北核実験 強化型爆弾使用か 米射程に現実味 「小型・軽量化」 | 日本のお姉さん

北核実験 強化型爆弾使用か 米射程に現実味 「小型・軽量化」

「宮崎正弘の国際ニュース・早読み」 
   平成25(2013)年2月13日(水曜日)
      通巻第3876号  


 北朝鮮の核実験成功をどう読むか
  小型化に成功した事実は軍事的脅威が数倍増した意味である
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 2013年2月12日正午前に、北朝鮮は3回目の地下核実験を強行した。12年12月には長距離弾道ミサイル発射に成功しているため、これで北朝鮮は米本土を射程に収める大陸間弾道ミサイル(ICBM)保有に向けての軍備を整えたとみられる。

 世襲の絶対権力を中国に認めさせた北朝鮮は強引に核実験を推進させ、世界から「ならず者国家」と言われながらも、国内的には「金正恩同志の軍事、科学技術での卓越した見識が偉大性を体現している」などと獅子吼した。
つまり、祖父の金日成に体形からヘアスタイルまで似せ、整形して風貌まで酷似させて偉大な指導者、カリスマという印象を振りまいてきた北朝鮮は、先軍思想一筋に、核兵器開発と近代化にまっしぐらに邁進してきたのである。

 さて筆者は従来の北朝鮮の核弾頭を、巷間いわれるほどの軍事的脅威とは捉えて来なかった。
 核実験に成功しても中枢は核弾頭の小型化である。
次の小型化は到底無理であろう、あと少なくとも五年を要するだろうという基本的予測のもと、北朝鮮がたとえ核兵器を保有しても、(1)小型化(2)搭載技術(3)ミサイルの固体燃料化という三つのハイテク技術の実現は無理だからである。

 ところが、今回の実験は核弾頭「小型」化に成功しているのである。これは画期的であり、軍事的脅威が数倍すすんでしまったという意味である。
 次の段階は、はたしてこの小型格をミサイルの戦端部分に搭載できるか、いなか。

その次がミサイルの推進飛翔のための燃料を現在の液体燃料から、いつ固体燃料にできるか、というポイントである。

 北朝鮮のミサイル実験の影像を注視されたい。
 発射台に設置してから液体燃料の注入に数時間から数日を要しているように、このレベルでは、発射台にミサイルがおかれた状況を上空から偵察している米国のスパイ衛生が捉えれば、先制攻撃が可能である。

 しかしもし北朝鮮が固体燃料化に成功するとなると、話はまったく別で、発射台に据え付ければすぐに発射が可能となる。

 おそらく、これらの技術を取得し、本物の脅威となるにはあと数年を要するだろう。
 さらに「その次の技術的難関は、地下サイロ化、要塞での核搭載ミサイルの移動と、いきなり発射できるという、いまの中国が持っている高度な要塞型発射システムである。

 しかし、筆者は北の核ミサイルの脅威の進捗度を上方修正する必要があると考えており、さらに迅速に上記技術がすすむとなれば、イランの核施設に米国とイスラエル共同でウィルス攻撃に成功し、コンピュータシステムの破壊に成功、イランの核武装を数年遅らせたようなんらかの先制攻撃邸対応が必要になったことは事実である。
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◆書評 ◇しょひょう ▼ブックレビュー ☆

米中の新しい冷戦下、英独が中国と連携し、米国に敵対という新図式
  ユーロで米に対抗したドイツ、米はLIBORで英銀の拡大を阻止へ

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藤井厳喜『米中新冷戦、どうする日本』(PHP研究所)
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 米国通で、世界経済の躍動と現状をユニークな視点から解析する藤井さんの最新作。
 本書は第一部と第二部から構成され、前者はルーズベルト大統領以来の対日謀略を描くが、評者(宮崎)は第二部の方に強く関心を抱いた。
 最重要な事実は、中国の「軍事大国、経済大国」としての覇権追求と、「米国の『シェール革命』による優位回復」という状況分析に立脚して、世の中がこれからどう変貌するかを基軸に日本の進路を占う。
世界情勢の藤井流の分析はダイナミックである。
 藤井さんは、中国の運命について、まずこういう。
 「地政学的に見れば、そもそもランドパワー(大陸国家)がシーパワー(海洋国家)に変身できた例は皆無である。歴史的に見ても、かつてのドイツもソ連もこの試みに失敗したし、中国も失敗するに違いない。現在の中国の海軍軍拡は、高度成長期を終わって停滞期に入った中国経済にとって、過大な負担となってくるに違いない。中国が、人類史上、最強のシーパワー(プラス エアパワー)であるアメリカに巨大海軍建設で対抗しようというのは、実に愚かな戦略である」(135p)
 歯切れの良い断定である。

 ところが、
 「米中新冷戦で中国と厳しく相対峙するアメリカに、意外な敵対国が現れた。それはイギリスとドイツである。両国とも中国に接近し、アメリカにとってはやっかいな問題となりつつある。これもまた、米ソ冷戦時代には予想だにできなかった全く新しい展開である。」
 昨日の敵は今日の友、今日の友は明日の敵である。
 そういえば、反日暴動でトヨタや日産の販売店も放火され、破壊された。これは取り方によっては「日本はもう良いぜ、ドイツが来るから」という中国からのメッセージかも知れない。あれほど中国経済に献身したパナソニック工場が焼き討ちされたのも、「ドイツ勢が本格進出するから、日本企業は去れ」というメッセージだった可能性は皆無とは言えないだろう。
なにしろ大戦中のドイツは日独伊三国同盟の初期さえ、中国軍に梃子入れしていたのだから。
 
それにしてもドイツの対米対抗はなぜか?
 「二十一世紀における戦争では、経済や金融もまた重要な無制限戦争の一領域である。イギリスもドイツも軍事上、中国と直接同盟関係にあるわけではないが、経済の基盤があってこそ、国家は軍事面でも活動が可能となるのであり、(英独がいまやっている経済面での中国との連携ぶりは)軍事面でも中国を支援するに等しい」(222p)と藤井さんは分析される。
 それは「各国の通貨の優位性を争う戦争でもある」からだ。
つまり基軸通貨の米ドル優位体制にユーロでEUをまとめて、露骨に米国に挑戦してきたドイツと、イギリスはポンドを維持するために「ユーロ通貨圏から独立してロンドンの金融センターを維持するために必死でサバイバル」を追求する。
それがシティ(ロンドン金融街)を人民元のオフショア市場に開放したことだ。

 怒り心頭のアメリカは、LIBORの不正問題で追及し、英国を代表する巨大銀行の拡大を阻止する挙にでた。つまりスタンダード・チャータード銀行とHSBCから巨額な罰金を取って(HSBCから19億ドル)、その中国との金融連携を妨害したのだ。
 日本が直面している中国の脅威、ユーラシアの東側では異常な発展が現れていたのである。
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北核実験 強化型爆弾使用か 米射程に現実味 「小型・軽量化」
産経新聞 2月13日(水)7時55分配信

核実験場(写真:産経新聞)
 北朝鮮が12日、核実験で「小型・軽量化」に成功したと強調したことで、日本政府は「核分裂強化(ブースト)型」爆弾を使用したとの見方を強めている。爆弾小型化の「核心技術」がブースト型だからだ。昨年12月に北朝鮮が発射した長距離弾道ミサイルは重量500キロ程度の弾頭を1万キロ以上飛ばす能力があり、500キロ程度までの小型化に成功すれば、米本土を射程に収める核ミサイル保有も現実味を帯びる。

 今回の核実験は(1)プルトニウム型(2)ウラン型(3)2種類同時-の可能性が指摘されている。北朝鮮は過去2回の実験でプルトニウム型を使用しており、今回も性能を向上させた同型だったとの見方がある。

 逆に「初のウラン型の可能性も考えられる」(政府高官)との分析もある。2009年にプルトニウムの全量兵器化を表明後、ウラン濃縮活動を加速させたとみられるからだ。

 2種類の同時実験との見方は少ないが、いずれの型かの特定は難しい。核実験場には坑道が掘られ、放出されるキセノンなどの放射性希ガスは漏れにくい。

 現地で観測すればキセノンの同位体の差で判別は可能だが、過去2回の実験時には航空自衛隊のT4練習機の集塵(しゅうじん)装置でキセノンを収集できなかった。09年の実験の際には、米軍のWC135偵察機がキセノンを収集したとされる。

 ただ今回、両型の特定以上に注目されているのはブースト型と呼ばれる新たな「爆弾」の導入だ。プルトニウム型にもウラン型にも適用できる。日本エネルギー経済研究所の黒木昭弘常務理事によると、北朝鮮は06年の最初の実験で5トン程度の爆弾の起爆に成功。黒木氏は「今回はブースト型を使い、1トン以下までの小型化に近づいたのではないか」と指摘している。

【用語解説】核分裂強化(ブースト)型

 爆弾の中心部に注入した重水素と三重水素を毎秒千キロ以上のスピードで衝突させて小規模な核融合を起こし、発生する中性子によって効率的な核分裂につなげるしくみ。同じ威力を得るために必要な核物質は少量で済み、爆弾の小型化が可能。
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20130213-00000125-san-kr