丹羽大使も、日本政府も、中国を暴力団扱いにしている。「 中国を刺激してはならない。」
2回目の掲載です。
■「加瀬英明のコラム」メールマガジン
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送信日 : 2012/07/23 (Mon)
題 名 : 中国を暴力団扱いする日本政府のおかしさ
石原慎太郎都知事が衆院行政監視委員会において、東京都が尖閣諸島を買収しようとしていることについて、「本当は国がやるべきだ。自分たちの家に、強盗が『入るぞ』と宣言しているのに、戸締りをしない国がどこにあるのか」と述べたのに、多くの国民が快哉を叫んだ。
私は20数年前から、中国がかならず尖閣諸島を盗りにくるから、そのなかの最大の魚釣島に陸上自衛隊一ヶ中隊を常駐させるべきだと、論じてきた。武装民兵にいったん占拠されてしまったら、奪回するのはきわめて困難だ。
戦前、魚釣島には住民が居住して、鰹節工場があった。鰹節工場を再建して、「尖閣鰹節」をつくって全国に売ることを、提案したい。愛国の鰹節だ。
石原都知事は国会で都が尖閣諸島を買おうとしているのは、「国がやるべきことをしないから、東京がやらざるをえない」と、発言した。
そのちょっと前に、丹羽宇一郎駐中国大使が、都による尖閣購入が「中国を刺激して、日中関係にきわめて深刻な危機をもたらす」と発言した。自民党政権も、民主党政権も、日本国民どころか石垣市の職員にも、中国を刺激するからといって、尖閣諸島に上陸することを禁じてきた。尖閣諸島は石垣市に属している。
しかし、丹羽大使も、日本政府も、中国に対して失礼だ。丹羽氏は外交官としての資格がない。政府も「中国を刺激してはならない」といって、ひたすら戦戦兢兢としているが、隣国に対して非礼だ。
中国を刺激してはならないというのは、中国を暴力団扱いにしている。アメリカを刺激してはならないとか、ドイツを刺激してはならないとは、いわない。だが、中国、北朝鮮、ロシアは、暴力団のように恐れられている。
私は中国と親しくしてきた。1979年にはじめて中国に招かれた。人民大会堂で、私のために李達人民解放軍副参謀総長が歓迎晩餐会を催してくれてから、中国に10回あまり夫婦で招かれて、内モンゴル、新疆、チベットまで、軍服の高級将校が案内人としてついて旅した。
私は中国で率直に自説を述べてきた。平成4年に天皇が御訪中される前に、宮沢内閣が学識経験者14人を首相官邸に招いて、御訪中について意見を聴取した。私も1人として選ばれた。もっとも、人選は賛成派が多かったから出来レースだった。
私は加藤紘一官房長官に、「天皇が外国へ行幸されるのは、その国を祝福されるためであり、中国は国内で人権を蹂躙している全体主義国だからふさわしくない」と強く反対した。新聞が報じたから、中国も知ったはずである。
それでも、中国に招かれた。いまでも、中国と親しくしている。互いに大切な国だ。
このあいだ都内のパーティで、中国の高官と再会した。「先生は中日友好の井戸を掘って下さった1人ですから、今後も期待しています」と、褒めてくれた。
私は礼を述べてから、「日本では安心できない相手の国に対して、友好関係といいます。日中友好、日露友好、日朝友好に対して、日米親善、日韓親善、日印親善というように、使い分けています。ご一緒に親善関係を築くために、努力しましよう」と、答えた。