チュウゴクという国も幼稚だが、国旗が奪われたという失態がいかなる意味かを飲み込めない日本も幼稚。
「宮崎正弘の国際ニュース・早読み」
平成24(2012)年8月28日(火曜日)弐
通巻第3737号
日本大使を襲い、国旗を奪った「英雄」たちは、「現代の義和団」?
ネットに溢れる「中華愛国」の幼児性
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丹羽大使の乗った外交車両が北京で走行中に暴漢に襲われ、我が国の国旗が奪われる事件がおきた。日本政府は抗議せず、在留邦人の安全を中国当局に要請、また中国外交部は「遺憾の意」を現したに過ぎない。
中国のネットには「現代の義和団」「英雄」「日本鬼子をやっつけろ」など、熱血的興奮の書き込みが目立つが、あまりにも知的レベルの幼さに、やはり西太后に操つられた義和団を連想する。
尖閣問題で軍事行動を起こさない胡錦涛政権は「宋朝末期の軟弱外交に等しい」「王精衛に似ている売国政権だ」という殴り書きもある。
さて筆者が考えるのは、こうした現象的事象ではない。
かりにも我が国の神聖なる国旗が奪われたのである。武士道にしたがえば大使は切腹してわびるべきである。また三人も日本人が大使のクルマに同乗していながら、国旗を守るために生命を賭けようともしなかった外交官は、なにか外交上の大切なことを忘れているのではないか。
その昔、ペルーで日本大使公邸が襲われ、多数が人質になった。フジモリ大統領は断固たる決意で武装突撃隊を編成し、ゲリラを退治し、日本人人質を救ったが、この行為に外務省はそれほどの感謝もしなかったばかりか、日本のマスコミは実力行使に批判的だった。
あまつさえ駐ペルーの日本大使=青木某は天皇陛下の御真影ならばともかく、当時の橋本首相の写真を掲げて記者会見に出てきた。
かりにも全権大使とは天皇陛下の名代であり、首相は行政のトップに過ぎないという真実を忘れている行為だった。
かくして日本人の劣化、
事態の深刻性が分からない外務省とマスコミ。
国旗が奪われたという失態がいかなる意味かを飲み込めない幼児性。
このことは極めて重大深刻な現代日本人の精神の混迷と錯乱ぶりを示して余りある。
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(読者の声1)いつも初歩的な質問で恐縮ですが、貴誌3731号で薄煕来夫人の谷開来が「英国人から脅迫されていた」「当時は精神が錯乱していた」などの事由で「死刑判決ただし執行猶予」という甘い判決がでて、これで幕引きとなるだろうとありました。
であるとすれば、肝腎の薄煕来、その右腕だった王立軍の裁判はどうなるのでしょうか?
(JJセブン)
(宮崎正弘のコメント)ペマ・ギャルポさんと先日あったら「薄は『林』に囲まれている」と比喩していました。つまり太子党の仲間が、かれを守っていて、厳格な取り調べも出来ず、結局、政治局員の「職務停止」のまま、党籍も剥奪されておらず、他方で王立軍の裁判は成都で秘密裏に開廷している様相です。
特権階級の身内の不祥事は皆で蓋をしているわけです。
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