革命を盗んだモルシ政権 | 日本のお姉さん

革命を盗んだモルシ政権

<エジプト>岐路の若者運動 設立5年、革命の熱気消え デモ暴力化
毎日新聞 4月8日(月)9時24分配信

エジプトの若者グループ「4月6日運動」のロゴマークの入った横断幕などを掲げながら行進するデモ参加者ら。参加者は少なく、盛り上がりに欠けた=首都カイロで2013年4月6日、秋山信一撮影
 【カイロ秋山信一】2011年のエジプト民衆革命の原動力となった若者グループ「4月6日運動」が、活動開始から5年となる6日、首都カイロでデモを行った。革命後も民主化の推進を求めるデモを続けているが、政党結成など政治に直接的に参加する動きはなく、6日のデモも革命時とは比較にならない小規模なものだった。暴力を伴うことが増えたデモへの嫌悪感が国民に広がっており、デモ主体の運動は岐路に立っている。

 6日夕(日本時間6日深夜)、カイロ中心部に、4月6日運動が計画した反モルシ政権デモの参加者が集まっていた。「革命を盗んだのを覚えているか。忘れているなら、思い出させてやる」。メンバーが政権批判の雄弁をふるうと、参加者が「ダウン、ダウン、(モルシ)政権」とシュプレヒコールを上げた。

 だが集合時間に集まったのは約300人。数万人が広場に結集してムバラク前政権を倒した2年前の熱気とはほど遠かった。参加者も変化を実感しているようで、サイード・ファトヒさん(25)は「周りの人々は、デモにはうんざりしているように感じる」と力なく話した。

 4月6日運動は08年、若者らがインターネットの会員制交流サイト「フェイスブック」上で組織した。グループ名は4月6日に賃上げを要求するストライキを呼びかけたことに由来する。11年の革命後も、暫定統治した軍最高評議会や、12年6月に就任したモルシ大統領に対して、少数派や女性の人権尊重、民主的な憲法の制定などを求めてデモを続けてきた。

 だが革命後はデモ中の暴力などが増えた。メンバーらによると、12年夏ごろからデモ中に女性が性的嫌がらせをされたり、盗難が起きたりするなどの事件が増えたという。治安部隊との衝突も増え、今年1~2月の一連の反政権デモでは約70人が死亡した。4月6日運動はこうした暴力への関与を否定しているが、暴力の停止を呼びかけても止められないなど、自ら企画したデモを制御できていないのも事実だ。

 一方、デモ以外の政治活動は低調だ。昨年の大統領選や人民議会(国会)選に候補者を擁立せず、現時点では政党結成の動きもない。広報担当のハリド・マスリ氏は「完全な民主システムができるまで、監視の立場を続ける」と説明する。

 だが国民の間では、他の野党指導者らと同様に「批判はするが、建設的ではない勢力」との見方が増えている。昨年の人民議会選でも、グループを離れて立候補した元メンバーは軒並み落選した。6日のデモを遠巻きに見ていた無職、ガマル・アハマドさん(60)は「デモをしても意味はない。破壊や混乱をもたらすのは神の意思にも反している」と話した。

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20130408-00000004-maiall-pol