伴走する台湾海岸巡防署の4隻が、魚釣島の西南西で接続水域に入った。
活動家らは、チュウゴク人から金をもらっているはず。
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台湾活動家ら、接続水域に=尖閣上陸を予定―沖縄
時事通信 1月24日(木)12時29分配信
24日午前11時すぎ、沖縄県石垣市の尖閣諸島沖の接続水域で、台湾の民間団体の活動家らが乗った船と台湾当局の船4隻が航行しているのを海上保安庁が確認した。台湾の海岸巡防署によると、活動家らは尖閣諸島の領有を主張して魚釣島への上陸を目指しており、同署の巡視艇が同行している。
第11管区海上保安本部(那覇市)によると、午前11時5分ごろ、活動家らが乗った船「全家福」と、伴走する台湾海岸巡防署の4隻が、魚釣島の西南西で接続水域に入った。5隻は同島付近で航行や漂泊を繰り返している。 http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20130124-00000074-jij-soci
台湾漁船、尖閣周辺の接続水域に 台湾巡視船4隻も伴走
産経新聞 1月24日(木)13時20分配信
尖閣諸島(沖縄県)周辺の日本の領海のすぐ外側にある接続水域に24日、台湾の活動家らを乗せたとみられる漁船が入るのを、海上保安庁の巡視船が確認した。漁船には、台湾海岸巡防署の巡視船4隻が伴走しているという。
第11管区海上保安本部(那覇)によると、漁船は「全家福」。24日午前11時すぎ、尖閣諸島・魚釣島の西南西から接続水域に入った。漁船には、台湾の団体「中華保釣協会」と書かれた旗などが掲げられているという。海保巡視船が日本の領海に近づかないように警告している。
一方、接続水域では、中国国家海洋局所属の海洋監視船「海監」3隻の航行も確認された。海監は、海保巡視船の警告に「定例のパトロール中だ」などと無線で応答してきたという。
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20130124-00000545-san-soci
中国の野望にくさび打て 尖閣、石垣・宮古、台湾まで…侵攻想定
配信元:2013/01/04 10:11更新
【新帝国時代 2030年のアジア】(1)
沖縄県・尖閣諸島の領海外側にある接続水域を航行していた中国の海洋監視船3隻が31日午後、相次いで領海に一時侵入した。第2次安倍政権発足後初めてで、政府は首相官邸の情報連絡室を官邸対策室に格上げした。緊迫の海に年の瀬はない。こうした中国の攻勢は今後も続くのか-。
防衛省が10~20年後の安全保障環境の変化に対応する「統合防衛戦略」の作成にあたり極秘に対中国の有事シナリオを検討しているのも不測の事態に備えるためだ。判明したシナリオによると、中国側の出方を3つに分けて予想している。
◇
《シナリオ〔1〕 ○年×月×日 尖閣侵攻》
中国の海洋・漁業監視船は沖縄県・尖閣諸島周辺海域での領海侵入を繰り返していたが、海上保安庁の巡視船と監視船が「偶発的」に衝突した。これをきっかけに中国は監視船を大挙して送り込む。
前進待機していた海軍艦艇も展開。中国初の空母「遼寧」と新鋭国産空母の2隻が近づき威圧する。巡視船は退かざるを得ない。
「領土・主権など『核心的利益』にかかわる原則問題では決して譲歩しない」
中国外務省は尖閣について、譲れない国益を意味する「核心的利益」と国際社会にアピールする。
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記事本文の続き 海保の増援船艇や海上自衛隊の艦艇が展開する前に中国側は空挺(くうてい)部隊と新型の「水陸両用戦車」を上陸させる。これまでは漁民を装った海上民兵の上陸が懸念されていたが、偶発を装った意図的な衝突から一気に尖閣を奪取する事態も現実味を帯びてきた。
◇
《シナリオ〔2〕 尖閣と石垣・宮古 同時侵攻》
尖閣のみならず中国が石垣島と宮古島にも同時か波状的に侵攻するシナリオもある。「中国は尖閣と石垣・宮古をひとつの戦域ととらえている」(自衛隊幹部)ためだ。
中国側はまず海軍艦艇を集結させ周辺海域を封鎖する。艦艇の中心はルージョウ級ミサイル駆逐艦やジャンカイ級フリゲート艦の発展型。空からは第5世代戦闘機「J20」と新世代機が飛来。宮古島にある航空自衛隊のレーダーサイトをミサイル攻撃し、日本の防御網の「目」を奪った。
混乱に乗じ潜入した特殊部隊は宮古空港と石垣空港を占拠する。空港を奪えば自衛隊は増援部隊や装備・物資を輸送する拠点を失うためだ。自衛隊も警戒していたが、陸上自衛隊の部隊を常駐させていないことが致命的だった。
◇
《シナリオ〔3〕 尖閣・石垣・宮古と台湾同時侵攻》
中国は2021年の共産党結党100周年でなしえなかった台湾統一のチャンスをうかがっていた。日米の行動を阻止するため台湾に近く、空港のある石垣島や宮古島を制圧することも想定される。
防衛省がこのシナリオに踏み込むのは、米国に介入を断念させるという中国の「究極の狙い」を統合防衛戦略に反映させるためだ。
台湾への侵攻作戦は海上封鎖や戦闘機・ミサイル攻撃、特殊部隊や水陸両用の上陸作戦が中心だ。
この頃には、地上配備の対艦弾道ミサイル「DF21D」は第1列島線より遠方でも米空母をピンポイントで攻撃することが可能となっているとみられる。
世界最速を目指し開発を進めた長距離爆撃機「轟10」は航続距離も長く、西太平洋全域で米空母を威嚇する。大陸間弾道ミサイル「DF31」は射程を1万4千キロに延ばし米本土全域を核攻撃の脅威で揺さぶる。
これらにより米軍の介入を阻めば、中国は宮古海峡に加え、台湾-フィリピン間のバシー海峡も押さえられる。中国にとって海洋進出の「防波堤」は消え、東シナ海と南シナ海での覇権確立を意味する。第2列島線を越え西太平洋支配の足がかりも得ることになる。
防衛省幹部は「これが対中有事で想定しておくべき最悪シナリオだ」と語る。
× × ×
冷戦終結後、植民地獲得はしなくても自国の権益拡大に腐心する国を、元外務省主任分析官で作家の佐藤優氏は「新・帝国主義国」と名付ける。そうした国が出現する状況のなか、日本はどう対処すべきか。安全保障、高齢化、エネルギー問題などから近未来のアジアを見つめ、日本の生き残りの道を探る。
■中国国防費「12年後に米抜く」
10~20年後の有事シナリオ作成に防衛省が着手したことが判明したが、その頃の東アジア情勢はどうなっているのだろうか。参考となるのが米国家情報会議(NIC)がまとめた国際情勢に関する報告書『世界の潮流2030』だ。
東アジア情勢に関し、中国政府が国内問題の目をそらすため「外に向かってより攻撃的になる」可能性を示している。
報告書の執筆、監修にあたったマシュー・バロウズ顧問は「最悪のシナリオ」も指摘する。
「中東紛争が起きている間にパキスタン情勢が悪化、同時に東アジアでも緊張が拡大する」
なぜこうしたシナリオを検討しないといけないのか。バロウズ氏の答えは明快だ。
「30年までに、地政学的な環境の急激な変化が起きるだろうからだ」
◆「独自で対抗無謀」
軍事費の面から30年に向けた東アジア情勢を予測したのが神保謙慶応大准教授だ。神保氏は昨年7月、シンガポールでの講演で、05年から30年にかけての日米中3カ国の軍事費の推移を発表した。
参加者の目は神保氏が示した図表にくぎ付けとなった。25年に中国の国防費が米国を逆転する可能性を示したためだった。
将来の各国の名目国内総生産(GDP)を国際通貨基金(IMF)などの推計をもとに算出し、GDPに占める国防費の割合をかけあわせた。中国の国防費はスウェーデンのストックホルム国際平和研究所(SIPRI)の統計や米国防総省の分析を援用した。
財政支出削減により米国の国防費の伸び率が大幅に制約されると、米中の国防費が逆転するとの結果が出たのだった。
「さまざまな仮定の上に立った単純計算だ」と神保氏は前置きするが、「安全保障の構図が変化する可能性には多くの関心が寄せられた」と振り返る。
この図表で神保氏が「よりリアリティーを持ってみるべきだ」と指摘するのが日中の比較だ。30年には中国の国防費は日本の防衛費の約9倍から約13倍になる可能性を予想したのだ。
「米国から離れて日本が独自に中国と対抗しようとしても、それがいかに無謀なことかを数字は示している」
神保氏はこう指摘する。
陸上自衛隊OBの山口昇防大教授は中国の台頭を踏まえ、今後の米中関係と日本の将来像に関し、4つのケースに区分する。
アジアの安全保障で米国の影響力が強く残り、中国が協調的であれば、日米同盟を基軸に日本は平和と安定を維持できるが、残る3つは悲観的だ。山口氏は(1)米中対立(2)米中勢力圏棲(す)み分け(3)中国の覇権-という予想を立てた。
山口氏によると、米中が対立すれば日本は前線となるか、中国圏に入るかの選択を迫られる。米中棲み分けならば日本は中国圏か孤立の道をたどる。韓国も領土をめぐり中国との共闘姿勢に転じれば日本は包囲網を敷かれることになる。あるいは「中国の地域覇権」に組み込まれる可能性もある、という。
■露も危機感、日本に秋波
このような状況を想定してか、いま日本に秋波を送ってきている国がある。ロシアだ。
元外務省主任分析官でロシアが専門の佐藤優氏は、昨年8月の李明博韓国大統領の竹島上陸の後、クレムリン(大統領府)にアクセスを持つ人物の来訪を受け、こう言われたという。
「ロシアは尖閣、竹島で好意的中立だ。そのことを日本はわかっているのか」
佐藤氏はこの発言を次のように読む。
「尖閣で発言することは、結果として中国を利することになるので避けている。東アジアで中国の影響力が拡大することを阻止したいからだ」
実際、プーチン大統領は昨年12月26日の安倍晋三首相誕生に際し、直ちに祝電を送り、アジア太平洋地域の安定と安全保障のために日露関係を発展させていく意向を示した。28日には電話会談も行った。
◆天然ガスの供給先
ロシアの対日アプローチの要因となっているのが天然ガスだ。NIC報告書は、米国がシェールガスの生産により輸出国になる可能性を指摘している。天然ガス輸出国のロシアも大きく影響を受ける。
「米国が海外から手を引くのか。ロシアも読めない。そこで安定的なエネルギーの供給先として日本を考えている。対中牽制(けんせい)にもなる」と佐藤氏は分析する。
報告書は、30年の潮流として「資源需要の拡大」を例示しているが、茅原郁生拓殖大名誉教授は「とりわけ中国にとっては死活問題だ」と指摘する。
中国近海での乱獲により漁業資源はすでに枯渇ぎみで、石油需要の急増に伴いエネルギーの確保にも血眼になる。
そこで手を伸ばそうとするのが沖縄県・尖閣諸島であり東シナ海の離島だ。島を奪い、それを基点に排他的経済水域(EEZ)も広げ、漁業・海底資源をわが物顔であさる。
それを担保するのが軍事力による海洋支配で、「戦略国境」と名づける中国ならではの概念を体現することになる。その概念とは、「力」を持つものが押し出していけば、そこまで支配権が及ぶ-。
【用語解説】米国家情報会議(NIC)
米国と世界の将来像を戦略的に分析して政策立案に生かすために、米大統領に対して15~20年にわたる世界情勢の予測を報告する。中央情報局(CIA)など米政府の情報機関によって組織され、報告書作成には諜報機関だけでなく大学教授やシンクタンク研究員なども参加している。世界的な金融危機の最中の2008年には「世界の潮流2025」を公表、米国の相対的な国力低下と多極化の時代到来を打ち出し注目を集めた。情勢判断を総合的に記述した機密文書「国家情報評価(NIE)」の作成にも当たっている。
http://www.iza.ne.jp/news/newsarticle/politics/diplomacy/619400/
中国外交文書に「尖閣諸島」=日本名明記、「琉球の一部」と認識-初めて発見
中国外務省の外交文書「対日和約(対日講和条約)における領土部分の問題と主張に関する要綱草案」の原文コピー。写真右は表紙、同左は75ページにある「尖閣諸島」の文字 【北京時事】沖縄県・尖閣諸島(中国名・釣魚島)をめぐり中国政府が1950年、「尖閣諸島」という日本名を明記した上で、琉球(沖縄)に含まれるとの認識を示す外交文書を作成していたことが27日分かった。時事通信が文書原文のコピーを入手した。中国共産党・政府が当時、尖閣諸島を中国の領土と主張せず、「琉球の一部」と認識していたことを示す中国政府の文書が発見されたのは初めて。
尖閣諸島を「台湾の一部」と一貫して主張してきたとする中国政府の立場と矛盾することになる。日本政府の尖閣国有化で緊張が高まる日中間の対立に一石を投じるのは確実だ。
この外交文書は「対日和約(対日講和条約)における領土部分の問題と主張に関する要綱草案」(領土草案、計10ページ)。中華人民共和国成立の翌年に当たる50年5月15日に作成され、北京の中国外務省档案館(外交史料館)に収蔵されている。
領土草案の「琉球の返還問題」の項目には、戦前から日本側の文書で尖閣諸島とほぼ同義に使われてきた「尖頭諸嶼」という日本名が登場。「琉球は北中南の三つに分かれ、中部は沖縄諸島、南部は宮古諸島と八重山諸島(尖頭諸嶼)」と説明し、尖閣諸島を琉球の一部として論じている。中国が尖閣諸島を呼ぶ際に古くから用いてきたとする「釣魚島」の名称は一切使われていなかった。
続いて「琉球の境界画定問題」の項目で「尖閣諸島」という言葉を明記し、「尖閣諸島を台湾に組み込むべきかどうか検討の必要がある」と記している。これは中国政府が、尖閣は「台湾の一部」という主張をまだ展開せず、少なくとも50年の段階で琉球の一部と考えていた証拠と言える。
東京大学大学院の松田康博教授(東アジア国際政治)は「当時の中華人民共和国政府が『尖閣諸島は琉球の一部である』と当然のように認識していたことを証明している。『釣魚島』が台湾の一部であるという中華人民共和国の長年の主張の論理は完全に崩れた」と解説している。
中国政府は当時、第2次世界大戦後の対日講和条約に関する国際会議参加を検討しており、中国外務省は50年5月、対日問題での立場・主張を議論する内部討論会を開催した。領土草案はそのたたき台として提示されたとみられる。
中国政府が初めて尖閣諸島の領有権を公式に主張したのは71年12月。それ以降、中国政府は尖閣諸島が「古来より台湾の付属島しょ」であり、日本の敗戦を受けて中国に返還すべき領土に含まれるとの主張を繰り返している。
領土草案の文書は現在非公開扱い。中国側の主張と矛盾しているためとの見方が強い。 (2012/12/27-14:37)
http://www.jiji.com/jc/zc?k=201212/2012122700471
台湾活動家の船が接続水域外へ=尖閣沖
第11管区海上保安本部(那覇市)によると、沖縄県石垣市の尖閣諸島沖の接続水域を航行していた台湾の活動家らの船と台湾公船が24日午後、同水域を出た。台湾に引き返したとみられる。 (時事通信)
http://dailynews.yahoo.co.jp/fc/domestic/senkaku/
台湾漁船団が領海侵入=40隻、当局船も-海保が放水、退去・尖閣沖
25日、尖閣諸島に向かう台湾の巡視船(奥)と台湾漁船=台湾・中央通信配信(AFP=時事) 25日午前6時ごろ、沖縄県石垣市の尖閣諸島・魚釣島沖で、日本の領海のすぐ外側の接続水域を、台湾の旗を掲げた40~50隻の漁船団が航行しているのを海上保安庁の巡視船が確認した。付近に台湾海岸巡防署の巡視船約10隻がおり、漁船約40隻と巡視船8隻は午前9時ごろまでに、同島の西南約22キロで領海に侵入した。
海保は退去を命じるとともに、巡視船が漁船への放水や進路規制を行った。漁船と台湾巡視船はいずれも正午までに領海を出た。
政府は同日、首相官邸内の危機管理センターに情報連絡室を設置。間もなく官邸対策室に格上げした。台湾の巡視船が尖閣諸島沖の日本領海に入ったのは7月4日以来。
第11管区海上保安本部(那覇市)によると、漁船団は「釣魚台(尖閣の台湾名)防衛を誓う」などと書かれたのぼりや横断幕を掲げている。漁を行う様子は見られないという。
海保は接続水域で無線などを通じ、領海に入らないよう警告。台湾の巡視船からは「ここは中華民国(台湾)の海域で、正当な業務を行っている」と無線で応答があった。(2012/09/25-12:36)
http://www.jiji.com/jc/zc?k=201209/2012092500108&g=soc
台湾漁船団の領海侵入を支援した実業家の素顔
2012.10.6 12:00 (1/4ページ)[海外事件簿]
「旺旺」グループ、蔡衍明会長のメディア進出特集を組んだ台湾の雑誌「新新聞」(吉村剛史撮影)
日本政府の沖縄県・尖閣諸島(台湾名・釣魚台)の国有化では、台湾も尖閣への主権を主張し、抗議している。しかし一方では、東日本大震災で巨額の義援金を寄せた台湾と日本の良好な関係を背景に、10月初めにも懸案の日台漁業交渉の再開が見込まれる段階にいたっていた。これに水をさしたのが、台湾の漁船団・巡視船団の尖閣での日本領海侵入と、日本の巡視船への放水だが、漁船団に出港を決意させたのは地元ゆかりの実業家による巨額の活動費支援だった。いったいどんな人物なのか。(台北 吉村剛史)
巨大メディアグループのドン
9月1日は台湾では「記者節」(記者の日)とされる。今年は台湾新聞記者協会などの呼びかけで、記者、識者、学生、野党系の政治家やその支援者ら5000-6000人が、18年ぶりとされるメディア批判のデモを行った。
参加者らは「特定社によるメディアの寡占化に反対する」などと叫んで台北の街を行進し、ゴールとする放送、通信の監督機関、国家通信伝播委員会(NCC)で陳情書を提出した。だが、デモのスタート地点に選ばれたのは有力紙、中国時報の本社前だった。
中国時報をはじめ、工商時報、旺報、中天テレビ、中国テレビなどの系列メディアを、2009年に買収し「旺旺中時グループ」として傘下におさめるのが、せんべいなどの米菓で中国市場で大成功した台湾の食品企業グループ「旺旺」の蔡衍明会長(55)だ。今回、台湾で尖閣を行政上管轄するとされている北東部・宜蘭県の漁民たちは当初、地元県政府に抗議活動のための燃料費補助を申請した。しかし、県政府は再開機運にあった「台日漁業交渉を待つべき」として、抗議の延期を求めた。
その時、活動費として500万台湾元(約1350万円)を漁民にポンと寄付したのが蔡氏だった。
漁船は旺旺中時グループや中国時報の名前が入ったのぼり、横断幕で飾られていた。「特定方面への一種の宣伝だと思えば、結果的に安い出費だったのでは」(野党議員)との指摘もでている。
垣間見える「中国」の影
寄付は、表向きには「漁民らの主権と漁業権のアピールへの支援」という形だが、中国市場で成功をおさめた蔡氏だけに、「中国の意向をくんだ」と憶測する声も少なくない。
記者節のデモも、新たにケーブルテレビ買収に意欲的だった旺旺に、「寡占化」の批判の矛先が向けられたわけだ。
旺旺は中国110カ所以上の工場、40カ所以上の事務所を持ち、上海にグループの拠点(上海本部)を置く。蔡氏自身、中国政府要人とも関係が深く、台湾の言論界には「台湾の巨大メディアグループの言論に、中国の影響が及ぶ」との強い懸念が浮上している。事実、旺旺中時グループの中核となった中国時報などは、中国情報の手厚さを前面に出してアピールしているが、同時に「公器であるはずのメディアに蔡氏個人の色が濃くなっている」との批判もある。
台湾紙の記者の1人は「会長の意にそわない論調の解説記事やニュース報道に携わった編集者や記者たちにとっては、居心地の良くない社になったようだ」と証言する。実際、2009年以降、同社を去る記者、編集者は少なくない。
漁船団の出港支援で特定のメディアグループのトップが、極めて政治色の強い活動資金を提供したことについて、中国時報の記者に感想をたずねたところ、「僕の立場では、それがいいとか、悪いとか言えないよ」と気まずそうに言葉を濁した。
そして、苦しそうにこう付け加えた。「ただ、客観的に見れば、タイミングなども含め、釣魚台(尖閣)の主権問題に関し、台湾はあたかも中国と連携したかのように見えただろうね」。
中国市場で急成長の影に日本の技術
旺旺は「宜蘭食品」として、漁船団が出港した宜蘭県で魚の缶詰などを主力商品とする小さな食品会社だった。地方の零細企業が、メディアグループを傘下におさめるほどに、飛躍的に成長した影には、新潟県の米菓会社、岩塚製菓の存在がある。
蔡氏自身、何度も「今の旺旺があるのは、岩塚製菓のおかげ」と語っているが、宜蘭食品は1983年、岩塚製菓と提携し、せんべいなどの製造技術を伝授されたことで瞬く間に台湾市場を席巻した。24歳の蔡氏は岩塚の製品にほれ込み、当時の社長、槇計作氏に提携を申し込み断られたが、何度も押しかけた末に槇氏が根負けして提携に応じたという。
この時、犬の鳴き声に由来する「旺旺」(ワンワン)と名を変えたが、蔡氏は槇氏を今も「旺旺の父」と呼んでいる。
台湾でシェア90%と脅威的成長をとげた旺旺は94年に中国市場に進出。前金方式という中国の商習慣上なじみの薄いスタイルを貫きつつ、日本仕込みの品質で人気を得て巨大化した。
「1日3億枚のせんべいを売る米菓王」の異名をほしいままにし、今年5月には、米フォーブス誌が、蔡氏の資産を約80億米ドル(約6240億円)として、台湾の富豪第1位のお墨付きを与えた。台湾の雑誌「新新聞」は「年収40億台湾元(108億円)、資産1000億台湾元(2700億円)以上、7人の夫人と9人の子どもを持つ」などと紹介している。
漁船団への寄付金について、蔡氏に取材を申し込んだが応じてもらえていない。だが、ゆかりの岩塚製菓の広報担当者は「中国の意向を受けてというよりも、むしろ郷土愛から、地元、宜蘭の漁民の要請に動かされたのだと思います」と語っている。
しかし、領海侵入騒動の最中に台北入りした日本の対台湾窓口機関、交流協会の今井正理事長は、当時の楊進添外交部長(外相に相当)と会談したものの、漁業交渉再開の時期については合意できなかった。良好な日台関係を背景に、前向きな準備を積み上げてきた双方の現場の担当者らからは「交渉再開は旺旺に乗っ取られた」とため息をもらした。http://sankei.jp.msn.com/world/news/121006/chn12100612000000-n1.htm