とくに目立つ手口は「キリスト教徒として迫害を受けた」「法輪功のメンバーなので」という偽造書類
「宮崎正弘の国際ニュース・早読み」
平成24(2012)年12月21日(金曜日)
通巻第3841号
FBIがチャイナタウンなど不法移民関連の悪徳弁護士事務所を捜索
ニューヨーク当局は「政治庇護」を求めるでっち上げ弁護士らを逮捕へ
****************
これは不法滞在、不法入国、インチキ書類での永住権保持者にとって衝撃であり、中国人の「政治保護」を求めて、「人権」を楯に履歴などの改竄文書をつくって、米国におけるグリーンカード取得、永住権獲得に動いてきた中国系アメリカ人悪徳弁護士への法的裁きである。
同時に不法滞在組や偽装結婚組が急増する日本にとっても、たいそう示唆的である。
2012年12月18日、ニューヨークのFBI支部は同市クィーンズ地区などに巣くう「移民の永住権獲得補助」が主なビジネスとする法律事務所などを一斉に手入れした。
いずれのオフィスも開業して僅か十年程度だが、スタッフを十五人から二十人もかかえるほどの大所帯で「繁栄」してきた。
FBIが踏み込んだ十の弁護士オフィスでの捜索は数時間に及び、偽造文書など夥しい書類を押収したうえで、21人を逮捕したが、三人が逃亡した。翌日に逃亡したうちの一人、ケン・ジルス弁護士は自首した。
NY連邦法院は、これら26名を起訴した。
とくに目立つ手口は「キリスト教徒として迫害を受けた」「法輪功のメンバーなので」という偽造書類、改竄書類だ。これらの書類作成を手助けした弁護士らは、左翼リベラルな政治風土のニューヨークで不法な利益を得ていたことになる。
日本のチャイナタウンでも大繁盛をきわめる法律事務所が多いが、かれらは、この米国発のニュースを如何に受け止めたか?
◇◇◇
◆書評 ◇しょひょう ▼ブックレビュー ☆
ヤルタの密約はルーズヴェルトがひとりで署名したことは判っていたが
彼の周囲は共産主義かぶればかりだった事実も「ヴェルナ文書」で証明された
♪
江崎道朗『コミンテルンとルーズヴェルトの時限爆弾』(展転社)
@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@
本書はいくつかの雑誌発表論文を系統的にまとめ直した書だが、題名通りの「爆弾」である。
野田佳彦首相が決断した衆議院の解散は民主党の解体をもたらしかねないほどの『自爆テロ』(田中真紀子)となった。嘗てアメリカの政権中枢に巣くった共産主義陰謀団も、その陰謀の重複の罠に自らが引っかかって、或いは自殺し、或いは歴史的評価が逆転し、いまでは陰謀の数々が白日の下に晒されている。
ルーズヴェルトの周囲にいた共産主義陰謀団は、1995年にアメリカのNSA(国家安全局)が機密公文書を公開したことにより明らかとなった。
これが「ヴェルナ文書」と呼ばれる一連の機密の記録である。
本書は一章を割いて、この究明にあたっている。
第二次世界大戦前後の時期にアメリカ政府内部に多数のソ連のスパイが潜入していることを暴いた文書は、「公開以降、同国内では『ルーズヴェルト政権はソ連や中国共産党と通じていたのではないか』と言う古くからの疑念が、確信へと変わりつつある」と筆者は言う。
すなわち「ヴェルナ文書」の公開によってソ連のスパイだったことが明白となったのは、アルジェー・ヒス、オーエン・ラティモアらである。
そして何が起きたか。
アン・コールターは「ヴェルナ文書」をつかって『反逆者』を書いた。
ブッシュ大統領は2005年、ラトビアで演説したおりに「ヤルタ協定は『史上最大の過ちの一つだ』」と言ったのだ。
これは同時にヤルタ憲法は無効であるとアメリカ自らが宣言したような大転換なのである。しかるに日本のマスコミは数行も報じなかった。
コトの重大性に気がついていない証拠であろう。
かっと目を見開かれる所論が並んだ力作となった。
◎◎
<宮崎正弘の最新刊>
宮崎正弘『中国を動かす百人』(双葉社)
@@@@@@@@@@@@@@@@@@
352頁、写真200葉以上、定価1575円。分厚い人名辞典、廉価。
アマゾンの受付は下記
http://www.amazon.co.jp/dp/4575304875/
(目次)
第一章習近平の権力中枢 李克強 王岐山 愈正声、張徳江、劉雲山、張高麗らトップセブンと政治局の重鎮=李源朝、王洋、劉延東(女性)ら団派トップの素顔
第二章長老軍団 <新長老> 胡錦涛 温家宝 vs <老長老> 江沢民 曽慶紅
第三章キッチン・キャビネット(習一家と周辺の人脈と)最大のブレーンは母親=斉心 姉二人と弟、奥方の膨麗媛は「あげまん」。前夫人と前愛人と幼なじみ等 何立峰(天津副市長)、陳希(遼寧省副省長)ら。清華大学同級生らの横顔 兄貴分だった薄煕来と劉源
第四章ライバル共青団+太子党 孫政才 胡春華、孫春蘭ら「第六世代」の動向
第五章 金融マフィア 郭樹清が台頭か? CIC(国冨ファンド)の楼継偉(会長) 周小川(人民銀行総裁)中国工商銀行頭取 中国銀行頭取 中国建設銀行頭取らの横顔
第五章対日外交の司令塔と軍人:楊潔チ(外相)、王毅(対日戦略のキーパーソン)唐家旋(対日戦略の黒幕)そして新軍事委員会の強力メンバーを徹底解剖
許其亮、馬暁天らはロケット、ミサイル重視のエンジニア派だ
第六章国有企業トップ、官僚財界人たち:シノペック社長 ペトロチャイナ、チャイナ・モバイル社長、華為技術社長、資源派の台頭 CNOOC(中国海洋石油)
第七章在野、民間:ダライラマ ラビア・カディール、王丹、莫言(ノーベル文学賞)韓寒ら。 劉暁波(ノーベル平和賞)、そして王丙章ら。
<民間実業家> 不動産王 家電量販店王 レノボ アリババ ワハハ集団
第八章 香港、マカオを動かす人々:<香港> 新長官と財界四天王 李嘉誠 李兆基(ヘンダーソンランド)他。<マカオ> スタンレー・ホーの素顔
第九章 台湾のカリスマ 李登輝と馬英九 野党指導者の謝長挺、蘇貞昌
台湾財界 エバグリーン エーサー 鴻海精密工業(郭台銘)、旺旺集団など
合計200名近い有力者の素顔、人脈を網羅。中国現代人物事典でもある
◇◇◇
<宮崎正弘の新刊>
『習近平が仕掛ける尖閣戦争』(並木書房、232p、並製。定価1575円)
http://www.amazon.co.jp/dp/4890632999/
(アマゾンでも受付しております ↑)
『現代中国 国盗り物語―――かくして反日は続く』(小学館101新書、定価756円)
http://www.amazon.co.jp/dp/4098251450/
(孫文から習近平まで紅い皇帝たちの権謀術数)
<宮崎正弘のロングセラーズ>
『2013年の中国を予測する』(石平との対談第三弾 ワック、980円)
http://www.amazon.co.jp/dp/4898316700/
『中国権力闘争 共産党三大派閥抗争のいま』(文芸社、1680円)
http://www.amazon.co.jp/dp/4286127214/
『中国が世界経済を破綻させる』(清流出版、1680円)
http://www.amazon.co.jp/dp/4860293851/
『オレ様国家 中国の常識』(新潮社、1470円)
http://www.amazon.co.jp/dp/4103290617/
<宮崎正弘の対談シリーズ>
『猛毒国家に囲まれた日本』(佐藤優氏との対談。海竜社、1575円)
『増長し無限に乱れる「欲望大国」中国のいま』(石平氏との対談 第二弾 ワック、945円)
『絶望の大国 中国の真実』(石平氏との対談シリーズ第壱弾。ワック、933円)
『日米安保、五十年』(西部邁氏との対談。海竜社、1680円)
『世界が仰天する中国人の野蛮』(黄文雄氏との対談。徳間書店、1575円)
http://miyazaki.xii.jp/saisinkan/index.html
宮崎正弘のホームページ http://miyazaki.xii.jp/
(C)有限会社宮崎正弘事務所 2012 ◎転送自由。転載の場合、出典を明示
平成24(2012)年12月21日(金曜日)
通巻第3841号
FBIがチャイナタウンなど不法移民関連の悪徳弁護士事務所を捜索
ニューヨーク当局は「政治庇護」を求めるでっち上げ弁護士らを逮捕へ
****************
これは不法滞在、不法入国、インチキ書類での永住権保持者にとって衝撃であり、中国人の「政治保護」を求めて、「人権」を楯に履歴などの改竄文書をつくって、米国におけるグリーンカード取得、永住権獲得に動いてきた中国系アメリカ人悪徳弁護士への法的裁きである。
同時に不法滞在組や偽装結婚組が急増する日本にとっても、たいそう示唆的である。
2012年12月18日、ニューヨークのFBI支部は同市クィーンズ地区などに巣くう「移民の永住権獲得補助」が主なビジネスとする法律事務所などを一斉に手入れした。
いずれのオフィスも開業して僅か十年程度だが、スタッフを十五人から二十人もかかえるほどの大所帯で「繁栄」してきた。
FBIが踏み込んだ十の弁護士オフィスでの捜索は数時間に及び、偽造文書など夥しい書類を押収したうえで、21人を逮捕したが、三人が逃亡した。翌日に逃亡したうちの一人、ケン・ジルス弁護士は自首した。
NY連邦法院は、これら26名を起訴した。
とくに目立つ手口は「キリスト教徒として迫害を受けた」「法輪功のメンバーなので」という偽造書類、改竄書類だ。これらの書類作成を手助けした弁護士らは、左翼リベラルな政治風土のニューヨークで不法な利益を得ていたことになる。
日本のチャイナタウンでも大繁盛をきわめる法律事務所が多いが、かれらは、この米国発のニュースを如何に受け止めたか?
◇◇◇
◆書評 ◇しょひょう ▼ブックレビュー ☆
ヤルタの密約はルーズヴェルトがひとりで署名したことは判っていたが
彼の周囲は共産主義かぶればかりだった事実も「ヴェルナ文書」で証明された
♪
江崎道朗『コミンテルンとルーズヴェルトの時限爆弾』(展転社)
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本書はいくつかの雑誌発表論文を系統的にまとめ直した書だが、題名通りの「爆弾」である。
野田佳彦首相が決断した衆議院の解散は民主党の解体をもたらしかねないほどの『自爆テロ』(田中真紀子)となった。嘗てアメリカの政権中枢に巣くった共産主義陰謀団も、その陰謀の重複の罠に自らが引っかかって、或いは自殺し、或いは歴史的評価が逆転し、いまでは陰謀の数々が白日の下に晒されている。
ルーズヴェルトの周囲にいた共産主義陰謀団は、1995年にアメリカのNSA(国家安全局)が機密公文書を公開したことにより明らかとなった。
これが「ヴェルナ文書」と呼ばれる一連の機密の記録である。
本書は一章を割いて、この究明にあたっている。
第二次世界大戦前後の時期にアメリカ政府内部に多数のソ連のスパイが潜入していることを暴いた文書は、「公開以降、同国内では『ルーズヴェルト政権はソ連や中国共産党と通じていたのではないか』と言う古くからの疑念が、確信へと変わりつつある」と筆者は言う。
すなわち「ヴェルナ文書」の公開によってソ連のスパイだったことが明白となったのは、アルジェー・ヒス、オーエン・ラティモアらである。
そして何が起きたか。
アン・コールターは「ヴェルナ文書」をつかって『反逆者』を書いた。
ブッシュ大統領は2005年、ラトビアで演説したおりに「ヤルタ協定は『史上最大の過ちの一つだ』」と言ったのだ。
これは同時にヤルタ憲法は無効であるとアメリカ自らが宣言したような大転換なのである。しかるに日本のマスコミは数行も報じなかった。
コトの重大性に気がついていない証拠であろう。
かっと目を見開かれる所論が並んだ力作となった。
◎◎
<宮崎正弘の最新刊>
宮崎正弘『中国を動かす百人』(双葉社)
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352頁、写真200葉以上、定価1575円。分厚い人名辞典、廉価。
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(目次)
第一章習近平の権力中枢 李克強 王岐山 愈正声、張徳江、劉雲山、張高麗らトップセブンと政治局の重鎮=李源朝、王洋、劉延東(女性)ら団派トップの素顔
第二章長老軍団 <新長老> 胡錦涛 温家宝 vs <老長老> 江沢民 曽慶紅
第三章キッチン・キャビネット(習一家と周辺の人脈と)最大のブレーンは母親=斉心 姉二人と弟、奥方の膨麗媛は「あげまん」。前夫人と前愛人と幼なじみ等 何立峰(天津副市長)、陳希(遼寧省副省長)ら。清華大学同級生らの横顔 兄貴分だった薄煕来と劉源
第四章ライバル共青団+太子党 孫政才 胡春華、孫春蘭ら「第六世代」の動向
第五章 金融マフィア 郭樹清が台頭か? CIC(国冨ファンド)の楼継偉(会長) 周小川(人民銀行総裁)中国工商銀行頭取 中国銀行頭取 中国建設銀行頭取らの横顔
第五章対日外交の司令塔と軍人:楊潔チ(外相)、王毅(対日戦略のキーパーソン)唐家旋(対日戦略の黒幕)そして新軍事委員会の強力メンバーを徹底解剖
許其亮、馬暁天らはロケット、ミサイル重視のエンジニア派だ
第六章国有企業トップ、官僚財界人たち:シノペック社長 ペトロチャイナ、チャイナ・モバイル社長、華為技術社長、資源派の台頭 CNOOC(中国海洋石油)
第七章在野、民間:ダライラマ ラビア・カディール、王丹、莫言(ノーベル文学賞)韓寒ら。 劉暁波(ノーベル平和賞)、そして王丙章ら。
<民間実業家> 不動産王 家電量販店王 レノボ アリババ ワハハ集団
第八章 香港、マカオを動かす人々:<香港> 新長官と財界四天王 李嘉誠 李兆基(ヘンダーソンランド)他。<マカオ> スタンレー・ホーの素顔
第九章 台湾のカリスマ 李登輝と馬英九 野党指導者の謝長挺、蘇貞昌
台湾財界 エバグリーン エーサー 鴻海精密工業(郭台銘)、旺旺集団など
合計200名近い有力者の素顔、人脈を網羅。中国現代人物事典でもある
◇◇◇
<宮崎正弘の新刊>
『習近平が仕掛ける尖閣戦争』(並木書房、232p、並製。定価1575円)
http://www.amazon.co.jp/dp/4890632999/
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『現代中国 国盗り物語―――かくして反日は続く』(小学館101新書、定価756円)
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(孫文から習近平まで紅い皇帝たちの権謀術数)
<宮崎正弘のロングセラーズ>
『2013年の中国を予測する』(石平との対談第三弾 ワック、980円)
http://www.amazon.co.jp/dp/4898316700/
『中国権力闘争 共産党三大派閥抗争のいま』(文芸社、1680円)
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『中国が世界経済を破綻させる』(清流出版、1680円)
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『オレ様国家 中国の常識』(新潮社、1470円)
http://www.amazon.co.jp/dp/4103290617/
<宮崎正弘の対談シリーズ>
『猛毒国家に囲まれた日本』(佐藤優氏との対談。海竜社、1575円)
『増長し無限に乱れる「欲望大国」中国のいま』(石平氏との対談 第二弾 ワック、945円)
『絶望の大国 中国の真実』(石平氏との対談シリーズ第壱弾。ワック、933円)
『日米安保、五十年』(西部邁氏との対談。海竜社、1680円)
『世界が仰天する中国人の野蛮』(黄文雄氏との対談。徳間書店、1575円)
http://miyazaki.xii.jp/saisinkan/index.html
宮崎正弘のホームページ http://miyazaki.xii.jp/
(C)有限会社宮崎正弘事務所 2012 ◎転送自由。転載の場合、出典を明示