そこまで言うのに上陸できないのはおかしい | 日本のお姉さん

そこまで言うのに上陸できないのはおかしい

誰にも上陸させないために国有化?
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「国会議員には国を守る覚悟がない」尖閣へ行った都議が怒り
7月06日16時00分
提供:NEWSポストセブン
 石原慎太郎都知事の「尖閣購入」発言に、中国や台湾が過剰反応している。都知事の国会参考人質疑の前後から、多数の中国・台湾漁船が、尖閣上陸に向けて続々と動き出している。
 
 それに先立つ6月上旬、民間団体「頑張れ日本! 全国行動委員会」が主催する尖閣周辺の集団漁業活動が敢行された。その視察のため、石垣市の漁業関係者や国会議員らが参加する中、「購入」の主体である東京都の議会からただ一人、野田数(かずさ)都議(無所属)が同行した。都議の目から見た国境の島の現実をレポートする。

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 晩中、小さな船に揺られ、目の前に現われた島は、朝陽に輝いていた。大海原にポツンと、しかし厳然とそこにある島の岩肌には日の丸が描かれている。まさに「日本の領土」である。

 近づくと、以前見た写真よりも、緑が少ないように思えた。岩が露出している。あとで同行した石垣市の担当者に聞くと、繁殖したノヤギが緑を食い荒らしているとのことである。あらためて東京都として島を購入し、一刻も早く適切な管理を行なわなければならないと痛感した。

 国会議員6人を含む約120人が、14隻の船に分乗しての視察だった。私と同じ船にも3人の民主党の国会議員が乗っていた。

 憤りを感じたのは、国会議員が6人も同行しているのに、なぜ「日本の領土」に上陸できないのかということだ。尖閣諸島に国会議員が上陸したのは、1997年の西村眞悟元代議士の視察が、最初で最後である。今年1月、2人の国会議員が15年ぶりに現地を訪れたが、それも上陸はせず海上から見ただけだった。国土を守ろうという姿勢から言えば、“後退”している。これでは、中国につけいる隙を与えているようなものだ。

 彼らには、国政調査権がある。しかも、「国有化」まで検討するという。そこまで言うのに上陸できないのはおかしい──そう参加した国会議員の一人に言うと、「そろそろ上陸禁止は取り消すべきだと、個人的には思います」と答えるだけだった。

 要するに、彼らは国を守るという覚悟があって尖閣まで来たのではないのではないか。腹立たしかったが、「国に任せていては何も進まない」ということを再認識した。

 同じことは、地元の方たちも感じているようだ。海に出る前に、石垣市役所に訪問した際、市の職員や地元有力者と話すことができた。その中の一人はこう私に囁いた。

「もう、国には期待できません。石原さんに感謝したいと思います。東京都が、最後の頼みの綱です」

 石原都知事は、着々と準備を進めている。募金も6月19日時点で、12億円が集まっている。残念なのは、肝心の都議会の腰が極めて重いことだ。

 都議会自民党を含め、主要会派は石原都知事の購入計画に、この期に及んで明確に賛成を表明していない。私は5月に自民党会派を離脱して無所属となったが、それは尖閣問題をめぐって知事を支持する自由な発言が許されず、所属する委員会の配置転換などの圧力がかかったからだ。

 都議会自民党は、国と同じように、中国の顔色を窺っているのかと疑ってしまう。石原都知事が尖閣購入を表明して2か月以上経つが、この間の自民党などの主要政党の不作為は、後々大きな代償とならないか。

※SAPIO2012年7月18日号

尖閣諸島:国有化の方針 政府、都知事に伝達

毎日新聞 2012年07月07日 11時38分(最終更新 07月07日 12時14分)

 野田佳彦首相は、東京都が購入を計画している尖閣諸島(沖縄県石垣市)を国有化する方針を固めた。政府が購入する方向で、地権者側と今秋の交渉妥結を目指しすでに折衝に入っており、6日には首相側近が石原慎太郎都知事にもそうした意向を伝えた。一方、尖閣諸島の領有権を主張する中国や台湾は石原知事の購入表明に強く反発しており、日本政府が国有化の手続きを進めれば、一層態度を硬化させるのは必至だ。

 政府はこれまで尖閣諸島について「歴史的にも国際法上も我が国固有の領土」との姿勢を取っている。魚釣島と南小島、北小島の3島は、「安定的な維持・管理」のために02年度からさいたま市の地権者から借り上げ、賃借契約を毎年更新している。

 中国も同諸島を固有の領土と主張。「海洋権益を守る」などとして、近海に海洋調査船が接近するなど示威行動を繰り返してきた。

 一方、石原知事は4月16日、米国の講演で「東京が尖閣諸島を守る」などとして一部の購入計画を表明。一方で「都がやるのは筋違いだが、(国が動かないから)やらざるを得ない」と、国が買い上げに動けば撤退する考えも示唆しつつ、今年度内に購入する方針を示していた。


<尖閣国有化の方針>中国にらみ次善の策
毎日新聞 7月8日(日)11時18分配信
 野田佳彦首相が、東京都の石原慎太郎知事に背中を強く押される形で尖閣諸島(沖縄県石垣市)の国有化に動いた。政権浮揚の思惑があるが、中国への挑発的な言動を繰り返す知事ではなく国が関与することで日中関係への悪影響を抑えようとする判断も働いた。しかし、地権者側は国への政治不信などから売却に慎重で、知事も首相官邸の動きに「粗雑だ」と反発する。中国や台湾は国有化方針を強く批判した。

【写真で見る・尖閣諸島周辺】監視を淡々と続ける海自P3C

◇首相、政権浮揚思惑も

 首相が石原知事の尖閣購入案を初めて聞いたのは、3月9日の官邸での会談だった。知事とも旧知の長島昭久首相補佐官が同席。知事は(1)まず都が購入(2)その後、国に売却する--との2段階での国有化を提案した。しかし、消費増税問題に忙殺されていた首相の関心は低く、側近によると首相は色よい返事をしなかったという。

 官邸が動き出したのは、知事が4月16日に購入計画を表明してからだ。首相は同月18日の衆院予算委員会で「政府は島の所有者とも連絡を取ってきた。真意を改めて確認し、あらゆる検討をしたい」と、国有化に含みを持たせた。国が所有することが最も安定的な保全につながることから、長島氏は「国が購入すべきだ」と首相に強く進言し、知事とも協議してきた。

 尖閣諸島を賃借している国は、尖閣諸島への立ち入りを禁じているが、都に所有権が移れば石原知事らが構造物を建築するなど挑発的な行動に出ることも想定される。そうなれば、日中関係はさらに悪化する。「知事側が買い取るよりも国が買った方が、中国との関係は最善ではないが、よりましではないか」(外務省幹部)との思いも政府にはあった。

 一方、共同通信によると鳩山由紀夫元首相は7日、北京で国有化方針について「日中関係には今、信頼関係がない。慎重にやらないといけない」と述べ、冷静に検討すべきだとの考えを示した。

 官邸には、都主導で購入交渉が進めば、政権への「弱腰」批判が強まるとの懸念もあった。消費増税や関西電力大飯原発の再稼働など国民に不人気な政策を進め、内閣支持率が低迷を続ける中、尖閣国有化は国民の支持を得られるのではないかとの打算も働いた。

 首相周辺は「秋ごろまでにまとめ、政権浮揚につなげたい」と語り、次期衆院選を意識していることも示唆する。ただ、別の側近は「日中国交40周年記念行事がある秋にぶつけるわけない」と語り、年内は困難との見通しを示すなど、政権内部のスケジュール感は統一が取れていない。

 国有化手続きも課題が多い。自民党関係者によると、同党の首相経験者が昨年「国に売ったらどうか」と話を持ちかけたところ、地権者は「民主党政権の間は売らない」と語ったという。知事は、地権者の理解を得てスムーズに進めるために2段階売却論を主張する。

 東京都には購入のための寄付金が約13億2500万円集まっているが、国有化の場合の使い方について、首相側近は「それも分からない。分からないことだらけだ」と述べ、まだ具体的検討ができていないことを明かした。【小山由宇、飼手勇介】

◇中国世論、強く反発

 日本政府が尖閣諸島(中国名・釣魚島)を国有化する方針を固めたことについて、中国外務省は7日の談話で「中国政府は引き続き必要な措置を講じ、断固として主権を守る」と表明した。だが、具体的な措置には言及せず、批判のトーンはこれまでとほぼ同じ内容に終始した。

 これに対し中国国内では反発が強まっている。7日は日中全面戦争の発端となった盧溝橋事件から75年に当たり、各地で抗議集会や行事が催された。インターネット上では日本の国有化方針に「外務省や国防省は何をしているのだ」といった書き込みが相次ぎ、武力行使や日本製品ボイコットを求める意見もみられた。

 日中関係に詳しい劉江永・清華大教授は「日本政府が国有化に乗り出すとなると問題は新たな段階に入る。中国政府としても今までの対応では済まないだろう」と警告する。

 一方、台湾紙「聯合晩報」は7日、台湾行政院(内閣)海岸巡防署(海上保安庁)の王進旺署長が9日から予定していた定例の訪日を延期したと報じた。延期は「日本側が決めた」として、同署の巡視艇が今月4日に日本の領海に侵入したことが理由とみている。【北京・成沢健一、台北・大谷麻由美】

◇「人気取り」都知事冷淡

 「物事ってそんなに簡単に進むものじゃない。そのへんが粗雑だよな」。尖閣諸島の所有は「本来、国がやるべきだ」と繰り返して語ってきた石原知事だが、今回の野田政権の動きを冷ややかに受け止めている。

 石原知事によると、6日に都庁を訪れた長島首相補佐官らがその後、地権者に連絡し、初めて国の購入意向を伝えた。その経緯を地権者から聞いたという石原知事は「(連絡は)たぶん電話でしょう。電話1本で済む話じゃない」と対応を非難。野田政権が急に国有化を決めた理由も「人気取り。民主党そのものが混迷している」と批判した。

 尖閣諸島の購入は石原知事にとって「久々のホームラン」(都幹部)。新党結成など政界再編への意欲をにじませる中、多くの支持を集めた尖閣問題の主導権を民主党政権に握らせまいとする姿勢もうかがえる。

 都がまず尖閣諸島を買い上げ、その後国に譲渡する提案をした石原知事だが、問題になりそうなのが5日時点で13億円を超えている寄付金の扱い。都の歳入になっており、国に譲渡する際は都議会の承認などの支出手続きが必要だ。また国への譲渡について寄付者一人一人の賛同を得るのも事実上不可能とみられ、寄付金は宙に浮く恐れがある。都幹部は「国に所有権を移す場合の論点を早急に詰める必要がある」と話す。【佐々木洋、清水健二】

◇尖閣諸島問題をめぐる経過

1895年 日本政府が現地調査で清国の支配が及んでいないと確認。日本領への編入を閣議決定

1951年 サンフランシスコ平和条約で米国の施政権下に置かれる

  53年 中国共産党機関紙「人民日報」が「尖閣諸島は日本の琉球群島の一部」と紹介

  69年 国連調査で尖閣周辺の海底に石油資源埋蔵の可能性

  71年 台湾が公式に領有権を主張

    日米両国が尖閣を含む沖縄返還協定を締結

    中国が領有権を主張する声明を発表

  72年 尖閣諸島を含む南西諸島の施政権が日本へ返還される

  78年 右翼団体が魚釣島に「灯台」設置

  92年 中国が自国領と明記した領海法を制定

  97年 西村真悟衆院議員(当時)らが上陸。石原慎太郎元運輸相(同)も船上から見守る

2002年 総務省が「安定的な管理」のため、尖閣諸島の3島を地権者から借り上げ契約

  04年 中国の活動家7人が上陸。沖縄県警が逮捕し、強制送還に

  10年

   9月 尖閣沖で中国漁船が海上保安庁の巡視船に衝突。海保は船長を逮捕後、処分保留で釈放

  11月 海保が撮影した衝突事件のビデオがネットに流出。海保職員が自身の行為と認める

  12年

   4月 石原慎太郎東京都知事が尖閣諸島の一部の購入を表明

藤村修官房長官が政府による購入・国有化に言及

   5月 野田佳彦首相と中国の温家宝首相が首脳会談で、尖閣問題をめぐり応酬

   6月 都の購入計画に懸念を示した丹羽宇一郎駐中国大使を日本政府が注意

   7月 日本政府による国有化方針が表面化

◇尖閣諸島とは

 石垣島の北約170キロの東シナ海にある無人島群で、魚釣島(うおつりじま)、北小島(きたこじま)、南小島(みなみこじま)、久場島(くばじま)、大正島(たいしょうとう)の五つの島と岩礁からなる。明治政府が1895年の閣議決定で正式に日本領土(沖縄県)に編入した。政府から大正島を除く4島を無償貸与された民間人が、一時はカツオ節工場を経営。その後、4島の払い下げを受けたが、戦後に今の地権者へ譲渡した。国有地は大正島だけで、他の4島は政府が地権者から借り上げている。このうち購入計画の対象となっている魚釣島、北小島、南小島の3島は来年3月に賃借契約が切れる。
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20120708-00000013-mai-pol