共依存と依存症患者 | 日本のお姉さん

共依存と依存症患者

依存症に関する本を読んだ。


依存症は直らないそうだが、回復はできるらしい。


依存症にはかならずと言っていいほど共依存の相手がいて


相手が困れば困るほど、依存症患者は自分がダメな人間だと思って


ストレスがさらに強くなって依存しているものにはまり込んでいくそうだ。


依存症患者のまわりの人は依存症患者を経済的に助けてはいけないらしい。


本人が底に落ちて「コツン」という音を感じるまで


周りの人は助けず、離れていた方がいいそうだ。


なぜ、酒を飲みすぎるのか、なぜ、自分の予算を超えて買い物をしてしまうのか、なぜ、ギャンブルをしてしなうのか、


なぜ、妻を殴ってしまうのか、などの原因を探ることは無駄なことらしい。


理由づけは、どんなことでもできるからで、依存症になっている人は


飲みたいから飲む、買いたいから買う、殴りたいから殴るだけ。


困るのは周りの人なので、本人と離れるしかないそうだ。


本人が自分の健康や社会生活が損なわれてから初めて


なんとかしたいという願いを持って立ち直るための施設に


自ら行くようになるので、それまではどうしようもないらしい。


つまり、アルコール依存や買い物依存やギャンブル依存は


お金や健康や社会的地位が無くなってわれにかえるまでつづくのだそうだ。


周りが本人が底に落ちるまえに助けてしまうと、決して直らない。


逆に周りが本人の依存症を継続させる材料を与えているのだそうだ。


依存症患者の周りの人は


共依存患者になっているというわけだ。


依存症になっていても、会社できちんと仕事をしていてひとりぐらしならば


本人が困っても、周りは誰も困らないので「依存症」と認定されることもないらしい。


依存症とは、何かに執着して自分をコントロールできなくなっている人と


その人の側にいる困っている人がいる時に使われる言葉なのだそうだ。


何かに執着している人は、ストレスがあるので、そのストレスを忘れるために


酒や買い物やギャンブルに夢中になって、ひとときの開放感を


味わう必要がある人なので、依存症患者には、頑張れというより、


頑張らずにゆったり過ごしなさいということが必要らしい。


しかし、この世の中、ストレスが無いような人はいないので


依存症とは、世の中が豊かになってまじめに働けばいくらでも


酒が飲めたり、好きな物が買えるようになったり、ギャンブルに


そそぎこむ金があるから生じた現代病なのだそうだ。


生きるために酒を飲んだり、買い物をしたりしてストレスを解消していたのが


いつのまにか、酒を飲むために仕事をするようになり、クレジットカードで


買ったものの支払いをするために仕事をするようになる。


何のために生きているのか、もう一度考えて


もっと他人の視線で自分を見つめなおし、できれば神さまの視線で


自分を見つめて、自分の生きている意味は何か、


神さまがくれたいのちと才能は、自分だけの使命があるからだと


考える必要があるそうだ。


酒を飲み過ぎて早死にしたり、カードを使いすぎたり、


ギャンブルにはまってお金を支払えなくなり


会社にばれて恥ずかしくて会社を辞めてしまうような事態になる前に


そんなことのために神さまは自分を創ったのではないと


考えて新しい人生を生きなければならない。


そういう風に考えることができた人に依存症から回復できた人が多いそうだ。


依存症患者が回復するきっかけは、側にいる共依存者が去っていくことの


恐怖が多いらしい。酒を飲み過ぎて暴れるお父さんは、本人は


自分が他人に迷惑をかけているという自覚は少ないのだが


奥さんや子供が迷惑を被っていて、子供がちゃんとした大人になり損ねて


「アダルトチルドレン」になってしまうので罪深いのだそうだ。


子供の時に、苦しいことがあったので頑張って大人のように生きていたため、


子供としてのびのびと成長できなかったので、そのまま大人になっても


心が成長できず、社会に順応できない人がいるらしい。


そういう子供たちは、大人になると自然に親と同じ依存症の


男性と結婚してしまうらしい。自分が過去に囚われていると知ったら


回復は早いそうだ。


「自分は弱い。医者が必要だ。」と気がつけば、半分は回復していると


言ってよいらしい。依存症患者の家族は、ひとりでもよいから医者や


カウンセラーを訪ね、患者にかかりきりにならない方がいいそうだ。


本人は、坂道を前のめりに歩いているところなので、底に落ちるまで


普通の道を歩みたいとは思わないからだ。


たぶん、依存症の患者が一番怖いのは、側にいる人に見捨てられること。


何かあった時に側にいる人が経済的に助けてくれないこと。


自分の健康も自分の金も自分ひとりで管理するのが人間の仕事。


このままでは、死ぬかもしれないというところまで来ないと我にかえることはないのだ。


神さまの目線で自分を見ることができた場合、人として自分が間違っていることに気がつくはず。


生きている目的を失ったら人はすぐに何かに依存してしまう弱い存在なんだなと


クリスチャンのわたしには、よくわかる内容だった。


本の名前は依存症。



■本のご案内―依存症を知るために■

◆「依存症」を知りたいときに…
『依存症』  信田さよ子 著

 
文藝春秋 刊   693円

信田さよ子さんは,「原宿カウンセリングセンター」にてカウンセリングにあたっておられる
臨床心理士の方です。
主に取り組んでおられたのがアルコール依存症,またそこから派生した共依存症なので,
この本でもギャンブル依存症などは特別大きく扱われているわけではないのですが,
広く依存症全体について述べられており,また依存症に陥る心のメカニズムについて,
依存症者の心理に沿って丁寧に分析されているので,大変参考になりました。

信田さんの本の何がお薦めかというと,とても刺激の少ない,
やさしい視点をもって書かれた本だと感じられることです。
「自分は依存症ではないか」と強い不安を感じている人や,
依存症であることで自分を責めたり,自己嫌悪から立ち直れずにいる人を,
更に追い詰めても良い方向には向きません。
むしろ,依存症である自分を縛ろうとする自分自身から解放することが
回復への近道だと思います。

私自身,この方の依存症観に大変救われました。
人間として失いかけていた矜持を,もう一度取り戻していいのだと,教えてもらいました。

依存症=悪いこと=叩きなおせ,という思考回路から抜け出せない人,
また,依存症によって生きる自信を失っている人に,ぜひ読んで欲しいと思います。

また,新書版で,ボリュームも価格も手ごろ,というのも,この本の魅力の1つです。
まずは依存症を知る入門書としても適当です。