日本って、こんないい加減な国だったっけ?東電のせい?官僚のせい?法律の不備のせい?
双葉町職員>12日間「放射能まみれ」…警戒区域の捜索
毎日新聞 3月13日(水)2時32分配信
ある職員の足取り
福島県双葉町の職員3人が警戒区域での行方不明者捜索に立ち会った際、不十分な装備のまま線量計も装着せず、被ばく線量の記録もない状態に置かれていた。11年4~5月に12日間にわたり警戒区域で作業した男性職員(41)が詳細を語った。【袴田貴行】
【警戒区域内で防護服を身につけ、行方不明者を捜索する警察官の姿も】福島第1原発事故 線量計持たず捜索活動 双葉町職員、警戒区域で--11年4~5月
男性職員は東日本大震災から約1カ月後の4月19日、上司から「行方不明者の捜索が始まるので、とりあえず行ってくれ」と言われ、同21日に役場機能が避難していた埼玉県加須市を公用車で出発。遺体安置所だった福島県相馬市の工場跡地にかっぱ姿で立ち寄った際、居合わせた警官に「そんな格好じゃダメだ」と言われ、余っていたLLサイズの防護服を分けてもらい、翌日から警戒区域で捜索に立ち会った。
初日の22日は午前9時ごろ警戒区域内にある浪江町高瀬地区の集合場所に到着。警察や消防の職員、重機を動かす建設業者ら約130人が集結していた。いずれも防護服と長靴、放射性物質防護用マスクとゴーグルに二重手袋などの完全防備。胸元の線量計は、上からガムテープで固定されていた。
一方、男性職員は前日譲られたぶかぶかの防護服のほかはゴーグルもなく、長靴と風邪用のマスクに軍手1枚だけ。線量計も持たされていなかった。県警の指揮隊長からは「えっ、そんなんで来たの?」と驚かれたという。
その日は東京電力福島第1原発から約2.5キロの双葉町中野地区で捜索があり、付近で公用車で待機。震災前は住宅や松林で原発は見えなかったが、津波で遮蔽(しゃへい)物が全て流され、排気筒がくっきり見えた。行方不明者は見つからず、昼にコンビニエンスストアで買ったおにぎりを車内で食べ、午後3時半ごろ警戒区域を出た。
捜索で出てきた位牌(いはい)やアルバムなどの流失物は公用車の中に積んでいたが、5日ほどで満杯になり、双葉町役場の倉庫に移した。着用済みの防護服は捨て場所が見つからず、おにぎりを買った際のポリ袋に入れて車の助手席に置いていた。男性職員は「放射性物質の知識が何もなかった。今思えば放射能まみれですよ」と肩を落とす。
11年7月になって住民の一時帰宅が始まり、添乗する職員の被ばく線量を総務課が管理することになった。その際、「そういえばあの3人は……」と一時、男性職員らの「線量計不携帯」が取り上げられそうになったが、追跡調査などが行われることはなかった。
男性職員は今年2月6日、県警双葉署を訪れ、男性とほぼ同時期に警戒区域に入って行方不明者の捜索に当たった警察官の外部被ばく線量を尋ねた。11年4月10~20日に警戒区域に入った警察官の外部被ばく線量は毎時0.05~0.13マイクロシーベルトの間だったという。一般人の年間被ばく線量限度の1ミリシーベルトを毎時換算すると、0.23マイクロシーベルトのため、極端に高い放射線量ではなかった。
男性は「あの時はとにかく無我夢中で(放射線の管理まで)気が回らなかった。きちんと事後の追跡調査をしてもらいたい」と話している。
毎日新聞 3月13日(水)2時32分配信
ある職員の足取り
福島県双葉町の職員3人が警戒区域での行方不明者捜索に立ち会った際、不十分な装備のまま線量計も装着せず、被ばく線量の記録もない状態に置かれていた。11年4~5月に12日間にわたり警戒区域で作業した男性職員(41)が詳細を語った。【袴田貴行】
【警戒区域内で防護服を身につけ、行方不明者を捜索する警察官の姿も】福島第1原発事故 線量計持たず捜索活動 双葉町職員、警戒区域で--11年4~5月
男性職員は東日本大震災から約1カ月後の4月19日、上司から「行方不明者の捜索が始まるので、とりあえず行ってくれ」と言われ、同21日に役場機能が避難していた埼玉県加須市を公用車で出発。遺体安置所だった福島県相馬市の工場跡地にかっぱ姿で立ち寄った際、居合わせた警官に「そんな格好じゃダメだ」と言われ、余っていたLLサイズの防護服を分けてもらい、翌日から警戒区域で捜索に立ち会った。
初日の22日は午前9時ごろ警戒区域内にある浪江町高瀬地区の集合場所に到着。警察や消防の職員、重機を動かす建設業者ら約130人が集結していた。いずれも防護服と長靴、放射性物質防護用マスクとゴーグルに二重手袋などの完全防備。胸元の線量計は、上からガムテープで固定されていた。
一方、男性職員は前日譲られたぶかぶかの防護服のほかはゴーグルもなく、長靴と風邪用のマスクに軍手1枚だけ。線量計も持たされていなかった。県警の指揮隊長からは「えっ、そんなんで来たの?」と驚かれたという。
その日は東京電力福島第1原発から約2.5キロの双葉町中野地区で捜索があり、付近で公用車で待機。震災前は住宅や松林で原発は見えなかったが、津波で遮蔽(しゃへい)物が全て流され、排気筒がくっきり見えた。行方不明者は見つからず、昼にコンビニエンスストアで買ったおにぎりを車内で食べ、午後3時半ごろ警戒区域を出た。
捜索で出てきた位牌(いはい)やアルバムなどの流失物は公用車の中に積んでいたが、5日ほどで満杯になり、双葉町役場の倉庫に移した。着用済みの防護服は捨て場所が見つからず、おにぎりを買った際のポリ袋に入れて車の助手席に置いていた。男性職員は「放射性物質の知識が何もなかった。今思えば放射能まみれですよ」と肩を落とす。
11年7月になって住民の一時帰宅が始まり、添乗する職員の被ばく線量を総務課が管理することになった。その際、「そういえばあの3人は……」と一時、男性職員らの「線量計不携帯」が取り上げられそうになったが、追跡調査などが行われることはなかった。
男性職員は今年2月6日、県警双葉署を訪れ、男性とほぼ同時期に警戒区域に入って行方不明者の捜索に当たった警察官の外部被ばく線量を尋ねた。11年4月10~20日に警戒区域に入った警察官の外部被ばく線量は毎時0.05~0.13マイクロシーベルトの間だったという。一般人の年間被ばく線量限度の1ミリシーベルトを毎時換算すると、0.23マイクロシーベルトのため、極端に高い放射線量ではなかった。
男性は「あの時はとにかく無我夢中で(放射線の管理まで)気が回らなかった。きちんと事後の追跡調査をしてもらいたい」と話している。
除染作業員:被ばく情報、集約されず 業者に指示徹底なく
毎日新聞 2013年03月04日 02時30分
原発作業と国直轄除染の被ばく線量管理の違い
福島第1原発周辺で環境省が行う国直轄の除染で、作業員ごとの被ばく線量データベース作成を担う公益財団法人「放射線影響協会」(放影協)にデータが全く届いていないことが分かった。
作業員を雇った事業者が放影協へデータを送るよう、同省が放影協と昨年合意した一方で、事業者への指示を徹底していないためだ。除染に関する線量管理が野放し状態になっている実態の一端が浮かんだ。
除染作業員の線量管理に関し労働安全衛生法の規則は、事業者に記録・保存を義務付けるが、そのデータを集約し一元管理する仕組みはない。
除染作業員の線量管理に関し労働安全衛生法の規則は、事業者に記録・保存を義務付けるが、そのデータを集約し一元管理する仕組みはない。
作業員が複数の除染事業者の下で働く場合、線量を通算することができず、法定上限(1年間50ミリシーベルト、5年間100ミリシーベルト)を超す恐れもある。
原発作業員の線量は業界の自主ルール「被ばく線量登録管理制度」で、放影協の放射線従事者中央登録センターがデータベースを作り一元化。1人1冊持つ「放射線管理手帳」に事業者が線量を記入し、同じ数値データを電力各社がセンターに送る仕組みだ。
環境省は昨年5月、除染事業を受注するゼネコンなどと結ぶ共通の契約書を作り、手帳は「可能な限り(作業員に)取得させなければならない」と明記した。
原発作業員の線量は業界の自主ルール「被ばく線量登録管理制度」で、放影協の放射線従事者中央登録センターがデータベースを作り一元化。1人1冊持つ「放射線管理手帳」に事業者が線量を記入し、同じ数値データを電力各社がセンターに送る仕組みだ。
環境省は昨年5月、除染事業を受注するゼネコンなどと結ぶ共通の契約書を作り、手帳は「可能な限り(作業員に)取得させなければならない」と明記した。
放影協は一元管理のため同省に、作業員の離職時などに事業者がデータをセンターに送るよう求め、同省も同意した。だが、データは一件も届いていない。
国直轄除染は11年12月以降10市町村で25事業に着手、18事業を終えた。11?12年の福島県大熊町でのモデル除染(約3カ月)では、年間法定限度の4分の1近い11.6ミリシーベルト被ばくした作業員もいる。
被ばく労働に詳しい東大大学院の縄田和満教授は「除染での被ばく線量を国は正確に把握する必要があり、労働者にとっては労災申請の際に不利になる。現在の枠組みで対応できないのなら、国が新制度を作るべきだ」と指摘する。【関谷俊介】
【ことば】被ばく線量登録管理制度
複数の原発で働く作業員の線量管理を目指し1977年にできた。放射線管理手帳と、放射線従事者中央登録センターのデータベースが両輪。手帳紛失や事業者の廃業があっても、センターに照会すれば生涯の線量が分かる。
東京電力:被ばく線量記録未提出 原発作業員2万人分
毎日新聞 2013年02月28日 11時51分(最終更新 02月28日 12時39分)
東京電力が福島第1原発事故後に働いた作業員2万人超の被ばく線量の記録を、一元管理する公益財団法人「放射線影響協会」(放影協)に提出していないことが28日分かった。事故から2年たっても、作業員の被ばく線量の正常な管理がされていない実態が浮かんだ。
被ばく線量は電力会社が測定し、作業員個人の放射線管理手帳に元請けや下請け会社が記入。電力会社は電子化したデータを放影協の放射線従事者中央登録センターに送り、一元管理される。ただ、センターへの報告は法令で定められたものではなく、業界の自主ルールだという。
電力会社や雇用主は作業員の被ばく線量を測定し、年間50ミリシーベルト、5年で100ミリシーベルトを超えないようにしなければならない。作業員が新たに原発での仕事に従事する際には、手帳で線量を確認する。センターのデータは、手帳の記載内容を照会する場合や、手帳を紛失した際の再発行で使われる。放影協によると、電力各社からの照会は年7万?10万件。
電力各社は毎年5?6月ごろに前年度分の被ばく記録を提出する。東電からは11年6月ごろ、10年度分の提出が遅れると放影協に連絡があった。12年7月に、10年度分のうち3月11日の事故前までの記録は提出されたが、同年度の事故後と11年度の2万人超の分は未提出のままになっている。
東電は遅れた理由を「紙で記録を管理していたため、電子データにするのに手間取った」と釈明。未提出分は今年度中に出すとしている。【岡田英、西川拓】
http://mainichi.jp/select/news/20130228k0000e040182000c.html
除染被ばく管理:手帳なくマスクも自前…「デタラメ横行」
毎日新聞 2013年03月04日 15時00分
福島県の男性は管理手帳をもらっていない。手元にあるのは広野町の除染後に受けた内部被ばく測定結果の紙切れだけだ=福島県郡山市で、関谷俊介撮影
環境省が事業者への指示を徹底せず、作業員の被ばく線量データが公益財団法人「放射線影響協会」(放影協)に全く届いていない福島第1原発周辺の国直轄除染。
「野放し」とも言える現状に、将来の健康不安を抱える作業員たちは「現場ではデタラメが横行している。国がきちんと指導してほしい」と訴える。
福島県の男性(60)は昨年10月から約1カ月、田村市で環境省直轄の除染に従事した。雇用主である埼玉県の業者は3次下請け。支給品はなく、自分で買った市販のマスクを付け草刈りをした。業者から離職時には放射線管理手帳は渡されず、外部被ばく線量の告知もなかった。線量データが放影協に送られた形跡もない。手帳の交付は環境省が事業者に求めており、線量告知は労働安全衛生法の規則が被ばく上限値とともに定めている。
この業者を巡っては、男性ら20人以上が同様の扱いを受けたと主張。業者は取材に「手帳の手続きは順次進めている。線量管理は担当者が辞めたため調査中だ」と回答した。
男性は昨年1?3月には広野町でも別の会社で町発注の除染事業に従事。やはり線量は知らされていない。「一体どのくらい被ばくしたのか分からない」と訴える。
同省直轄除染に昨年から従事する秋田県の男性(48)は「個人事業主」扱いで下請け会社と契約を結ばされた。労働者ではないため労安法の保護対象外だ。「デタラメが横行しているのに、会社は形だけ取り繕い国の指導は全然行き届いていない」と憤る。
「野放し」の背景に縦割り行政がある。
労安法は厚生労働省所管で「一義的には労働局の話」と環境省福島環境再生事務所の幹部。
福島労働局は、線量を記録する放射線管理手帳に関し「所管外で、事業者に取得を指導していない」。
両者のはざまで、作業員の被ばく管理は宙に浮いている。【関谷俊介】
http://mainichi.jp/select/news/20130304k0000e040189000c.html
同省除染チームは、データ送付は「放影協と事業者の間で、やり取りがなされることになっている。環境省から事業者に詳細な指示はしておらず、対応を任せている」と説明。一方、放影協は「手帳とデータ送付は一元管理のために不可分。事業者への要請を環境省にお願いしている」と話す。電力会社などが費用を分担する民間の制度で、法的拘束力はない。
http://mainichi.jp/select/news/20130304k0000m040103000c.html