中国軍が、わが海自にレーダー照射し戦争を挑発した
「宮崎正弘の国際ニュース・早読み」
平成25(2013)年2月6日(水曜日)弐
通巻第3872号
平成25(2013)年2月6日(水曜日)弐
通巻第3872号
中国軍が、わが海自にレーダー照射し戦争を挑発した
廬講橋事件の謀略を思い浮かべた
*********************
中国軍艦からのレーダー照射事件を如何にとらえるべきか。マスコミが勝手に想像して「日中関係改善に中国が動き出した」などと論評したのは幻であった。そして習近平が軍をまだ掌握していないという危険な現実も顕現された。
しかし筆者の脳裏を咄嗟に横切ったのは廬講橋事件の謀略である。誰が発砲したか、いまでは歴史上の定説となっているが、劉少奇の工作部隊である。
当時、廬講橋を挟んだ対峙していた日本軍と国民党軍の双方に中国共産党のゲリラ部隊が鉄砲を撃ちかけたことは、もはや動かしがたい歴史の真実、日支事変の拡大を企図していた共産党にとって、戦争に日本を引きずり込むことが長期的戦略であった。
尖閣戦争をたくらむ中国軍にとって、日本を挑発し、先に発砲させるか、あるいは日本が先に撃ったと見せかけるのが、彼らの狙いである。
事実経過と政府の対応を観よう。
2月5日、小野寺五典防衛相は緊急記者会見を開き、「東シナ海の公海上で1月30日、中国海軍の艦艇が海上自衛隊の護衛艦に対し、射撃管制用のレーダーを照射した」と発表した。また1月19日にも別の中国艦艇が海自のヘリコプターにレーダー照射を行った「可能性が高いこと」を明らかにした。
具体的には1月30日午前10時前後、中国海軍のジャンウェイII級フリゲート艦が約3キロ先から海自護衛艦「ゆうだち」にレーダーを照射し、同月19日午後5時前後にも、中国海軍ジャンカイI級フリゲート艦が数キロ先から海自護衛艦「おおなみ」の搭載ヘリにレーダーを照射した。
レーダーはミサイルなどを発射する際に対象を捕捉するためのもので、攻撃が前提である。中国フリゲート艦が海自の護衛艦に照射した射撃管制用のレーダーは「FCレーダー」で、ミサイルや火砲などを発射する際、目標の距離や針路、速力、高度などを正確に捕捉し自動追尾する「ロックオン」に用いる。
すなわち今回のレーダー照射は「攻撃予告」であり、照射された日本が対応行動として先に攻撃したと仮定しても、国際法的に何ら問題ではない。しかも中国側は数分間にわたりレーダーを照射し、日本を徹底的に挑発した。中国側が発射ボタンを押せばミサイルなどでの攻撃が可能となるため、海自側は回避行動を余儀なくされた。
「海自によると、軍用の艦艇は大別して(1)周辺の艦船や漁船などを捕捉する航海用のレーダー(2)対空監視用レーダー(3)射撃管制用レーダー-の3種類を搭載しているが、通常の警戒監視で射撃管制用レーダーを用いることはない。海自幹部は「こちらがどういう対応をするかを観察するために使った可能性がある」と中国側の意図を推測した」(産経新聞、2月6日)。
小野寺防衛相は会見のなかで、「一歩間違えば大変危険な事態が発生する。危険な行為には厳しく自制を求めていく」と述べた。しかし発生から発表までに1週間もの時間を要した理由については「正確な分析に時間がかかった」とした。安倍晋三首相は官邸で対応を協議したが、「挑発に乗ってはいけない。冷静に対処することが大事だ」と述べた。
日本政府は在日中国大使館や中国外交部、国防部に厳重に抗議したが、中国側は「事実関係を確認したい」とだけ答えた。
これで鳩山訪中、山口(公明党代表)の訪中と習近平への首相親書手渡しという日本側の努力も、海の藻屑と消え、日中関係は新しい危険段階となった。
◎◎ ◎○
♪
(読者の声1)貴誌3870号の樋泉克夫氏のコラム【知道中国 856回】に スティルウェルが、日本軍を「足の曲がったごきぶりども」と罵った、とありました。
ルーズベルトはいうまでもなく、古くはキリスト教宣教師たちの報告、明治時代のお雇い外国人、近年でも反捕鯨団体やらドイツの反原発主義者に至るまで、日本人を見下したくて仕方がないようです。
竹山道雄の「主役としての近代」の中に、「外国人の日本文化批判」という章があります。1980年代に書かれたものですが、今読んでも欧米人の基本的な思考は変わっていないのだ、と驚くほどです。
そのなかから、いくつか引用します。
「アメリカにも反日的俗説はいくらもあるのだろうけれども、代表的な知的ジャーナリズムは鷹揚であり理をとおしている。ところが、どういうわけか、ヨーロッパ人の意見はいかにも狭量である。かつての世界征服時代の慣性にとらわれて、文化的傲慢と人種偏見からその唯我独尊癖から離れることができない」(※ニューヨーク・タイムズなど知的ジャーナリズムではなくなりましたが)。その後、ニューズウィークの引用で「ヨーロッパはアメリカと日本に五年遅れている、これをとりかえすことはむつかしい」との説の紹介に続き、(欧州では)「あるいはそれで、日本人の成功はじつはその人間的欠陥のおかげである、日本人が勝つのはかれらに良心がなく自立心がないからだ、一種の昆虫的本能だからだ、というふうな説明が生れて、これが安心感をあたえているのではないかと疑われる」、という指摘などウサギ小屋だの働き蟻・働き蜂だのと批判されたことを懐かしく思い出します。
その後、オーストラリアのグレゴリー・クラーク批判、フランスのジスカール・デスタンが中央アフリカのボカサ皇帝からダイヤモンドを贈られた話、同夫人が株で儲けた話、などなど続きます。
性規範についても、欧州で白昼淫売婦が公道を歩いているので日本人は驚くこと、占領直後に米兵が女をぶら下げて歩いているので、日本人はこういう光景はまだ見たことがなかったから、敗戦翌年はパンパンの話でもちきった、とありますが、このあたりは幕末から明治にかけての欧米人の日本滞在記で、遊郭や茶屋、混浴の銭湯に驚く光景に通じるようでもあります。
さらにいろいろな例をあげた上で、『要するに、「われわれ欧米人」がクラーク氏が空想しているように高潔なわけではなく、日本人だけが見るもの聞くものことごとく下劣なわけではないのである』 今からみればあたりまえのことですが、30年前の欧米の日本批判はそれはそれはひどいものでした。ドイツの例、フランスの例、など列挙したうえで、竹山道雄はこう記します。
「どうしてこのように、日本人を人でなしに仕立てようという執念に燃えているのだろうか。われわれを根本から覆さなくては気がすまないのだろうか。いささか異常に思える。西欧人のある者に、日本を原理的に否定したいとする、不思議な意欲があることは疑えない。」
この西欧人を中国人・韓国人に置き換えても同様です。
とくに韓国人の異常さは目に余ります。先日も吉原の大火、あるいは関東大震災での遊女の犠牲者の写真をもって、関東大震災の朝鮮人虐殺の証拠だ、とする韓国のニュースがありました。
産経が反論記事を載せたため、現在は写真の真偽をめぐっての論争のようです。
http://japanese.yonhapnews.co.kr/headline/2013/02/04/0200000000AJP20130204002500882.HTML
しかし筆者の脳裏を咄嗟に横切ったのは廬講橋事件の謀略である。誰が発砲したか、いまでは歴史上の定説となっているが、劉少奇の工作部隊である。
当時、廬講橋を挟んだ対峙していた日本軍と国民党軍の双方に中国共産党のゲリラ部隊が鉄砲を撃ちかけたことは、もはや動かしがたい歴史の真実、日支事変の拡大を企図していた共産党にとって、戦争に日本を引きずり込むことが長期的戦略であった。
尖閣戦争をたくらむ中国軍にとって、日本を挑発し、先に発砲させるか、あるいは日本が先に撃ったと見せかけるのが、彼らの狙いである。
事実経過と政府の対応を観よう。
2月5日、小野寺五典防衛相は緊急記者会見を開き、「東シナ海の公海上で1月30日、中国海軍の艦艇が海上自衛隊の護衛艦に対し、射撃管制用のレーダーを照射した」と発表した。また1月19日にも別の中国艦艇が海自のヘリコプターにレーダー照射を行った「可能性が高いこと」を明らかにした。
具体的には1月30日午前10時前後、中国海軍のジャンウェイII級フリゲート艦が約3キロ先から海自護衛艦「ゆうだち」にレーダーを照射し、同月19日午後5時前後にも、中国海軍ジャンカイI級フリゲート艦が数キロ先から海自護衛艦「おおなみ」の搭載ヘリにレーダーを照射した。
レーダーはミサイルなどを発射する際に対象を捕捉するためのもので、攻撃が前提である。中国フリゲート艦が海自の護衛艦に照射した射撃管制用のレーダーは「FCレーダー」で、ミサイルや火砲などを発射する際、目標の距離や針路、速力、高度などを正確に捕捉し自動追尾する「ロックオン」に用いる。
すなわち今回のレーダー照射は「攻撃予告」であり、照射された日本が対応行動として先に攻撃したと仮定しても、国際法的に何ら問題ではない。しかも中国側は数分間にわたりレーダーを照射し、日本を徹底的に挑発した。中国側が発射ボタンを押せばミサイルなどでの攻撃が可能となるため、海自側は回避行動を余儀なくされた。
「海自によると、軍用の艦艇は大別して(1)周辺の艦船や漁船などを捕捉する航海用のレーダー(2)対空監視用レーダー(3)射撃管制用レーダー-の3種類を搭載しているが、通常の警戒監視で射撃管制用レーダーを用いることはない。海自幹部は「こちらがどういう対応をするかを観察するために使った可能性がある」と中国側の意図を推測した」(産経新聞、2月6日)。
小野寺防衛相は会見のなかで、「一歩間違えば大変危険な事態が発生する。危険な行為には厳しく自制を求めていく」と述べた。しかし発生から発表までに1週間もの時間を要した理由については「正確な分析に時間がかかった」とした。安倍晋三首相は官邸で対応を協議したが、「挑発に乗ってはいけない。冷静に対処することが大事だ」と述べた。
日本政府は在日中国大使館や中国外交部、国防部に厳重に抗議したが、中国側は「事実関係を確認したい」とだけ答えた。
これで鳩山訪中、山口(公明党代表)の訪中と習近平への首相親書手渡しという日本側の努力も、海の藻屑と消え、日中関係は新しい危険段階となった。
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(読者の声1)貴誌3870号の樋泉克夫氏のコラム【知道中国 856回】に スティルウェルが、日本軍を「足の曲がったごきぶりども」と罵った、とありました。
ルーズベルトはいうまでもなく、古くはキリスト教宣教師たちの報告、明治時代のお雇い外国人、近年でも反捕鯨団体やらドイツの反原発主義者に至るまで、日本人を見下したくて仕方がないようです。
竹山道雄の「主役としての近代」の中に、「外国人の日本文化批判」という章があります。1980年代に書かれたものですが、今読んでも欧米人の基本的な思考は変わっていないのだ、と驚くほどです。
そのなかから、いくつか引用します。
「アメリカにも反日的俗説はいくらもあるのだろうけれども、代表的な知的ジャーナリズムは鷹揚であり理をとおしている。ところが、どういうわけか、ヨーロッパ人の意見はいかにも狭量である。かつての世界征服時代の慣性にとらわれて、文化的傲慢と人種偏見からその唯我独尊癖から離れることができない」(※ニューヨーク・タイムズなど知的ジャーナリズムではなくなりましたが)。その後、ニューズウィークの引用で「ヨーロッパはアメリカと日本に五年遅れている、これをとりかえすことはむつかしい」との説の紹介に続き、(欧州では)「あるいはそれで、日本人の成功はじつはその人間的欠陥のおかげである、日本人が勝つのはかれらに良心がなく自立心がないからだ、一種の昆虫的本能だからだ、というふうな説明が生れて、これが安心感をあたえているのではないかと疑われる」、という指摘などウサギ小屋だの働き蟻・働き蜂だのと批判されたことを懐かしく思い出します。
その後、オーストラリアのグレゴリー・クラーク批判、フランスのジスカール・デスタンが中央アフリカのボカサ皇帝からダイヤモンドを贈られた話、同夫人が株で儲けた話、などなど続きます。
性規範についても、欧州で白昼淫売婦が公道を歩いているので日本人は驚くこと、占領直後に米兵が女をぶら下げて歩いているので、日本人はこういう光景はまだ見たことがなかったから、敗戦翌年はパンパンの話でもちきった、とありますが、このあたりは幕末から明治にかけての欧米人の日本滞在記で、遊郭や茶屋、混浴の銭湯に驚く光景に通じるようでもあります。
さらにいろいろな例をあげた上で、『要するに、「われわれ欧米人」がクラーク氏が空想しているように高潔なわけではなく、日本人だけが見るもの聞くものことごとく下劣なわけではないのである』 今からみればあたりまえのことですが、30年前の欧米の日本批判はそれはそれはひどいものでした。ドイツの例、フランスの例、など列挙したうえで、竹山道雄はこう記します。
「どうしてこのように、日本人を人でなしに仕立てようという執念に燃えているのだろうか。われわれを根本から覆さなくては気がすまないのだろうか。いささか異常に思える。西欧人のある者に、日本を原理的に否定したいとする、不思議な意欲があることは疑えない。」
この西欧人を中国人・韓国人に置き換えても同様です。
とくに韓国人の異常さは目に余ります。先日も吉原の大火、あるいは関東大震災での遊女の犠牲者の写真をもって、関東大震災の朝鮮人虐殺の証拠だ、とする韓国のニュースがありました。
産経が反論記事を載せたため、現在は写真の真偽をめぐっての論争のようです。
慰安婦問題ではシンガポールに慰安婦像を建てる計画に対し、シンガポール当局は拒否
という記事。
http://news.searchina.ne.jp/disp.cgi?y=2013&d=0123&f=national_0123_004.shtml
http://toriton.blog2.fc2.com/blog-entry-2273.html
挺対協は慰安婦問題華やかなりし頃、村山内閣の「アジア女性基金」の「償い金」を元慰安婦が受け取るのは、自らを公娼と認めるものだ、として元慰安婦の「償い金」受け取りに反対しました。
慰安婦を利用した「募金ゴロ」のようにも思えます。捕鯨反対のグリンピースやシーシェパードの慰安婦版でしょうか。
「クジラがかわいそう」を「慰安婦がかわいそう」に置き換えるとまったく違和感がありませんね。
(PB生、千葉)
(宮崎正弘のコメント)いまもニューヨーク・タイムズが典型的にひどいですね。ああいう出鱈目な記事を書く記者の資質も問題ですが、反日特派員を東京に派遣する、あの会社の基本にある侮蔑・反日の精神が問題でしょう。
♪
(読者の声2)中国海軍による尖閣レーダー照射問題についての毎日新聞の記事がネットで話題になっています。
当初の記事は次のようなもの。
(引用始め)
「【北京・工藤哲】中国海軍のフリゲート艦が東シナ海で海上自衛隊の護衛艦にレーダー照射した背景には、日本の安倍晋三政権に対する中国側の強いいらだちがある可能性が高い。日中間では首相経験者らが活発に往来し、中国側が友好ムードを演出しているにもかかわらず、対中強硬姿勢を取り続ける安倍首相に態度軟化への変化が感じられないためだ。
尖閣諸島(中国名・釣魚島)の国有化をめぐって行き詰まる日中関係の打開のため、日本から公明党の山口那津男代表が1月下旬に訪中。中国側も関係改善への突破口とするため、習近平(しゅうきんぺい)共産党総書記があえて会談し、安倍首相からの親書を受け取った。だが、その後も日本側は、中国側が期待するような行動を見せず、中国側は不信感を募らせていたようだ。
習総書記は先月28日、党政治局の学習会の席で「我々の正当な権益を放棄することはできない」と語り、尖閣諸島問題で日本に譲歩しない姿勢を改めて強調した」。
(引用終り)
全文は
http://megalodon.jp/2013-0205-2315-24/mainichi.jp/select/news/20130206k0000m030077000c.html
しかし現時点の記事では
「日中間では首相経験者らが活発に往来し、中国側が友好ムードを演出しているにもかかわらず、対中強硬姿勢を取り続ける安倍首相に態度軟化への変化が感じられないためだ」の部分が削除されています。
また当初記事にあった「日中間では最近、鳩山由紀夫、村山富市の両元首相らが相次いで訪中し、その都度、中国側は党や政府の高官が会見するなど丁寧な応対を続けてきた。その一方で、安倍首相本人は引き続き中国をけん制する発言を繰り返しているため、中国側には不信感が募っていたようだ」
の部分も書き換えられ、
「中国側は1月に鳩山由紀夫、村山富市の両元首相の訪中を受け入れる一方、海洋監視船による領海侵入を繰り返すなど硬軟両面の対応で日本側の出方を見極める構えだ。だが、日本から発せられるシグナルも硬軟両様のために解決の糸口が見えず、挑発行為がさらにエスカレートする危うさをはらんでいる」
となっています。
http://mainichi.jp/select/news/20130206k0000m030077000c.html
本音は当初記事でしょうが、よくぞこれほど中国側の視点で記事が書けるものです。
今はWEBの記事を書き換えても証拠が残ってしまいます。ちなみに哲という字を使う名前は半島系の人に多いですが、本当に日本人なのでしょうか。
毎日新聞は英語サイトで日本を貶める記事を長年にわたって垂れ流し、ネットで非難されるやそのコラムは閉鎖したものの、責任者は昇格人事というありえない対応で「変態新聞」の称号を受けるに至ります。
http://gigazine.net/news/20080721_mdn_mainichi_jp/
朝日・毎日・北海道・中日・信濃毎日・沖縄の2紙などなど、日本の新聞にはどうしてこれほど反日・左巻きが多いのでしょう。
明治時代、親は子供に新聞を読むことを禁じていたといいます。羽織ゴロが書くいいかげんな記事だとわかっていたからですが、今や左翼くずれが『社会の木鐸』気取りで記事を書くから始末が悪い。
左翼の機関紙みたいな新聞には早く潰れてほしいものです。
(PB生、千葉)
(宮崎正弘のコメント)左翼のテーゼは情報メディアを独占し、国民を洗脳し、敵を威嚇、威圧するための偽情報を流すことにあります。ですから左翼が情報機関を支配するのは、彼らの行動原理の基本でしょう。
♪
(読者の声3)尖閣問題、中国海軍が自衛隊艦船とヘリに対し火器管制レーダーを照射、とのニュースには驚かされました。
BBCネット版でもアジアニュースのトップです。
http://www.bbc.co.uk/news/world-asia-21337444
中国の軍部はどこまでエスカレートさせるつもりなのでしょう。かつて中国の潜水艦が領海侵犯したときは特定の部隊による暴走という説もありました。
軍の統制がとれていないのではないかという懸念が残ります。こんなことが続く限り日中間の航空需要の回復は見込めず、2月~3月のパック旅行予約は前年の8割減。
http://www.yomiuri.co.jp/atmoney/news/20130203-OYT1T00459.htm
また上海の春秋航空も日本路線の搭乗率が5割を割り込み、日本路線の運行取りやめも検討中だという。
http://japanese.china.org.cn/business/txt/2013-02/05/content_27895728.htm
これで中国本土での日本企業の商品に対する不買が広がるかといえばそんなこともない。北京の大気汚染ではダイキンやシャープの空気清浄機の売上急増、前年比2.5~3倍にもなりシャープは増産を検討。
http://sankei.jp.msn.com/economy/news/130205/biz13020518180026-n1.htm
世界中でミルクを買い占める中国人への対応に苦慮していますが、香港では本土からの買い占め客に持ち出し制限まで。
http://jp.reuters.com/article/oddlyEnoughNews/idJPTYE91301R20130204
自国製のミルクに対する信頼がない中国、日本メーカーのベビー用品はどうでしょうか。哺乳瓶のピジョンは中国の反日デモの影響は全くなかったという。
http://tma-chinajournal.blogspot.jp/2013/01/blog-post_13.html
テレビ東京の番組でも取り上げていましたが、哺乳瓶の価格は中国メーカーの3倍でも「安全・安心」で人気だといいます。
中国市場参入当初は2つのブランドで展開するも低価格のブランドはまったく売れなかった。中国の育児関連品市場シェアはわずか10年で約6割に達し、圧倒的なトップメーカーというから驚きです。
番組で「ピジョン・上海」の北澤憲政社長は成功の最大要因は、「常に研究開発を継続していて、定期的にいい商品にアップグレードされている」とコメント。外食する家族を観察すると哺乳瓶を袋に入れている人が多い。他社商品はパッキンが甘く中身が漏れるのですね。日本メーカーの商品では考えられません。
マーケティングも見事なもの。量販店では膨大な商品に埋もれてしまう。
そこで産科のある病院に食い込むのですが、中国の病院では特定メーカーの商品を推奨することは一切ないという。それならばと中国国家衛生局と共同プロジェクトを組み、全国の主要病院に「母乳育児相談室」を設置。ほぼ全員が初心者の妊婦さんに育児に関する情報提供や啓発活動を行うのですが、ポスターにはピジョンの広告、「相談室」は病院とは別組織ですからピジョン製品が並ぶ。
アメリカの学校で飲料メーカーが資金援助する代わりにコーラの自販機を設置することに比べたら、妊婦さんに対する「啓発」とメーカーの商品紹介のバランスがとても良くとれていると思います。
その結果、妊婦さんが最初に使うのが高価格・高性能のピジョン製品。赤ちゃん一人にお金をだすのは両親・双方の祖父母で計6つのポケットがあるといわれますが、実際には10も11もあるため価格は関係ないのだとか。
一人っ子政策ですから一族をあげて赤ちゃんを育てるようなものなのでしょう。上海静安ホテルでは母子の産後ケアが一ヶ月100万円。サービスは至れり尽くせり、画面を見る限りウォシュレットも完備、人気は高いという。
中国の貧富の差の拡大、環境汚染の激化、政治と軍事の統制に対する疑問、中国人の政府に対する不信、日中関係もしばらくは波乱含みですね。
(PB生、千葉)
♪
樋泉克夫のコラム
@@@@@@@@
【知道中国 857回】
――彼は「赫々たる軍功」を望んでいた・・・だけなのか
『遠征印緬抗戦』(中国文史出版社 1990年)
▽
副題の「原国民党軍将領抗日戦争親歴記(元国民党軍将官、抗日戦争回想記)」が示しているように、41年12月から45年3月前後まで?西(雲南西部)、緬(ミャンマー)、インド東部を戦場に展開された「抗日戦争」に参戦し、最前線で兵士を指揮・督戦した国民党軍将官たちの回想録である。
「中国人民政治協商会議全国委員会文史資料研究委員会《遠征印緬抗戦》編審組織」を名乗る機関が編集した点から判断して、この本出版の目的は、当時の台湾で劣勢に立たされていた国民党に向けた統一戦線工作にあったようにも思える。
80年代後半から90年代初頭の台湾では、圧倒的影響力を発揮していた李登輝の下で独立への熱い気運は全島を覆い、その勢いのままに民進党から陳水扁総統が生まれ、国民党は野党に転落する。
圧倒的多数の本省人の前に、国民党を支える外省人は苦境に立たされてしまう。そこで「抗日戦争を共に戦った」というエールを送り国民党に“喝”を入れることで、北京は台湾独立の動きを牽制しようと狙ったのではなかろうか。
この戦域での国民党軍の象徴的指揮官として知られた杜聿明以下、台湾在住者も含め30人ほどの元国民党将官が“勝てば官軍”よろしく彼らの勇猛奮戦振りを回顧する。
それらを日本側の記録に照らして詳細に検証すれば、彼らの証言が事実か、ホラか、それとも粉飾か。いずれ判明するだろう。
敢えていうまでもないことだが、彼らが得々と語る自らの“赫々たる軍功”については、やはり眉にツバをつけながら読むしかない。
この本を読んで興味を引かれるのは、「抗日戦争」に大きな影響を与えたはずのスティルウェル中国戦線米軍司令官兼?介石付参謀に対する元国民党軍将官たちの考えだ。
インドに送られた新編第一軍軍長で、後に駐印軍副総指揮を務めた鄭洞国は、「私の見たところ、中国にやってきたスティルウェルには米政府を代表して支援物資の運用を監督する一方で、個人的な目論みがあった。『中国通』を自認する彼は中国の将兵と米国からの支援装備を利用し、極東の地に自らを主人公とする英雄的事績を打ちたてようとした。
先ず中国軍の指揮を可能にすることを望み、次いで中国軍将官を米軍将官に交代させ、植民地式軍隊への編成を企図し、米資本による中国制圧を図り、その代表を狙った」と述懐する。
一方、?西に進出した日本軍をミャンマー東北方面に後退させた遠征軍第十一軍総司令で、スティルウェルと2回だけ話をしたことがあると振り返る宋希濂は、43年春の昆明で彼との会話を、「(国民党)政府機関は腐敗無能で行政能力は劣悪だ。
インフレは際限なく、人民の生活は痛苦の極みだなどと話した後、私が米軍による兵員と器材の補充は遅きに過ぎると口にするや、彼は直ちに立ち上がって右腕を振りながら、中国語の大声で『ダメだ、ダメに決まってる。腐っている、腐り切っている』と激昂し、事例を挙げながら(国民党)軍政部を辛辣に批判した。
『米国が中国に供与する大量の物資は、米国納税者のカネなんだ。貴様ら(国民党)軍政部に与えたが最後、正々堂々と掠め取られてしまう。(援助した)薬品や通信器材なんぞは、路上で買える始末ではなあいか。貴様らの政府はデタラメが過ぎる。ならば、どうして戦勝など望めよう。ルーズベルト大統領にしても、米国民に何といったら申し開きが立つんだ』と罵った」と回想している。
かく語られるスティルウェルの振舞いを当時の日本軍中枢は如何に判断し、彼と国民党、共産党、民主派、コミンテルンとの関係を、どのように看做していたのか。
将来の日・米・中関係を見定めるためにも、この点を深く掘り下げておく必要があるはずだ。
《QED》
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『猛毒国家に囲まれた日本』(佐藤優氏との対談。海竜社、1575円)再版
『増長し無限に乱れる欲望大国、中国のいま』(石平と対談第二弾 ワック、945円)
『絶望の大国 中国の真実』(石平氏との対談シリーズ第壱弾。ワック、933円)
『日米安保、五十年』(西部邁氏との対談。海竜社、1680円)
『世界が仰天する中国人の野蛮』(黄文雄氏との対談。徳間書店、1575円)
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