政府支出の減少により経済が悪化し、元も子もなくなってしまう可能性もあります。 | 日本のお姉さん

政府支出の減少により経済が悪化し、元も子もなくなってしまう可能性もあります。

自民、2段階増税を容認 消費増税法案の修正協議始まる
消費増税関連法案の修正協議に臨む(右から)民主党の藤井裕久税調会長、自民党の町村信孝元官房長官、鴨下一郎元環境相、公明党の石井啓一政調会長=8日午前10時、国会内、仙波理撮影

 民主、自民、公明3党は8日午前、実務者による消費増税関連法案の修正協議に入り、15日までに修正合意を目指すことで一致した。これに先立ち、自民党は8日の党税制調査会で消費税率を2014年4月に8%、15年10月に10%と2段階で引き上げる政府方針を容認することを決めた。
 実務者協議の初会合には民主党の藤井裕久税調会長、自民党の町村信孝元官房長官、公明党の斉藤鉄夫幹事長代行ら10人が出席。藤井氏が「野田総理の思いも踏まえ、15日を一つのメドとしてまとめたい」と表明。協議は税と社会保障の2分野に分け、社会保障は8日午後から、税は週明け11日から具体的な交渉に入ることで合意した。
 一方、「当面10%とする」として、引き上げ時期は明確にしていなかった自民党は2段階増税を容認。低所得者対策の給付付き税額控除に反対し、食料品などの税率を低くする軽減税率を消費税率が10%を超えてから検討することも決めた。自民党は税で民主党の主張に歩み寄ることで、隔たりが大きい社会保障政策での譲歩を迫る考えだ。
http://www.asahi.com/politics/update/0608/TKY201206080186.html
2012年6月8日発行JMM [Japan Mail Media] No.691 Monday Edition-3  http://ryumurakami.jmm.co.jp/supported by ASAHIネット
■ 『村上龍、金融経済の専門家たちに聞く』
Q: 世界経済はどのくらい危機的か?
◇回答
□水牛健太郎 :日本語学校教師、評論家
■今回の質問【Q:1265(番外編)】
 週明けの東京金融市場は、円高が加速し、株価は全面安となり、日経平均は8300円割れとなりました。先週発表されたアメリカの雇用統計の数字も予想を下回り、ユーロは記録的な安値になり、中国やインド経済も失速が指摘されています。世界経済の現状は、どのくらい危機的なのでしょうか。
村上龍
━━━━━━━━━━━━━━━━━━

 ■ 水牛健太郎 :日本語学校教師、評論家

 今は危機というよりも、その前段階でしょう。今はまだ危機を回避する可能性は残されていると思います。

 現在、世界経済の主な問題は何と言っても欧州の債務問題です。このユーロ圏というのが、日本では存在感が薄いため、どうしてそんなに大きな問題なのかいま一つぴんと来ません。しかし、ユーロ圏17カ国の経済規模を合わせると、アメリカを上回る世界最大の経済単位となります。住民は所得水準が高く、消費市場としても重要です。
 
 特に、日本の重要な経済パートナーであるアメリカと中国の欧州との関係は深いものがあります。
アメリカからはPCなどIT関連製品、自動車、産業用機械など、中国からは繊維製品、電気機器、やはり産業用機械などが欧州向けに輸出されています。

それぞれの国の全輸出額の2割程度が欧州に輸出されているようです。
日本にとっても欧州向け輸出は1割以上とのことで、決してマイナーなパートナーとは言えないのですが、それ以上に、欧州危機がアメリカと中国の経済に与える影響が間接的に日本に及んでいる部分も大きいと見られます。

 欧州危機の焦点であるギリシャ問題は、ギリシャの離脱を想定した環境づくりが徐々に進んでいるようです。ギリシャ一国の経済規模は小さいため、他国(いま可能性として取りざたされているのはポルトガル、スペインあたりですが)への波及を防ぐことができれば、何とか危機は押さえ込めるのではないか。
そんな思惑で議論が進められています。波及を防ぐための欧州中央銀行による国債購入や資金供給などの金融的な防護壁作りに加え、以前からの課題であった加盟国の財政や債務を徐々に統合していくことも検討されています。

 今回の危機の中で、欧州と、大統領選挙を控えたアメリカで、緊縮か、景気刺激(「成長戦略」などと言われることもあります)か、が選択肢として取りざたされるようになりました。
ただこれは、どこまで行っても簡単な正解は出ない問題です。

 財政緊縮を進めれば政府の信用は高まり、その力を梃子に経済の正常化を図る道筋が見えてくる一方で、政府支出の減少により経済が悪化し、元も子もなくなってしまう可能性もあります。景気刺激を優先するのは、まず経済を立ち直らせてから財政に手をつけよう、ということですが、経済も立ち直らず財政は破綻する、という最悪のシナリオに陥る可能性も否定できません。

 どちらを選んでもうまくいく可能性といかない可能性があり、それを決めるファクターは無数にあって、しかも相互に複雑に絡み合っています。予測できない出来事で条件が変わってしまうこともあるし、国民感情といった、計量できない要素にも左右されます。最近あまり流行らなくなった言葉ですが、「複雑系」そのものです。

 要するに、経済の現状を考え抜いた上で慎重に判断して、何とか方針を決めても、結果はやはり間違っているかもしれない、というような問題なのです。コンピュータでかなりの程度までモデル化することも可能でしょうが、それとて大きな意味はないかもしれず、政治家の「信念」や「勘」に頼るのもそれほど不合理とは言えません。

 たとえばポール・クルーグマンのような人は、経済が悪化している時には景気刺激を優先するのが常に正しいのだという主張で一貫しています。クルーグマンは本当に優秀な経済学者ですが、この点に関してはやはり少し単純化して、教条的になっているような気がします。

 日本の場合、「まずデフレを止めて」から財政再建を図れ、という景気刺激派の主張があり、その多くは消費税増税にも反対しています。デフレが続いている今はそのタイミングではない、という主張です。それに最近は、消費税率アップは財務省による「洗脳」だとか「支配」だといった論調も混じるようになりました。

 「消費税を上げたら景気は悪化し、財政もかえって悪くなる」という結果になる可能性がないのかと言えば、それはあります。「複雑系」の性質上、「絶対にない」ということはできないのです。

 ただ、日本の財政がかなり悪いのは事実です。それにもかかわらず、長期金利が低い状況にあるというのは、国債がほとんど国内で消化されているなどの理由に加え、現行の消費税率5%が国際的に見てかなり低く、増税余地が大きいからです。つまり「後で税率を上げて帳尻を合わせるだろう」と思われているわけです。

 その一方で、海外格付け会社による国債の格付けがじりじりと下がっているのは、日本政府が事態をコントロールできていないのではという疑いの視線が強まっているからです。そこでもし、今回消費税増税が決まらないと、日本政府は事実上、消費税率を上げる能力がない、と見なされてしまうおそれがあります。

 日本国債の信用は将来消費税が上げられるであろうという見通しにかかっているのに、「実際は消費税を上げることは不可能である」ということになると、必然的に「日本国債はデフォルトの可能性が高い」という理屈になってしまいます。

 繰り返しになりますが、消費税率を上げて経済への悪影響は絶対ないのか、景気は大丈夫かと言われれば、それはわかりません。神様でない限り、わからないのです。
消費税はもっと景気のいい時に上げればいい、という論理があって、全くおっしゃる通り、100%同意したいのですが、ただ、いったいいつ消費税率を安心して上げられるほど景気がよくなるのか、全くわかりません。

 経済の動きは人間にはわからないことだらけです。人間にもわかることに集中するしかありません。わかることといえば、日本の財政がけっこう悪いということ、日本国債の信用は将来の消費税増税にかかっていること、それなのに消費税を上げるのはとても難しくて、いま上げられなかったら、いったいいつ上げられるのか見当もつかないということです。
 
 財務省の洗脳とか陰謀というのがあるとして、確かに財務省は力も強いし、時々悪いこともたくらむし、私利私益を図ることもあると私も思っています。財務官僚が悪いやつら、とんでもないやつらだとして、でも、そのことが上記の事実に何か影響があるのかどうか。そこから導き出される結論--上げられるものなら今上げといた方がいい--が変わるのかどうか。

 税率が上げられれば、日本政府は事態を掌握できていることになり、国際的信用はひとまず合格ということになります。もし必要ならば、景気刺激のために今以上に支出することも可能でしょう。

 世界経済の危機というテーマから離れてしまいました。いや、実際はそれほど離れちゃいないのです。経済は人間にはほとんどわからないのだということ、だから人間はわかる範囲で最善を尽くすしかないのだということ、それがいま欧州で行われていることだし、日本でも行われるべきことだということ。こういったことを申し上げたつもりです。結果がどうなるかわからないとしても、最善を尽くさなくていいことにはならないのですから。
 日本語学校教師、評論家:水牛健太郎
 ●○○JMMホームページにて、過去のすべてのアーカイブが見られます。○○●(
http://ryumurakami.jmm.co.jp/ )
JMM [Japan Mail Media] No.691 Monday Edition-3
【発行】  有限会社 村上龍事務所
【編集】  村上龍
【発行部数】101,417部
自民党の時代でも、本当は消費税を上げたくて仕方が無かったので
民主党はどうせ短命だから
消え去る民主党に税金を上げさせておけばいいかなと
自民党は思っているだろうな~。(わたしなら、そう思う。)
自民党が、税金を上げようとしたら
野党と在日韓国朝鮮人系マスコミらが
気が狂ったように反対してきて、世論とやらを誘導して
また政権交代させられるだろうね。
だったら、民主党の内に消費税をあげとけと
思うのは自然だと思う。
でも、消費税10%は、キツイよ。
実際、10%は、本当にキツイ。
スペインは、他の国より消費税が安かったので
今度、他の国と揃えて高くするらしい。
4人に1人が無職ならしょうがないね。
外国人はスペインで自給700円ぐらいで職を得ている。
でも、キッツイ仕事ばかりで給料が少ないので
スペイン人は
そんなのやってられないので
仕事をしないだって。