南シナ海に中国が軍事侵攻をかけたのが1974年1月。95年にはフィリピンから南沙諸島を奪った。 | 日本のお姉さん

南シナ海に中国が軍事侵攻をかけたのが1974年1月。95年にはフィリピンから南沙諸島を奪った。

頂門の一針2012(平成24)年9月6日(木)

尖閣諸島を奪還できるか
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 櫻井よしこ

南シナ海に中国が初めて軍事侵攻をかけたのが1974年1月だった。

南ベトナム(当時)が領有していた西沙諸島の西半分を奪うため

海と空から攻撃し、南ベトナム軍哨戒艦2隻を撃沈、多数の兵を殺傷した。

泥沼化していたベトナム戦争で南ベトナムを支援していた米国にはもはや対中反撃能力はないと見越した上での攻撃だった。

ちなみに同諸島の東半分は56年以来中国が占拠して今日に至る。

88年、中国は今度は南シナ海の南沙諸島でベトナムを攻撃、艦船数隻を
撃沈して赤瓜礁を奪った。ついでにこのとき、先に奪った西沙諸島に
2600メートルの滑走路を完成させた。

95年にはフィリピンから南沙諸島の美済礁を奪った。

漁民が嵐を避けるための施設と称して、中国は軍事要塞を建造。

今そこには対空砲、対艦砲、ヘリポート、大型艦船停泊用の突堤などが備えられている。

以降、97年、99年、2009年、11年そして今年まで、南シナ海での中国の
軍事侵攻は続いている。

同じことは必ず東シナ海でも起きる。

その場合、日本は中国の軍事侵攻を退けられるのか。

その点について詳述したのが川村純彦氏の『尖閣を獲りに来る中国海軍の実力』(小学館)である。

氏は海上自衛隊の対潜水艦哨戒機のパイロットだった。

統幕学校副校長を務め退官、現在はシンクタンク「国家基本問題研究所」の客員研究員である。

氏は著書で東シナ海の衝突を仮定して戦いの主力となる日中の海軍力を詳細に比較、分析する。

いくつかわかりやすい事例を拾ってみる。

まず、海の兵力である。

日本の海上自衛隊は4万5518人、中国人民解放軍海軍は26万人、

うち航空隊が2万6000人、海兵隊が1万人である。

中国は海軍だけで、わが国の自衛隊陸海空合わせて23万人を優に上回る。
中国海軍は中国人民解放軍、すなわち陸軍の下位に置かれており、海軍の背後には世界最大規模の陸の兵力150万人が控えている。

艦船はどうか。

日本は排水量の総トン数で44万8000トン、小さな船も入れて143隻がすべてである。

他方、中国は134万トン、950隻を有する。

潜水艦はどうか。

日本が保有するのは通常型潜水艦一六隻にとどまる
中国は通常型潜水艦が62隻、加えて原子力ミサイル搭載潜水艦3隻、攻撃型原子力潜水艦6隻の計71隻を有す。

その他の装備の比較を見れば見るほど、日中の軍事力の差のあまりの大
きさと、ここまで差が開くまで放置し、現在もなお防衛費も自衛隊員も削減する政治家たちは、民主党も自民党も含めて、一体、この危機をどう捉えているのかと憤らざるを得ない。


これで尖閣諸島と東シナ海を守り切れるのか。

この問いに答えてくれるのが、本書の最終章である。

元海自のパイロットとして現場を知悉する川村氏が想定したのは、尖閣諸島を奪われ、日本が奪還するケースだ。

私は一気に読んでしまったが、興味のある方は氏の著書を読んでほしい。

結論から言えば、日本は中国に勝てるのだ。

日中の軍事力、装備の差を考えれば、日本の勝利は自衛隊員の練度と士気に大いに依存していることがわかる。

だが、自衛隊員の士気に頼ってばかりいられないのも明らかである。

これ以上、日中の軍事力の差を広げては取り返しがつかない。

中国が今も右肩上がりで軍事予算を増やしていることを忘れるわけにはいかない。

現在編成中の来年度予算で防衛費、および海上保安庁の予算を目に見える規模で増額し、人員も船も潜水艦も増やすことが野田佳彦首相、安住淳財務相、森本敏防衛相らの責任である。

川村氏は尖閣諸島がいったん中国に奪われるケースを想定したが、その手前で防ぐために、島に気象観測所や沖縄県警の拠点を急いで置くことだ。(週刊ダイヤモンド)2012.09.04 Tuesday name : kajikablog

2回目の掲載。↓
人民解放軍が尖閣諸島上陸演習へ
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「宮崎正弘の国際ニュース・早読み」 
   平成24(2012)年9月4日(火曜日)
        通巻第3745号 


人民解放軍が尖閣諸島上陸の軍事演習を今月中に挙行
 蘭州、広州、南京の三大軍管区が合同、揚陸艦、攻撃機、砲兵も動員
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解放軍報などによれば、蘭州、広州、南京の3大軍管区が合同で尖閣諸
島上陸を想定した軍事演習を準備していることが分かった。

南京軍管区は尖閣諸島の管内でもあり、従来も揚陸艦、武装ヘリコプタ
ーなどを動員して演習を繰り返してきたが、西北部の蘭州ならびに華南
の広州軍管区が加わるのは異例。

揚陸艦に加え、ジョット戦闘機(攻撃機)、砲兵も動員される。

中国は、これを「日本が仕掛けてきたことに対応する措置」と獅子吼し
ている。

「週刊アジア」(亜州周刊、9月2日号)によれば、日米韓3ケ国の安
全保障体制を突破して、中国が尖閣諸島に上陸し、制覇するには「3つ
の先制攻撃」が必要であり、第一にハッカーによる的の司令系統壊滅、
第二に制空権、制海権の掌握、そして第三に上陸という段取りとなり、
これらを「釣魚台戦争」と呼称するそうな。
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毎日新聞コラムが河野談話「見直しに賛成」
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 阿比留 瑠比

さて、3日の毎日新聞に目を通し、少し驚きました。元政治部長の山田孝男氏が自身の2面コラム風知草「慰安婦論争史を読む」の中で、私も先日引用した現代史家の秦郁彦氏の著書「慰安婦と戦場の性」(新潮選書)の内容を紹介した上で次のように書いていたからです。

《いま日本では、河野談話の見直しが盛んに議論されている。私自身、見直しに賛成だが、擁護論も根強いようであり、河野談話の存廃だけを争って国論の分裂を招くのは避けたい》《問題の根は日本にある。韓国の出方待ちではなく、まずは秦の労作を的確、良質な英訳で世界に発信したらどうか》

……全体の文意は留保を置いたあいまいなものですが、それでも「私自身、見直しに賛成だ」と明確に書いてあります。山田氏個人の意見であり、社論とは異なるのでしょうが、「うわぁ、あの毎日新聞でとうとうこういう意見が表明されるようになったか」と新鮮な思いがしました。

このコラムは、秦氏の著書を引きながら、慰安婦問題が先鋭化した原因が、1992年1月の朝日新聞記事にあることも記しています。

もちろん、毎日には毎日の事情もあるのでしょう、朝日を明確に批判したわけではなく突っ込みは甚だ甘く、鋭く明瞭な筆致が特徴の山田氏の文章としては、どうにも食い足らないものですが、それでも、いい傾向だと思います。これも「李明博効果」でしょうか。

本日、たまたま話した外務省元高官も李大統領が天皇陛下に謝罪を要求した件を強く批判し、「これまで日本は韓国には配慮し、遠慮しながら接してきたが、今回、韓国の側から一線を越えた。韓国の保守というものが、どの程度のものかもよく分かった。今は両国が普通の国と国との関係になるいい機会だ」と述べていました。

政界でも官界でもメディア界でも、日本のあちこちで、もういちいち韓国のような駄々っ子の相手をするのはやめよう、突き放してしまおうというコンセンサスが育ってきました。いいことです。遅きに失した感は否めませんが、それでも改めるべきは改めるべきですからね。

ちなみに、秦氏の「慰安婦と戦場の性」の中でインドネシアについて取り上げた部分(214ページ、インドネシア兵補協会が元慰安婦を名乗る女性に行ったアンケートに関する論評)には、以下のような記述があります。

《兵補協会のラハルジョ会長は、このアンケート作業は高木健一弁護士の指示で始め、彼が作った文案で実施したと産経新聞記者へ述べているが、当の高木は「助言はしているが、僕らが仕掛けたわけではない」と弁明している》

名前は記されていませんが、ここで出てくる産経記者とは私のことです。
だからというわけではありませんが、この本は慰安婦問題のすべてが網羅的・実証的に書かれていてお薦めです。全く、ここまで実態が解明されているにもかかわらず、いまだに強制連行説を振りかざす人たちって……。
http://abirur.iza.ne.jp/blog/entry/2828079/