チュウゴクは戦争の用意をしているのに日本は? | 日本のお姉さん

チュウゴクは戦争の用意をしているのに日本は?

習氏自身の言葉「民族復興の夢をかなえるには強大な軍隊が必要だ」

~誰よりも中国を知る男が、日本人のために伝える中国人考~
石平(せきへい)のチャイナウォッチ 
http://www.seki-hei.com
習政権「軍国化」への道

中国の習近平政権は今、
「軍国化」への道を突き進もうとしているもようである。
現在開催中の全国人民代表大会で発表された
2013年の国防予算案が10・7%増となったことは
その「軍国化路線」の一端であるが、
昨年11月に党総書記に就任して以来、
習氏自身がとった一連の言動から見ても、
彼の目指す方向性は実に明確である。

就任以来の数カ月、習氏が口癖のように唱えている
一枚看板のキャッチフレーズは「中華民族の偉大なる復興」である。
それに加えて、彼が「富国強軍」の政策路線を明確に打ち出している。

その場合、往時の中華帝国の復権を意味する
「民族の復興」が習氏の目指す目標であり、
「富国強軍」がそのための手段となっている。

習氏自身の言葉でいえば
「民族復興の夢をかなえるには強大な軍隊が必要だ」ということであるが、
そこにはもはや、以前の胡錦濤政権が標榜(ひょうぼう)していた
「平和的台頭」の面影はない。軍事力崇拝の力の論理だけである。

習氏は軍重視の姿勢を鮮明に示している。
軍事委員会主席に就任して以来のわずか数カ月間、
彼は実に9回にわたって軍の視察を行ったり軍関係の行事に出席したりした。
解放軍の陸・海・空軍部隊からミサイル部隊までこまめに足を運んでいる。

それほど密度の高い軍視察は、
江沢民政権時代や胡錦濤政権時代には見たこともない。
軍への習氏の愛着は格別である。

度重なる軍視察の中で、習氏は一貫として
「軍事闘争の準備を整えよう」との指示を出している。
たとえば2月初旬、彼は内陸部の軍施設を視察した際、
「部隊は『招集されたら直ちに駆け付け、集まったらすぐ戦える状態にし、
戦争には必ず勝利する』よう準備せよ」と、
事実上の臨戦態勢を指示したことが報じられている。

トウ小平時代以来の歴代政権のなかで、
それほどの真剣さで「戦争」を語っている指導者は
習氏をおいて他にはいない。
今は平時であるのに、就任早々の習氏は
すでに「戦時指導者」となっている観である。

まさにこの「戦時指導者」の指導の下で、
当の解放軍は「戦時」への準備を加速化している。
今年1月14日、解放軍の機関紙である「解放軍報」は1面において、
軍の総参謀部が全軍に対し2013年の任務について
「戦争の準備をせよ」との指示を出していたことを報じた。

2月26日、同総参謀部は今度、
中国軍は2013年内に約40回の軍事演習を予定していると発表した。

習近平政権発足以来、
日本の防空識別圏への中国軍機の侵入や
中国海軍によるレーダー照射事件の発生など、
隣国日本に対する中国軍の威嚇行為が
エスカレートしてきたことは明々白々である。

言ってみれば、対内的には戦時体制作りを急ぎながら、
対外的には冒険的な強硬姿勢を強めているのが
今の習近平政権の進める政策路線の両側面である。
それはすなわち、「軍国化」への道そのものなのである。

このような危うい道へと突き進むことは当然、
中国人民にとっての不幸であると同時に、
近隣国にとっての重大な脅威でもある。

習近平氏が、強い軍事力を持つこの巨大国を
一体どの方向へと導いてゆくのか。
われわれは大いなる警戒心を持って、
それを注目していかなければならないのである。

( 石 平 )
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