魚に蓄積されるセシウムの値は海水中濃度の数十倍~数百倍に蓄積され
日本の魚は大丈夫か―漁業は三陸から生まれ変わる (NHK出版新書 360) [新書]
勝川 俊雄 (著)
http://www.amazon.co.jp/%E6%97%A5%E6%9C%AC%E3%81%AE%E9%AD%9A%E3%81%AF%E5%A4%A7%E4%B8%88%E5%A4%AB%E3%81%8B%E2%80%95%E6%BC%81%E6%A5%AD%E3%81%AF%E4%B8%89%E9%99%B8%E3%81%8B%E3%82%89%E7%94%9F%E3%81%BE%E3%82%8C%E5%A4%89%E3%82%8F%E3%82%8B-%EF%BC%AE%EF%BC%A8%EF%BC%AB%E5%87%BA%E7%89%88%E6%96%B0%E6%9B%B8-360-%E5%8B%9D%E5%B7%9D-%E4%BF%8A%E9%9B%84/dp/414088360X/ref=pd_bxgy_b_text_b
最も参考になったカスタマーレビュー
By 革命人士 トップ500レビュアー
日本は先進国だから、漁業管理でも先進国なのだろうと思っていたが真逆で、獲りたいだけ魚を獲れてしまうために乱獲状態で漁獲量が減っているという。早い者勝ちだから小魚でも何でも獲れるものは獲ってしまう。クロマグロの場合、5年待てば100倍になるが、5年待つ前に誰かに獲られてしまうから、魚粉にしかならない0歳魚でもまさに一網打尽で獲り尽くす。漁獲高は上がっても生産額という点で大きく見劣る。また、近年は漁獲量自体も減ってきた。
著者は、補助金をやめ、漁船ごとに漁獲量を割り当てた個別漁獲枠制度の日本への導入を提案している。この応用で、漁獲枠の取引をできるようにした制度も含めれば、日本以外の世界の主要な漁業国はすべて、船ごとの漁獲枠制度を導入している。一人当たり漁獲高が日本の6倍以上あり、水産品輸出量世界一のノルウェーを例に、漁獲量割当制度のメリットを解説する。自分に割り当てられた枠を買い叩かれるような魚粉用で埋めたくないから、良い魚だけを狙う。漁獲枠の割り当てを巡っては世界どこでももめるし、乱獲で失われた生物量を取り戻すために最初はかなり制限されるが、効果は確実にあるという。
三陸の漁村や漁船は震災で壊滅した。著者はこれを機に、過剰な漁船数に戻すのではなく、漁船や漁村に漁獲枠を割り当てる資源管理型漁業の導入、漁業者の統合による漁業経営の効率化などを提案している。現状説明と分析はロジカルで、巻末の水産物と放射能の関係も納得しながら読めた。
勝川 俊雄 (著)
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By 革命人士 トップ500レビュアー
日本は先進国だから、漁業管理でも先進国なのだろうと思っていたが真逆で、獲りたいだけ魚を獲れてしまうために乱獲状態で漁獲量が減っているという。早い者勝ちだから小魚でも何でも獲れるものは獲ってしまう。クロマグロの場合、5年待てば100倍になるが、5年待つ前に誰かに獲られてしまうから、魚粉にしかならない0歳魚でもまさに一網打尽で獲り尽くす。漁獲高は上がっても生産額という点で大きく見劣る。また、近年は漁獲量自体も減ってきた。
著者は、補助金をやめ、漁船ごとに漁獲量を割り当てた個別漁獲枠制度の日本への導入を提案している。この応用で、漁獲枠の取引をできるようにした制度も含めれば、日本以外の世界の主要な漁業国はすべて、船ごとの漁獲枠制度を導入している。一人当たり漁獲高が日本の6倍以上あり、水産品輸出量世界一のノルウェーを例に、漁獲量割当制度のメリットを解説する。自分に割り当てられた枠を買い叩かれるような魚粉用で埋めたくないから、良い魚だけを狙う。漁獲枠の割り当てを巡っては世界どこでももめるし、乱獲で失われた生物量を取り戻すために最初はかなり制限されるが、効果は確実にあるという。
三陸の漁村や漁船は震災で壊滅した。著者はこれを機に、過剰な漁船数に戻すのではなく、漁船や漁村に漁獲枠を割り当てる資源管理型漁業の導入、漁業者の統合による漁業経営の効率化などを提案している。現状説明と分析はロジカルで、巻末の水産物と放射能の関係も納得しながら読めた。
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被災地復興の道筋と魚の放射性物質について 2011/9/13
By アマゾニア一郎
被災地復興の道筋がメイン。
さらには日本の漁業の再興についても。
漁業関係者は必読の一冊であり、良心的な著書。
それから魚の放射性物質について一章が設けられていて
魚についての放射性物質を気にしている人は
危ない魚を避けるための知識も、しっかりとした視座から伝授してくれる。
ICRP基準やさらに厳しい基準について
厳しい基準を採用したい小さなお子様をお持ちの家族にも
丁寧に説明してあるところも好感。
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水産物の放射能汚染についてもわかりやすい説明が 2012/1/15
By わに
津波で壊滅的な被害を受けた三陸の漁業。
著者は漁師さんの早く漁を再開したいという気持ちはわかるとしながらも「インフラだけ元に戻しても水産業は復興しない」として4つの理由を挙げている。
この本を読むまでは港が復活すれば漁師さんは漁ができるから元通りにできれば良いんじゃないの?と単純に思っていたが、そんな簡単な話ではないこと、このままでは先細りなことが良くわかった。予算、高齢化、加工・冷蔵、失われたシェア…。
「かわいそうだから元に戻そう」は無責任
厳しい言葉だけど、著者は前向きな改革の形を見据えた上でこの発言をしていて、それが一筋の光のように「こうなったら日本の漁業はよくなるだろう」という形を示してくれている。
乱獲と魚の価格の関係、資源管理の必要性、個別漁獲枠制度…うーん、日本が国として資源管理をちゃんとしていないとは思わなかった。こういう研究者と意見を交換したりして政策策定者ががんがん改革していくことはできないのかな。。。
宮城県の「水産復興特区構想」…この本で初めて知った。(因みに県議会は2011年10月18日に漁協の撤回請願を反対多数で不採択としたらしいが、その後どこまで進んでいるかは不明。)
この本のおかげで漁港の復興について興味を持った。漁港の数について「選択と集中」方式を取る宮城県と復興前の状態に戻す岩手県とで方針が別れているようだ。この本が主張する内容が正しければ、宮城県が正しい選択をしたことになるのだと思うが、隣の県同士で明暗が分かれるかもしれないなんて…こういうのって効率を考えると県ごとじゃなくて国が大方針を決めた方が良いんじゃないかなと思った。
この本の主題は日本の漁業の改革についてだが、最後の一章で水産物の放射能汚染について消費者として知りたいことが色々書かれていて、とても興味深かった。
一番驚いたのは「2011年6月まで、水産庁のウェブサイトには、「放射性セシウムは魚の体内に蓄積されません」と明記されてい」たそうだが世界中の文献によれば「魚に蓄積されるセシウムの値は海水中濃度の」「数十倍~数百倍に蓄積され」、「日本語の情報は、少ないうえに間違えている」という部分だった。水産庁ということは一応国の見解だったんだよね…カンベンして…。
一番良いと思ったのは、不安になる消費者に対し、3つの基準を示し、どの基準を採択するかは個人の考えとしながらも、この基準に従えばこれくらいまでは大丈夫という基準値を示しているところだ。とてもわかりやすい。
とにかく淡水魚には注意したほうが良いそうだ。(普段あまり食べる機会がないかもしれないけど…)