太陽光パネルは国産限定を! 馬場 伯明 | 日本のお姉さん

太陽光パネルは国産限定を! 馬場 伯明

太陽光パネルは国産限定を!
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 馬場 伯明

環境・エネルギー分野で雇用創出を目指すオバマ大統領の「グリーンニューディール」政策の一環の太陽光発電事業であるが、昨年来、ソリンドラ社など国内パネルメーカーの3社が破綻した。中国メーカー等の低価格攻勢によるものだ。

米大統領選挙も佳境に入りつつある中で、オバマ大統領がついに「米国の事業には国産品の使用に限定」の方向へと軌道修正するらしい。(未確認情報)

ドイツの太陽光発電パネルメーカートップのQセルズ(元世界1位)やソロンなどが破産した。売電単価の年毎の切り下げと中国メーカー等のパネルとの価格競争に負けたからだ。

脱原発を標榜し自然エネルギー発電へ颯爽と進んでいたドイツ政府らは、茫然と立ち尽くし、手を打てないままに苦悩している。

わが日本ではどうか。福島原発事故に伴い、猫も杓子も自然エネルギー利用の大合唱団に加わり太陽光発電や風力発電などをもてはやしている。

(本来、これらは電力事業としてまだ競争力がない。私は、「太陽光発電や風力発電の思慮なき早期導入拡大」自体に異論を持っているが、本稿では、一時、保留する)

2012/7/1「再生エネルギー特別措置法」が施行された。何と!2012年度決定分は42円/kwh・年を20年間という超高値で、その電力を買い上げることが電力会社に義務付けられた。

しかし、電力会社は大して痛くはない。上乗せ分は電気代の値上げ分として国民が負担することになったからだ。

極端な言い方をすれば、「貧乏人を含め国民は余分な電気代を払い、事業者となる金持ちは利益を得る」ということである。

この制度により、国内の太陽光パネルメーカーのシャープ、パナソニック、京セラなどはさぞかし儲かるだろうと一般の国民は想像している。

だが、各社とも青息吐息らしい。欧米と同様中国のパネルメーカー、サンテックパワーなどの日本への進出(輸出攻勢)により、受注が伸びない。

実態は受注が伸びないどころの話ではない。シャープは、メガソーラ向けの薄膜太陽電池を生産する工場(堺市)の売却の検討に入った(2012/8/16時事通信社)。パナソニックも住宅向けパネル製品に注力し、メガソーラの国内生産からは撤退する意向らしい。

わずかに、京セラと昭和石油系のソーラーフロンティア(CIS薄膜太陽電池方式)が、自ら発電事業者を兼務するなどして生産を継続している。

どうなっているのか。これって、真実、異常な事態ではないのか?

セオリーどおりの経済原則を無視し、所得税等の税金と違い貧乏人を含む日本の全国民が余分な負担をさせられる。そして、その金は中国・韓国等の国外メーカーに流れるようになっていく。

この法律が論議された頃「中国や韓国らを利するために菅首相とソフトバンクの孫社長が談合した」と揶揄する報道もあった。いくら何でも、それは嘘だろう!と私は思った。

「ソフトバンク、韓国から太陽光発電事業(徳島)でソーラーパネルを大量購入へ!」などと報道があった。このまま推移すれば、揶揄報道の一部分は事実だったということになる。

鳴り物入りで創設された制度がまったく景気対策の「ケ」の一本にもならないのだ。菅(元)首相は(隠れて?)どこにいるのかわからないが、孫社長は黒い「政商」という謗りを免れなくなるであろう。

では、やるべきことは何か!「優遇単価の太陽光発電事業に使用する発電パネルは無条件に国産品に限定する」という法令改正を行ない、即刻、施行することだ。

自由貿易はグローバル時代の当然の大原則である。しかし、国民に血を流させる国内限定の苦肉の策の「・・特別措置法」なのだ。

欧米の発電パネルメーカーの惨状を知りながら、政府はもちろん、自民党をはじめ他の野党も、一体、何をぼんやりしているのか。

今、太陽光発電のための適地探し、つまり、全国の遊休地の囲い込みが物凄い速さで進行している。

地方公共団体が所有し持て余している破綻したプロジェクトの造成土地、採算がとれないゴルフ場、用途がない産業廃棄物処分場跡地や土砂採取場跡地などがにわかに脚光を浴びている。すでに、適地探しは終わった!
とも言われる。

売値2万円の高値米を作る田んぼに、仮に単価42円/kwr・年の太陽光発電設備を設置した場合、製造原価を差し引いた手取りと土地の賃貸料収入はほぼ同じらしい。(2012/9/27「太陽光発電セミナ」)

何ということだ。もちろん、発電事業のための農地の転用は禁止されているから、すぐにそうなるわけではないが・・・。

ちなみに、離農者の遊休農地(田畑)の賃貸料は、おおむね、3,000円/畝(30坪)・年=100円/坪・年=33円/!)・年程度である。土地を賃借して行なう標準的な農業収支はこの単価により成り立っていると思われる。

一方、太陽光発電事業のための土地の賃貸単価は100円/!)~300円/!)と言われる。それでも、単価42円/kwr・年の高単価により事業採算は十分取れる。ひとえに、国民が余分な電気代を負担してくれているからだ。

再度、強く言いたい。「優遇単価の太陽光発電事業に使用する発電パネルは無条件に国産品に限定する」という法令改正をただちに実行しなければならない。

国民の金は、自国のために使え!(2012/10/3千葉市在住)