海上幕僚長 年頭のごあいさつ
From:おき軍事
件名:自衛隊ニュース
■海上幕僚長 年頭のごあいさつ
平成25年を迎えるにあたり、謹んで新春のお慶びを申し上げますとともに、旧年中、海上自衛隊に賜りましたご厚情に深く御礼申し上げます。
海上自衛隊は昨年4月26日に創設60周年を迎え、海上自衛隊発祥の地である横須賀の第2術科学校において、盛大に記念式典を挙行いたしました。
この60年を振り返ると、特に最近の20年間は海上自衛隊にとっての大きな転換点であったと考えております。
1991年の海自掃海艇部隊のペルシャ湾派遣に始まり、これを機会に自衛隊の国際貢献のための活動が国民や世界の人々の目に触れるようになりました。
そして2001年の9.11テロ、これを機にインド洋においてテロ対策海上阻止活動を行う諸外国の艦船に対する補給活動を実施しました。
2009年からはソマリア沖アデン湾海賊対処行動を継続しており、海外へ展開しての活動が常態化しています。
最近では、2011年3月に発生した東日本大震災への対応であり、災害派遣として初の統合任務部隊(JTF)を編成し、自衛隊の総力を挙げて対処いたしました。
このように、この20年間で自衛隊の活動が国民の目に触れる機会が増え、実績を積み重ね、その結果、国民の海上自衛隊に対する評価・期待も著しく増大してまいりました。このことを我々は大いに誇りに思うべきであろうと思います。しかし、そのことに安住することがあってもなりませんし、決しておごることがあってはなりません。
我が国を取り巻く情勢は、東シナ海周辺は大陸からの『風』が強まり、『波』が高くなっております。
また、北朝鮮による「人工衛星」と称するミサイルの発射が、昨年は2回も強行されました。
世界各地においてもテロが後を絶たず、ソマリア沖・アデン湾での海賊行為も収束の目途は立っておらず、世界の平和と安全に対する脅威は複雑かつ多様化しています。
私は、今後の10年間を「さらなる精強・即応態勢の向上」の期間と定め、施策を進めています。
そして、その施策を進めるにあたっては、伝統を踏まえることが必要と考えています。現在の海上自衛隊は、諸先輩から引き継いだ伝統の上にあり、現役の我々はそれを後に続く後輩達に引き継いでいかなければなりません。
時代の変化に応じて、改革を進め、変えるべきものは変えていかなければなりませんが、その一方で、変えてはならないもの、守っていかなければならないものもあります。
常に原点に立ち返り、足元を見据え、変えるべきもの、そして守るべきものの峻別をしっかりと行い、「精強・即応態勢」を構築して参ります。
本年も海上自衛隊に対する御理解、御協力をよろしくお願いいたします。
海上幕僚長 海将 河野克俊
http://www.mod.go.jp/msdf/formal/about/basic/message/index.html
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