100人中70人からも検出してしまう」という事実だけが先行し | 日本のお姉さん

100人中70人からも検出してしまう」という事実だけが先行し

<福島原発事故>「健康調査に不備」国連の専門家指摘
毎日新聞 11月27日(火)2時32分配信
 東京電力福島第1原発事故被災者の健康を巡る問題を来日調査していた国連の専門家「健康を享受する権利に関する特別報告者」アナンド・グローバー氏が26日、東京都内で記者会見し「福島県の健康管理調査は(対象地域や項目の)範囲が狭い。子どもの甲状腺検査の診断書を受け取れない親もいる」などと問題点を指摘した。日本政府の反論も踏まえ来年6月、国連人権理事会に報告書を出す。

 会見では同調査のうち、県民の外部被ばく量を推定する調査の回答率が「わずか23%」と批判。一方、内部被ばくについて研究者間でも評価が異なるとして「政府は用心深い姿勢に立ち、長期間の調査を行うべきだ」と注文を付けた。同調査検討委員会が秘密裏に開いていた準備会(秘密会)を巡っては「専門家だけではなく地域社会も関わらなければいけない」とプロセスの透明化を求めた。

 また、日本政府に対し、避難か帰宅か避難者が選べるような経済的支援や、高線量地域の除染計画の明確化などを要請するとした。

 インド出身弁護士のグローバー氏は15日来日。同県や、自主避難者が多い山形県などで被災者らに聞き取りをした。福島県郡山市の男性(54)は同氏に、市が進める除染作業で▽住民の被ばく対策が不十分▽汚染土類の保管場所がない--と安全管理の不備を訴えた。取材に男性は「権利が侵害されている状態を第三者の立場から判断してほしい」と報告書への期待を語った。

 特別報告者は国連人権理事会に選ばれた独立専門家で、中立の立場で問題状況を調査・報告する。【日野行介、蓬田正志】
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20121127-00000010-mai-soci  
福島県北で高い外部被曝量 1人が11ミリシーベルト
朝日新聞デジタル 11月19日(月)0時12分配信
 東京電力福島第一原発事故で、福島市など福島県北で事故後4カ月間に11ミリシーベルトの外部被曝(ひばく)をした住民が1人いることがわかった。これまでの一般県民の最高は、原発に近く線量が高い飯舘村などでは25ミリシーベルト、県北など原発から遠い地区では7ミリシーベルトだった。

 県が18日、被曝による県民健康管理調査の検討委員会で報告した。

 事故後4カ月間の個人の行動記録に基づいて調べる外部被曝の推計は10月末現在で約23万4千人分が終わった。原発作業員らを除くと、10ミリシーベルト以上の被曝は約120人。今回、判明した県北部の住民は、屋外にいた時間が長かったという。他は全員、飯舘村か浪江町の住民だった。
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20121119-00000001-asahi-soci  

Ex 内部被曝通信 福島・浜通りから~公表され始めた内部被曝の検査結果 配信日:2012-11-13

福島県いわき市にある、ときわ会常磐病院がホールボディーカウンター
(WBC)の結果を公表しました(http://www.tokiwa.or.jp/hallbodyanswer.html )。私もデータの処理など、少
しお手伝いさせていただいています。

2012年4月1日から9月30日までに行われた、4751名(内、いわき市在住の方が
4494名)の検査結果です。16歳以上の509名中、検出限界以上が18名(3.5%)。
15歳以下の4062名中、検出限界以上は1名(11歳男性)でした。

10Bq/kg以上の値を示す方はいらっしゃいませんでした。

器械は当院やひらた中央病院などと同じ、Fastscan。検出限界は同じく
220~250Bq/body程度です。検査をされた方の多くは小学生またはそれ以
下の子供達です。子供の検査を優先して欲しいという要望を受けたと聞いていま
す。体が小さいと値の安定性が悪くなりますので、今後、大人の検査も参照しな
がら進まなければなりませんが、とりあえずのところ、総じて相双地区の結果と
比べれば値は、遜色無い~若干低いぐらいの状況だと思います。

徐々にいわき市を含む、原発から南側の地域で、現在の内部被曝検査の結果が出
てきています。いわき市では、ときわ会常磐病院の検査に加えて、いわき市が主
導して市独自に行っている、いわき共立病院での検査も進んでいます(
http://www.city.iwaki.fukushima.jp/topics/014295.html
)。

こちらの病院でも毎日、スタッフが一生懸命、検査を続けていると聞いていま
す。ひらた中央病院で行われている、茨城県の牛久市の検査など、茨城県の市町村が独自に行っている検査結果も出てきています。今後いかに継続的に検査を行って行くか、さらに甲状腺のフォローなどの問題点も残っています。
とはいえ、あちこちの場所で淡々と検査が進み、値がある程度以下に維持されていることは良いことだと思います。

ときわ会常磐病院は、内部被曝検査を2012年4月から開始しています。私が最初に病院にお伺いしたのは2月のことでした。常磐会長から内部被曝検査の独自での導入を考えているが、どういう検査で何が分かるのか説明会をして欲しいと依頼を受けて、お伺いしました。

お会いする方の多くが、体育会系でハキハキした方ばかりで、導入に際しての
様々な調整も、非常にスピーディーに仕事をされていらっしゃる印象です。

実は、ときわ会の方々のことは、震災直後から存じ上げていました。

震災直後、様々な医療問題が生じましたが、その中で大きな問題になったことの一つが、透析患者さんの診療です。通常透析にはたくさんの無菌の水が必要です。震災直後、流通のストップや生活インフラの破綻により、透析が出来なくなりました。

透析は数日でも出来ないと、それだけで体に排泄できない老廃物が溜まり致命的になります。

ときわ会は、透析の患者さんを多く診療している医療機関です。透析患者さん達は震災直後、東京や千葉など、様々な医療機関に緊急避難しました。その際、受け入れ先の一つである亀田総合病院が大きく活躍したことをご存知の方もいらっしゃるかと思います。

「医療ガバナンス学会」のメールマガジン
Vol.103 ネットワークによる救援活動 http://medg.jp/mt/2011/04/vol103.html
Vol.144 いわきから亀田総合病院への透析患者受け入れ
http://medg.jp/mt/2011/04/vol144.html
Vol.404 東日本大震災透析患者移送体験記
http://medg.jp/mt/2012/02/vol404.html

前回では、医療機関が少ないことを取り上げました。この事故後、医療機関は批
判の対象になりやすいご時世ですが、常磐病院を始めとして、多くの県内の地元
病院が、地元に住んでいる方々の健康を守るため、震災前から震災直後、そして
その後もずっと淡々と医療人が働いていることを、是非皆さんに知ってもらいた
いと思いました。

写真:ときわ会のスタッフの方々と

http://www.asahi.com/health/hamadori/TKY201211090492.html

この文章は朝日新聞の医療サイト「アピタル」より転載したものです。

南相馬市立総合病院
坪倉 正治
MRIC医療メルマガ通信 ( http://medg.jp )
MRICの配信をご希望される方はこちらへ >( info@medg.jp )


Ex 内部被曝通信 福島・浜通りから~2台目と3台目の間にあったもの 配信日:2012-10-30

http://ryumurakami.jmm.co.jp/dynamic/report/report22_3041.htm
) 
引き続き、少し去年の話をしたいと思います。

1年前の今頃、僕らはホールボディーカウンター(WBC)がたたき出す数値に、驚くと同時に妙に納得していました。

2011年8月から子供を対象の検査を始めました。そのころ使っていた器械では、2000人検査をして、検出限界以上の値が検出されたのは6名でした。数にして全体の1%にも満たない人数です。

その後、2011年9月末にキャンベラ社製のWBCが導入されました。これは当院としては3台目の器械だったわけですが、それを使い始めた途端、100人中70人近くの子供から放射性物質を検出したのです。

大人からは、それ以上の率で値が検出されていきました。
上にも書きましたが、その値を見て、驚きつつも納得しました。ほとんどの方の体内放射能量が、2台目と3台目、それぞれの器械の検出限界の間に存在していたのです。

例えば、1000Bq/bodyは2台目の器械では検出限界以下(約1500Bq/body)なので検出しないが、3台目では検出できる(検出限界は250~300Bq/body)わけです。

その当時、この2台の検査器をもって、多くの子供の体内の内部被曝量がそれぐらいの値にあることを知りました。

ただ、対応に苦慮したのが公表でした。「100人中70人からも検出してしまう」という事実だけが先行し、値がどれくらいかということはあまり伝わりませんでした。

その当時、ベクレルの形で内部被曝が公表されている場所はありませんでした。どれくらいの値か皆分からず、右往左往していた時期、「70%の子供からセシウム検出!!」みたいな話は、色々な意味で格好の的だったのです。

いちばん辛かったのは地元の医療スタッフから、「ああ、公表しちゃったんですね」みたいな目で見られた時でした。

話を戻しますが、「検出する」または「検出しない」の話ではありません。どれくらいの数値かが問題です。検出限界が変われば、検出率なんてものはどうとでも変わります。

出るか出ないかだけの話しをするのなら、1960年代の大気中核実験の影響などで、日本中の多くの水からミリベクレル(mBq)ぐらいのレベルでストロンチウムは検出されます。プルトニウムも0か1かにはなりません。

ただし、検出するかしないかという分け方は、非常に理解しやすいし、現実的に気持ちにダイレクトに響きます。数値を見て判断することが大事なのに、「検出しない」→「大丈夫」、「検出する」→「大丈夫じゃない」みたいな構図は簡単に出来上がってしまっています。

食べ物も一緒です。世の中に存在する基準値も同じようなものです。「検出しない」→「大丈夫」とだけ理解するのは、この部分だけが強調されると誤解を生みます。

現在の器械で検出しなくても、より高性能な器械で計れば検出することもあります。尿を大量にためて、長時間計測を行えば、検出率はもちろん上がります。

今のところ検出率は、同様の場所での時間経過による推移(トレンド)で見るときしか有用では無いように思います。どこかの記事で見ましたが、最近のWBCの結果も検出限界を書かずに検出率で結果を示しているものも散見されます。

分かりやすく説明することと、正確に数値を伝えること。このバランスは難しいと感じますが、繰り返し発信することで伝えていくしかありません。

写真:先日は、南相馬で行われた教員免許講習にてお話してきました。星槎(せいさ)大学の細田先生が司会進行をされていました。色々な地域をカメラでつないで行いました。多くの方に現状を共有して欲しいと思っています。

http://www.asahi.com/health/hamadori/TKY201210260193.html

この文章は朝日新聞の医療サイト「アピタル」より転載したものです。

南相馬市立総合病院
坪倉 正治
MRIC医療メルマガ通信 ( http://medg.jp )
MRICの配信をご希望される方はこちらへ >( info@medg.jp )
http://ryumurakami.jmm.co.jp/dynamic/report/report22_3041.html
http://ryumurakami.jmm.co.jp/dynamic/report/report22_3049.html