実をいうと、日本と中国は、去年から「戦争状態」に突入しています。 | 日本のお姉さん

実をいうと、日本と中国は、去年から「戦争状態」に突入しています。

ロシア政治経済ジャーナル No.908
 2013/3/15
北野です。

安倍さんが「中国の罠」にはまりつつあるかもしれません。

詳細は、【本文】で!

★安倍さん、中国の罠にはまらないでください!

全世界のRPE読者の皆さま、こんにちは!

北野です。


今日はお知らせからです。
3月24日渋谷で、日本の「経済神」三橋貴明先生の講演会が開かれます。
日本経済の真実を知りたい方は、ふるってご参加ください。
詳細情報はこちら。↓
http://archive.mag2.com/0000288345/20130313193318000.html

(●集英社インターナショナルの編集者さんが画期的な試みをしています。
詳細は【編集後記】で!)


日本は「TPP」問題で大騒ぎです。

この件については、本当に多くの人が書いているので、私は触れません。

私は、「もう一つの危機」について書きます。


「もう一つの危機ってなんだ!?」


そう、尖閣・沖縄を狙う中国の話。


▼安倍総理、「東京裁判は勝者の断罪」


先日、安倍さんがこんなことをいいました。




<<安倍首相>「東京裁判は勝者の断罪」…米から批判の可能性

毎日新聞 3月12日(火)21時23分配信

 安倍晋三首相は12日の衆院予算委員会で、第二次世界大戦の
戦犯を裁いた極東国際軍事裁判(東京裁判)について「大戦の総括
は日本人自身の手でなく、いわば連合国側の勝者の判断によって
断罪がなされた」と述べた。

首相は第1次内閣で東京裁判を「受諾しており異議を述べる立場に
ない」と国会答弁しており、この方針は維持するとみられる。

しかし東京裁判に懐疑的な見方を示したことには中韓両国などの
ほか、

戦勝国の米国から批判が出る可能性もある。>




皆さん、これどうですか?


左よりの読者さんは、「やっぱり安倍は右翼だ!」と地団駄を踏ん
でおられることでしょう。

保守派の読者さんは、「よくいった!まったくそのとおりじゃないか
!」と思われることでしょう。



さて、RPEの立場はどうか?

私は、安倍総理の発言は、「まったくそのとおりじゃないか!」と思
います。

というか、いつでも「勝者が歴史を書く」のですよ。


最近の例をあげましょう。

03年からのイラク戦争。

開戦理由は、皆さんもご存知のように「イラクには大量破壊兵器が
ある!」「アルカイダを支援している!」でした。

でも、この理由が大うそだったこと、アメリカ自身も認めています。

え?

「証拠見せやがれ!」

見せましょう。




<「米上院報告書、イラク開戦前の機密情報を全面否定

【ワシントン=貞広貴志】米上院情報特別委員会は8日、イラク戦争
の開戦前に米政府が持っていたフセイン政権の大量破壊兵器計画
や、国際テロ組織アル・カーイダとの関係についての情報を検証した
報告書を発表した。>(読売新聞 06年 9月9日)


<「報告書は『フセイン政権が(アル・カーイダ指導者)ウサマ・ビンラ
ーディンと関係を築こうとした証拠はない』と断定、大量破壊兵器計
画についても、少なくとも1996年以降、存在しなかったと結論付け
た>




どうですか、これ?

つまりブッシュは大うそをついてイラクを攻撃した。

それで、全然罪のない民間人を含めて、何十万人もの人を殺した。

この世界に「正義」があるのなら、ブッシュはつかまってさばかれな
ければならない。

でも、実際はどうなったか?


「大量破壊兵器も持たず」「アルカイダとの関係もなかった」

つまり、この件に関しては無罪のフセインは、捕まり、裁判にかけ
られました。

そして06年12月30日、死刑になっています。


ご理解いただけると思いますが、私はフセインの味方ではありま
せん。

確かに彼は独裁者で、自国民を殺したこともあるでしょう。


しかし、それでもアメリカの開戦理由が全部大うそで、殺した数は
フセインよりも米軍の方がはるかに多かったのは事実。

でも、フセインは死刑になり、ブッシュはいまだに元気で暮らして
います。


なぜか?


イラクが負けたからです。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

イラクが負けたから、勝者アメリカが「歴史を書いた」のです。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~


日本だって同じこと。


負けたから、「アメリカが好きな歴史を書いた」のです。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~


「・・・・・・・・・・じゃあ、安倍さんはジャンジャン『歴史の見直し』を
主張すべきじゃないか!」



皆さんこれが今回の話だと思いましたか?

そうではありません。


▼今世界で起こっていること ~ 日中情報戦


実をいうと、日本と中国は、去年から「戦争状態」に突入しています。

「そんな大げさな!」


確かに実際の戦闘はまだ起こっていませんが、その前段階


【情報戦】


ははじまっています。

昔からの読者さんは、しょっちゅう同じ話で申し訳ありません。

しかし、新しい読者さんもたくさんいますし、大切なことは忘れない
ように何度も何度も復習することが大事です。

で、「どんな情報戦」なのか?

構図もはっきりしています。

中国は現在、こんなプロパガンダをしている。


1、日本は再び、「右傾化」「軍国主義化」している

2、その証拠に、日本はロシア、韓国の領土を要求している

(↑↓これ私の意見ではなく、中国のプロパガンダです。念のため)

3、そして、中国固有の領土である、尖閣諸島支配をつづけている


4、だから、中国、【アメリカ】、ロシア、韓国は一体化して、

【反日統一戦線】を構築しなければならない!!!


「ウソだ!」と思われる方は、こちらを熟読してください。

100%ホントです。

http://archive.mag2.com/0000012950/20121118015324000.html
【超衝撃】中国、【反日統一戦線】を【アメリカ】、ロシア、韓国によび
かける




これに対し、日本はどういうプロパガンダをしているか?

安倍総理は、「民主主義セキュリティーダイヤモンド」という論文
の中で、以下のことを明確に語っておられます。



1、日本は、(中国の主張する軍国主義国ではなく)

成熟した民主主義国家である!


2、中国は、「世界の脅威」である!


3、だから、日本は、欧米印豪東南アジアと一つになり、この脅威
に対抗していかなければならない!


安倍論文の詳細については↓
http://archive.mag2.com/0000012950/20130118093824000.html



この論文は私にとってうれしい驚きでした。

それまで、正直いうと、「安倍さんは中国の罠にバリバリはまるの
ではないか?」と心配していた。

この論文を読んで、「ああ、わかっておられるのだな~」と思い、以
後、「安倍さん支持」の気持ちを強くしたのです。



そして、安倍さんは2月に訪米。

以下のような成果をあげました。



1、民主党政権でボロボロになった日米関係は修復された

2、それで中国は、「尖閣」「沖縄」侵略が難しくなった

3、アメリカは、「アベノミクス」容認の姿勢を鮮明にした

4、アメリカは、「日本経済を生かすことも殺すこともできる」

5、アメリカが「日本経済復活」を認めたということは、日本経済が
実際に復活する可能性がかなり高くなったということである



訪米の成果について、詳細はこちら↓
http://archive.mag2.com/0000012950/20130226145042000.html



安倍さんのおかげで、


・日米同盟が強化され、中国の尖閣・沖縄侵略が難しくなった

・景気が明らかによくなっている


わずか数ヶ月でこの成果。

「これ以上ないほど、すばらしい内閣である」と、多くの人は感じて
いることでしょう。

しかし・・・。



▼安倍発言をアメリカはどうとらえる?


すべてがうまくまわりはじめていたときに、この発言。




<<安倍首相>「東京裁判は勝者の断罪」…米から批判の可能性

毎日新聞 3月12日(火)21時23分配信

 安倍晋三首相は12日の衆院予算委員会で、第二次世界大戦の
戦犯を裁いた極東国際軍事裁判(東京裁判)について「大戦の総括
は日本人自身の手でなく、いわば連合国側の勝者の判断によって
断罪がなされた」と述べた。

首相は第1次内閣で東京裁判を「受諾しており異議を述べる立場に
ない」と国会答弁しており、この方針は維持するとみられる。

しかし東京裁判に懐疑的な見方を示したことには中韓両国などの
ほか、

戦勝国の米国から批判が出る可能性もある。>



中国の指導者たちは、「日本がついに罠にかかった!!!」と
大喜びしたことでしょう。

早速、日本を非難しています。



<安倍発言「戦後秩序への挑戦」=「歴史反省」促す─中国

時事通信 3月13日(水)18時18分配信

 【北京時事】中国外務省の華春瑩・副報道局長は13日の記者会見
で、安倍晋三首相が極東国際軍事裁判(東京裁判)について「勝者
の判断で断罪された」と発言したことに対し、「日本国内には大戦の
失敗を受け入れず、戦後の国際秩序への挑戦を企てる勢力がある」
と批判した。

 華副局長は「(東京裁判は)国際社会が日本の軍国主義に対し行
った正義の審判であり、戦後の国際秩序の重要な基盤をつくった」と
主張。

「日本は歴史を直視し、深刻に反省してこそ、アジアの隣国との関係
を良くすることができる」と強調した。 >




「まあ、中国は毎日日本を批判しているから・・・」

そのとおり。

だから、中国がどう思おうが知ったこっちゃない。

しかし、問題はアメリカがどう思うかです。


安倍さんは、要するに「東京裁判」は「正当じゃない!」といっ
てるわけです。

その気持ちはわかるんですが、その歴史を書いたのは


「アメリカ合衆国」
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

なのですよ。



要するに、安倍さんは、



「日本は悪くない。悪いのはアメリカだ!」
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~


といっている。


気持ちはわかりますが、アメリカ政府はどう思うでしょうか?



「安倍は、『民主主義アジアセキュリティーダイヤモンド構想」だとか

『ジャパン・イズ・バック』とかいっているが、

本音ではアメリカを憎んでいるじゃないか!

結局、あの論文も、あの演説も、アメリカを対中国で利用するため
の詭弁じゃないのか?!」



こんな風に感じるのではないでしょうか?


では、国会での質問にどう答えればよかったのでしょうか?

実は安倍さんは、上の発言のあとにこんなことをいっています。



<ただ一方で「歴史に対する評価は専門家に委ねるべきだ。

政府が研究を行い意見を述べることは外交問題に発展する可能性も
ある」と強調。

政府による大戦の総括は行わない考えも示した。>(同上)



ご自身の意見を全部いった後、「政府は意見を述べない」という。

変な感じですね。

そうじゃなくて、「東京裁判」云々いわずに即座に



「歴史に対する評価は専門家に委ねるべきだ。

政府が研究を行い意見を述べることは外交問題に発展する可能性も
ある」



といえばよかったんです。

また、安倍さんは米紙とのインタビューでこんな発言もされています。



<新談話、歴史に立ち入らぬ=安倍首相「未来語る」─
米紙インタビュー

時事通信 2月21日(木)10時11分配信

 安倍晋三首相は21日付の米ワシントン・ポスト紙のインタビュ
ーで、1995年の村山富市首相談話を踏まえて発表したいとして
いる「安倍談話」について、


「歴史認識に立ち入るべきではなく、
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
政治家は未来を語るべきだ」
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

と述べ、歴史認識の見直しには踏み込まない考えを示唆した。>




アメリカでは「歴史認識に立ち入らない。未来を語る」といい、日本
では、「東京裁判はおかしい!」という。

これでは、アメリカの信頼は得られないでしょう。



▼日本と米中関係はどうあるべきか?


ここまで読まれて、


「北野はアメリカの顔色ばかり伺う、従米隷属派だ!!!」


とムカつかれた人もいるでしょう。

そう思われる気持ちもわかります。

しかしつづきを是非お読みください。



第1に中国は、「尖閣、沖縄は中国固有の領土だ!」と宣言している。

そして、領海侵犯、領空侵犯を繰り返し、日本から攻撃させるように挑発を繰り返している。

これは要するに、「いつ戦争になっても構わない」ということです。


さて、事実として今の日本は、「アメリカからの支援なしで勝てるのですか????」

答えは「勝てっこない!」です。

通常兵器の戦いなら勝てる可能性はありますが、最後に「核」で脅されたら???

そうであるのなら、今この時期に「アメリカがつくった歴史はおかしい!」なんて発言し、わざわざ日米関係を悪くする必要などないのです。



第2に、アメリカの書いた歴史は、アメリカだけが書いた歴史ではない。

戦勝国、つまりアメリカ、イギリス、ソ連、中国が書いた。

そして、韓国、北朝鮮も満足している。


日本が、(公式に求めなくても)「歴史見直し」に言及することで、


中国の思惑どおり、アメリカ、イギリス、ロシア、中国を全部敵にまわしてしまう可能性が高い。



だから、安倍さんは米紙とのインタビューで発言されたように、


「未来を語る」


べきなのです。


そして、保守派の皆さんも、「日本と中国は現在熾烈な情報戦」を繰り広げていると理解していただきたいと思います。

「歴史の見直しを求めることは、【中国の思う壺】だ!」と大局的に見て、

安倍さんの苦しい立場をくんで、支えていただきたいと思います。





「もし、プーチンが日本の首相だったら?」



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●「プーチン最後の聖戦」 (集英社インターナショナル)

(詳細は→ 
http://tinyurl.com/8y5mya3  )



<プーチン本はいろいろ出ているが、これが独特で面白い。>

(立花隆 「週刊文春」2012年7月12日号)


★ドイツ在住末政さまからのおたより


北野様

ドイツ、ブレーマーハーフェンの末政です。

大変遅くなりましたが、北野様がお書きになられた


「日本が【エネルギー超大国】になれる【4つ】の理由」


をテーマに取り上げました。

例によって、長いメールマガジンですが、転送いたしますのでご確
認ください。

本当に日本が「エネルギー大国」になれる日が早く来ると嬉しいで
すね。

http://archive.mag2.com/0000120874/index.html

(●北野から
ドイツ在住末政さんのメルマガは、世界情勢、特に欧州の情勢を知りたい方必読です。是非ご一読ください。↓
http://www.mag2.com/m/0000120874.html   )

★編集後記
「プーチン最後の聖戦」を担当してくださった集英社インターナショナル
のIさん。
その後は、パルバースさんの「宮沢賢治本」を担当されました。
Iさんは、「本のPVをつくる」という新しい試みをされていて、とても高品質の作品をつくっておられます。
たとえばこちら。

http://www.youtube.com/watch?v=CkIiEEYO6Fg

美しい・・・。
本のイメージにピッタリですね。
RPEジャーナル
北野幸伯
◎ロシア政治経済ジャーナル のバックナンバーはこちら
http://archive.mag2.com/0000012950/index.html