は人民主権説に相似し、ナシオン主権論が国家主権説に相似。プープル主権においては、具体的なプープル(peuple、人民)こそが主権者であり、具体的な人民の具体的利益こそが政治に反映されるべきであり、命令委任は肯定すべきと考えられることになる。
これに対して、ナシオン主権論は、抽象的なナシオン(nation)、人格化された国家が主権者であり、ナシオンが授権した代表者はナシオン(の利益)を代表するのであるから(「純粋代表制」という)、選挙民による命令委任は否定すべきであると考えられることになる。
「主権」の概念の原型は、ローマの法学者ウルピアヌスの「元首は法に拘束されず」(princeps
legibus solutus est)、「元首の意思は法律としての効力を有する」(Quod
principi placuit、legis habet vigorem)との法解釈に遡る。ローマ法以来の明確な概念論の歴史があるのですね。勉強になりました。我が邦は国民主権なのです。

以上は日本の司法試験の基礎的な知識であり、頭の訓練にもならないかもしれません。私は早稲田法卒(東大卒では断じてありません)なのですが、学生時代を思い出しました。バカなのでこの程度でも良い頭の訓練になります。私は伊藤真(東大法卒です)などとは一切関係ありません。かれは南京事件についてサヨク的な発言をしていますが、わたしはいうまでもなくみなさまと同じ見解であります。
しかし、法曹界にいるまともな方々とはどなたのことなのか・・・ご教示いただきたいものですね。東大卒で明治時代の方?(冗談LOL)
大学で頭使わなくても社会にでて頭使うことは山ほどあるじゃないですか。わたしは早稲田中退だろうが、高卒だろうが利害関係なしで議論するならば関係なし。要は、本を読む人間か否かです。但し企業で雇用するのならば真面目さ(日本特有の平均さがカイシャには必要)の尺度としてみますが。
  (R生、ベトナム)
 宮崎正弘の新刊予告
 『2013年後期の中国を予測するーーラスト・エンペラー習近平の断末魔の叫びが聞こえる』(石平氏との対談シリーズ第四弾! WAC)
 22日全国一斉発売  定価940円(なおアマゾンの予約は19日から)
宮崎正弘の最新刊
『中国の『反日』で日本はよくなる』(徳間書店、1000円 税込み)
 
http://www.amazon.co.jp/dp/419863579X/
『世界は金本位制に向かっている』(扶桑社新書)
http://www.amazon.co.jp/dp/4594067778/
『中国を動かす百人』(双葉社)
  
http://www.amazon.co.jp/dp/4575304875/
 352頁、写真200葉以上、定価1575円。分厚い人名辞典、廉価。
 この一冊で中国政治の舞台裏が透視できる! 一家一社に一冊。
『習近平が仕掛ける尖閣戦争』(並木書房、232p、並製。定価1575円)
http://www.amazon.co.jp/dp/4890632999/
『現代中国 国盗り物語―――かくして反日は続く』(小学館101新書、定価756円)
http://www.amazon.co.jp/dp/4098251450/
<宮崎正弘のロングセラーズ>
『中国権力闘争 共産党三大派閥抗争のいま』(文芸社、1680円)
http://www.amazon.co.jp/dp/4286127214/
『中国が世界経済を破綻させる』(清流出版、1680円)
http://www.amazon.co.jp/dp/4860293851/
『オレ様国家 中国の常識』(新潮社、1470円)
http://www.amazon.co.jp/dp/4103290617/
 <宮崎正弘の対談シリーズ>
『2013年の中国を予測する』(石平との対談第三弾 ワック、980円)
http://www.amazon.co.jp/dp/4898316700/
『猛毒国家に囲まれた日本』(佐藤優氏との対談。海竜社、1575円)再版
『増長し無限に乱れる欲望大国、中国のいま』(石平と対談第二弾 ワック、945円)

『絶望の大国 中国の真実』(石平氏との対談シリーズ第壱弾。ワック、933円)
『日米安保、五十年』(西部邁氏との対談。海竜社、1680円)
『世界が仰天する中国人の野蛮』(黄文雄氏との対談。徳間書店、1575円)
http://miyazaki.xii.jp/saisinkan/index.html
 宮崎正弘のホームページ http://miyazaki.xii.jp/
(C)有限会社宮崎正弘事務所 2013 ◎転送自由。転載の場合、出典を明示