日本はイスラエルの会社にチュウゴクに技術を売るなとお願いしないと!
自衛隊は今後、米国技術もたっぷりと吸った中国軍の“イスラエル流兵器”と対峙(たいじ)する
【軍事情勢】中華とユダヤの「対日同盟」
配信元:
2013/01/27 00:23更新
中国人民解放軍における事実上の主力戦闘機J(殲(せん))-10などが1月10日、わが国領空へ異常接近した。
J-10は、中国空軍の翼章「黄色く縁取った赤い星」を付けていたはずだ。
だが「赤い星」は小欄の頭の中で「白い円に青いダビデの盾(星)」へと姿を変えていった。
「青い星」はイスラエル国防軍航空宇宙(空)軍の翼章である。
J-10にはイスラエル空軍の「血」が混ざっていると、分析されてきたためだろう。
■バックチャンネルを活用
イスラエルによる対中兵器援助協議は1970年代後半に幕が上がった。
イスラエルとアラブ寄りの中国の接近は、60年代中頃以降の「中ソ対立」と70年代の「米中接近」が後押しした。
兵器取引は拡大し続け、92年の外交関係樹立を契機にスピンが掛かっていく。
外交関係がないにもかかわらず、兵器を取引したということ。
両国による「バックチャンネル」の活用は間違いあるまい。
バックチャンネルとは、外交関係樹立や軍事条約締結前の、諜報機関同士による「裏口」を使った国家間調整を指すインテリジェンス用語。
対中取引協議開始の少し前の77年、イスラエルは敵対するエジプトとも平和条約(署名・発効79年)を視野に、バックチャンネルによる意思疎通から始めている。
取引拡大のもう一つのテコは89年の天安門事件だった。
事件を契機に、ソ連封じ込めを策し、対中兵器輸出を拡大していた米国やEU(欧州連合)は対中禁輸に踏み切った。
逆に、国交樹立前で、EU加盟国でもないイスラエルの、中国武器市場でのシェアは拡大。
今や、ロシアに次ぎ2位に躍り出た。
しかし、イスラエルの兵器には米国技術がかなり入り込んでおり、第三国への「転売」に米国は神経をとがらせてきた。
「特別な関係」と言われるほど緊密な両国だが、不協和音を奏(かな)でた時期が度々あった。
例えば、イスラエルは湾岸戦争(90~91年)中、イラク軍が発射するミサイルの迎撃に向け、米国製地対空ミサイルを配備した。
ところが戦後、ミサイルの技術、あるいは部品が対中移転された疑惑が浮上した。
■イスラエルに苛立つ米国
J-10の話に戻る。イスラエルはラビ戦闘機を試作し、86年に初試験飛行させた。
だが、独自戦闘機技術確立を懸念した米国が、ラビへの技術支援を打ち切ったことで翌年、計画は中止となった。
このラビの開発技術者が、J-10開発に一役買うべく中国に渡ったとされる。
ラビは米軍のF-16戦闘機の技術も導入されたから、米国の一部技術が中国に移転されたとも言い換(か)えられる。
米国は次第に、イスラエルに苛立(いらだ)ちを覚える。
飽和状態に達したのは99年。
この年、イスラエルの軍需企業が、露製輸送機にイスラエル製高性能レーダー・システムを取り付け、早期警戒管制機として対中輸出を強行しようとしたため、米国は公然と圧力をかけ始めた。
イスラエル側より矢継ぎ早に折衷案が、米国側に投げられた。
特にエフード・バラク首相(70)の発言には驚いた。
「有事では、中国軍の早期警戒管制機を無力化する」
システム内部に、その種の遠隔装置を埋め込んでいたとも想像できる。
結局2000年、米国が指定した中国を含む4カ国とイスラエルが兵器取引を行う際は、事前協議を義務付けることで決着した。
その間、米国からイスラエルへの様々(さまざま)な兵器・軍需関連物資が差し止めになった。
米議会も軍事・経済援助凍結を示唆し、断固たる姿勢を見せた。
イスラエルも、米国以外からの兵器輸入や軍需・衣料分野での輸入凍結を臭(にお)わせ対抗した。
最終的に、イスラエルが折れたのは「パレスチナ問題」で米国の後ろ盾が必要なため。
裏返して言うと、イスラエルにとり「中国との兵器取引」は、「対米関係」や「パレスチナ問題」と、一旦でも比べてみるほど価値のある重要課題ということになる。
■イランへの転売の危険も
ただ、中国への良質な兵器輸出は、イスラエルと常に一触即発の敵対関係にあるイランやシリアへの転売の危険をはらむ。
核や弾道ミサイルの技術を始め、多様な兵器が中国から両国に流れているのは公然の秘密なのだ。
イスラエルの一見不可解な対中兵器取引の狙いは次の3点とみられる。
(1)中東和平交渉でアラブ・パレスチナ側に立つ中国を、イスラエル側に寄らせる
(2)兵器取引により中国に影響力を持つことで、兵器の第三国転売に注文を付けられる
(3)国内需要の限界。
ところで、イスラエルはIT製品やバイオテクノロジーを用いた農業技術、海水淡水化プラントなどを中国に輸出、第3位の貿易相手国へと昇華した。
民生品貿易拡大は、さらなる軍需製品貿易拡大の起爆剤となる。
実際、米国が警戒し始めたイスラエル自前の高度技術を織り込んだ無人攻撃機や通信衛星、対レーダー兵器に関する対中供与が疑われている。
イスラエルは自らの生存・国益のためなら「特別な関係」にある米国の目をかすめてでも、対中兵器(技術)供与を謀(はか)る。
対米関係を損なう度に、イスラエルは対中兵器輸出を控えてきたが、一時的な自粛に過ぎない過去は、そうした現実を物語る。
しかも、米国内における、イスラエルと中国のロビー工作は凄(すさ)まじく、最短期間での関係修復へとこぎ着ける。
自衛隊は今後、米国技術もたっぷりと吸った中国軍の“イスラエル流兵器”と対峙(たいじ)する危機を迎える。
その性能は、これまでの露製中国兵器の比ではない。
(政治部専門委員 野口裕之/SANKEI EXPRESS)
http://www.iza.ne.jp/news/newsarticle/world/america/625312/
配信元:
2013/01/27 00:23更新
中国人民解放軍における事実上の主力戦闘機J(殲(せん))-10などが1月10日、わが国領空へ異常接近した。
J-10は、中国空軍の翼章「黄色く縁取った赤い星」を付けていたはずだ。
だが「赤い星」は小欄の頭の中で「白い円に青いダビデの盾(星)」へと姿を変えていった。
「青い星」はイスラエル国防軍航空宇宙(空)軍の翼章である。
J-10にはイスラエル空軍の「血」が混ざっていると、分析されてきたためだろう。
■バックチャンネルを活用
イスラエルによる対中兵器援助協議は1970年代後半に幕が上がった。
イスラエルとアラブ寄りの中国の接近は、60年代中頃以降の「中ソ対立」と70年代の「米中接近」が後押しした。
兵器取引は拡大し続け、92年の外交関係樹立を契機にスピンが掛かっていく。
外交関係がないにもかかわらず、兵器を取引したということ。
両国による「バックチャンネル」の活用は間違いあるまい。
バックチャンネルとは、外交関係樹立や軍事条約締結前の、諜報機関同士による「裏口」を使った国家間調整を指すインテリジェンス用語。
対中取引協議開始の少し前の77年、イスラエルは敵対するエジプトとも平和条約(署名・発効79年)を視野に、バックチャンネルによる意思疎通から始めている。
取引拡大のもう一つのテコは89年の天安門事件だった。
事件を契機に、ソ連封じ込めを策し、対中兵器輸出を拡大していた米国やEU(欧州連合)は対中禁輸に踏み切った。
逆に、国交樹立前で、EU加盟国でもないイスラエルの、中国武器市場でのシェアは拡大。
今や、ロシアに次ぎ2位に躍り出た。
しかし、イスラエルの兵器には米国技術がかなり入り込んでおり、第三国への「転売」に米国は神経をとがらせてきた。
「特別な関係」と言われるほど緊密な両国だが、不協和音を奏(かな)でた時期が度々あった。
例えば、イスラエルは湾岸戦争(90~91年)中、イラク軍が発射するミサイルの迎撃に向け、米国製地対空ミサイルを配備した。
ところが戦後、ミサイルの技術、あるいは部品が対中移転された疑惑が浮上した。
■イスラエルに苛立つ米国
J-10の話に戻る。イスラエルはラビ戦闘機を試作し、86年に初試験飛行させた。
だが、独自戦闘機技術確立を懸念した米国が、ラビへの技術支援を打ち切ったことで翌年、計画は中止となった。
このラビの開発技術者が、J-10開発に一役買うべく中国に渡ったとされる。
ラビは米軍のF-16戦闘機の技術も導入されたから、米国の一部技術が中国に移転されたとも言い換(か)えられる。
米国は次第に、イスラエルに苛立(いらだ)ちを覚える。
飽和状態に達したのは99年。
この年、イスラエルの軍需企業が、露製輸送機にイスラエル製高性能レーダー・システムを取り付け、早期警戒管制機として対中輸出を強行しようとしたため、米国は公然と圧力をかけ始めた。
イスラエル側より矢継ぎ早に折衷案が、米国側に投げられた。
特にエフード・バラク首相(70)の発言には驚いた。
「有事では、中国軍の早期警戒管制機を無力化する」
システム内部に、その種の遠隔装置を埋め込んでいたとも想像できる。
結局2000年、米国が指定した中国を含む4カ国とイスラエルが兵器取引を行う際は、事前協議を義務付けることで決着した。
その間、米国からイスラエルへの様々(さまざま)な兵器・軍需関連物資が差し止めになった。
米議会も軍事・経済援助凍結を示唆し、断固たる姿勢を見せた。
イスラエルも、米国以外からの兵器輸入や軍需・衣料分野での輸入凍結を臭(にお)わせ対抗した。
最終的に、イスラエルが折れたのは「パレスチナ問題」で米国の後ろ盾が必要なため。
裏返して言うと、イスラエルにとり「中国との兵器取引」は、「対米関係」や「パレスチナ問題」と、一旦でも比べてみるほど価値のある重要課題ということになる。
■イランへの転売の危険も
ただ、中国への良質な兵器輸出は、イスラエルと常に一触即発の敵対関係にあるイランやシリアへの転売の危険をはらむ。
核や弾道ミサイルの技術を始め、多様な兵器が中国から両国に流れているのは公然の秘密なのだ。
イスラエルの一見不可解な対中兵器取引の狙いは次の3点とみられる。
(1)中東和平交渉でアラブ・パレスチナ側に立つ中国を、イスラエル側に寄らせる
(2)兵器取引により中国に影響力を持つことで、兵器の第三国転売に注文を付けられる
(3)国内需要の限界。
ところで、イスラエルはIT製品やバイオテクノロジーを用いた農業技術、海水淡水化プラントなどを中国に輸出、第3位の貿易相手国へと昇華した。
民生品貿易拡大は、さらなる軍需製品貿易拡大の起爆剤となる。
実際、米国が警戒し始めたイスラエル自前の高度技術を織り込んだ無人攻撃機や通信衛星、対レーダー兵器に関する対中供与が疑われている。
イスラエルは自らの生存・国益のためなら「特別な関係」にある米国の目をかすめてでも、対中兵器(技術)供与を謀(はか)る。
対米関係を損なう度に、イスラエルは対中兵器輸出を控えてきたが、一時的な自粛に過ぎない過去は、そうした現実を物語る。
しかも、米国内における、イスラエルと中国のロビー工作は凄(すさ)まじく、最短期間での関係修復へとこぎ着ける。
自衛隊は今後、米国技術もたっぷりと吸った中国軍の“イスラエル流兵器”と対峙(たいじ)する危機を迎える。
その性能は、これまでの露製中国兵器の比ではない。
(政治部専門委員 野口裕之/SANKEI EXPRESS)
http://www.iza.ne.jp/news/newsarticle/world/america/625312/