大連と青島で秘密の作戦会議が行われるのではないかとする憶測も上がっている。
「宮崎正弘の国際ニュース・早読み」
平成24(2012)年10月13日(土曜日)
通巻第3787号
徐才厚(党軍事委員会副主任)が急遽、大連と青島視察へ
空母の母港と青島の海軍基地は何が目的で、この時期に?
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多維新聞網(10月13日付け)によれば、党軍事委員会副主任(事実上のトップ)で政治局員の徐才厚が、大連と青島を急遽視察すると発表があった。
表向きの目的は「党大会を前に団結を誇示し、胡錦涛主席に忠節を誓うことを確認するため」とされた。「中国独自の社会主義の理想と政策の実践を目的にハイテク技術をさらにたかめる」と強調する。
さきにも大連で空母「遼寧」の甲板で行われた就航記念式典に中山服で出席した胡錦涛は珍しく温家宝首相をしたがえていた。温は軍に何のポストもないから、これは団派が空母を掌握した象徴かとも囁かれた。
徐才厚は大連で海軍艦艇学院にでむき、青島では北海艦隊本部を訪問し、訓話をおこなう。しかし、この時期に表向きの理由はどうであれ、尖閣上陸作戦が噂されている微妙な時期に相当するから、あるいは秘密の作戦会議が行われるのではないかとする憶測も上がっている。
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◆書評 ◇しょひょう ▼ブックレビュー ☆
尖閣戦争は目の前にあるのか? 気鋭の経済学者が説く脅威
中国は『悪の帝国』! だから日本は核保有国になると予測している
ピーター・ナヴァロ著、小坂恵理訳『チャイナ・ウォーズ』(イーストプレス)
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副題は「中国は世界に復讐する」とあって、なんだか物騒な感じを抱くが、原題英語は「The coming China Wars」である。若干意味が違うが、現在の日本と中国のおかれた状況から判断すれば、かくした解釈も成り立つ。
著者のピーター・ナヴァロは、どちらかといえば経済学者。カリフォルニア大学教授で、中国の専門家ではない。
だからこそ経済の視点から、中国をぶった切ると、その切り口が新鮮で衝撃的で従来的な中国観察者からは出てこなかった微妙な表現がある。
中国の奴隷工場、価格の出鱈目な設定、為替操作からはじまって公害無策、毒入り食品、ニセモノ天国の国がはたして一流の軍事力を持っていると考えて良いのか、疑問も多いが、最終的に中国の宇宙兵器を壊滅させる必要性を力説している。
本書の肯綮にあるのは、中国の果てしなき欲望、その軍事的野心をささえる経済力を観察しつつ「急速な軍備増強と経済制裁攻勢で、アジア情勢は極度の不安定化へ! 中国はアメリカと対抗する超大国を目指して、政治・経済・軍事の全ての面で「悪の帝国」化する、と言う。
レーガン大統領がかつてソ連を「悪の帝国」と規定したが、次の中国も「悪魔」というわけだ。
中国が日本の領土を強奪しようと尖閣領有を宣言したが、この無謀な行動が象徴している。
「日本が防衛力を強化しなければならない理由は(中略)中国はアメリカ海軍の優位に対抗するべく、『外洋艦隊』の充実をはかっている。それが完成すれば、中国海軍はアジア全域で突出した存在になる。そんな強力な軍事力を背景に、アジアの海域を『中国の湖』と同一視するようなエネルギー政策を推し進められたら、他の国々の海上活動やエネルギー資源開発にとってじつに厄介な存在となる」
(この指摘は少し古く、すでにそうなった)
そしてピーターはこう続ける。
「日本の世論や政府の政策に厄介な影響を及ぼしている。今日、中国の台頭といやがらせ行為のおかげで、日本は第二次世界大戦の終焉以来五十年以上にわたって拒んできた選択肢をとらざるをえないという見解が、日増しに高まっているのだ。それは単なる再軍備ではない。正式に『核保有国』となる道である」
きわめてタイミングの良いときに、本書は旧版を加筆して再刊された(本書は2009年に刊行されて『中国は世界に報復する』を改題し、新稿をふんだんに挿入した)。
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(読者の声1)戦没学徒慰霊祭のお知らせ
今年はあの学徒出陣から満69年に当たります。下記三大学で慰霊祭が行われます。一般の方も参加できます。
國學院大學戦歿先輩学徒慰霊祭
日時 10月14日(日)14時より
場所 渋谷キャンパス正門横慰霊碑前
主催 國學院大学戦歿先輩学徒慰霊祭実行委員会
早稲田大学平和祈念碑献花式
日時 10月21日(日) 9時半より
場所 大隈講堂横の平和祈念碑前
主催 早稲田大学出陣学徒の会
慶應義塾戦没者追悼会
日時 11月3日(土)14時より
場所 三田キャンパス図書館旧館前庭園
主催 慶應義塾戦没者追悼会実行委員会
上記に関するお問い合わせは下記まで。
玉川博己
E-mail tamagawah@fuga.ocn.ne.jp
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(読者の声2)iPS細胞に関する研究で日本人がノーベル医学賞を受賞で喜んでいたら、「ハーバード大学の森口尚史客員講師がiPS細胞(人工多能性幹細胞)を使った世界初の臨床応用を実施」との読売のスクープ。
いくらなんでも早すぎるだろうと思っていたらやはり疑惑だらけ。2004年、韓国の黄禹錫(ファン・ウソク)博士が動物クローン技術を用いて世界で初めてヒトの皮膚細胞でクローンES細胞を作った、とされる発表はその後の検証で全くの捏造だったことが発覚しました。森口氏もすぐバレる嘘をつくところなど純正日本人とはとても思えない。
パスポートの色は緑かも。テレビで森口氏を見た印象ですが典型的な韓国ハゲ(側頭部の髪は残るのに月代を剃ったように禿げ上がる)ですね。元or現在日だとすると全て納得できます。
(PB生、千葉)
(宮崎正弘のコメント)光ファイバーも日本人の発明を横から盗んで、さきに特許を取った中国系アメリカ人がいましたね。
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(読者の声3)以下は『夕刊フジ』の記事です。
タイトルは「中国経済“反日”で崩壊に拍車!不良債権240兆円も…その自爆シナリオとは 10月11日 」(ZAKZAKにも転載されました)。
(引用開始)「経済失速が懸念される中国で「致命的な爆弾」と懸念されているのが金融危機だ。
過剰なインフラ投資や不動産バブル崩壊で、中国国内銀行は240兆円もの不良債権を抱える恐れがあり、資金・産業の流出や社会騒乱も予想される。
欧米各国が対中投資を減らし始めるなか、尖閣問題を契機にした一連の反日工作や不買運動が中国経済の崩壊に拍車をかけるというのだ。
その自爆シナリオとは-。
東京で開催中の国際通貨基金(IMF)・世界銀行年次総会に、中国の謝旭人財政相と中国人民銀行(中央銀行)の周小川総裁が出席を見送った。
中国の4大銀行である中国工商銀行、中国銀行、中国建設銀行、中国農業銀行もIMF総会の関連イベントを欠席。いずれも日本政府の尖閣諸島国有化への対抗措置とされるが、実は銀行自身にも暗雲が立ちこめているようだ。
「4大銀行は中国の融資の82%を占め、ほとんどが国有企業に融資される。ところが国有企業の半分以上が赤字。国有企業は不動産投資をしているところが多いが、不動産の売れ残りだけで60兆円分あるとされ、融資の焦げ付きは大変なことになっている」と語るのは中国問題に詳しい評論家の宮崎正弘氏。
さらに宮崎氏は「中国の銀行が抱える潜在的な不良債権は160兆~240兆円」と指摘する。実に中国のGDP(国内総生産)約570兆円の3~4割にあたる。
不良債権問題といえば1990年代以降、日本経済を苦しめたことが記憶に新しい。日本の場合、住宅金融専門会社(住専)や大企業向けの融資が焦げ付いたのだが、中国の不良債権は「地方自治体に眠っている」(中国市場に詳しい金融関係者)という。
中国各地の自治体は、一種のペーパーカンパニーである投資会社が銀行から融資を受ける形で資金調達し、インフラ投資を行っている。
2008年のリーマン・ショック後にも高成長を維持するため、採算度外視で投資を続けたことが裏目に出たというのだ。
「地方自治体は農民から収用した土地の利用権を売却するなどして借金返済に充ててきたが、不動産バブル崩壊で借金が返せなくなっている」(同)
アジア太平洋地域のニュースを扱うサイト「ディプロマット」は、米国の研究者の試算として、中国内に約1万社あるという投資会社の債務が2010年末時点で最大14兆4000億元(約180兆円)、地方自治体の借金額は20兆1000億元(約250兆円)としている。
東海東京証券チーフエコノミストの斎藤満氏は「中国経済は相当に厳しめに見ておく必要がある。銀行は不良債権を抱え、鉄鋼や建設資材への過剰投資も深刻だ」と分析する。
「中国はそんな数字を発表しないだろうが、実態はゼロ成長程度まで落ち込むのではないか」(前出の金融関係者)との観測もある。
前出の宮崎氏も「銀行や大手不動産デベロッパーは太子党(共産党高級幹部の子弟)が経営しているので政府はつぶさず、資金をさらに供給して守ろうとする。しかし、海外の投資家は資金を引き揚げており、不動産も下がらないので傷は深くなるばかり。不満を持った国民の大暴動は避けられない」と話す。
中国経済崩壊に拍車をかけるのが、尖閣問題を発端にした一連の反日活動だ。
暴動による店舗や工場への直接被害、通関強化などのいやがらせを行ったほか、日本製品の不買運動では、大手自動車メーカーの販売激減という形で表面化した。
たしかに日本貿易振興機構(ジェトロ)の統計でも、米国やフランス、オランダなどは2011年に対中直接投資を前年から2~3割も減少させたが、ところが、日本は逆に49・6%増と突出して増やしており、このままでは中国経済と共倒れになりかねない。
日本政府も企業も、図体の大きい隣人との付き合い方を見直す時期にきている。』(引用止め)
というわけで、記事の60%が宮崎先生の談話に基づいていました。
(TY生、世田谷)
(宮崎正弘のコメント)二日後に送られてきた『夕刊フジ』(10月12日付け、11日発行)の見出しを見ましたが「中国経済、反日で『自爆』」となっていました。
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(C)有限会社宮崎正弘事務所 2012 ◎転送自由。転載の場合、出典を明示
前出の斎藤氏は「法体系があまりに違うことに驚いて中国から逃げ出す欧米企業も出始める中、長期投資を増やしてきたのが日本。その日本企業が尖閣問題で厳しい状況となり、中国のレピュテーション(評判)リスクがさらに意識されている」と明かす。 こうした隠れ債務が実体経済をもむしばんでいる。