「世界最大の開発途上国」だと今もうそぶく中国が、なぜインドネシアに10億元・126億円もの無償 | 日本のお姉さん

 「世界最大の開発途上国」だと今もうそぶく中国が、なぜインドネシアに10億元・126億円もの無償

温暖化で氷減少 通航料など削減 中国、北極点通過の最短航路開拓へ
産経新聞 9月7日(金)7時55分配信

 北極圏開発への参画を目指す中国が、アジアと欧州を最短距離で結ぶ商業航路として、北極点付近を通過する新ルートの実効性の調査を進めている。地球温暖化で北極海の氷が減少していることが背景にある。

 中国の大型砕氷船「雪竜」は8月中旬、北極海横断に成功しアイスランドの首都レイキャビクに寄港。同国の関係者によると、その後、20日に出港し中国への帰途に就いた。往路ではロシア沿岸の北極海を航行したが、氷の量が少なかったことから、復路では北極点付近の最短ルートに挑戦。海氷の状態や船の性能などの調査を行うという。

 石油や天然ガスのほか金、銀など北極圏の豊富な資源を狙う中国は、北極海沿岸8カ国でつくる「北極評議会」の正式オブザーバー入りを目指している。

 東アジアと欧州を結ぶ最短ルートとなる、北極点付近経由の北極海横断に、ロシアなど沿岸国以外で成功した例はない。

 公海上の北極点付近を通ると、北極海の大部分でロシアなど沿岸国の排他的経済水域(EEZ)に入らなくてすみ、通航料の出費などを抑えられる。今後、中国が最短ルートの航路開拓で実績を挙げれば、北極圏の諸問題で中国の発言力が強まるとみられる。

 中国は最新型砕氷船の建造も進めている。北極圏の権益をめぐる争奪戦で、無視できない存在になりつつある中国と、ロシアなどとの摩擦が激しくなることも予想される。
(レイキャビク 内藤泰朗)
「マラッカ以外」の海峡で…中国、予想外のもくろみ
配信元:
2012/06/28 18:28更新
 【宮家邦彦のWorld Watch】
 マラッカ海峡はアジア・シーレーン最大のボトルネックだ。平均水深約25メートル、岩礁や浅瀬も多い。一部の巨大タンカー・貨物船は航行できないが、年間通行船舶数約9万隻を誇る最重要海峡の一つである。
 同海域が不安定化すれば、日本はもちろんのこと、東アジア地域全体に及ぶ悪影響は計り知れない。おいおい、そのくらいなら誰でも知っているよ、とお叱りを受けそうだが、問題はここからだ。
 何と、中国は同海域を広く監視するレーダーシステムの建設をもくろんでいるらしい。思わず「やられた」とうなった。具体的には、中国が、マラッカ海峡以外の主要海峡付近に126億円相当の海上交通監視システムを建設し、インドネシアに供与するのだという。
 ジェーン海軍年鑑で有名なジェーンズ・ディフェンス・ウイークリー誌によれば、中国がレーダーを設置するのは、ボルネオ島西方のカリマタ海峡、ジャワ島西端のスンダ海峡、同島東方のロンボク海峡とその北方のマカッサル海峡に面した8カ所だそうだ。
 現在インドネシアはIMSS(統合海洋監視システム)をマラッカ海峡沿いなど総計33カ所で運用している。IMSSは従来米国が運用してきたものだが、昨年10月インドネシアに無償供与されている。中国の新システムはこのIMSSを補完することになるらしい。

 マラッカ海峡の代替ルートとしては、650キロほど長くなるが、マカッサル(現ウジュンパンダン)、ロンボク経由ルートも考えられる。スンダ海峡の水深は浅いが、ロンボク海峡は幅こそ狭いものの水深が250メートルもある。これら海峡の重要性は今後ますます高まっていくだろう。
 中国がレーダー建設を予定している場所は、数こそ少ないものの、IMSSが十分カバーできない重要海峡・航路をほぼ網羅する。商用船舶だけでなく各国海軍の監視もより容易になるこの配置こそ、中国がこの海域を戦略的に重視していることの証しだろう。
 問題は3つある。第1は無償供与の見返りに中国が新たな海上監視システムから得られたデータを「共有」、すなわち「取得」するらしいこと。第2は米国製IMSS運用費が高額となり、インドネシア海軍は米国の財政援助なしに維持管理できそうもないこと。
 第3かつ最も重要なことは、中国とインドネシア両国の軍事協力が近年急速に進んでいることだ。特に懸念されるのは、インドネシア・中国がC4ISR(指揮・統制・通信・コンピューター・諜報・監視・偵察)システム開発のため共同施設設置を計画していることだろう。
 昨年インドネシアを訪問した際、同国の対中関係は徐々に改善しつつあるなと感じたが、中国側の食い込みは予想以上だ。IMSSに対する米国の4億円弱の支援は2014年まで。これが止まれば、いずれ中国は「IMSS運用を支援する」とでも言い出しかねない。
 日本政府も2年前、マラッカ海峡の船舶航行安全システム整備のため14億円強の無償資金協力をインドネシアに供与した。正に「先見の明」だったわけだが、あくまでこれは始まりにすぎない。
 「世界最大の開発途上国」だと今もうそぶく中国が、なぜインドネシアに10億元・126億円もの無償援助を行うのか。

昨年まで世界第2の経済大国だった海洋国家日本にはなぜできないのか。

答えは残酷なほど明白だ。
今こそ「戦略的なODA供与」の拡大が望まれる。

 【プロフィル】宮家邦彦(みやけ・くにひこ) 昭和28(1953)年、神奈川県出身。栄光学園高、東京大学法学部卒。53年外務省入省。中東1課長、在中国大使館公使、中東アフリカ局参事官などを歴任し、平成17年退官。安倍内閣では、首相公邸連絡調整官を務めた。現在、立命館大学客員教授、キヤノングローバル戦略研究所研究主幹。
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