中国の大気汚染物質PM2.5で糖尿病になる?! | 日本のお姉さん

中国の大気汚染物質PM2.5で糖尿病になる?!

大阪は、土曜日、日曜日と晴れてはいるがちょっと向こうの山並みも見えないほどの汚い空気だった。今朝も同じような状態。

この汚さは異常だ。黄砂なのか、PM2.5なのか、その複合体なのか。


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中国の大気汚染物質PM2.5で糖尿病になる?!
(更新日:2013年02月20日)
中国から飛来する大気汚染物質の微小粒子状物質(PM2.5)が2型糖尿病の一因になりそうだと言うと、さぞ時流に便乗した人騒がせな記事だと思うでしょうが、実は2009年頃からこの問題は欧米の多くの医学誌で集中的に取り上げられていたのです。

生活習慣だけでない? 糖尿病の環境要因

肥満があるとPM2.5の影響を強く受けるようです。
(c)KAWAI Katsuyuki 2010.
2型糖尿病に関する研究は遺伝子と肥満に集中していて、特に過食と運動不足の生活習慣病の面のみが大きく取り上げられてきました。しかし公害防止などの環境改善が伴わない中国やインドでの人口の都市化が2型糖尿病の急増をもたらしていることから、研究者の関心が飲料水や大気汚染にも向けられるようになりました。


大気汚染が強い地域の住民は自然環境のよい所の住民と比べて喘息(ぜんそく)や肺疾患が多くなるのは容易に理解できますが、よく調べてみると大気汚染が強い地域では意外にも心血管病で早死にする人が多かったのです。そして、それが浮遊粒子状物質(PM)と強い相関がありました。

大気中の浮遊粒子状物質は、直径が0.001から100マイクロメーターまでの実に多様のサイズがありますが、主に自動車の排気ガスと木や石炭の煙、製鉄工場や鉱石の精錬所などの工場から排出される微小粒子状物質(直径0.1-2.5マイクロメーター、つまりPM2.5)が問題になっているのは、微小ゆえに肺の奥深く入り込んで血液に混じり、体中を循環する可能性があるからです。


健康の疫学研究は長期にわたって調べるのが常ですが、大気の浮遊粒子状物質については短期かつ局所でも得られたデータがあります。


例えば米国のユタ州の研究では、地方の製鉄工場が13ヵ月間操業を停止したところ、その地方の死亡率が3.2%低下しました。また、ダブリン(アイルランド)では石炭の利用を全面禁止して浮遊粒子状物質を減らしたら、全死亡率が5.7%低下しました。

大気汚染で悪化? 糖尿病にみられる慢性炎症性、過剰炎症
2009年に米国心臓病協会発行の医学誌「Circulation 2009;119:538-546」に『大気汚染が、食餌による肥満マウスの脂肪組織炎症とインスリン抵抗性を増大させる』という論文が発表されました。


(米)オハイオ州立大学、Davis Heart and Lung Research InstituteのSun Q.医師らの研究チームが発表したものですが、2013年の今日までに別の24誌に引用されている注目度の高い論文です。


まさしく、高脂肪食による肥満と、米国の多くの都市で出会うレベルでのPM2.5とで全身のインスリン抵抗性が起こることをマウスによる実験で確かめました。

糖尿病が炎症と深く関わっていることを当サイトの記事でもう一度確認してください。


炎症から糖尿病に? 抗炎症薬でA1Cが低下!
糖尿病は慢性炎症!その炎症を鎮める理想食は?

Sun Q.医師らの実験は健康なマウスに高脂食を与えて太らせながら、米国の都市並みのPM2.5に6ヵ月さらしたものです。


結果として脂肪組織に炎症が起こってインスリン抵抗性が増しました。


脂肪組織に貪食細胞のマクロファージが増えて炎症マーカー(インターロイキン6やC-reactive protein)が強くなったのです。


興味深いことに、PM2.5にさらすことで脂肪組織のマクロファージのM1とM2のバランスが崩れました。

体に侵入した病原体や死んだ好中球を貪食するM1マクロファージが増えて、壊れた組織を修復するM2マクロファージが減ったのです。

最新の研究では炎症は肺から始まって他の組織に伝わるようにも見えますが、肺疾患とは独立してPM2.5にさらすことで心血管病による死亡がハイレベルになることが報告されています。

ところで、前記のSun Q.らの研究では、なぜか太っていないマウスでは、PM2.5にさらしてもインスリン抵抗性に変化がなかったのです。

原因は不明ですが、PM2.5は肥満者により強い影響を与えるようです。

昨年の糖尿病学術誌に大気汚染と2型糖尿病のメカニズムの解明が載っていましたから、いずれ専門医から説明があるでしょう。

ハーバード大学らの研究者からなるボストン小児病院(米)のJohn F. Peasonらの研究チームも、成人の糖尿病とPM2.5による大気汚染との間の、一貫性のある相関関係を明らかにした論文を発表しています。[Diabetes Care, 33, october 2010, 2196-2201]

これは(米)環境保護局が発表した全米各地のPM2.5の時系列の濃度と、(米)疾病対策センターが発表した同時期の糖尿病有病率マップを重ねあわせて、糖尿病リスクである肥満、運動不足、緯度(寒暖、日照時間)、民族性、人口密度(都市化)など、考えうる因子を補正してもPM2.5濃度と糖尿病有病率が相関する結果がでたのです。


PM2.5濃度が10μg/m3高くなるごとに糖尿病有病率が1%上昇していました。

PM2.5濃度に差があった2004年と2005年のデータでも同様の結果が得られました。
ただし、これは個人がPM2.5にさらされた時間のデータがありませんから、因果関係を証明するものではありません。

基本的な糖尿病の炎症のメカニズムとPM2.5の役割を含む糖尿病の環境要因の研究が進展するでしょう。
http://focus.allabout.co.jp/gm/gc/408848/?from=dailynews.yahoo.co.jp


毒性の強いヒ素が地下水の70%に含まれているインドやバングラデシュ、さらに台湾、メキシコなどの研究からヒ素と2型糖尿病の関連が浮び上がってきましたが、同様に大気汚染が寿命や健康に及ぼす悪影響も具体的に分かってきました。