恥を知れ、インド 「フィンガー・テスト」って!!?? | 日本のお姉さん

恥を知れ、インド 「フィンガー・テスト」って!!??

恥を知れ、インド (徳岡孝夫コラム)
フォーサイト 1月10日(木)16時21分配信
 昨年暮れから新年にかけインドから届いた、むごい性犯罪・殺人事件のニュースに、南アジアは怒りを通り越して呆然となった。読めば読むほど殺された女性への同情は深まり、インドという国への怒りが沸いてくる。



「唐天竺」といって、日本人は昔から「孔子さまの国」中国と「お釈迦さまの国」インドに、漠然たる敬意を払ってきた。その常識を一挙に覆す事件である。

 近頃の若い日本女性バックパッカーは、リュック1つを背に、アフリカや唐天竺の奥地へも出掛ける。行った先から報告を、NHK「地球ラジオ」などに送ってくる。大半は「思いがけず親切にしてもらった」「こんな面白い発見をした」と、明るい体験記である。だが、インドで起きた今回の悲劇を知れば、国際親善どころではない。少なくともインドのバスに乗るのは、2度考えてからにするのが賢明だろう。「世界どこでも人間家族」なんて、とんでもない。



 野蛮な事件が起きたのは、昨年12月16日、インドで最も文明的で安全であるべき国家首都ニューデリーでのことである。若い女子医学生(23歳。性犯罪の被害者は住所・姓名を伏せられている)は、男友達と一緒に映画館を出てバスに乗った。

 道端で手を振ったら止まってくれた。行き先を告げると「乗れ」と言うから乗った。日本ではそうはいかないが、ほぼ世界中で通用するバスの乗り方である。普通なら、何事もなく目的地で降ろしてくれる。

 このインドのバスには、その常識が存在しなかった。6人の若い男が乗っていて、そのうちの1人が鉄の棒を持ち、それで2人を殴った。女子学生のサリーを剥いで、6人で順番に彼女をgang-rapeした。あげく彼女と男友達を走るバスから突き落とし、後続の車に轢き殺させようとした。

 以上すべてが、走るバスの中で行なわれたという。実は運転手も仲間の1人で、この日は「何か面白いこと」を求めて市内を流していたところだった。



 走る車から2人が突き落とされ、男が必死に女を道端に引き寄せようとしているのを見た通行人が警察に知らせ、女子学生は市内のサフダーシュン病院に運ばれた。

 警察はバスを停めて車内を洗おう(つまり証拠隠滅しよう)としている運転手を見つけ、17‐35歳のレイプ犯6人はすぐに捕まった。うち5人は強姦と殺人の容疑で1月2日に起訴され、1人は17歳だというので刑事訴追の対象にならなかった。

 鉄棒で殴られ、犯され、走るバスから突き落とされた女子学生の状態は重篤だった。内臓破裂、脳内出血、骨折、出血など。素早く臓器移植と手術をしなければならないが、インドの首都にはそんな医療器具を全部そろえた病院がなく、技術を持つ専門医やスタッフの数も足りない。早く、正しい決断と措置をしなければならない。



 そのときシンガポール政府から提案が来た。患者をシンガポールへ空輸し、同地の病院で手術をしてはどうか。ウチのマウント・エリザベス病院には、患者の症状に対応できる医者も器具もそろっている云々。

 緊急事態なのだから、渡りに舟と提案を受け入れるのが普通だと思うが、そこで議論を始めて延々と続けるのがインドのインドらしいところである。

 まず重態の患者を飛行機に乗せ、外国まで運ぶことが症状を悪化させないか。そのうえ10億以上の民を抱える大国インドの、しかも首都に、レイプされた一女性患者を救える医療設備と医者、技師がいないのか。私が知っているのはインド外務省の昔の役人、昔の記者、アムリツァーからカルカッタに至る幹線道路沿いに住む昔の人々だけだが、彼らが議論を始めると果てがないのである。

 そのうちに政府の無策を批判するデモが始まった。堂々たる政府官庁とは逆の、目も当てられない貧困のうちに1千数百万の民が住む町のデモは、ネットの写真を見ただけで物凄い。最も目立ったプラカードの字は「恥を知れ、インド」だった。



 インド社会の女性差別は、昔から知られている。結婚したのはいいが花嫁の持参金が少ないのに腹を立てた親戚が集まり、花嫁を焼き殺すという未開、野蛮な風習が、ほんの10年前くらいまで農村にはあった。世界で2番目に女性首相(インディラ・ガンジー)を出した国なのに、庶民のレベルでは女性の地位は極めて低い。

 ギャング・レイプの被害者は、結局12月27日にインド警察と家族に付き添われてシンガポールに送られた。インドの高名な医学者は「われわれの病院は多くの患者を診察・治療するのを目的にしている。シンガポールの私立病院とは勝負にならない」と語っている。



 可哀相に彼女は12月29日にマウント・エリザベス病院で息を引き取った。遺体はニューデリーに送り返され、ジャムナ川に近いガート(野外の火葬場)で荼毘に付され、遺灰はガンジスに撒かれた。遺族は犯人の死刑を強く望んでいるという。この2月に結婚式を挙げる予定だったが、すべてを失い自分も負傷した男友達の傷は癒えたのか、AFP は報じていない。インド警察は取りあえず「フィンガー・テスト」(警察官がレイプ被害を訴えた女性の性器に指を入れ、最近の性交の頻度を調べるテスト)を中止したそうである。

 中止というのなら、警察官はこれまで、体と心に打撃を受けた女性に対し、極めて野蛮な手法で訴えの真偽を確認してきたことを物語る。世論に押された検察は、今回の事件を徹底的に調べたため、起訴状は1000ページに達する見込みだという。

執筆者 徳岡孝夫
ジャーナリスト コラムニスト
1930年大阪府生れ。京都大学文学部卒。毎日新聞社に入り、大阪本社社会部、サンデー毎日、英文毎日記者を務める。ベトナム戦争中には東南アジア特派員。1985年、学芸部編集委員を最後に退社、フリーに。主著に『五衰の人―三島由紀夫私記―』(第10回新潮学芸賞受賞)、『妻の肖像』『「民主主義」を疑え!』。訳書に、A・トフラー『第三の波』、D・キーン『日本文学史』など。86年に菊池寛賞受賞

http://zasshi.news.yahoo.co.jp/article?a=20130110-00000306-fsight-int

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インド警察は、今の今まで、そんなことを女性被害者にやってきたワケか。

インド在住の日本人女性の記事によると、今回の被害者は、局部を鉄棒で突かれて体内を掻きまわされたので、小腸の大部分を失うことになったのだ。彼女は、もう、多臓器疾患で死んでしまったけれどこの事件でインドの女性に対する扱いが変わらねば、インドは、どうしようもない国だということだ。