台湾は国ではない。中華民国は国ではない。中国が台湾を中国の一部と主張することもできない。
台湾人の国家意識
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Andy Chang
台湾は国ではない。
中華民国は国ではない。
従って中国が中華民国を通して台湾を中国の一部と主張することもできない。
台湾人が中華民国の選挙を通して国名変更で台湾建国を果たす事もできない。
●台湾の帰属は未定
前回の記事(No.433)でサンフランシスコ平和条約(SFPT)の第2条により、日本は台湾澎湖の主権を放棄したと書いた。
これにより台湾澎湖の国際的地位は未定となった。
台湾の現状は中国から亡命した中華民国が政府の形を維持している。
帰属未定の台湾を占領して中華民国政府を維持しても台湾を法理的に所有できないから、中華民国は永久に非合法である。
中華民国は中国の領土内でしか成立できない。
1999年7月9日に、李登輝元総統がドイツの対外公共放送局のインタビューで「中華民国と中華人民共和国は特殊な二つの国である」と述べて、これが「特殊両国論」と言われるようになった。
李登輝は当時の中華民国の総統であり、彼の発言は中華民国と中華人民共和国の関係である。
SFPTによると中華民国は台湾を領有していないから、これは中華民国と中華人民共和国の関係を述べただけで、台湾と中国の関係ではない。
その後、いろいろな間違った言論により、「台湾と中国は特殊な二つの国」と言われるようになったが事実ではない。
中華民国総統の発言は帰属未定の台湾人民を代表する権利がない。
「台湾は事実上(De facto)の国家である」と主張するのは間違いで、中華民国は台湾ではない。
中華民国は法理的に台湾を占拠する権利がないので、事実上の国家形態を有しても、決して法理上(De jure)の国家に変更することはできず、中華民国は永久に非法国家である。
李登輝に続いて2000年に中華民国総統に就任した陳水扁は、2002年8月に世界台湾同郷会への挨拶で「中国と台湾は一辺一国(二つの違った国)である」と述べた。
この主張は李登輝の主張より一歩前進して、中国と台湾は(特別関係のない)二つの国と述べたわけだが、彼の主張は中華民国と台湾を同一視している。
だが中華民国は台湾に存在し、陳水扁が中華民国総統の立場で発言しても中華民国と台湾を同一視することは間違いである。
●中華民国は帰属未定の台湾を占領している
SFPTによれば台湾の帰属は未定であるから、中華民国は台湾を領有する法的根拠がないのである。
中華人民共和国と中華民国の関係は二つの違った中国人政権の争いだが、中華民国が台湾を占拠しても台湾の主権を持たないから、その延長で、たとえ中国が中華民国を統一しても台湾を統一、領有する法的根拠がない。
中華民国は台湾ではないし、台湾人が中華民国を承認しても国際的には認められないのである。
アメリカはこの間違いを知りながら台湾における中華民国政府をタイワンと呼ぶウソを続けている。
李登輝が「特殊国家論」を持ち出したあと、「台湾は事実上の独立国家で、中華民国の名義を台湾国に変更できる」と主張して、多くの台湾人もこれに従い、台湾名義で国連加盟をする運動を始めた。この国連加盟運動は今でも続いている。
だがこの主張は一部の台湾人を騙せても外国では通用しない。
米国国家安全会議(NSC)のデニス・ワイルダー(Dennis Wilder)・アジア上級部長は、「国連加入国は国家の身分を持つ必要がある。
中華民国も台湾も国際社会では国家と認められない」と述べた。
同じ道理で、中国の主張する台湾統一は、中華民国を征服しても台湾を領有できない。
台湾人が独立建国を果たすには中華民国の名義変更ではなく、中華民国打倒である。
アメリカはこの道理を知っていながら、台湾が独立すれば中国が攻撃することを恐れて現状維持を強要している。
●選挙で国名変更は不可能
蔡英文は2012年の総統選挙で「台湾=中華民国、中華民国=台湾」と主張した。
民進黨は選挙に参加するため中華民国を承認する立場を取っている。
選挙に勝っても中華民国の政権を取っただけであり、中華民国も台湾も国際的地位が未定である状況は変らない。
選挙に勝って国名変更は法理上通用しない。
蔡英文や民進黨は2016年の選挙でも再び「台湾=中華民国」を持ち出すつもりだが、台湾人民が承服しない。
「台湾=中華民国」主張を通すなら晴天白日旗を掲げて選挙に出れば、言わずとも結果は明らかだろう。
台湾人は二度と騙されない。