太田述正コラム#5830(2012.11.7) | 日本のお姉さん

太田述正コラム#5830(2012.11.7)

太田述正コラム#5830(2012.11.7)
<ジェファーソンの醜さ(その1)>(2013.2.22公開)

1 始めに

 米国の新著で短期間にこれほど夥しい書評がアップされた事例はないのではないか、と思うほど話題になっているところの、米国の建国の父のうち、 ワシン
トンと並ぶ重鎮のジェファーソンの醜さを剔抉した本が、ヘンリー・ウィーンセック(Henry Wiencek)の 'Master of the Mountain' です。
 例によって、書評群を手掛かりにして、この本の要点をご紹介し、私のコメン
トを付そうと思います。

A:http://online.wsj.com/article
/SB10001424052970203880704578087510516735272.html?mod=WSJ_Opinion_LEFTT
opOpinion
(11月2日アクセス(以下同じ)。↑肯定的書評)
B:http://www.washingtonpost.com/opinion/master-of-the-mountain-
thomas-jefferson-and-his-slaves-by-henry-wiencek/2012/10/13/33eee7ee-09c9
-11e2-858a-5311df86ab04_print.html
(↑肯定的書評)
C:http://www.slate.com/articles/arts/culturebox/2012/10
/henry_wiencek_s_the_master_of_the_mountain_thomas_jefferson_biography_
debunked.single.html
(↑批判的書評:Annette Gordon-Reed(黒人女性)(注1))
D:http://www.publishersweekly.com/pw/by-topic/authors/interviews
/article/52899-jefferson-s-tainted-profits-pw-talks-with-henry-wiencek.
html
 (これ↑だけ、著者へのインタビュー)
E:http://charlespaolino.wordpress.com/2012/08/22/books-master-of-
the-mountain/
F:http://www.thedailybeast.com/articles/2012/10/17/what-did-thomas-
jefferson-really-think-about-slavery.print.html
(↑批判的書評:Jan Ellen Lewis(白人女性)(注2))
G:http://www.printthis.clickability.com/pt/cpt?expire=&
title=The+Dark+Side+of+Thomas+Jefferson+%7C+History+%26+Archaeology+%
7C+Smithsonian+Magazine&urlID=490468191&action=cpt&partnerID=253157&cid=
169780996&fb=Y&url=http%3A%2F%2Fwww.smithsonianmag.com%2Fhistory-
archaeology%2FThe-Little-Known-Dark-Side-of-Thomas-Jefferson-169780996.html
(↑本からの抜粋)
H:http://www.ew.com/ew/article/0,,20643886,00.html
(↑中立的書評)
I:http://o.seattletimes.nwsource.com/html/books
/2019514928_br28jefferson.html?prmid=head_more
(↑肯定的書評)
J:http://theoligarchkings.wordpress.com/2012/10/13/master-of-the-
mountain-thomas-jefferson-and-his-slaves-by-henry-wiencek-a-book-review/
(↑肯定的書評)
K:http://www.philipvickersfithian.com/2012/10/is-henry-wiencek-
lefts-david-barton-or.html
(↑肯定的書評)
L:http://www.ocnus.net/artman2/publish/Research_11/Master-of-the-
Mountain-The-Real-Truth-About-Thomas-Jefferson.shtml
(↑肯定書評)

 (注1)1958年~。ダートマス大、ハーヴァード・ロースクール卒。ハー
ヴァード大法学・歴史学教授。ジェファーソンの「情婦」(後出)の研 究で有名。
http://en.wikipedia.org/wiki/Annette_Gordon-Reed
 (注2)ラトガース大学歴史学教授。ジェファーソンとその時代に係る専門家。
http://www.thedailybeast.com/contributors/jan-ellen-lewis.html

 なお、ウィーンセックは、1952年生まれでエール大学(ロシア文学と文学理論
を専攻)卒の米国のジャーナリスト、歴史家、編集者です。
http://en.wikipedia.org/wiki/Henry_Wiencek
2 ジェファーソンの醜さ

 (1)総論

 「ジェファーソンは、・・・冷血で厳しい主人であり、当然のように、<黒人>児童労働を搾取し、自分の奴隷をこき使った。
 ジェファーソンは、時々、「その利益でもって邸宅の食料雑貨経費を賄うため
の」、極めて儲かる釘工場で働く児童達のうちの10ないし11歳の者 を含め、彼
らに暴虐的処罰が加えられるのを黙認した」とウィーンセック氏は記す。
 ジェファーソンは、たまに、奴隷制はいつの日にか立ち枯れて行くことだろう
と主張しつつも、奴隷制は愛郷者達がそのために米革命戦争を戦ったと ころの
諸価値に対する侮辱である、と見た友人達や同盟者達に懇願された場合ですら、
この奴隷制を弱めるために指一本動かそうとはしなかっ た。・・・
 それどころか、1784年には、「ヴァージニア州に関する備忘録(Notes on the
State of Virginia)」の中で、彼は、率直(graceful)かつ媚びるような口調
で(in cringe-inducing prose)、黒人に対する強い個人的嫌悪の念を表明して
いる。
 彼は、黒人は、嫌な匂いがするし、アフリカ時代には類人猿と性交していた
し、知的業績をあげることもできない、と主張したのだ。・・・
 1792年には、彼は、自分の奴隷達の価額がどれほどのものかを正確に計算した。
 ウィーンセック氏は、「ジェファーソンが初めて明確に提示したのは、黒人の
児童が生まれることで、自分が毎年4%の利益を得ている、ということ だった。
 奴隷たる児童達が、彼に、大儲けを、すなわち、恒久的に複利でもって人的配当をもたらしていた。
 親しい人々に対し、ジェファーソンは、淡々と、奴隷が良い投資戦略であると
描写し、友人の一人に対し、彼の家族にカネの余裕があれば、「そのこ とごと
くを土地と黒んぼ<の購入>に費やす[べきだ]」と助言した。・・・
 彼の1826年の死から一世代後の南北戦争直前の頃には、奴隷は全部合わせれ
ば、米国において、土地に次ぐ価値ある資本的資産になることにな る。・・・
 ウィーンセック氏は、ゴードン=リード(Gordon-Reed)女史との間で、ジェ
ファーソンと<「情婦」の>ヘミングスとの関係の重要性に ついて、見解を異
にしており、この女史に比べるとそのことについて余り触れようとしていない。
 ゴードン=リード女史は、奴隷とその主人との間の内在的不平等性にもかかわらず、一定の相互愛がこの二人の間に存在していたはずだ、と結論付け た。
 というのも、この二人は、30年を超える間、親密な関係を維持したからだ、と
いうのだ。(後出)
 <他方、>ウィーンセック氏は、ジェファーソンは、自分が所有した人々の誰
に対しても殆んど感情など抱いていなかったと確信しており、ジェ ファーソン
とヘミングスの関係は、数年間しか続かなかったところの、単なる「取引transaction)」であったと信じている。・・・

 彼による、ジョージ・ワシントンとその奴隷に関する見事な研究であるところ
の、'An Imperfect God' (2003年)<(コラム#225)>の中で、自分の名義で
保有していたところの、被保証人<たる奴隷>全員を、遺言でもって解放したのが、もう一人の ヴァージニア人たる<米国>最初の大統領<のワシントン>であったことを示した。・・・
 今回の本は、<米>独立宣言の著者<であるジェファーソン>を、我々がどのように考えるかを永久に変えることになるだろう。・・・」(A)
(続く)
◎防衛省OB太田述正メルマガ
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ついこの間までのアメリカ人はアフリカから連れてきて奴隷したアフリカ人に対して酷い人種だったんだなと思った。アフリカ人がアメリカに来る以前、アフリカ大陸で類人猿と性交していたなんて、本気でアメリカ人は考えていたのか!
日本人がアメリカに行けば確実に白人に差別されるのだと思う。今まで、会ったアメリカ人やヨーロッパ人を観察してみただけでも、やはり心の中にアジア人に対する差別意識はあるのだと思う。日本より貧乏なスペイン人でも、日本人より上だと思っているし、自分の娘が日本人と結婚しようとしたら、やっぱり多少反対するようだ。日本人は、自分の国で差別されたことがないから、海外で差別されると結構傷つくのですよ。
アフリカの奴隷は主にアラブ人たちが狩りをしてスーダンあたりの市場で売って船に詰めこんでいたらしい。ぎゅうぎゅう詰めにされたので、アメリカについたら半分は死んでいたらしい。アフリカ人の友人が「我々誇り高きアフリカ人が、アラブ人に奴隷にされたことは決して忘れない。」と言っていたが、そういう本人はイスラム教徒なんですけど。関係無い?
アメリカ人はアフリカ人を奴隷にして酷い扱いをしてきたけど、混血が進んで美しいブラックの歌姫も出てきている。アメリカのアフリカ人が混血したのは、主人が女奴隷をなぐさみものにしたからだよね。
以前、アメリカで子役で有名だった白人女性が同じ白人と結婚したのに、アフリカ系の子供が生まれたので騒がれたそうだけど、調べてみたら先祖にアフリカ人がいたんだって。アメリカ人って、実は結構、アフリカ系と混血しているのではないかと思う。オバマ大統領も、顔はアフリカ系だけど、教育も考え方も白人と同じような気がする。何系かは関係なく、高い教育を受けたら報われる良い国であることは間違いない。
能力があり、持ちあげてくれる人々がいて、チャンスをつかめば、顔がアフリカ系でも大統領にでもなれる国なのだ。それは、すごいことだなと思う。

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日米首脳会談:TPPで共同声明 関税撤廃の例外容認
毎日新聞 2013年02月23日 07時54分
 【ワシントン坂口裕彦】訪米中の安倍晋三首相は22日午後(日本時間23日未明)、オバマ大統領とホワイトハウスで初めて会談した。会談後、首相は「日米同盟の信頼、強い絆は完全に復活したと自信を持って宣言したい」と記者団に表明。両政府は、環太平洋パートナーシップ協定(TPP)に関する共同声明を発表した。
 共同声明は、日本がTPP交渉に参加する場合には「すべての物品が交渉の対象にされる」としたうえで、「一方的にすべての関税を撤廃することをあらかじめ約束することを求められるものではないことを確認する」と明記。首相は会談後の記者会見で「オバマ大統領との会談で、『聖域なき関税撤廃』が前提ではないことが明確になった」と述べ、帰国後、自民、公明両党から一任を取り付けたうえで、政府として交渉参加を早期に判断する考えを示した。http://mainichi.jp/select/news/20130223k0000e010144000c.html

http://archive.mag2.com/0000101909/index.html