「宮崎正弘の国際ニュース・早読み」 支那事変というのは多数の複雑な要素が広範囲の地域で絡み合って
「宮崎正弘の国際ニュース・早読み」
平成24(2012)年6月19日(火曜日)
通巻第3687号
(読者の声2)「Newsweek」の日本語版(6月20日号)に面白い記事があります。
米国は蒋介石を支援してビルマからの援蒋ルートでは物資輸送とともに制空権をにぎるため志願兵と称しての「フライングタイガー」を派遣し、その事実上の司令官がスティルウエル将軍(蒋介石軍顧問)、フライングタイガーの実際の司令官はシェンノートだった。
ところがバーバラ・タックマンの『失敗したアメリカの中国政策』によれば、スティルウェル将軍は蒋介石軍のだらしなさにあきれかえっていたという。
フライングタイガーの米国だけではなく、支那事変ではソ連空軍も活躍した。ソ連は毛沢東の共産軍だけでなく 蒋介石をも助けています。日本はずいぶんやられています。
支那事変というのは多数の複雑な要素が広範囲の地域で絡み合って進行しているので、誰と誰が何処の局地的な 重要な事実だけを単線的に追っても、なかなかその実態はつかめません。
そして結果的にアメリカも日本もともに大失敗でした。
ぼやぼやしているうちに中国は共産化され、さらには 共産主義のドミノが怖いといってベトナム戦争を始め、五万の犠牲をだして負ける。米国の外交はもともと支離滅裂です。
(TK生、世田谷)
(宮崎正弘のコメント)なにしろ、蒋介石側近が、金のためには武器を毛沢東軍に売却し、つぎは裏切りを準備していました。バーバラはこう描いています。
「蒋介石は強い軍隊の育成をのぞんでいなかった」
「蒋介石はもし有能な軍人が育てば、彼の権力が損なわれると考えており、日本との戦争より、国内の権力維持に執着していた」。
だからスティルウェル将軍は蒋介石軍を助ける行為を最後には馬鹿馬鹿しい思いに囚われていた。
そしてバーバラ・タックマン前掲書の結論はこうでした。
「結局、中国はアメリカなど一度もやってこなかったように独自の道を歩んだ」と。
雲南省の戦没者慰霊公園(烈士霊廟)にはスティルウェル将軍をシェンノートが並んだ銅像が建っていました。木陰にあるので、表情は輝いてはいませんでしたが、それは気のせいかも。
「宮崎正弘の国際ニュース・早読み」
平成24(2012)年6月20日(水曜日)
通巻第3688号 (前日発行)
♪(読者の声1)マスコミが用いる言葉で気になるのが「構成員」という言葉の使い方である。
「構成員」とは辞書によれば組織や共同体を構成する一員ということでごく普通の言葉である。しかしマスコミの用法をみるとまず暴力団に属する人間を「構成員」と呼び、右翼団体や民族派団体のメンバーも「構成員」と呼ばれる。
であれば政党や左翼団体、市民運動団体などもそうかというと、さにあらず「党員」「サポーター」「メンバー」などと呼ばれる。
たとえば昨日代々木の日本共産党本部に押し入って逮捕された青年は「右翼団体の構成員」と報道される。
まあ憂国の志があったのかもしれないがこの青年氏はタクシー代を踏み倒していたというのだから、あまり感心できない。
ではたとえば左翼過激派やカルト宗教団体がとっつかまった場合には「中核派の構成員」とも「オウム真理教の構成員」とは決して呼ばれない。何故だろう?
要するにマスコミにとって右翼民族派のメンバーは暴力団と同列の、社会の敵として扱いたいのであろう。ならば右翼団体の「構成員」は思想信条による差別、人権侵害としてこれらマスコミを訴えなければならない。
もう一つの例として「戦犯」という言葉がある。
「戦犯」とは「戦争犯罪人」の略であり、広義には戦争犯罪を犯したもの、あるいは狭義には戦後の東京裁判やニュールンベルグ裁判などで戦争犯罪人として有罪の判決を受けたものを指す。
ところが日本のマスコミでは、どういうわけかむしろ「敗戦の責任者」という意味の使い方をする。スポーツ紙で「巨人V逸の戦犯は誰か?」などと書くのはまだご愛嬌だが、天下の文藝春秋が『文藝春秋7月号』で「徹底追及 平成政治24年亡国の『戦犯』」という特集を組むとまた違ってくる。
当該の記事では要するに民主党などの政治家の批判であり、それ自体は真っ当な内容であるが、なぜ彼らが「戦犯」と呼ばれなければならないのか。
戦後の日本においてはGHQの占領政策に便乗して、追い落としたい人間に「戦犯」のレッテルを貼って葬りさろうとする便乗主義者が横行跋扈した。画家の藤田嗣治、音楽家の信時潔、橋本國彦などはその犠牲者であった。保田與重郎も隠棲せざるをえなかった。
また東京裁判や横浜裁判でいわれのない罪状を着せられて「戦犯」とされた者も多数いた。
彼らやその家族にとって「戦犯」とはきわめて酷い言葉であった。勝者たる連合国が言うならまだしも、同胞から「戦犯」と言う言葉で蔑まれて生きてきたその家族たちの心情を考えると、今のマスコミの言葉の使い方は余りに無神経すぎはしないだろうか。
一方で本来の「戦犯」の正しい意味からすれば、原爆を投下したトルーマン米大統領、東京大空襲を指揮したカーチス・ルメイ将軍、日ソ中立条約を侵犯して満洲・樺太に攻め込んだスターリンはもちろんのこと、ハンブルクやドレスデンの無差別大空襲を行ったチャーチルなど文字通りの「戦争犯罪者」ではないだろうか。
平成24(2012)年6月19日(火曜日)
通巻第3687号
(読者の声2)「Newsweek」の日本語版(6月20日号)に面白い記事があります。
米国は蒋介石を支援してビルマからの援蒋ルートでは物資輸送とともに制空権をにぎるため志願兵と称しての「フライングタイガー」を派遣し、その事実上の司令官がスティルウエル将軍(蒋介石軍顧問)、フライングタイガーの実際の司令官はシェンノートだった。
ところがバーバラ・タックマンの『失敗したアメリカの中国政策』によれば、スティルウェル将軍は蒋介石軍のだらしなさにあきれかえっていたという。
フライングタイガーの米国だけではなく、支那事変ではソ連空軍も活躍した。ソ連は毛沢東の共産軍だけでなく 蒋介石をも助けています。日本はずいぶんやられています。
支那事変というのは多数の複雑な要素が広範囲の地域で絡み合って進行しているので、誰と誰が何処の局地的な 重要な事実だけを単線的に追っても、なかなかその実態はつかめません。
そして結果的にアメリカも日本もともに大失敗でした。
ぼやぼやしているうちに中国は共産化され、さらには 共産主義のドミノが怖いといってベトナム戦争を始め、五万の犠牲をだして負ける。米国の外交はもともと支離滅裂です。
(TK生、世田谷)
(宮崎正弘のコメント)なにしろ、蒋介石側近が、金のためには武器を毛沢東軍に売却し、つぎは裏切りを準備していました。バーバラはこう描いています。
「蒋介石は強い軍隊の育成をのぞんでいなかった」
「蒋介石はもし有能な軍人が育てば、彼の権力が損なわれると考えており、日本との戦争より、国内の権力維持に執着していた」。
だからスティルウェル将軍は蒋介石軍を助ける行為を最後には馬鹿馬鹿しい思いに囚われていた。
そしてバーバラ・タックマン前掲書の結論はこうでした。
「結局、中国はアメリカなど一度もやってこなかったように独自の道を歩んだ」と。
雲南省の戦没者慰霊公園(烈士霊廟)にはスティルウェル将軍をシェンノートが並んだ銅像が建っていました。木陰にあるので、表情は輝いてはいませんでしたが、それは気のせいかも。
「宮崎正弘の国際ニュース・早読み」
平成24(2012)年6月20日(水曜日)
通巻第3688号 (前日発行)
♪(読者の声1)マスコミが用いる言葉で気になるのが「構成員」という言葉の使い方である。
「構成員」とは辞書によれば組織や共同体を構成する一員ということでごく普通の言葉である。しかしマスコミの用法をみるとまず暴力団に属する人間を「構成員」と呼び、右翼団体や民族派団体のメンバーも「構成員」と呼ばれる。
であれば政党や左翼団体、市民運動団体などもそうかというと、さにあらず「党員」「サポーター」「メンバー」などと呼ばれる。
たとえば昨日代々木の日本共産党本部に押し入って逮捕された青年は「右翼団体の構成員」と報道される。
まあ憂国の志があったのかもしれないがこの青年氏はタクシー代を踏み倒していたというのだから、あまり感心できない。
ではたとえば左翼過激派やカルト宗教団体がとっつかまった場合には「中核派の構成員」とも「オウム真理教の構成員」とは決して呼ばれない。何故だろう?
要するにマスコミにとって右翼民族派のメンバーは暴力団と同列の、社会の敵として扱いたいのであろう。ならば右翼団体の「構成員」は思想信条による差別、人権侵害としてこれらマスコミを訴えなければならない。
もう一つの例として「戦犯」という言葉がある。
「戦犯」とは「戦争犯罪人」の略であり、広義には戦争犯罪を犯したもの、あるいは狭義には戦後の東京裁判やニュールンベルグ裁判などで戦争犯罪人として有罪の判決を受けたものを指す。
ところが日本のマスコミでは、どういうわけかむしろ「敗戦の責任者」という意味の使い方をする。スポーツ紙で「巨人V逸の戦犯は誰か?」などと書くのはまだご愛嬌だが、天下の文藝春秋が『文藝春秋7月号』で「徹底追及 平成政治24年亡国の『戦犯』」という特集を組むとまた違ってくる。
当該の記事では要するに民主党などの政治家の批判であり、それ自体は真っ当な内容であるが、なぜ彼らが「戦犯」と呼ばれなければならないのか。
戦後の日本においてはGHQの占領政策に便乗して、追い落としたい人間に「戦犯」のレッテルを貼って葬りさろうとする便乗主義者が横行跋扈した。画家の藤田嗣治、音楽家の信時潔、橋本國彦などはその犠牲者であった。保田與重郎も隠棲せざるをえなかった。
また東京裁判や横浜裁判でいわれのない罪状を着せられて「戦犯」とされた者も多数いた。
彼らやその家族にとって「戦犯」とはきわめて酷い言葉であった。勝者たる連合国が言うならまだしも、同胞から「戦犯」と言う言葉で蔑まれて生きてきたその家族たちの心情を考えると、今のマスコミの言葉の使い方は余りに無神経すぎはしないだろうか。
一方で本来の「戦犯」の正しい意味からすれば、原爆を投下したトルーマン米大統領、東京大空襲を指揮したカーチス・ルメイ将軍、日ソ中立条約を侵犯して満洲・樺太に攻め込んだスターリンはもちろんのこと、ハンブルクやドレスデンの無差別大空襲を行ったチャーチルなど文字通りの「戦争犯罪者」ではないだろうか。
本来なら彼らこそ13階段で吊るされるべき犯罪人である。まさに勝てば官軍。おっとこの比喩はあまりよくない。
昭和25年、朝鮮戦争を仕掛けた金日成も、またこれを支援した毛沢東もしかりである。我々はもっと言葉の正しい使い方に気をつけたいものである。
(武蔵野国杉並住人)
(宮崎正弘のコメント)言葉は情報戦争の武器であり、政治プロパガンダ戦争では、言論戦の先端武器ですが、冷戦に勝利したはずの自由陣営が、いまも共産陣営に言葉の戦争では負け続けているという悲惨な状態です。
極左のノーム・チョムスキーの「一般意味論」(ゼネラル・セマンティックス)のいう「同一視反応」が言葉の戦争の基本で、あいつはサルと似ている。サルは頭が悪い。だからあいつは頭が悪いという三段論法で、イメージ操作をしてゆく。
その天才はゲッペルスであり、スターリンであり、毛沢東であり、そして今日のNYタイムズと朝日新聞でしょうか。いまの人民日報には意味論の天才が不在、硬直的言論空間では日本人のイメージ操作も難しくなりました。
ところで日本政府は、かの東京大空襲など日本五十数都市への無差別空爆の主謀者=ルメイに勲一等を贈った。やっぱり日本はバカというより、こうなると活仏ですよ。
♪
(読者の声2)貴誌前号の「読者の声2」でTK生氏が主張されるように、米国の外交は支離滅裂です。おそらく支離滅裂・劣悪至極外交の総仕上げが、グローバル化という人類史に対する犯罪です。
あれによって中国人は世界中を我が物顔で動き回る”正当性”を得たのです。
中国語でいう全球化こそ、米国劣悪外交の総仕上げ。世界中に飛び散った彼らを如何に中国大陸に押し戻し、閉じ込めるか。これが、これからの人類の大課題です。
思えば毛沢東は偉かった。偉大だったのはなぜか。あの統制のきかない彼らを中国大陸に閉じ込めようとしていたからです。
さて『失敗したアメリカの中国政策』は、「結局、中国はアメリカなど一度もやって来なかったように、独自の道を選んだ」で閉じられていますが、やはり、その後に、「だが、利用した。十分に」と付け加えるべきでは。
騰越の戦没者墓苑ですが、実は昨秋、スティウエルの一族を名乗る現役の米軍准将を担ぎ出し、盛大に「抗日戦争勝利万歳。国民党・共産党・米軍協力万歳」をやっています。
あのとってつけたようなスティウエルとシェンノートの像は、その時のためにあわてて置かれたもののようです。(KH生、所沢)
(宮崎正弘のコメント)宋美齢は中国の各地に瀟洒な別荘をたくさん持っていましたが、たとえば南京、あるいは台北陽明山に残る別荘を見学すると、かならず「マリア像」がおかれた礼拝室があります。蒋介石も宋美齢にいわれて晩年はキリスト教徒になります。
いずれもが欧米に「これ見よ」がしの偽装工作、宋美齢は基督教を信仰していましたが、もともと海南島あたりに流れてきた宣教師が源流、それでも米国は同じ宗教の国と誤解して支援したのでしょう。
宋美齢は米国を巡回してロビィ工作に従事しますが、ルーズベルトを騙したのではなく、ルーズベルトも、彼女を利用したのでしょう。対日戦争の正統性を得る政治画策の一環だった。
♪
(読者の声3)貴誌前号、(読者の声2)で支那事変当時の「フライング・タイガー」について触れていました。
中国軍に偽装した米軍が日本の民間施設を空襲する計画まであったことなどテレビや雑誌でも何度も取り上げられましたから知る人も多いことと思われます。
ネットではマスコミ報道や YouTube の動画をまとめたサイトがありました。
http://seitousikan.blog130.fc2.com/blog-entry-134.html
1941年の7月23日には米国首脳は日本爆撃計画に署名、その後、在米日本資産の凍結・石油禁輸とつづきますから、7月時点ですでに日米戦争は始まっていたともいえます。
「TK生、世田谷氏」は「ぼやぼやしているうちに中国は共産化され、さらには共産主義のドミノが怖いといってベトナム戦争を始め、五万の犠牲をだして負ける。米国の外交はもともと支離滅裂です」と指摘されました。
グレアム・グリーンの『ヴェトナム日記』では1950年代の早い頃からすでに米国がフランスの地位を引き継ぐなら米国は負けることを見越しています。
北のカトリックの村でのベトミンに対する女子供も含めた頑強な抵抗、ディエンビエンフー陥落では南ベトナムの人々も喜ぶ様子を伝える一方、南の民族主義の背後の共産主義にも気づいている。
ずり落ちるソックスを気にも止めないホーチミン、共産党はそれまでの為政者が無視していた農村に分けいり、歌や踊りで村人の注目を集め思想宣伝する。
対する南では様々な宗教勢力が私軍を抱えせめぎ合い独立国の体をなしていない。ゴージンジェムの周りにはカトリックの枢機卿や米軍の顧問団が張り付き、日夜世界のキリスト教国からの使節に対する歓迎宴など仏教徒の庶民とは別世界。
カトリックのグリーンはゴージンジェムが毎週、告解を行なっていると聞き、それが年に一度ならばと残念がる。カトリックとはいえやはり英国人、宗教過剰なゴージンジェム政権と民衆との乖離に気づいている。
大統領は農村に入り農民の声を聴くべきと主張しながら、それができないゴージンジェムに対しては、「西欧が滅ぼした独裁者」と名付ける。
小説の『おとなしいアメリカ人』とともに米国外交の稚拙・幼稚さをあぶり出す作品ですね。(PB生、千葉)
(宮崎正弘のコメント)ゴ・ジンジェム政権はフランスの傀儡的性格ですが、周りが腐敗と麻薬の代名詞。ゴ・ジンジェム大統領はフエの貴族出身。その弟が秘密警察長官で、腐敗の元締め、その妻がファーストレディの代役でしたね。
彼女は、仏教徒の焼身自殺による抗議活動を「人間バーベキュー」と言ってさすがの欧米人も唖然としました。
ジョンソンがJFK政権で副大統領のとき、ベトナムを視察し、報告書にこう書いた。「腐敗した大統領のまわりには、もっと腐敗した、とんでもないやつらが政権を囲んでいる」。
仏教徒を敵側に追いやり、やがてベトコンに追いやり、南ベトナムはその後、クーデタによってグエン・バンミンン政権が誕生、再度のクーで奪権したグエン・バンチュウ政権。いずれも腐敗と麻薬。米国が立腹していくうちにがらがらと崩壊。
多少ユーモラスだったグエン・カオキ将軍は米国へ逃げ、バンチュウは台湾からロンドンへ逃げ、やがて米国へ亡命したが、ゴミ拾いで糊口をしのいでいました。
グエン・カオキ将軍は米国で貿易商を営んで、意外にも大儲け。その後、ベトナムへ戻ったり、バンチューとは崩壊後も距離をおいたものでしたね。
もともとフランスの侵略が悪いのですが、戦後30年ほどしてできたフランス映画の「ルマン」とかいうのは良かった。ハリウッド映画ではベトナム戦争を描いた傑作もいくつか生まれました。
東京裁判の弁護士だった清瀬一郎がベトナム戦争で、多くの日本のマスコミと学生等が、共産主義の暴力と謀略を見ないで、短絡的に反米のベトコンを応援しているのを、「彼らが大東亜戦争の理想を日本に代弁して継続していると考え、心理的に反米感情がそれを加速させている」というように分析していました。
ベトナム戦争に愚かにも介入したのがJFK,賢明にも撤退を決意し実行したのが、ニクソン。しかし歴史の評価はいまも逆転しています
「宮崎正弘の国際ニュース・早読み」
平成24(2012)年6月22日(金曜日)
通巻第3692号 <前日発行>
読者の声1)6月20日に発表された「言論NPO」と中国の英字新聞『チャイナ・ディリー』が行った世論調査で、「中国に良くない印象をもつ」と答えた日本人が84・3%、逆に「日本によくない印象を抱く」と回答して中国人が64・5%という調査結果でした。
日本の嫌中感情がかつてない高まりを見せていますが、調査のように尖閣諸島問題が、主因でしょうか?
もっと他に理由があるように思えてならないのです。
(MN生、横浜)
(宮崎正弘のコメント)日本側の「言論NPO」は05年に発足したボランティア組織のようですが、当時の反日暴動を踏まえて世論調査に乗り出した。
中国での調査は、その方法と規模を見る限り、かなり精密な世論調査を中国五都市、とくに北京大学などで行っておりますので、かなりの信憑性が、その調査結果にはあるとみて良いでしょう。
しかし質問の中味、質問するニュアンスが誘導的であったか、どうかは分かりません。
そのうえ、中国側の調査機関が『人民日報』系であり、多くの誘導質問、世論操作がなされている筈ですから(中国では自由な世論調査はあり得ず)、割り引く必要があります。これは直感ですが、日本側の嫌中国感情は、蓄積されたものであって、中国の反日暴動のように党が指導した瞬発的な人為的なものではありません。
ことしの日中友好四十周年のイベントに盛り上がりを欠くこと夥しき限り。
日本の嫌中感情は、したがって調査結果より多い筈です。反対に中国側の反日感情は、もっと低い筈です。
いずれにしても、中国の若者に反日感情は殆どありません。「歴史認識」とかの戯言は、党と軍の情報操作以外の何者でもなく、実態はSMAP公演にあつまる群衆、日本のアニメブーム。蒼井空現象、日本食への信頼など、説明は不要でしょう。
平成24(2012)年6月22日(金曜日)
通巻第3692号 <前日発行>
読者の声1)6月20日に発表された「言論NPO」と中国の英字新聞『チャイナ・ディリー』が行った世論調査で、「中国に良くない印象をもつ」と答えた日本人が84・3%、逆に「日本によくない印象を抱く」と回答して中国人が64・5%という調査結果でした。
日本の嫌中感情がかつてない高まりを見せていますが、調査のように尖閣諸島問題が、主因でしょうか?
もっと他に理由があるように思えてならないのです。
(MN生、横浜)
(宮崎正弘のコメント)日本側の「言論NPO」は05年に発足したボランティア組織のようですが、当時の反日暴動を踏まえて世論調査に乗り出した。
中国での調査は、その方法と規模を見る限り、かなり精密な世論調査を中国五都市、とくに北京大学などで行っておりますので、かなりの信憑性が、その調査結果にはあるとみて良いでしょう。
しかし質問の中味、質問するニュアンスが誘導的であったか、どうかは分かりません。
そのうえ、中国側の調査機関が『人民日報』系であり、多くの誘導質問、世論操作がなされている筈ですから(中国では自由な世論調査はあり得ず)、割り引く必要があります。これは直感ですが、日本側の嫌中国感情は、蓄積されたものであって、中国の反日暴動のように党が指導した瞬発的な人為的なものではありません。
ことしの日中友好四十周年のイベントに盛り上がりを欠くこと夥しき限り。
日本の嫌中感情は、したがって調査結果より多い筈です。反対に中国側の反日感情は、もっと低い筈です。
いずれにしても、中国の若者に反日感情は殆どありません。「歴史認識」とかの戯言は、党と軍の情報操作以外の何者でもなく、実態はSMAP公演にあつまる群衆、日本のアニメブーム。蒼井空現象、日本食への信頼など、説明は不要でしょう。