太田述正コラム#5685(2012.8.27)おもしろいメルマガですよ。 | 日本のお姉さん

太田述正コラム#5685(2012.8.27)おもしろいメルマガですよ。

太田述正コラム#5685(2012.8.27)
<皆さんとディスカッション(続x1646)>
<太田>(ツイッターより)

 シリアの副大統領が反体制派に寝返ったというニュース(コラム#5669)は事
実ではなかったことが判明した。
http://edition.cnn.com/2012/08/26/world/meast/syria-civil-war/index.html
?hpt=hp_t1


 しかし、否定する映像が提供されるまでに1週間もかかったことは、アサド政
権がいかに統治能力を失っているかを如実に示すものだ。

<GKHQWRIs0>(「たった一人の反乱」より)

 慰安婦問題で失望、竹島訪問の引き金に? 韓国大統領
http://www.asahi.com/international/update/0825/TKY201208250242.html  

 どうやら、慰安婦が原因でプッツンしてしまったようですね。
 おそらく、慰安婦に対する理解度が韓国人一般レベルと変わらんのでしょう。

<太田>

 「・・・
李大統領は7月中旬に申大使を日本から呼び、日本の植民地支配からの解放を祝う8月15日の「光復節」までに慰安婦問題を進展させるよ う指示。
申大使は日本側と接触したが、思うような返事を得られ<なかった。>」(朝日
上掲)
ということのようだね。

 そもそも、「野田佳彦首相は<2011年12月>18日、京都迎賓館(京都市)で韓国の李明博(イ・ミョンバク)大統領と約1時間会談した<と ころ、>李大統領は元日本軍従軍慰安婦問題について「両国の障害になっている慰安婦問題を優先的に解決する真の勇気を持たなければならない」と述 べ、問題解決を強く求めた。・・・」、
http://www.asahi.com/politics/update/1218/TKY201112180072.html  


「野田佳彦首相は<今年の5月>13日、韓国の李明博大統領と北京市内で会談した<ところ、>・・・大統領は従軍慰安婦問題を念頭に「歴史を直視 する基礎に立ち、知恵を集めれば両国関係はさらに強固になる」と述べ、早期解決に向けた日本側の努力を促した。・・・」
http://sankei.jp.msn.com/politics/news/120513/plc12051320270006-n1.htm  


という経緯があるわけだけど、昨年12月の時点で、私は、李明博がアタマがおかしいのではないか、と疑い始めていてしかるべきだった。
 (だって、ガリレオに向かって天動説を認めよと要求するような話だもんね。)
 鳩山由紀夫はアタマがおかしいというよりは、性格が歪んでいる、ないしは未
成熟である、と言うべきだろうが、彼は一年で首相辞任を余儀なくされ たけ
ど、李明博はそうはならない。
 行政府の長が元首を兼ねる点で問題であるだけじゃなく、任期が保証されてるという点でも大統領制はダメだ、と改めて思うね。
 韓国は、早く議院内閣制に改めなくっちゃ。

 ところで、最近のJMMで冷泉彰彦が、慰安婦問題での日韓の主張を対比させ、日本側の主張・・「慰安婦」=プロの売春婦説・・を是としつつ、こ の説を掲げて世界の世論に訴えても逆効果だという趣旨のことを書いていたが、米国に過剰適応した日本人ないし日系人の典型的な米国迎合的で卑屈な 見解だね。


 http://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%A3%B2%E6%98%A5   先進国・・地理的意味での欧州・オセアニア・カナダ・・で売買春が全面的に
禁止されている国はほとんどないし、
合法とされている国の大部分で売 春宿も合法とされている。 

そういう中で売買春を全面的に禁止している米国(ただしネバダ州を除く)の
方が異常なのだ。

 だから、説明の仕方にもよるが、慰安婦問題で日本の立場を米国の世論にだって理解し、賛同させることは可能なはずであり、それが不可能だという のなら、
それは米国が依然として人種主義国であることを意味することになるのであって、今度はそれを糾弾すればいい。
<TA>

≫もう少し考えてみてください。≪(コラム#5677。太田)

 考えましたが、どういった類の話か何となく見当が付く、といった程度しか分
かりません。取るに足らない疑問なのか否かも今一つよく分かっていま せん
が、(出席出来れば)オフ会で改めて質問させて下さい。

<太田>

 取るに足らない疑問でないことは確かですよ。
 ところで、次回のオフ会の申し込みフォームですが、お願いしたやまもとさ
ん、忙しいのかなあ。

<TA>

 ところで、「ブッシュ三題噺(その9)」(コラム#1135)と「日本の核政策
はどうあるべきか(その1)」(コラム#0143)の二つの未完 コラムですが、続
きを書かれる予定はないのでしょうか。

<太田>

 未完に終わっているものは、それぞれ理由があるわけで、恐らく容易には完結させられないと思いますが、そもそも、未完になっていることを忘れて いるシ
リーズもあります。(お示しのもそうですね。)
 ご無沙汰していますが、Chaseさん、時間がかかってもよろしいので、未完に
なっているシリーズを列挙していただけないでしょうか。

 それでは、記事の紹介です。

 またまた野田政権が放ったクリーンヒット。↓

 「自衛隊、外国軍に技術支援 6カ国対象、ODAの枠外で・・・」
http://digital.asahi.com/articles/TKY201208250590.html?ref=comkiji_txt_
end_kjid_TKY201208250590


 渡辺切りをする一方で、(ここには出てこないが)安倍にすり寄る橋下。野田
にしなさい!↓

 「維新が「みんな」を冷遇 渡辺氏には想定外・・・」
http://sankei.jp.msn.com/politics/news/120826/stt12082623450004-n1.htm  


 おお懐かしや。(セクハラと)パワハラの空自は今も全く変わってないようだ
ね。↓

 「 米国主導のイラク戦争で空輸を担うため、二〇〇六年に中東のクウェート
へ派遣された航空自衛隊の三等空曹の男性が現地で米軍のバスにはねら れ、後遺症の残る大けがをしていたことが分かった。男性は来月、空自が「事故隠し」に走り、まともな治療を受けられなかったとして国に損害賠償を 求める訴訟を名古屋地裁に起こす。・・・」
http://www.tokyo-np.co.jp/s/article/2012082790070510.html  


 アンタはエライ! だけど、すぐ腰砕けになるのはなさけないね。↓

 「「独島周辺の海洋や海底資源、韓日が共有を」 統一研究院長の発言に首相「厳正な措置」・・・」
http://www.chosunonline.com/site/data/html_dir/2012/08/25/2012082500597.html

 尖閣運動家への資金援助や共産党中央へのこういった賄賂。
 香港の経済界の志の低さは目を覆わしめるものがある。
 何度も言うが、こんなザマでは香港の中共下における民主化は金輪際ありえないだろう。↓

 「・・・米ハーバード大の行政大学院ケネディスクールで学ぶ「新世界ハー
バード高級公務員訓練養成プログラム」への参加だった。党中央組織部が 研修生を選抜し、4週間の短期と4カ月の長期のコースに毎年計20人前後を送り込むプログラムだ。・・・
  党幹部のこのプログラムへの参加費用は、香港の4大不動産会社の一つ、新世界発展有限公司が負担している。年額200万~500万元(約 2500万~6250万円)。・・・」
http://digital.asahi.com/articles/TKY201208260255.html?ref=comkiji_txt_
end_s_kjid_TKY201208260255


 紀元前52年にカエサルがウェルキンゲトリクス
http://en.wikipedia.org/wiki/Vercingetorix  


率いるガリアの原住民連合軍を打ち破り、ローマのガリア征服がなったが、そのアレシアの戦いが行われた場所をめぐって、ナポレオン3世当時に由来 する旧説(北部ブルゴーニュ説)と最近の新説(ジュネーブ近郊のジュラ説)が激しく争っているって。
 なお、この戦いでローマ側が敗れておれば、ドイツ同様、フランスもローマの
支配を受けないまま、大ドイツが形成されていた可能性があるとさ。↓
http://www.bbc.co.uk/news/world-europe-19167600  

◎防衛省OB太田述正メルマガ
のバックナンバーはこちら
http://archive.mag2.com/0000101909/index.html  


さつきブログ↓
2012年08月11日14:00
竹島:大使召還、外交日程中止は当然、
国際司法裁判所への提訴は支持。
冷静に経済制裁を!
森本防衛相は更迭!

1、経緯からして、プロの外交評論家で幕僚出身なら使ってはいけない「内政」
歴史的にも国際法上も日本国有の領土である、竹島ですが、マッカーサーラインでは、「暫定的に」韓国側だったのが、サンフランシスコ平和条約では日本側になった、その際に当時の李承晩大統領が一方的にラインを設定して不法占拠し、1953年4月には「独島義勇守備隊」が駐屯。6月に日本の海上保安庁と島根県が竹島を調査し、「日本島根県隠岐郡五箇村」の領土標識を立て、観光漁民6名を退去させた。この頃から、韓国は竹島を「武装化」し、1952年から1965年に日韓基本条約が締結されるまで、日本の漁船328隻を拿捕し、44人を死傷させたわけです。
 始めのうちは、この拿捕には、韓国の国内法上の法的手続きがなく、国際法史上まれにみる滅茶苦茶な行為だったのですが、その理由として韓国が使ったのが「内政干渉」

 だから、森本防衛大臣の記者会見のメモを何度読んでも、大統領が竹島を訪問したのは内政上の決断とか判断、といってしまうと、「国内のナショナリズムや選挙に配慮したんでしょう?」という意味に修正しなおそうとしても、歴史的に無理であり、防衛の専門家で、外交評論家であった森本氏をわざわざ防衛大臣に登用したのは、こういうことがわかっていて当然な人だからでしょう?選挙で信任を得ていない民間人を安全保障のトップにつけたのですから。
 今回も韓国の外交部は、日本に事前通告する必要はない、韓国の国内に行くのだから、内政問題、と言っているようで、これでは相手の主張の上塗りに見えかねません。
 
 春ごろから、従軍慰安婦問題をちらつかせながら、禁じ手だった「大統領竹島訪問」を韓国が強行しそうな気配は、あったようです。
 私が「日本海という呼称を不法に東海に変えようとする韓国の主張の誤りを主張し、日本としての署名を持ってワシントンを訪問」した、ゴールデンウイーク、米国の北東アジア専門家たちは、「韓国は、外交部をあげて、竹島、日本海、従軍慰安婦などの対日?問題に取り組んでおり、日本海呼称など、到底正当性がないのに、副大臣がヘッドでやっている。竹島は相当大変なことになるから、(日本は憲法上軍事行動がとれないのだから)海洋資源の共同開発かなにかで手を打ったら?」と、数年前では信じなれなかったくらい、韓国よりの発言をするようになっていました。
 そのことはお日経ビジネスオンラインの片山さつきの政治家日記、、「中韓ロビーに対して、日本外交影薄い」に詳しく書いておきました。

 この局面では、次の手として、日韓スワップ協定の凍結、輸出入にかかるなんらかの非関税障壁設定、竹島南側のメタンハイドレートを、日本側も独自探査、採取へ、等の措置を淡々と、実行していくことが考えられます。
  続きは、夜書きます。
satsuki_katayama
http://satsuki-katayama.livedoor.biz/archives/7381154.html  

(2)現代の世代の日本国は公式謝罪の主体にはならないという姿勢を明確にする。

(3)事実関係の誇張に関しては誤報のある毎に事務的に訂正を求めるに留める。国際社会に対しては事実関係の訂正に関する積極的なPR活動はしない。」という三点です。

 この中で注釈が必要なのは、「事実関係の訂正に関して積極的なPR活動はしない」という部分でしょう。どうして事実関係の訂正に積極的になることが得策ではないのでしょうか?

 現在、日本の世論の一部は、この問題に関して事実関係の訂正を行えば、国際社会における日本の名誉回復になると考えています。今週は、こうした主旨での政治家の発言が相次いだのも事実です。また、そのために、外国の新聞に意見広告を出すなどの活動も知られています。この場合の事実関係の訂正は以下のようなものだと考えられます。

(誤)「日本軍は派遣軍に同行させて性的な奴隷とするために、朝鮮半島から多くの女性を強制的に連行した。これが従軍慰安婦である。」

(正)「従軍慰安婦という存在はない。慰安所に勤務していたのは職業売春婦であり、経済的な報酬は支払われていた。その中には、身売りと言って家族の借金を精算するために人身売買の対象として管理売春業者に拘束された者もあるが、これはあくまで私的な経済取引である。また売春婦の公娼登録には警察が関与し、売春目的の渡航には外務省が関与しているが、これはあくまで風俗取締が主旨であって、当時の日本政府が管理売春を強制したわけではない。慰安所の設置は軍が行ったが運営は管理売春業者に任されており、従って派遣軍に女性を同行させたのは、あくまで業者の私的行為である。戦地においては女性たちの管理は憲兵隊の管轄であったが、女性を拘束した主体はあくまで管理売春業者である。また、こうした人身売買を伴い、戦地での勤務を業務命令として強制し脱走を許さない管理売春には、大多数の日本人女性も勤務
していたので朝鮮半島など植民地や非占領地出身者だけが対象になったのではない。」

 私自身、様々な資料や証言などを総合すると、事実関係としては「(誤)」はあくまで誤りであり、仮にそうしたケースがあったとしても例外的なものであり、事実としては「(正)」に近いという理解をしています。

 ですが、これを国際世論に対して「大声で訂正を求める」というのは、PR活動としてすべきではないと考えます。逆効果以外の何物でもないからです。

 というのは、現代の国際社会における常識に照らして考えれば、「(正)」の方でも十分に違法であり、倫理的には人間として最悪の行為とみなされるからです。日本の近代史に関して何も知らない第三国の人が初めて「(正)」の事実を知ったら、それだけで激怒し、日本に対する嫌悪の感情を、それも相当に不快な感情を持つに違いありません。

 PR運動に情熱を感じている人は、「マイナス100」が「マイナス90」になれ
ば「プラス10」の成果としての満足感が得られるかもしれません。ですが、いきなり「マイナス90」の情報に触れた人は、特に日本との縁がなく、日本への関心もない人であれば、現在の日本も含めて大変な悪感情を持つでしょう。この「(正)」の方で語られている内容を「胸を張って」当時は合法だったと主張するような人間は、現在形での悪人に見えてしまうのです。

 日本国政府や外務省は、基本的にこのパラドックスを理解して慎重に行動してきたと思います。今回の総理大臣親書の受取拒否といった一連の外交心理戦の中でも、先方の挑発に乗って、この原則を大きく曲げるようなことがあってはならないと思います。

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冷泉彰彦(れいぜい・あきひこ)
作家(米国ニュージャージー州在住)
1959年東京生まれ。東京大学文学部、コロンビア大学大学院(修士)卒。
著書に『911 セプテンバーイレブンス』『メジャーリーグの愛され方』『「関係の空
気」「場の空気」』『アメリカは本当に「貧困大国」なのか?』。訳書に『チャター』
がある。 またNHKBS『クールジャパン』の準レギュラーを務める。

◆"from 911/USAレポート"『10周年メモリアル特別編集版』◆
「FROM911、USAレポート 10年の記録」 App Storeにて配信中
詳しくはこちら ≫ http://itunes.apple.com/jp/app/id460233679?mt=8
●編集部より 引用する場合は出典の明記をお願いします。
JMM [Japan Mail Media]                No.702 Saturday Edition
【発行】  有限会社 村上龍事務所
【編集】  村上龍
【発行部数】101,417部
【WEB】   ( http://ryumurakami.jmm.co.jp/ )

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だから、過去に合法だったことを、今の法律とか今の感覚で裁くのは「事後法」っていうんじゃなかった?

韓国は、日本軍についてきた韓国人(当時は韓国人も日本人)の売春宿の主が応募して連れてきた朝鮮人売春婦のことを

事実を曲げて「日本軍が無理やりに女性を性の奴隷用に奴隷狩りをした」というウソをアメリカや外国で広めているから

そのウソをウソだと突かないとダメなんです。

売春婦はちゃんと報酬としてお金をもらっていたのです。

日本軍は済州島で奴隷狩りなどしていないのです。

アメリカのおばちゃんたちの気持ちなど考えて遠慮していたらダメなのです。

逆に、アメリカのおばちゃんたちも理解できるような文章を新聞に出さないとね。

  ■ 『from 911/USAレポート』第587回

    「日韓関係の現状をアメリカから見る」
    ■ 冷泉彰彦:作家(米国ニュージャージー州在住)
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 ■ 『from 911/USAレポート』               第587回
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 まず、この2012年の8月という時点で、日韓関係が悪化したことの外部環境についてはどう見たらいいのでしょうか?

 一つには、アメリカのオバマ政権がどうして「同盟国間のトラブルを放置」しているのかという問題があります。この点に関しては、韓国の李明博政権も、日本の民主党政権も、また東アジアの軍事外交に大きな影響力を持つ中国の胡錦濤政権も、全てが「政権末期」という事情が大きいと思われます。つまり、いくら同盟国同士の間で波風が立ったとしても、「当事者」は数カ月後には舞台から消えているわけで、アメリカとしては「問題に過剰反応する必要はない」あるいは「一過性の問題で本質的な変化ではない」という判断をしているフシがあります。

 それ以前の問題として、アメリカ自身が大統領選の真っ最中であるわけです。その大統領選では、特に今回はそうですが、内政問題へ関心が集中するわけで、外交については争点になることは少ないわけです。特にアジア外交の選択肢というのは争点になじまない以上、こうした日韓のトラブルには首を突っ込む必要性を感じないということもあるように思われます。

 更に言えば、ここ十数年の間、東アジアにおいて何かと不安定要素であった北朝鮮の体制が、どうやら金正恩体制として固まりつつあるという問題があります。仮に北朝鮮の新体制が動揺を続け、内部の混乱が転じて体外強硬姿勢になるような状況では、日韓がケンカしているような余裕はなくなるわけです。ですが、どうやら金正恩体制というのは、中国を後見人としつつ「改革開放路線」へと舵を切りつつあり、その点に関して恐らくは米中間で「当面は静観」という暗黙の合意があるように見えます。

 では、こうしたアメリカの「静観姿勢」はずっと続くのでしょうか? そうではな
いと思います。秋の到来とともに、様々な新しい文脈での動きが始まっていくと思われますが、その中で、アメリカはアジア外交に関して、改めて新しい方向性を模索していくことになるでしょう。

 まず動きとしては、今週既に少しその予兆が出てきています。例えば、22日の水曜日に「ウォール・ストリート・ジャーナル」が報道したところでは、オバマ政権は「アジアにおけるミサイル防衛の次の段階」について準備を始めているようです。主旨としては「北朝鮮の核の脅威は続くが、それ以上に拡大する中国の攻撃能力への抑止」だということが言われています。

 また今週発行された雑誌『フォーリン・アフェアーズ』には対中国政策に関する論文が二本掲載されていますが、基本的には「中国に対しては米国はもっと毅然とした姿勢で影響力を行使すべき」であり、米国が世界の軍事覇権を離さない限り中国は抑え込めるし、その限りにおいて中国は経済社会のソフトランディングに持ってゆくべきだという論調です。こうした姿勢には当然のことながら、同盟国である日本、韓国、台湾の協調が必要となるでしょう。

 勿論、ミサイル防衛の進展はオバマ政権の判断であり、『フォーリン・アフェアーズ』の論文も民主党系のものだとは言えます。この欄で数回にわたってお話したように、ロムニーの共和党政権ともなれば、対中国の姿勢はまた変わってくるでしょうし、中長期的には成り行きにもよりますが、「日本外し」を模索してくる危険も出てくるかもしれません。

 ですが、いずれにしても、秋になって政治の動きが次の季節を模索するようになれば、さすがに日本と韓国という自由経済と民主主義体制を持った同盟国同士が、まるで国交を断絶するかのようなケンカを続けるようなことは、許される環境ではなくなると思われます。

 では、日本と韓国の関係について、アメリカではどんな理解がされているのでしょう? コピーが手元にないので詳細は省略しますが、90年代に『サイコロジー・トゥディ』という雑誌で日韓関係に関する記事を見たことがあります。この雑誌は、心理学を切り口に科学的なテーマや社会的なテーマに論評を加えるメジャーな雑誌なのですが、韓国の植民地時代の記憶に関する分析を加えて、日韓の間にある「心理」を分析していました。ただ、結論としては「日韓は二カ国としては言語も文化も歴史も非常に類似している」にも関わらず、心理的な距離感があるのは「近親憎悪」としか言えないということで、双方に冷ややかな内容でした。

 この雑誌の記事が多くのアメリカ人の感覚を代表しているとは即断できませんが、漠然と次のようなことは言えると思います。一つは、日韓の文化は非常に似ているという印象があるようです。ですから、日本の会社と韓国の会社を取り違えたり、日本人と韓国人を間違えたりということは日常茶飯です。

 例えば、ここ5年ぐらいのアメリカでは韓国の三大財閥、つまりサムソン、LG、現代の製品が市場を席巻しているのですが、この3つのブランドが「韓国製」だというのは、あまり意識はされていません。程度の問題で言えば、レクサスが実はトヨタだということがそれほど意識されないのと同じように、ビジネスの世界に詳しくない人々の間では、漠然と「アメリカの会社?日本の会社?」という理解がされているようです。

 また、文化については日本文化の方が圧倒的に浸透しています。日本食は完全に「アメリカ人にとって最も身近な外国料理の一つ」になっていますし、アニメやデザインなど「クールジャパン」と言われる文化の浸透力は今でも衰えていません。これに対して、韓国は「Kポップ」がアメリカの若者に受けていますが、これは分かりやすい流暢な英語の歌ということと、アジア系の人口増を受けての現象ということで、ちょっと違うと思います。

 料理に関しては、韓国料理というのは、ゆっくりと普及してはいるものの、基本的には甘口の焼肉料理が主です。今でもキムチを含むトウガラシを使った料理に関しては「外国の食べ物の中では敷居の高い上級編」だと思われています。

 いずれにしても、アメリカの政権としても、社会としても日韓関係は「良好」であることが当然という感覚があるわけです。と言いますか、アメリカ社会の中では、日本も韓国も自然な存在感があり、それも違和感ではなく自然に受け入れらているという事実があるように思います。これに、軍事外交上の同盟関係ということが乗っかる形になっており、その結果として、今回のような紛争は「困る」ということになるわけです。

 ところで、ここに一つ気になる問題があります。いわゆる「従軍慰安婦」の問題です。例えば、私の住むニュージャージー州では、ニューヨークの通勤圏であるパラセイズ・パーク町という韓国人・韓国系の集中している居住区で、この問題に関する記念碑が建立されるという事件がありました。この件に関しては、このパラセイズ・パーク町というところが、人口の60%が韓国系という特殊なコミュニティだということで、大騒ぎする問題ではないと思います。また、この一方で、この問題に関して、日本側からの国際世論へ訴える動きも目にしています。

 いずれにしても、この問題を語るのは気が重いものがありますが、アメリカから見ていると「有効な態度」とは何かという点が非常に気になるので取り上げることにします。

 その前提として、先にこの問題に関する私の認識を申し述べます。まず、私は「謝罪外交」というのは、そもそも成立しないという考えです。戦前戦中の行為に関して、それが現在の常識や法律に照らして非難されるべきものであったとしても、現代の世代には責任はないし、従って公的な謝罪を行う立場でもない、また日本の周辺国の現代の世代には謝罪を要求する資格はないと考えます。いわゆる「従軍慰安婦問題」も同じです。

 問題は、にも関わらず韓国の世論と政治家が、この問題に関する「強制連行」の事実を認めよという要求と、現代の世代の日本の政府に対して公式謝罪を要求していることです。

 この問題に関して国際社会において可能なことは、次の三点であると考えます。
「(1)アジア女性基金により総額10億8千万円の経済的な支援が完了していることを改めてアピールする。