人間は圧倒的な暴力の前には屈服するのがむしろ普通。
尼崎事件に見る「恐怖の隣人」防御法 まずは第三者の介入を
配信元:
2012/11/06 00:29更新
兵庫県尼崎市の死体遺棄事件で、中心人物の角田美代子被告(64)=別の傷害致死罪などで起訴=の恐るべき恫喝と洗脳の手口が次々と明らかになっている。ささいなことに激高し、トラブルをタネに次々と縁者を服従させた同被告。暴力で支配を狙う「恐怖の隣人」が現れたとき、どう身を守ればいいのか。
「駐車の仕方が悪い」「子供同士がケンカした」と、以前から近隣でトラブルを撒き散らしていた美代子被告。暴力と懐柔で他者を服従させていく過程は異様だが、そのきっかけとなるクレームは、ある意味どこにでもある「ご近所トラブル」。史上まれにみる凶悪事件も“入り口”自体はどこにでも落ちていそうな話で、だからこそ余計怖い。
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2012/11/06 00:29更新
兵庫県尼崎市の死体遺棄事件で、中心人物の角田美代子被告(64)=別の傷害致死罪などで起訴=の恐るべき恫喝と洗脳の手口が次々と明らかになっている。ささいなことに激高し、トラブルをタネに次々と縁者を服従させた同被告。暴力で支配を狙う「恐怖の隣人」が現れたとき、どう身を守ればいいのか。
「駐車の仕方が悪い」「子供同士がケンカした」と、以前から近隣でトラブルを撒き散らしていた美代子被告。暴力と懐柔で他者を服従させていく過程は異様だが、そのきっかけとなるクレームは、ある意味どこにでもある「ご近所トラブル」。史上まれにみる凶悪事件も“入り口”自体はどこにでも落ちていそうな話で、だからこそ余計怖い。
新潟青陵大学の碓井真史教授(社会心理学)は「やっかいな親戚でも困ったご近所でも、民事トラブルはまず第三者に入ってもらうことが先決。とくに相手側が暴力を誇示してきた場合は、それに対抗できる“力”を保持することが重要」と話す。
尼崎市の民家で遺体で発見された高松市の谷本隆さん(68)は、美代子被告により一家離散させられた弟を案じ、1人で弟宅に乗り込み命を落とした。同教授は「やはり1人で立ち向かったのは危険すぎた。感情的に行動すると相手のペースになる」という。
また、今回の事件では、クレーム→暴力の次にくる「洗脳」の深さも目立つ。
美代子被告の指示で、義母である大江和子さん(当時66歳)を死なせたとされる川村博之被告=傷害致死罪で起訴=は一家離散させられながらも、親身になって私生活の相談に乗った美代子被告に心酔。自身が逮捕された時点では、まだ美代子被告に「感謝」していたという。
「暴力と甘言で他者を支配するのは洗脳の常套手段。こうした事件の場合、なぜ逃げ出さないのか、なぜ心酔するのかと疑問に思うかもしれないが、人間は圧倒的な暴力の前には屈服するのがむしろ普通。本物の鎖より精神的な鎖でつながれた形の方が抜け出せない。そうしたシステムで作られた小規模なカルト、個人カルトなどはいたるところにある」
同教授はこう解説したうえで、いざ深みにはまってしまった時の対処法を指南した。
「通常の民事トラブルなら警察は動きませんが、少しでも事件化すれば動きます。例えば物を壊したとか、それによってケガをしたなど被害届が出せる状況。または裸で逃げ出すなど『保護』の対象になれば、警察に事情を説明できる場合もあります。あきらめず脱出のチャンスを逃さないことが重要です」