尖閣周辺に中国監視船 都の尖閣購入方針表明後2度目
挑発? 尖閣周辺に中国監視船 都の尖閣購入方針表明後2度目
2012.6.6 14:24 [中国]
6日午前9時25分ごろ、沖縄県・尖閣諸島久場島の北西約37キロの日本の接続水域を中国の漁業監視船「漁政35001」が航行しているのを海上保安庁の巡視船が発見した。無線などで警告したところ、監視船は午前10時40分ごろ、接続水域を出たという。
中国の漁業監視船が尖閣諸島周辺の接続水域に入るのは、東京都の同諸島購入方針表明以降2回目で、今年5回目。第11管区海上保安本部(那覇市)によると、漁政35001は警告に対し、「漁政は航行中だ」としか応答しなかったという。
http://sankei.jp.msn.com/world/news/120606/chn12060614240001-n1.htm
2012.6.6 14:24 [中国]
6日午前9時25分ごろ、沖縄県・尖閣諸島久場島の北西約37キロの日本の接続水域を中国の漁業監視船「漁政35001」が航行しているのを海上保安庁の巡視船が発見した。無線などで警告したところ、監視船は午前10時40分ごろ、接続水域を出たという。
中国の漁業監視船が尖閣諸島周辺の接続水域に入るのは、東京都の同諸島購入方針表明以降2回目で、今年5回目。第11管区海上保安本部(那覇市)によると、漁政35001は警告に対し、「漁政は航行中だ」としか応答しなかったという。
http://sankei.jp.msn.com/world/news/120606/chn12060614240001-n1.htm
【正論】
「尖閣」危機 平和安全保障研究所理事長・西原正 南シナ海に学び「空白」を作るな
2012.6.8 03:13 尖閣諸島問題]
尖閣諸島をめぐる日中緊張は激化しそうな気配だ。南シナ海諸島をめぐる東南アジア複数国と中国との対立はさらに複雑で、日本にいい教訓を与えてくれる。
≪すきを突いて出てくる中国≫
南シナ海における最初の領土紛争は、1974年1月ベトナム戦争末期のどさくさに紛れて、中国が艦船と空軍機で、当時、南ベトナムが支配していたパラセル(西沙)諸島から同国兵を排除し、実効支配を始めたことである。ついで88年3月、中国がベトナム統治下のスプラトリー(南沙)諸島の赤瓜礁を攻撃し、ベトナム兵70人を殺害して実効支配下に置いた。
中国はこのように「力の空白」に乗じて実効支配を広げてきた。92年9月、米海軍がフィリピンから撤退すると、中国は同年11月には漁船に擬装した海洋調査船を多数派遣し、95年2月、フィリピンの排他的経済水域(EEZ)のパラワン島近くのミスチーフ環礁に軍事構造物を建設した。
≪素早く手打ったマレーシア≫
中国の動きに敏感に反応したのはマレーシアであろう。同国は85年に、ラヤンラヤン島(長さ約7キロ、幅約2キロの環礁)に人工島を造成し、滑走路とリゾートホテルを建設、海軍を常駐させた。2008年8月、ナジブ同国副首相がラヤンラヤン島を訪問し、翌年3月には、バダウィ首相が夫人、陸海両軍の司令官を帯同して同島の駐屯兵を慰問している。
これに不満を募らせた中国は、10年4月、「漁船保護」の名目で武装した漁業監視船「漁政311号」など3隻を派遣した。マレーシア軍は駆逐艦2隻、哨戒機を急派して対応したという。
中国の国家海洋局所属の「海監総隊」の「海監83号」が国営石油会社ペトロナスのガス田海域で資源探査をしていたとの疑いが生じると、マレーシアは、サバ州都コタキナバルに哨戒ヘリを配備する航空基地を設けた。
東南アジア諸国は、兵器の近代化によって中国に対抗しようとしている。11年の国防費は前年比にして、マレーシアは25・5%、フィリピンは37・6%、ベトナムは24・1%、インドネシアは10・7%の増強ぶりであった。これらの国が主として調達してきたのは潜水艦、対潜ヘリ、戦闘機、早期警戒管制機などである。例えば、ベトナムはロシアから潜水艦を6隻、フリゲート艦2隻、戦闘機20機を購入した。
中国の台頭、進出をにらみ、外交の舵を対米接近へ切ることも怠りない。10年7月にハノイで行われた東南アジア諸国連合(ASEAN)地域フォーラム(ARF)で、クリントン米国務長官と楊潔●中国外相が、南シナ海における「航行の自由」と中国の「核心的利益」をめぐり大論争をした折にも、ASEAN側はクリントン支持の発言をした。昨年11月にバリで行われたASEAN首脳会議でも同様の展開になった。
米国防総省が10年に出した「4年ごとの国防計画見直し」(QDR)では、東アジアの同盟国との関係強化以外に「インドネシア、マレーシアおよびベトナムとの新しい戦略関係の構築」をうたっている。
ベトナム海軍は米海軍との合同演習をここ数年、毎年ベトナム沖で行っており、また米艦船をダナン港などに招いている。マレーシアも静かに米国との関係を強化していると伝えられている。
中でもフィリピンは米国に急接近している。11年11月には、クリントン長官がマニラ湾に停泊していた米艦船上で米比同盟の重要性を強調した。また今年4月には、スカボロー岩礁で中国漁船を拿捕(だほ)したフィリピン軍艦と釈放を要求する中国巡視船とが対峙(たいじ)していたとき、米比合同海軍演習をパラワン島海域で実施している。そして4月末には、海上安全保障の連携強化を目指す米比閣僚会議(2プラス2)が初開催された。(にもかかわらず、この間、中国はフィリピン産輸入果物の検疫を害虫発見を理由に強化し、中国人観光ツアーを相次いでキャンセルして、漁民の釈放を要求している)
≪日本がくみ取れる5つの教訓≫
こうみてくると、尖閣問題への教訓は5点に要約できる。
一、「力の空白」を作らない。海上保安庁、自衛隊による警戒、守りを怠らず、そして十分な装備を配備することが重要である
二、接岸およびヘリポートの施設を造って、自衛隊を常駐させ、同時に釣りなどの場とすること。時には首相のような要人が現地を訪れることが必要である
三、日米同盟の強化は言を俟(ま)たない。米国が尖閣を日米安保条約の適用範囲としたことは日本側に極めて有利になっている
四、中国の恐喝的報復への対応策を講じておく。また中国の脆弱(ぜいじゃく)点を予(あらかじ)め研究して、効果的に使えるように用意しておく
五、尖閣防衛の力をつけつつ、位負けせずに、武力衝突を避ける道を探る。ASEAN側が中国との間で協議してきた相互自制の行動規範なども参考になる(にしはら まさし)
●=簾の广を厂に、兼を虎に
「尖閣」危機 防衛大学校教授・村井友秀 海監も漁政も中国海軍の手駒だ
2012.6.7 03:35 (1/3ページ)[尖閣諸島問題]
尖閣諸島周辺の日本領海内に最近、中国漁船に続いて、中国政府の漁業監視船や海洋調査船が徘徊(はいかい)・漂泊するようになった。中国では、漁船も海上民兵として海軍の指揮下で行動することがある。それでは、中国公船と海軍との関係はどうなのか、考察する。
≪軍の意向が党通じ国家動かす≫
中国共産党政権は「鉄砲から生まれた」といわれるように、戦争の中で軍の力によって成立した政権であり、中共政権における軍の影響力は絶大である。現在の中共政権の政治構造をみると、共産党が最高権力機関であるが、軍の最高機関である中央軍事委員会は、共産党の最高機関である政治局と並立する機関である。中央軍事委員会主席は胡錦濤氏、政治局のトップも、党総書記にして国家主席の胡氏である。軍と党が並立し、党の下に政府が存在する構造である。政府(国務院)は党の決定を実行する機関に過ぎない。
中央軍事委員会は、10人の軍人と2人の文民(胡主席と習近平副主席)で構成されている。軍人の委員の内訳は、副主席2人、国防部長、総参謀長、総政治部主任、総後勤部長、総装備部長、海軍司令官、空軍司令官、第二砲兵(ミサイル)司令官である。
胡主席と習副主席は軍事専門家ではなく、中央軍事委での軍事に関する議論では軍人が強い影響力を持つ。毛沢東やトウ小平は文民指導者であると同時に実戦で軍隊を指揮した経歴があり、軍人に対し強いカリスマ性を持っていた。胡氏の前任の党総書記兼国家主席の江沢民や胡氏には軍歴がなく、軍人への影響力は限られる。
他方、政治局では胡氏は最大の影響力を持つ。したがって、軍人の強い影響下でなされた中央軍事委決定は、胡主席の意向として政治局内で強い影響力を持つ。つまり軍の意向が党の意向として国家を動かしているのである。
≪外交部などは軍に逆らえず≫
政府の一機関である外交部や国家海洋局も、政府を通じた党決定に従って行動する。中国では、党と並ぶ権力を持つ軍が、党の下にある政府の一機関である外交部を無視することはあっても、外交部が軍の意向に逆らうことはあり得ない。同様に、政府の一機関の国家海洋局が軍の意向を無視して行動することもあり得ない。
中国の頭は共産党であり軍である。
中国軍は合理的な組織で、コストが利益を上回ると判断すれば行動を止める。日本の防衛力が強化されれば中国軍のコストは上昇し、軍事行動に出る動機は小さくなる。逆に日本の防衛力が縮小すれば、中国軍のコストは低下し軍事行動の魅力は増大する。日本の防衛力縮小は中国に軍事行動を取るよう挑発しているようなものだ。
侵略を撃退できる十分な軍事力に支えられた、「尖閣諸島は日本の核心的利益である」という日本政府の強い決意表明は、中国軍の思考回路に影響を与える。
「大きな棍棒を持って、静かに話す」(セオドア・ルーズベルト米大統領)というのが、古今東西の外交の基本なのである。(むらい ともひで)
国家海洋局は1964年、「国防と国民経済建設に服する」機関として創設され、制度上は政府の管轄下に置かれながら、海軍が実質的に管理してきた。82年に国連海洋法条約が採択されると、中国は海上保安機関を強化して、90年代には、国土資源部国家海洋局中国海監総隊(海監)、農業部漁業局(漁政)、公安部公安辺防海警総隊(海警)、交通運輸部中国海事局(海巡)、海関総署密輸取締局(海関)を組織した。侵略を撃退できる十分な軍事力に支えられた、「尖閣諸島は日本の核心的利益である」という日本政府の強い決意表明は、中国軍の思考回路に影響を与える。
「大きな棍棒を持って、静かに話す」(セオドア・ルーズベルト米大統領)というのが、古今東西の外交の基本なのである。(むらい ともひで)
海警は海軍のミサイルフリゲート艦を改造した巡視船を保有し、漁政は、海軍の潜水艦救難艦を改造した「漁政311」やヘリコプターを2機搭載できる「漁政310」を保有する。漁政は南シナ海でインドネシア、ベトナム、フィリピンの漁船、巡視船や海軍の艦艇を威嚇し発砲している。
海監は国家海洋局の命で、中国の管轄海域を巡視し、中国の海洋権益に対する侵犯、海洋資源と環境を損なう違法行為を発見し排除することを任務とする。「海軍の予備部隊として、平時は違法行為を取り締まり、戦時は軍に編入される」ことになっている。
≪防衛力の縮小は侵略を誘う≫
2009年には、中国海軍、中国公船、漁船が共同して、米海軍調査船の活動を妨害するという事件が発生した。国家海洋局海監総隊常務副総隊長は、「国際法上、係争海域に関して2つの慣例がある。第一はその場所が有効に管理されているか否かであり、第二は実際の支配が歴史による証明に勝るということだ」「中国海監は管轄海域内で必ず自身の存在を明示し、有効な管轄を体現しなければならない」と述べている。
尖閣諸島周辺を遊弋(ゆうよく)し、中国の実効支配を誇示することは、海監の重要な任務なのである。
中国の末端組織はバラバラに行動しているように見えることがあるが、それは右手と左手の動きの違いにすぎず、頭は一つだ。http://sankei.jp.msn.com/politics/news/120607/plc12060703360003-n1.htm http://sankei.jp.msn.com/politics/news/120608/plc12060803130003-n1.htm