頂門の一針 「友好」と「親善」の違い 泉 幸男
「友好」と「親善」の違い
━━━━━━━━━━━━
泉 幸男
加瀬英明さんが、こんなことを書いておられた。
都内のパーティーで中国の高官と再会し、親しく挨拶なさったときのこと。
≪私は礼を述べてから、
「日本では安心できない相手の国に対して、友好関係といいます。日中友好、日露友好、日朝友好に対して、日米親善、日韓親善、日印親善というように、使い分けています。ご一緒に親善関係を築くために、努力しましよう」と、答えた。≫
渡部亮次郎さんの「頂門の一針」7月24日号に転載された一文からの引用である。
■ グーグル検索で実証する ■
加瀬英明さんのことは、芯のとおった教養人として尊敬申し上げている。
「友好」と「親善」に、こんな違いがあったか。言われてみれば、その
とおりだな。 たしかに「日中親善」とは言わない気がする。
「日台」は「日台友好」より「日台親善」のほうが、しっくりくる。
……と、昔ならこれでおしまいだった。
実証するには、大学教授ならゼミの学生たちを動員して、膨大な新聞・雑誌に目を通させて用例集めをするしかない。
気が遠くなるような作業だ。
ところが今ではグーグル検索をつかえば、表現の用例数が簡単に調べられる。
調べたい表現を “日中友好” や “日中親善” のように引用符で囲って検索すると、ヒットした件数は以下の通りだった。
なるほど「日中親善」は衝撃的に少ない。
ロシアと印度・英国への無関心が際立つ。
各行末の 【 】 内の数字は、
“xx友好” 件数を “xx親善” 件数で割った倍率だ。
この倍率を 「なんちゃって率」 (?) と名づけようか。
日中友好/日中親善 1,610,000 / 88,300 【18.23】
日露友好/日露親善 73,800 / 15,600 【4.73】
日朝友好/日朝親善 127,000 / 3,460 【36.71】
日韓友好/日韓親善 462,000 / 557,000 【0.83】
日台友好/日台親善 559,000 / 224,000 【2.50】
日米友好/日米親善 690,000 / 233,000 【2.96】
日印友好/日印親善 45,300 / 4,620 【9.81】
日仏友好/日仏親善 55,000 / 19,400 【2.84】
日独友好/日独親善 74,800 / 12,900 【5.80】
日英友好/日英親善 17,500 / 7,600 【2.30】
■ 付き合いのホンネと建前 ■
意外なことに、最大の友好国は中国で、最大の親善国は韓国である、というのがグーグル検索の結果であった。
“日韓親善” のヒット件数がかくも多いのにはビックリ。
「xx県日韓親善協会」というのが日本各地にあることが影響しているようだ。
来日が容易なので、日韓親善はイベントが開催しやすい。
「日朝」に対抗して意識的に「日韓親善なんとかイベント」が開かれ、その記事がネット上に多数掲載されることで、“日韓親善”のヒット数が上がっているのではないか、というのがわたしの説。
【 】 内の倍率数値を眺めれば、日朝の 36.71 が突出していて、日朝友好親善のウソっぽさが知れる。
次いでウソっぽいのが、日中友好親善なり、というわけ。
日印友好親善、日独友好親善がそれに続く。
ムリしてお付き合いしている度合いを物語っているとは言えまいか。
■ ムリのない日韓関係? ■
反面、竹島や慰安婦など騒ぎのネタに事欠かない日韓が、意外なことに【 】 内の数字は 0.83 と良好だ。
解釈としては「ホンネで付き合う関係」ということになる。
え? それって、どういうこと?
さんざん反日パフォーマンスを見せられて、さすがの日本人も疲れた。
かと言って中国と異なり、韓国は「怖い相手国」でもないし、「儲かりそうな国」でもない。
いまさら「日韓友好」をムリして演じる気にならない。
そんな判断が、【 】 内の数字を押し下げているのではなかろうか。
さて、どんなものでしょう。
===
▲ 後記 ▼
グーグル検索で用例数を調べるときは、調べたい表現を必ず引用符で囲んでください。
ただ単に 日中友好 で検索すると 5,900,000件のヒット。
ところが“日中友好”で検索すると 1,630,000件のヒット。
理由は、ただ単に 日中友好 で検索すると、日中関係とか、日中両国といった表現まで拾ってしまうからなのです。
引用符で囲めば、「日中友好」と4文字そろった表現だけを拾ってくれるわけです。
◆■■■国際派時事コラム「商社マンに技あり!」■■■◆
http://www.f5.dion.ne.jp/~t-izumi/
「友好」と「親善」の違い グーグル検索で実証する
■■■■第344号■■平成24年7月28日発行■■■◆転載許諾済
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泉 幸男
加瀬英明さんが、こんなことを書いておられた。
都内のパーティーで中国の高官と再会し、親しく挨拶なさったときのこと。
≪私は礼を述べてから、
「日本では安心できない相手の国に対して、友好関係といいます。日中友好、日露友好、日朝友好に対して、日米親善、日韓親善、日印親善というように、使い分けています。ご一緒に親善関係を築くために、努力しましよう」と、答えた。≫
渡部亮次郎さんの「頂門の一針」7月24日号に転載された一文からの引用である。
■ グーグル検索で実証する ■
加瀬英明さんのことは、芯のとおった教養人として尊敬申し上げている。
「友好」と「親善」に、こんな違いがあったか。言われてみれば、その
とおりだな。 たしかに「日中親善」とは言わない気がする。
「日台」は「日台友好」より「日台親善」のほうが、しっくりくる。
……と、昔ならこれでおしまいだった。
実証するには、大学教授ならゼミの学生たちを動員して、膨大な新聞・雑誌に目を通させて用例集めをするしかない。
気が遠くなるような作業だ。
ところが今ではグーグル検索をつかえば、表現の用例数が簡単に調べられる。
調べたい表現を “日中友好” や “日中親善” のように引用符で囲って検索すると、ヒットした件数は以下の通りだった。
なるほど「日中親善」は衝撃的に少ない。
ロシアと印度・英国への無関心が際立つ。
各行末の 【 】 内の数字は、
“xx友好” 件数を “xx親善” 件数で割った倍率だ。
この倍率を 「なんちゃって率」 (?) と名づけようか。
日中友好/日中親善 1,610,000 / 88,300 【18.23】
日露友好/日露親善 73,800 / 15,600 【4.73】
日朝友好/日朝親善 127,000 / 3,460 【36.71】
日韓友好/日韓親善 462,000 / 557,000 【0.83】
日台友好/日台親善 559,000 / 224,000 【2.50】
日米友好/日米親善 690,000 / 233,000 【2.96】
日印友好/日印親善 45,300 / 4,620 【9.81】
日仏友好/日仏親善 55,000 / 19,400 【2.84】
日独友好/日独親善 74,800 / 12,900 【5.80】
日英友好/日英親善 17,500 / 7,600 【2.30】
■ 付き合いのホンネと建前 ■
意外なことに、最大の友好国は中国で、最大の親善国は韓国である、というのがグーグル検索の結果であった。
“日韓親善” のヒット件数がかくも多いのにはビックリ。
「xx県日韓親善協会」というのが日本各地にあることが影響しているようだ。
来日が容易なので、日韓親善はイベントが開催しやすい。
「日朝」に対抗して意識的に「日韓親善なんとかイベント」が開かれ、その記事がネット上に多数掲載されることで、“日韓親善”のヒット数が上がっているのではないか、というのがわたしの説。
【 】 内の倍率数値を眺めれば、日朝の 36.71 が突出していて、日朝友好親善のウソっぽさが知れる。
次いでウソっぽいのが、日中友好親善なり、というわけ。
日印友好親善、日独友好親善がそれに続く。
ムリしてお付き合いしている度合いを物語っているとは言えまいか。
■ ムリのない日韓関係? ■
反面、竹島や慰安婦など騒ぎのネタに事欠かない日韓が、意外なことに【 】 内の数字は 0.83 と良好だ。
解釈としては「ホンネで付き合う関係」ということになる。
え? それって、どういうこと?
さんざん反日パフォーマンスを見せられて、さすがの日本人も疲れた。
かと言って中国と異なり、韓国は「怖い相手国」でもないし、「儲かりそうな国」でもない。
いまさら「日韓友好」をムリして演じる気にならない。
そんな判断が、【 】 内の数字を押し下げているのではなかろうか。
さて、どんなものでしょう。
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▲ 後記 ▼
グーグル検索で用例数を調べるときは、調べたい表現を必ず引用符で囲んでください。
ただ単に 日中友好 で検索すると 5,900,000件のヒット。
ところが“日中友好”で検索すると 1,630,000件のヒット。
理由は、ただ単に 日中友好 で検索すると、日中関係とか、日中両国といった表現まで拾ってしまうからなのです。
引用符で囲めば、「日中友好」と4文字そろった表現だけを拾ってくれるわけです。
◆■■■国際派時事コラム「商社マンに技あり!」■■■◆
http://www.f5.dion.ne.jp/~t-izumi/
「友好」と「親善」の違い グーグル検索で実証する
■■■■第344号■■平成24年7月28日発行■■■◆転載許諾済