「宮崎正弘の国際ニュース・早読み」  | 日本のお姉さん

「宮崎正弘の国際ニュース・早読み」 

「宮崎正弘の国際ニュース・早読み」 
   平成24(2012)年8月23日(木曜日)
        通巻第3733号 


 中国はさらなる金融緩和に踏み切るか
  周小川「金融政策にいかなる手段行使も選択肢から排除しない」
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 中国の金融政策を司るトップは周小川(中国人民銀行総裁)。すでに十年近く、中国の中央銀行総裁のポストに居座っている。
海外に出張することが多く、その活躍、国際会議ではスター並みに扱われ、誰もが周小川を知っていても、日銀総裁が誰か知らない

 周小川は2012年8月22日、北京で開催された金融研究会の合間をぬってのインタビューで、住宅価格変動、乱高下をおさえるには、一層の金融緩和が必要かと問われたらしく、次のように答えている。
 「金融政策にいかなる手段行使も選択肢から排除しない」(ウォールストリート・ジャーナル、中文版、23日)。

 いかなる手段行使とは「通貨供給、銀行間金利、預金金利、公定歩合、為替」など、中国が選択しうる範囲はひろく、過去九ヶ月のあいだに「銀行預金率」を三回引き上げて、不動産暴落に歯止めをかけようと必至だった。

 周発言は国際的影響力を追っており、12年6月4日には「中国がIMF増資に協力しないという選択は取れないだろう」と発言した。
同年5月25日には「温洲で行われた金融改革の実験は、もっと緩やかに」として個人の外貨による投資の急進的政策にはブレーキをかけるなど、もっぱら市場の安定を狙っての発言がつづく。

 この周小川は清華大学卒業、91年に外為管理局長、97年に中央委員候補、98年、中国建設銀行頭取、同年SEC委員長、2002年に中央委員。そして03年から人民銀行総裁。現在62歳。
 父親は周建南。機械鉱業部部長(大臣)。つまり彼も「太子党」の一員である。
 
◆書評 ◇しょひょう 
 現代日本はなにを甘っちょろいシナ観察をして敵性国家を誤断している
のか
  戦前の長野朗は、国益の視点、鋭敏な問題意識と稀な慧眼でシナを裁断していた
  ♪
西尾幹二『GHQ焚書図書開封7
 戦前の日本人が見抜いた中国の本質』(徳間書店)
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 戦前の陸軍には「シナ通」が沢山いたが、大方は軍のプリズムがあるため観察眼がねじれ歪んでいた。「シナ通」は現代日本のマスコミ用語でいえば「中国学者」か。
これという快心の中国分析は戦争中も少なかった。満鉄調査部のそれはデータに優れ、しかし大局的戦略性におとり、誤断の元にも成りかねなかった。そもそも草柳大蔵の『満鉄調査部』を読めば分かるが、かのシンクタンクには社会主義者が多数混入していた。
 当時、あれほどの日本人がシナの各地にありながら、中国を冷静かつ冷酷に客観的にみていたのは長野朗、大川周明、内田良平ら少数の学者、インテリ、ジャーナリストだけであった。
芥川龍之介の江南旅行記(『上海遊記』『江南遊記』(講談社学術文庫))もじつに面白いが、上海から南京までを駆けめぐった、地域限定であり、滞在も短く、しょせんは現象的観察という側面が否めない。しかし芥川の観察眼は作家の目であり、鋭い描写力があった。
 さて本シリーズは七冊目。
いよいよこうなると全体で何冊になるのか、想像もつくようになるが、本巻はほぼ全巻が戦前の中国観察の第一人者、長野朗のシナ分析につきる。付け足しに内田良平があるが、本巻ではほぼ付録的である。
 長野の著作は膨大で合計二十作品もあって、ほぼ全てが焚書図書となり、戦後古本屋からも消えた。好事家か、個人蔵書しかなく、それも戦後67年も経てば長野朗の名前を知っている人は中国特派員のなかにさえ稀である。
 評者は、ところで長野の著作を一冊保有しており、それも某大学図書館にあったもののコピィである。もっと言えば、それがあまりにも面白いので、某出版社に復刻を推奨したら、編集者の手元へ移り、そのまま五年か六年が経ってしまった。それが『シナの真相』、しかもこの本だけは焚書にならなかった。だから某大学図書館にあったのである。
 というわけで、このシリーズで西尾さんがほかの参冊をさっと読まれて重要部分を抜粋された。
まずは『シナの真相』のなかに長野朗が曰く。
「かの利害打算に明らかなシナ人も、ときに非常に熱してくる性質も持っている。シナ人の民衆運動で野外の演説等をやっているのを見ると、演説して居る間にすっかり興奮し、自分の言っていることに自分が熟してくる。その状態はとても日本人等には見られない所である。彼らは興奮してくると、血書をしたり、果ては河に飛び込んだりするのがある。交渉をやっていても、話が順調に進んだかと思っている時に、なにか一寸した言葉で興奮して、折角纏まりかけたのがダメになることがある。シナ人の熱情は高まり易いが又冷めやすいから、シナ人は之を『五分間の熱情』と呼び、排日運動等のときには、五分間熱情ではいけない。この熱情を持続せよといったようなことを盛んに激励したものである」。


 ▼「シナ人の五分間の熱情」と「気死」

 この文言をうけとめて西尾氏は、
「思い当たる節があります。日本にきている中国人のものの言い方を見ていると、口から泡を吹いているようですね」と指摘されている。
つい先日の尖閣問題でも、「五分間の熱情」でデモ行進をやり、「日本人を皆殺しにせよ」(殺光)と横断幕に掲げ、シナ人の所有する「日本車」を打ち壊し、シナ人が経営する「日本料理店」を破壊し、シナ人が経営するラーメンやのガラスを割った。
そして、「五分間の熱情」は、かの尖閣へ上陸した香港の活動家らの凶暴な風貌、掴まっても演説をつづける興奮気味のパフォーマンスに象徴される。以前の尖閣上陸のおりは、海に飛び込んで死んだ反日活動家もいた。

この自己制御できない熱情を長野朗は「気死」と定義し、次のように言った。
「日本人は憤って夢中になるくらいのことはあるが死にはしない。シナ人の興奮性から見れば、或いはその極心臓麻痺くらい起こして死んだかもしれない」

西尾氏は、これを『愛国無罪』とひっかけて興奮する中国製デモの興奮的熱情に見いだし、「日本レストランを襲撃したり、日本大使館に投石したり、やることが非常にヒステリックです。尖閣諸島の騒ぎの時も同じでした。国中が湧きたって、それこそ『気死』していましそうになる。じつに厄介な隣人たちです」
と指摘される。

 また長野朗は『支那の真相』のなかで、こうも言う。
 「しかしシナの混乱した状態を治めるには、最も残忍を帯びた人が出なければダメだと言われている。或るシナの将軍は、いまのシナには非常な有徳者か、それとも現在の軍閥に数十倍する残酷性を帯びた者が出なければ治まらぬと言ったが、シナが治まるまでには、莫大な人間が殺されて居る」

 そう、そうして残酷性を数十倍おびた毛沢東が出現して軍閥のハチャメチャな群雄割拠の凄惨な国を乗っ取った。

ほかにメンツの問題、衛生の問題、歴史観、人生と金銭感覚などに触れ、シナ人を裁断してゆくのである。
この長野朗こそ、現代日本人はすべからく呼んで拳々服膺すべし。しかし長野の著作はまだ復刻されていないから、本書からエッセンスをくみ取るべし。

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(註 芥川龍之介の江南旅行記(『上海遊記』『江南遊記』(講談社学術文庫))の「遊」は「さんずい」です)
    ◎◎   ◇◇
(読者の声1)メルマガ拝読しました。戦場カメラウーマンの死は、今の日本の男のだらしなさに重なって見えますが、将来ある一人の才女を失ったことを残念に思います。
 45歳、私はちょうど空幕広報室長でした。操縦桿を不慣れなボールペンに持ち替えて、組織のために戦って(?)いたころでしたが、ある事件で組織の一部上司の態度に愛想が尽き、辞表を提出したのですが、課長に留め置かれて、沖縄まで任務を延長することになりました。
しかし拙著に書きましたように(佐藤守『ジェットパイロットが体験した超科学現象』、青林堂)、沖縄では英霊方の供養を執り行うことが出来ましたから、これが私の使命だったのか、と思ったものです。
三島由紀夫も45歳、“戦死”した山本女史も45歳、人間、このころは人生の転機なのかもしれません。
体力・気力も峠を迎えるような気がしますから。
色即是空、空即是色の意味が、おぼろげながら頭に浮かぶのもこのころ、今日の先生の過去の経歴に自分の人生を重ね合わせると、長生きするのが必ずしも人生の目的ではないことを改めて悟ります。
この国の末路を見届けたくないので、シリアにでも『戦いに行こうか?』などと、老骨をも顧みず、無念な毎日を過ごしています。去勢されたこの国の男どもを叱咤激励していただきたく。残暑厳しい折、ご自愛ください。
 (佐藤守)

(宮崎正弘のコメント)アンドレ・マルロォも晩年、バングラデシュ義勇軍を言い出しましたね。ただし実現はしませんでしたが死に場所を求めていた。だからマルロォは三島に嫉妬したんです。
 シリアは、ところで、フェニキアの末裔、華僑、ユダヤ、インド商人も舌を巻くほどにこすっからくずるい。あの戦争はまことに不思議な謀略と暴力ですね。NATOも米国もシリアとだけは関わり合いたくないのでは?
 イスラエルは核兵器秘密基地を空爆破壊して一安心でしたが、この内戦でアサド軍が保有する化学兵器の行方だけは気にしているようです。
 
  ♪
(読者の声2)貴誌3732号『アレッポの罠』ですが、貴見に賛同です。
ボスニア紛争のころから欧米記者が一方的な批判記事を書くので、頭にきて記者連中を狙撃しはじめた。
やってみたら国際世論が沸騰し、良くも悪くも注目が集まった。
以来、国際世論の注目を引くためにまず記者を犠牲にする。それも対立側がやったようにみせるのが常套化しているように思います。
英米の記者なら騒動は大きくなりすぎるけれど日本の記者は当たり障りないから、こういう仕掛けに選ばれたのでしょう。前にビルマで日本の通信社記者が殺された。あれも変だと思っています。
貴誌の指摘、たいへん重要です。
(MT生、世田谷)


(宮崎正弘のコメント)下記は2月23日付けの産経新聞です。
(引用開始)「【ワルシャワ=木村正人】反体制派への武力弾圧が続くシリア西部ホムスで22日、“隻眼の女性戦争特派員”として知られる英日曜紙サンデー・タイムズの米国人メリー・コルビン記者(55)とフリーのフランス人カメラマン、レミ・オシュリク氏(28)の2人が政府軍の砲撃で死亡したことで、英米仏政府は「残虐な行為だ」(米国務省)などとアサド政権への批判を強めている」(引用止め)。
 欧米の新聞、テレビは山本さんの死を大きく取り上げています。とくにBBCなどは異例の報道で、予想以上に騒ぎが大きくなっているようです。

  ♪
(読者の声3)尖閣、竹島と我が国の領土を脅かされている今日この頃ですが、今朝の産経新聞を開いた時にはさすがに血が逆流しました。


滋賀県の嘉田知事が今年10月末に県北の長浜市で開催する「琵琶湖環境ビジネスメッセ2012」で韓国の慶尚北道の副知事と対談を予定しているとのことです。
慶尚北道は竹島の管轄を主張しており、今月19日には、陛下を侮辱したあの李明博直筆の石碑の除幕式も行なっています。その副知事を招待するとは何事かと、早速抗議のメールを送り付けました。
本人は「外交問題にかかわらず緊密な関係を作っていくことが住民の意識向上につながる。」と知能の低い韓流ババア丸出しの能天気ぶりです。読者の皆さん、よろしければ、下記に抗議のメールを送って、こういう場合の国際常識を教えてやってください。


(GV2)(宮崎正弘のコメント)滋賀県庁にデモをかけるという抗議手段もありますね。  ♪


(読者の声4)韓国・朝鮮人の性質については明治時代からいろいろな人により書かれていますが、事大主義というのはいまだに変わらぬようです。今年一月、大統領が中国を国賓待遇で公式訪問、中国のGDPが日本を追い越したとなると中国に事大し、なにを囁かれたか韓国の港に中国海軍の軍艦が寄航してもよいと言い、日韓の軍事協力(役務協定)調印は直前に中止、そして竹島上陸・天皇陛下侮辱発言です。韓国の大統領と外相がそろって、天皇陛下は謝罪する必要あり、というのですからまともな国ではありません。


いまだに日本統治時代の鉄杭が民族生気を断ち切るものだ、といって抜いては喜んでいる。筑波大の古田博司教授も留学時代の親韓的な論調はまったくなくなり、今では呆韓から嫌韓の雰囲気です。


産経の黒田記者は達韓(達観)していますが、皮肉がわからないネット民が黒田氏の記事を批判する。国語力が落ちているのか、日本の若者も欧米並みに感情表現を言葉にしないとわからない時代になったのでしょうか。熟慮だとか遺憾などとはっきりしないことばかり言っていた民主党政府もついに「韓国は竹島を不法占拠」と明言。ここ2~3日、大統領発言が聞こえてこないと思ったら、19日に除幕式を終えたばかりの大統領直筆の石碑をこっそり撤去。


http://news.searchina.ne.jp/disp.cgi?y=2012&d=0822&f=politics_0822_010.shtml


逃げ足が早いのも彼の国の特徴ですが、そろそろ本格的な懲罰を与える時期かもしれません。対する北朝鮮、こちらもよくわからない。先月だったか中国は北朝鮮の若手官僚を中国側の経費持ちで経済特区に招待、改革開放へ誘導しようとしている、というテレビニュース。


それに続いて張成沢国防副委員長が今月訪中、経済特区として羅津港のインフラ整備が進んでいることまで公開している。


ところが金正恩はブランドバッグを持った夫人との写真も公開、歌謡ショーではミニスカートあり、ディズニーキャラクターありで、アメリカに媚びを売る。北朝鮮は六者協議などどうでもよく、アメリカとの直接協議だけが大事なのだ、とは以前から言われていたこと。日本とも遺骨収集や墓参について政府間協議を行うという。中国が北朝鮮の鉱山開発でゆすり・たかりにあうという記事には笑ってしまいましたが、親中派と反中派の主導権争いでもあるのでしょうか。いずれにしても自力で統一もできない半人前国家、つかず離れず様子見でしょうか。  (PB生、千葉)


(宮崎正弘のコメント)福沢諭吉『脱亜論』はいまも、というより「いまだからこそ」有用です。   ♪
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